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組込みソフト、リアルタイム処理の制御経験者を業界不問で募集
東芝のトータルストレージ戦略を担う次世代技術者たち
HDD、SSD、NAND型フラッシュメモリを貫く「トータル・ストレージ・イノベーション」を掲げる東芝セミコンダクター&ストレージ社。近年の事業戦略の中でも注力するのが、HDDとSSDを融合した企業向けストレージ製品だ。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/宮みゆき 撮影/佐藤聡)作成日:13.08.21
「デジタルユニバース」を支えるという自負
服部 正勝氏
東芝セミコンダクター&ストレージ社
HDD技師長 
服部 正勝氏

 全世界で日々、生成・複製されるデジタル情報空間は「デジタルユニバース」と呼ばれる。米調査会社IDCの調査によれば、2012年、2.8ゼタバイト(2800エクサバイト)に達した世界のデータ量はそこに留まることはなく、2020年には40ゼタバイト(4万エクサバイト)まで幾何級数的に増えることが予測されている。世界の全人口一人ひとりが5247ギガバイトのデータを保有する計算だ。すでにデジタルユニバースは、世界に存在するストレージの総容量を超えたという見方もある。

「Facebookにアップロードされた、昨年のクリスマス写真が日に数億枚という数字を聞いてびっくりしたことがあります。そのほとんどはクリスマスを過ぎれば、閲覧されることはほとんどないけれど、どこかには保存されている。日々、増大するストレージ容量をどのように提供していくか。そこに東芝の使命があります」
 と言うのは、東芝セミコンダクター&ストレージ社HDD技師長の服部正勝氏だ。

 いまデータの多くが保存されているのは、HDDだ。フラッシュメモリを積んだSSDがいずれはそれを置き換える有力ストレージとして期待されているが、完全に置き換えるまでにはまだ時間がかかると考えられる。当面の間、HDDとSSDはストレージのコアデバイスとして共存する。またSSDとHDDの長所を生かしてHDDにフラッシュメモリを搭載したハイブリッドHDDのような新しい商品も生まれている。HDD、フラッシュカード、SSD、ハイブリッドHDDをすべて製品にラインナップしている世界唯一の企業が東芝だ。あらためて言うまでもないが、東芝はフラッシュカードやSSDに使われるNAND型フラッシュメモリ素子の世界第2位のメーカーでもある。

世界最小でギネスに挑戦したことも。あくなきチャレンジがなければ未来はない

 服部氏は1983年の新卒入社以来、一貫してHDDの設計に従事してきたエンジニア。これまではノートPC用HDDの経験が長かった。2000年前後には1.8型HDDの開発をも指揮。これがアップルのiPodに大量採用され、HDD事業を支えた。

「その後、0.85インチという、ギネスにも載った世界最小HDDにも挑戦しましたが、その頃にはフラッシュメモリが普及し始めていて、結果的には失敗でした。つまり、HDDからSSDに至るストレージの推移を自分の目で見てきた。もしノートPC用HDDのことしか考えていなかったら、おそらく東芝のストレージ事業はもうなかったかもしれません。常に新しいものにチャレンジしては、仕掛ける姿勢。これがあったからこそ、現在も世界の数少ないHDDメーカーとして生き残っているし、かつNAND素子から次世代SSDデバイスに至る総合的なメモリ・ストレージ戦略を打ち立てることができているのです」
 と、自身の“ディスク人生”を振り返る。

 人々のデジタルライフを支えるストレージの意義については十分承知の服部氏だが、近年、ストレージ製品の社会的役割を強く意識することがあった。2011年3月の東日本大震災だ。東北沿岸部を襲った大津波は住民データを保存した役場のHDDをも水浸しにしたのだ。
「データを復旧できないかという問い合わせが各所からありました。あらためて社会インフラとしてのストレージの重要性を実感しました。人々の社会生活において欠かすことのできないデータを保存し、それを活用する技術を提供する。そのために私たちの仕事はあるのだと感じています」

ファームウェア開発がいまなぜ重要なのか

 この使命を達成するため、いま東芝のストレージプロダクツ部門では大量のエンジニアを求めている。中でも重視されるのが、ファームウェアなどのソフトウェア技術者だ。
「社内から調達したNANDメモリフラッシュをストレージ製品として形にするのが私たちの事業部ですが、そのためには実はソフトウェアの技術が欠かせません。ストレージシステムとしての性能や機能、信頼性等を向上させるためのファームウェア開発もその一つ。メモリを制御するドライバはもちろん、OS上で動く管理ツールやアプリケーションなど様々なソフトウェアソリューションのレベルをさらに高める必要がある」と、服部氏。

 これまでハードウェア製品のファームウェアをC、C++で書いていた組込み系エンジニア、SoC開発に従事した経験のある回路技術者、品質検証・改善ツールなどのアプリケーション開発経験者などが候補に挙がる。

 基本的な技術を踏まえた上で、さらに求めたいのがコミュニケーション能力。これは大規模開発にともなう社内の頻繁なやりとりだけでなく、内外の協業企業や顧客との折衝の面でも求められるものだ。
「ハイエンド・サーバ向けのHDDやeSSDでは顧客ごとにシステムの作り込みが必要なので、顧客の要件をしっかり確認することが必須。また、ストレージ製品の開発そのものも、いまグローバル体制で進んでいるので、英語でのコミュニケーションが重要になります」

