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開発現場の風土、技術力、仕事のチャンス、職場環境etc.
SIer出身者が激白!サイバーエージェントを選んだ理由
ネット業界は激変の時期を迎え、新たなサービス・イノベーションを生み続けている。SIerとネット業界、同じIT業界でも構造的に何が違うのか。仕事環境として魅力的なのは?SIerからサイバーエージェントに移ったエンジニアに語り合ってもらった。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/宮みゆき 撮影/栗原克己)作成日:11.08.04
SIer出身エンジニア座談会の参加メンバー

もっと開発現場で、ゴリゴリ、コードを書きたかった

──みなさんはこれまで、SIerや機器メーカーで主にB to Bのシステム開発を経験しているわけですが、あえて、サイバーエージェントというB to Cの企業に転職しようと思ったのはなぜですか。

渡  邉

私の場合、SIerとはいっても、コードを読んでテストするというような仕事が多かった。もっとゴリゴリ、プログラミングを書きたいなと思ったのが動機です。

長谷部

前職には7年いましたが、年を追うごとに開発の現場から離れていくようになりました。上司をみると、エンジニアというよりは営業職のように感じられ、自分の将来はこれでいいのかと。もっと手を動かしたいと思ったのが転職の動機で今は手を動かすことができて楽しいです。

前  田

ネットワーク関連のベンダーにいたのですが、顧客に最適のソリューションを提供したくても、自社製品をからめないとできないもどかしさを感じていました。自社サービスをやっていて、自分たちで製品と技術を選ぶことができ、自社で運用改善ができるような立場に移りたいと思うようになり、サイバーエージェントへ転職。今は開発から運用まで、エンジニアがトータルで関われる環境です。

岩  本

私も長谷部と同じで、最初のSIerでプログラムを書いていたのは最初の1、2年だけ。すぐに管理の仕事が多くなりました。設計は基本設計だけ、詳細設計以降は協力会社に任せて、戻ってきたのをテストする。これじゃ技術者とは言えないと感じていました。

5年勤めれば、仕事はほとんどルーチンワーク化します。楽にはなっていったのですが、このままだと技術者じゃなくなってしまう。そういう危機感からWebシステムのベンチャーに転職したのですが、その企業が倒産するという事態に。だから、次の転職では、自社サービスをやっていることと、企業としての成長性が条件でした。

田  中

みんなが言うように、私も自分で手を動かし続けたかったです。それとB to Cのサービスに興味がありました。B to Bだと新しい技術を導入するにしても、顧客の顔色をうかがわなければならない……。たとえその顧客とうまくいったとしても、果たして汎用的な技術力がついているかどうかはわからない。とはいえ、B to Cならどんな会社でもよかったわけではありません。岩本と同じで、私にも勤務先の倒産経験がありましたので。

サイバーエージェントのエンジニアは、若手が大きな責任をもってサービスを運営する

──実際にサイバーに入社してみてどうでしたか。

前  田

私は前職でネットワークエンジニアとして、ネットワーク機器を納品する立場でした。もちろんこれらの機器の設定は私達が行い、基本的にエンドユーザーが設定をいじることは無いという前提で考えていました。ところが、サイバーエージェントでは、新卒入社2、3年目の人が、納品されたばかりのルーターやロードバランサーの設定をどんどん変えていたんです。それが驚きでした。

ネットワーク機器の設定はミスをした時のリスクが怖いという意識が私にはありますが、サイバーエージェントでは、リスクだけを考え、失敗を恐れるのではなく、チャレンジすることで得られるものを求めて果敢に挑戦するカルチャーがあるのです。増え続けるサーバやデータセンターへの対応など、日々成長する「Ameba」のような巨大なメディアを運営する組織として、このような環境、カルチャーは必要不可欠なのかもしれません。

長谷部

サイバーエージェントは、かなり技術者のレベルが高いと思います。中堅社員だけではなく、新人のレベルも高く、若手にも責任ある仕事を早い段階から任せることで、経験値も増え成長スピードを速めているのだと思います。少し前まで学生だった2、3年目のエンジニアが、一つのモバイルゲームのサービス責任者としてしっかり担当している姿には感心してしまいます。

田  中

SIerだと2、3年目はまだテストだけで、コードすら書けないという人もいますからね。

チャレンジして失敗ならOK。任せて育てる風土

──人が伸びる風土があるということでしょうか。

渡  邉

エンジニアにとってコードを書くことの重要性は言いすぎることはないと思います。自分でコードを書き、自分で運用するからこそ、コードのパターンや設計のテクニックなども、なぜそれが必要なのかを身に浸みて感じることができる。そこに若い人が伸びる環境があると思います。

