パワハラ、借金、引きこもり…

人生「どん底」からの逆転復活ストーリー

長いこと不景気だと言われ続け、なかなかモチベーションを上げるのも難しい昨今。今回は、人生の「どん底」経験から復活した方の、エネルギーにあふれた体験談を紹介する。苦しい状態から復活できたきっかけは?どうやってモチベーションを上げ、自分自身を奮い立たせたのか?頑張れた理由は?…今だから話せるエピソードの中から、やる気をアップさせるためのヒントを見つけ出そう。

2011年5月25日

【Case1】
激しいパワハラに耐える日々から復活した池田さんの場合

会議室に呼び出され監禁状態に

株式会社アルファビオス
事業部 池田健人さん(27歳)
高校時代卒業後、飲食店、ウェブデザイン会社に勤務した後、不動産業界へ。ワンルームマンションの販売会社、不動産仲介営業、知人の不動産会社の手伝いなどに携わり、2009年11月、マンションの仕入れ、開発やリノベーション、不動産投資などを手がける今の会社に転職。

稼げる仕事に就いて、将来飲食店を開くための資金を貯めようと、未経験だった不動産業界に飛び込んだ池田さん。いざ仕事を始めたものの、右も左もわからず、なかなか成果が出ない。それでも、将来のためにと、言われた通りに一日数百件のアポイント取りの電話営業に取り組んだ。怒鳴られるのは日常茶飯事。毎日朝から晩まで、上司に一挙一動をすべてチェックされ、精神的にも追いつめられていった。
「徐々にエスカレートし、同僚も辞めていなくなる。ストレスで髪の毛が真っ白になりました。このままでは身が持たないと思い、直属の上司に退職を考えていることを相談したんです」
すると、いきなり怒り出した上司は、帰ろうとした池田さんを会議室に呼び出して目の前に座らせ、「自分のやったことを反省しろ」「これまで支払った給料を返せ」と怒鳴り続けたのだ。さらに紙と鉛筆を渡され、“給料を全額返します”と一筆書くように命じ、監禁状態にした。
「反省するもなにも、悪いことなんてしていません。しかし、部屋の中でどんどん追い込まれ、精神状態がおかしくなってしまい…。とにかく許してもらおうと、その場は何とか謝りました。そしてそのまま辞めたんです」

「自分の店を持つ」夢を思い出し、奮起

物件紹介のために、オリジナルの資料を作っている

その一件があって以来、毎日落ち込んでいた池田さん。しかし、『このままではいけない』と、次の一歩に向けて奮起した。そして考えた末に選んだのは、前職と同じ不動産業界だった。
「なんであの会社を選んでしまったのかとよく考えていたら、『ビジネスを学んで、将来は自分の店を持ちたい』という夢を抱いていたことを思い出したんです。つらい経験はしたけれど、今やるべきことは夢に向かって一歩踏み出すことなんだと。同じ目に遭ったらどうしようと不安もあったけど、会社をきちんと見極めて、自分のためになる場所を選べばいいんだって」
アルファビオラを選んだのは、不動産の中でも将来のために「仕入れ」の仕事を経験しておきたいと思ったからだ。 
「入社後は、想像以上に幅広く仕事に携わることができました。物件の仕入れや企画はもちろん、投資家や金融機関に提出する書類の作成や、物件の審査、土地調査などにも携わります。マンションは一棟で購入しますから、数十億単位のお金が動きます。不動産の仕入れに関してはかなり知識を得ることができましたね。今では、自分をもう一回り成長させるために、『街を丸ごと創るような大きなプロジェクトに携わりたい』という新たな目標が増えたんです。そのためには、まずは一つの分野を極めたい。目指すは『仕入れのプロ』です」

【Case2】
職なし、金なし、借金ありから復活した河辺さんの場合

仕事がなく「誰からも必要とされない」毎日

ランチェスターマネジメント株式会社
代表取締役
ビジネスモデルプロデューサー
河辺よしろうさん(49歳)
大学卒業後、食品会社に入社。その後は仕事でオーストラリアに2年間滞在し、帰国後は商社へ転職。1999年に37歳で独立し、飲食店チェーンを開業するも約5年で経営から離れる。どん底生活からの復帰を機に、2004年に新会社を設立、ランチェスター経営のコンサルタントに。現在は150社のクライアントを抱える。

37歳で会社員を辞め、38歳の時に念願の独立を果たした河辺さん。知り合いと一緒に立ち上げた飲食店を経営するベンチャー企業は、最初の数カ月は苦しいものだったが、順調に成長させた。起業1年半で資本金は約1億円に。社員数は100人を超え、海外進出も果たした。
「実は、ベンチャ―企業は、軌道に乗ってからが一番つらいんです。それまでは『夢に向かって頑張ろう』と、“一体感”で何とかなった。でも金銭的な問題が満たされた途端、『自分たちがやりたかったことはこれなのだろうか』と不安になるんです。さらに、成功がゆえの経営のプレッシャーや責任感、部下や同僚との溝などが一気に押し寄せて、精神的に病んでしまったんです。それで、一度経営から身を引こうと」
本当に苦しかったのはここからだった。単身赴任をしていた東京から、家族の住む岐阜に戻ったのはいいが、電話も鳴らなくなり、やることがなくなってしまった。人生の目的を失い、あるのは住宅ローンと多額の税金の催促。持っていた株もすぐには手放せない。収入もゼロ。「人から必要とされていないのでは」という不安で押しつぶされそうになった。
「妻どころか、生まれたばかりの子どもにも合わせる顔がないと、部屋に引きこもる毎日です。何かをやろうと一歩踏み出そうとしても、自然に涙が出てきて固まってしまい、何もできない。毎日死ぬことばかりを考えていました。人は、仕事を通して存在を認められ、尊厳が保たれるんだということを痛感しました」