 例えば、ハイブリッドHDDは、シリコンバレーにある東芝アメリカ・ストレージデザインセンターと、大船事業所のエンジニアたちが共同して開発に取り組んでいる。シリコンバレーのチームはかつてHDDで世界第2位のシェアを築いたこともあるクアンタムの出身者が多い。さらにHDDの量産工場はフィリピンにある。世界三極をまたぐ適地開発・適地生産。国内だけに閉じた視点では、グローバル競争に勝てないし、エンジニア自身の成長も止まってしまうのだ。

「自分たちが開発したさまざまなストレージが、日々何万台という規模で個人に、企業に、データセンターに届けられ、世界の隅々で動き出す。ストレージ分野で地球規模でのビジネススケールを実感できるめったにない職場。その醍醐味をぜひ味わってほしい」
 と、服部氏は語る。

東芝セミコンダクター&ストレージ社 HDD技師長 服部 正勝氏

1983年新卒で東芝に入社。青梅工場ディスク設計部で、主にHDDを開発。青梅デジタルメディア工場長を経て、旧ストレージプロダクツ社磁気ディスク技師長。2011年7月より現職。

「PCIeエンタープライズSSD」開発に求められるもの

 東芝のストレージプロダクツ部門が、いま注力しているのが、データセンターなどのサーバ需要に答える次世代ストレージだ。高速処理のためにはeSSD(エンタープライズSSD)がある。HDDより10倍以上高速というSSDの利点を活かしきるために、高速なPCIe(PCI Express)インターフェイスの利用が前提になる。もちろん、データセンターでもHDDの役目が終わったわけではない。普段参照されることの少ないデータは大容量HDDに保存する。「コールド・ストレージ」と呼ばれるこの分野を充実するために、HDD技術のさらなる高度化に貢献する技術者も必要だ。

「SATAなどのシリアル・インターフェイスの頃は、SSDストレージを部品として供給すればすんでいたのですが、PCIeインターフェイスになると、CPUとデバイスの間に立ってこれを制御するドライバや、SSDの信頼性向上に寄与するアプリケーションやツールなど、ソフトウェアの力が重要になります。このソフトウェアソリューション分野の技術者を強化できるかどうかに、エンタープライズ分野での成否がかかっているといっても言いすぎではありません」

 人材要件をより現場に即した視点で語ってくれるのは、ファームウェア開発部の鹿取祐司部長だ。
「SATAやSASの経験はHDDで積んでいますが、PCIeとなると我々も初めて。将来は東芝が開発中の3次元メモリをeSSDに投入することも考えられる。こうした未知の領域を切り拓き、製品バリエーションを増やすためには、現在50人のファームウェア技術者ではとても手が回らない」

 ファームウェアそのものの開発だけでなく、品質を作り込む技術も必要だ。
「例えばソフトウェアの検査・評価技術。かつてのようにシステムの規模が小さければ、個人レベルでやれますが、今はプログラムも規模が大きいので、システマティックに評価計画を立てなければなりません。さらに、設計段階から品質を作りこむために、シミュレーターを開発したり、ファームウェア動作検証のためのテスト環境づくりも重要なミッション。こうしたテスト環境は、装置全体の動作を把握した上でないと設計できないので、ファームウェア開発以上に比肩する重要なスキルだと考えています」

 東芝社内のエンジニアは基本的にはストレージの開発側の人。ストレージが実際の企業やデータセンターの現場でどのような使われ方をしているかを知る機会は数少ない。より最適な製品づくりのためには、「ユーザー側でストレージシステムを一度設計したことのある経験者。どのように我々の装置を使うのかをよく知っているエンジニア。そこから単体としての動作を提案できるような人材も必要」という。

鹿取 祐司氏
東芝セミコンダクター&ストレージ社
ストレージプロダクツ設計生産統括部
ファームウェア開発部部長
鹿取 祐司氏
他社・他業界の“血=知”を大胆に取り込む

 ところで、SSDのPCIe制御はもちろんのこと、ストレージのファームウェア開発と対象を広げてみても、その経験が豊かなエンジニアの母数は決して多くはない。そこで、デジタル機器一般の組込みファームウェア、できればリアルタイム処理の制御経験者へとターゲットを広げて、人材を募集する。
「PCIeについては標準仕様があるので、まずはそれをしっかり勉強していただきたい。NANDメモリ制御については社外秘の部分もありますが、入社後に説明を受けることができます。過去の製品があるので、そこでファームウェアがどう動いているかを実地に検証するなかから、開発の流れをつかむことができると思います」

 鹿取氏は実は別のHDDメーカー出身。東芝に事業そのものが買収されたのをきっかけに転職してきた。
「想像していたより自由な社風に最初は驚きました。エンジニアが技術はもちろん、事業の方向性についても社内のあちこちで自由闊達に議論している。技師長クラスの幹部へも、社内の技術者が自由に意見を具申できる。原理原則をふまえ、要件を詰めて提案すれば、それが頭ごなしに否定されることはまずありえません」

 この数十年にわたって、世界のストレージプロダクツ企業は頻繁な技術革新と激しい競争のもと、離合集散を繰り返してきた。東芝がそこで生き残ってきたのは、決して生え抜きの技術者集団だけで純潔主義を貫いてきたからではない。ことあるごとに業界他社・他業界の“血=知”を大胆に取り込み、多彩な要素技術を蓄えてきたからこそ、東芝の未来がある。いま、ストレージの新時代を切り拓くために、再び外の世界における、質の高い経験が求められているのだ。

東芝セミコンダクター&ストレージ社 ストレージプロダクツ設計生産統括部ファームウェア開発部部長 鹿取 祐司氏

2011年東芝に転職。ストレージプロダクツ事業部エンタープライズSSD設計部長、ストレージプロダクツ設計開発センター・ファームウェア開発部長などを経て、2012年7月より現職。

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