長谷部

なんでも主体的にやる必要がある環境があるから、否が応でも覚えざるを得ない。

田  中

もともとポテンシャルが高いということもあるとは思います。ただそれ以上に誰かに言われなくても自分でどんどん勉強する人が多い。

長谷部

みんな、仕事へのモチベーション、成長意欲が高いです。

前  田

与えられる権限が大きいと思います。私はインフラの仕事ですが、転職早々、データセンターを借りたり、必要なパーツを発注するなど、ここまで自分がやっていいのだろうかと思うぐらいのことを任されました。こっちが「やります」と言えば、「じゃあ、やってみて」という軽いノリ。でも、自分でやると言ったのだからその責任は自分。それがあるからこそ伸びるのだと思います。

──与えられる権限が大きく、どんどん任せられる会社なのですね。

岩  本

万が一失敗をしても、責任を取れ!などと責められることはほとんどない。チャレンジしての失敗は失敗ではないので。

田  中

チャレンジした結果の失敗を詰めると、誰もチャレンジできなくなります。そうなると任せられる仕事も任せられなくなっていきます。

前  田

組織を硬直させるような上下の階層がほとんどなく、プログラムを書いているメンバーが、事業責任者と直で話をすることができる。上司が部下の手柄を横取りするであったり、部下に手柄を取らせたくないといったいやらしさは皆無です。これも伸び伸びとチャレンジできる理由の一つだと思います。

当事者意識と納得感があるから、ストレスは感じない。

──みなさんにだってストレスはあると思います。どういうときに感じますか。

岩  本

モバイルゲームは売上げ目標があるので、つねに新しい機能を考え、売上を伸ばす必要があります。ストレスではないですが、プレッシャーは感じます。目標が達成できなかったからといって、エンジニアの評価が下がるわけではないですが、チーム一丸となって目標達成を目指すからこそ、自分もそれに貢献しようと思います。

渡  邉

PVが何%落ちたとか、売上が何%落ちたとか、その原因の多くは技術ベースのミスだと思います。そういう当事者意識がサイバーエージェントのエンジニアにはある。逆に言えば、自分が書いたコードが間接的に売上につながっていく。それはエンジニアとしてはやりがいにつながります。

長谷部

また、そういった数字を全員が共有している。週毎に売上報告があり、活躍している社員は職種に関わらず、月イチで表彰もされる。前の会社ではあまりそういうことがなく、あったとしても半期に一度ぐらいでした。

岩  本

どれぐらい業務負荷がかかっているか、というのは人によります。人によっては遅くまで残る人もいるし、仕事の山谷に応じて、メリハリをつけている人もいる。結局、自分でコントロールしながら、負荷バランスを図るべきだと思います。スケジュールを立てるにしても、サイバーエージェントでは上司と話し合いながら、自分で納得して決めることができる。もちろん一度決めたからには、切羽詰まったら腹をくくる覚悟は必要です。だからこそ、悲愴感はありません。

長谷部

スケジュールも上司から「いついつまでにやって下さい」ではなく、「いついつまでであればできますか?」と聞かれることのほうが多いです。

田  中

たとえ業務時間が長かったとしても、納得感をもって仕事ができるので、あまりストレスはたまりません。B to Bの仕事であれば、お客様都合で帰れない、お客様への印象が悪いから残れと言われることもある。これでは、エンジニアとしての納得感は持てないですが。今は何をするにしても納得感があります。

──エンジニアのテクニックや新しい知見を外に発表する機会も用意されていますよね。公式エンジニアブログ「Principia」もその一つ。

渡  邉

もともとエンジニアブログを始めたのは、「エンジニアとしての市場価値」を意識するため。イニシャルの人もいるけれど、実名で書いてもいい。サイバーエージェントにはこんな技術者がいるということを、世間にわかってもらうことはいいことです。

壁を作らない、技術を究めたい人。主体性と課題解決能力──エンジニアに求めるもの

──開発現場からのエンジニア採用ニーズを伺います。これから、どんな人に来てほしいですか。

渡  邉

まずは「壁を作らない人」。「僕はアプリケーション・エンジニアだからサーバはやらない」、というのでは困ります。コミュニケーション的には「角を立てない人」。しっかりとした技術のベースを持ちながら、あまりとがらずに、チームの和を活かせる人。その人がいるから、みんながうまく回っているという人物が理想です。サービスを作るにはチーム力が非常に重要となるので。