「人との出会い」に復活のチャンスを見いだした

このどん底生活は、1年半ほど続いた。そんなある日、かつての知り合いが岐阜に来ることを知り、思い切って約束を取りつけ、会いに行くことにした。この勇気が復活の引き金となった。
「その場で、もし時間があるなら仕事を手伝ってほしいと声をかけられたんです。『私にできることなら』と快く引き受けたのが始まりで、そこからは人との出会いが連鎖のようにつながったんです。私が興味を持っていたランチェスター経営について勉強会をやらないかと持ちかけてくれた人がいたかと思うと、私のどん底時代の話をいろんな経営者に聞かせようと、中小企業同友会での講演会を企画してくれる仲間もいました。勉強会は、最初は1、2人で始まったものが、あっという間に40人になり、『落ち武者講演会』(笑)と名づけられたその講演会は100人を集客。こうした、“人とのつながり”を実感するにつれて、私の気持ちはどんどん前向きになっていったんです」
河辺さん自身、どんなにつくても、人との出会いにこそチャンスがあるという信念だけは忘れなかった。「今日は最高の出会いがある」と信じ、人と会うときは中途半端な気持ちでは接しないことを心がけてきた。
「人は、誰にも相談できないような、孤独な状態がこわくて仕方ないもの。でも、人と会って、恥ずかしがらずにさらけ出せば、情けない話でも興味を持って笑ってくれる人がいることで救われる。何か問題に直面したときこそ、変われるチャンスだと考えれば、必ず力が出ると思うんです」

【Case3】
過酷な労働環境で感じた悔しさをバネに復活した三橋さんの場合

休みなしで毎日16時間労働。上司のパワハラで病院送りに…

ミツハシ社会保険労務士事務所
三橋由寛さん(37歳)
大学卒業後、大手レストランチェーンに入社。警備員のアルバイト、保険会社でコンサルタント業務に携わりながら、社会保険労務士を目指す。2005年に開業。現在は、人事制度や教育など“人”にまつわるコンサルティング全般を行う。

新卒で入社したのは、当時急成長を遂げていた大手レストランチェーン。入社早々から長時間労働が当たり前だったが、有無を言わせぬ過酷な労働は徐々にエスカレートし、土日はおろか、お盆も正月も休みはなし。毎日16時間労働が当たり前のように続いた。事件が起こったのはそんな日々が約1年続いたころだった。
「あまりに疲れすぎて、帰宅途中にうっかり居眠り運転をしてしまったんです。そのまま対向車線から走ってきたダンプカーと正面衝突。命が助かったのが奇跡だと言われるくらい、現場は壮絶でした。もう、何が起こったのか全く理解ができなくて…」
幸いにもケガは足の打撲と左腕の骨折だけ。5カ月で職場に復帰できたが、待っていたのはさらに苦しい毎日だった。
「配属先の上司と折が合わず、毎日殴られ続けたんです。『お前なんてもういらない』と大声でののしられました。苦痛の連続で、ただ我慢するだけの毎日。それが半年ほど続いたある日、殴られた際に意識を失い、そのまま救急車で運ばれたんです。もう無理だと退職を決意しました。しかし、驚いたことに労災が下りなかったんです。信じられませんでした」

「社会保険労務士にならないといけない」と自分自身を追い込んだ

不審に思った三橋さんが労働法を調べてみたところ、会社が法律を無視して過酷な労働を敷いていることがわかった。「こんなことが許されるはずがない」と、三橋さんは憤慨した。
「こんな目に合うのは私だけで十分だと。何も知らずに劣悪な環境で働かされる人をなくすには、その痛みを知る自分が変えなくてはならない。そんなときに、ハローワークで社会保険労務士のための勉強会があるのを知りました。次に進むべき道はコレだと」
その日から、家族も驚く集中力で猛勉強を開始した。勉強会は80日間のコースだったが、最初は参考書を読んでも難しくて理解できず、何度も心が折れそうになった。収入源を確保するために、保険会社で働いたりもしたが、どんなに忙しくても勉強時間だけは確保し、専門学校にも通って勉強を続けた。最初の受験では絶望的な点数だったが、学校で出会った尊敬できる講師や仲間の力添えもあり、2度目の受験ではあともう少しというところまでに。そんな彼のやる気にさらに火をつけるものがあった。阪神タイガースの存在だ。
「実は、私が試験に合格したのが、大好きな阪神タイガースが18年ぶりに優勝した2003年なんです。それまでは弱くて頼りなかった “ダメ虎”が成長する姿を自分と重ね合わせて、『頑張れば絶対に合格できる、あきらめてはダメだ』と繰り返し自分に言い聞かせたんです」
開業後は、人事制度や研修のコンサルタントとして講演活動にも忙しい。「経営者がよりよい会社を作り、そこで働く一人ひとりが幸せになれるようにお手伝いをしたい」という彼の思いは、少しずつだが広まっている。

悩んだときこそ原点回帰。「今すべきこと」を再確認しよう

今回登場してもらった3人に共通するのは、「どん底」で落ち込んだときに、かつて抱いた夢や、自分がもっとも大切にしていることを再確認することで、自分自身を鼓舞した点。そこから行動目標を立て直し、一歩踏み出す勇気とやる気を取り戻したことだろう。悩んだときこそ原点に立ち戻る。そうすれば、「今、何をするべきか」が明確になり、モチベーションも上がってくる。くよくよ悩んでなんていられないはずだ。

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EDIT
高嶋ちほ子
WRITING
志村 江
PHOTO
武島 亨、アラキシン、樋木雅美
ILLUST
沼田 健

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