前  田

サイバーエージェントでは必要のない会議や、ドキュメントを書く作業はほとんどありません。つまり、エンジニアが技術に集中できる環境がある。どんな技術を選ぶかという決定権もエンジニアにある。エンジニアとして自分の力を究めたいと思う人にはいい職場だと思います。私自身、この3年で急速に成長したと実感しています。逆に言うと、安定志向の人は向いていないかもしれません。「これを納品したら、仕事終わりです」、という会社ではありません。

岩  本

技術力が高いことは前提として考えています。Web技術の基本とWeb系サービスの経験があると強いと思います。言語は何でも大丈夫ですが、フレームワークの選定からコードの実装、そしてそのサービスのリリース・運用までトータルに関わったことのある人ならベストです。 また、私たちのサービスは企画担当やプロデューサーと話しながら進めていくので、ここでコミュニケーションできない人は難しいと思います。新しい技術導入を提案できない人も難しい。言われたまま作ってみました、だけでは意味がありません。主体性と課題解決能力が大きなポイントだと思います。

田  中

タイプ的には新しもの好きの人は向いているのではないでしょうか。新しいことにチャレンジすることを楽しめないと苦痛になると思います。自分にはこれしかできないと限定するよりも、これ面白そうだからやってみようというタイプの方がいいです。

前  田

「新しいものに取り組まないのは悪」というのが、サイバーエージェントのエンジニア集団に共通している意識だと思います。

社会的にインパクトのある技術とサービスを生み出したい

──みなさん自身は、いま何か新しい技術に取り組んでいますか。

田  中

「ピグライフ」という新しいサービスを担当していますが、ここにはNode.jsなど、新しい技術を導入しています。

渡  邉

もともとサイバーエージェントは、Javaのプログラマがほとんどでした。でも、他の言語やアーキテクチャも取り込んだほうがいいと、名村(名村卓・技術部門 執行役員 主席エンジニア)が提唱して、社内勉強会が始まり、徐々にサービスにも導入されていきました。最初はPython、それがRubyに流れ、最近は分散データベースMongoDBを使おうという流れがあります。MongoDBはJavaScriptと相性がいいので、それならNode.js などサーバーサイドの技術を活用しようということになり、「ピグライフ」には入れ込んでいます。Node.js とMongoDBとWebソケットで実装したサービスは、世界的にも初めてのはずです。

前  田

個人的には趣味で、エディタのプラグインや、Rubyのライブラリなどを、書いています。休日に自宅で。それをオープンソース系のエンジニアのサイトにアップし、海外の人が使用して、いい反応をくれる。その反応が嬉しいです。そうやって腕を磨き、いずれは会社の仕事にも導入してみたいです。

岩  本

言語系は、一通り流行のものには手をつけてみます。業務ですぐに使えるものではないですが、業務にも使えそうだと思ったら、まずは自分で書いてみて事例をつくり、それをベースに他のエンジニアを巻き込みます。そういった動きは社内では日常茶飯事です。

──最後にそれぞれのこれからの抱負を、ぜひ。

田  中

7月から「ピグライフ」の開発をしています。いずれは「アメーバピグ」をも凌ぐサービスに育てたいと思います。まずは社内のライバルを抜くことが目標です。

岩  本

他のモバイルゲーム、SNSの会社がいくつかあります。常にそのトップ集団の中に入っていたい。国内市場だけではなく、もちろんグローバルでも勝負をしたいです。

前  田

私自身は、ハードウェアよりもオートメーション技術に興味があります。だからサーバの設定など、これまでの手作業の部分を、完全自動化する事例を社内に構築したい。自分らの今の仕事を奪ってしまうことになるかもしれませんが、そのときは余った時間を他の開発に振り向ければいいだけの話ですから。

長谷部

みんなのように具体的ではありませんが、エンジニアとして深みを出したいと思います。いまはまだ自分の技術は広く浅い。この技術のことなら、こいつに聞けばすべてわかる、というような専門性を持ちたいと思います。

渡  邉

2年前に「アメーバピグ」の開発を始めたときは、ここまで大きなサービスになるとは思いませんでした。今では会社の株価に影響するようなインパクトのある技術とサービスです。今後もインパクトのある仕事をしつづけたいと思います。

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