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3年目までは味が薄い、同じ仕事に7年どっぷりは塩辛すぎ? 食べごろを逃さない!“エンジニア塩漬け度”チェック
似たような仕事ばかりを任され、自らの成長を実感できない。キャリアが停滞していて、将来に希望が持てない。そんな悩みを抱えた「塩漬け君」が、エンジニアの間に大量発生している。あなたも知らないうちに塩漬けになっていないか、振り返ってみては?
(文/白谷輝英 総研スタッフ/根村かやの イラスト/野村タケオ)作成日:07.09.18
Part1 「同じ仕事を7年以上」は塩漬けの危険信号
 最近、「仕事がマンネリでつまらない」「同じ規模、同じ領域のプロジェクトばかりを担当させられている」と感じたことはないだろうか? そんな人は、「キャリアの塩漬け」状態に陥っている危険性がある。
 エンジニアという仕事の醍醐味は、新しい知識を学び、新しい仕組みを生み出して人々の暮らしや顧客の仕事を便利にできるところにある。ところが、同じ職場でまるで代わり映えのしない仕事を担当し続け、みずみずしさを失っているエンジニアは、意外に多いものだ。そのまま放置しておくと、やがて塩漬けから古漬けになり、異臭を放つようになってしまうかも?
 では早速、下のチェックシートであなたの「塩漬け度」を確認してみよう。
「キャリア塩漬け」あなたは大丈夫?
野田稔氏
多摩大学 経営情報学部・
大学院経営情報学研究科教授
リクルートフェロー
野田稔氏

1981年、野村総合研究所に入社。経営コンサルティング一部長などを務める。2001年に退職し、現職に。研究テーマは経営組織論、競争戦略論。数多くのテレビ番組でコメンテーターを務めるなど、幅広い分野で活躍中。『組織論再入門―戦略実現に向けた人と組織のデザイン』(ダイヤモンド社)、『BBTビジネスセレクト5 燃え立つ組織』(ゴマブックス)など著書多数。
 エンジニアの世界では、新しい技術が次々に登場する。また、業界を取り巻く状況が、短期間でガラリと変わってしまうことも珍しくない。常に勉強することを求められるので、つらいと言えばつらい世界。しかし、新しい分野にチャレンジしたり、より大きなプロジェクトを任されたりすることは、エンジニアにとって大きな刺激になる。だからこそ、仕事を通じて成長している実感を得ることができるのだ。

 しかし、社会人歴が10年前後となったエンジニアの中には、同じポジションで、何年も似たような仕事を任せられ、「このままでいいのかなあ?」と漠然と不安を感じている人が少なくない。まるで「塩漬け」のように、同じ場所でずっと動かず、そのまま放置されているのだ。
 スキルが伸びないため、エンジニアとしての価値は頭打ち。また、専門性を深めること自体はいいとしても、その分野以外にはまったく対応できない、悪い意味での「専門バカ」になっては困る。そうなれば、担当している領域そのものが先細りになったり、企業がその分野から撤退したりした場合、突然仕事を失ってしまう危険性もある。

 特に危ないのが、同じ領域で同じレベルの仕事を7年以上続けている人だと、多摩大学の野田稔教授は語る。
「仕事を始めて最初の半年から1年は、助走期間のようなもの。仕事の能力はさほど伸びません。急激に成長するのは、そこから3年目くらいまでの期間なんです。その後は成長速度が緩やかになり、7年を過ぎると成長は止まると言われています。仮に、全く同じ仕事を7年以上続けているのであれば、職業人として成長するのは難しいですね。これを、われわれは『キャリアの塩漬け』と定義しています」

 チェックシートの診断結果が「食べごろ君」だった人は一安心。現在の職場で、成長する余地がまだまだある。しかし、「ちょっぴり塩漬け君」「塩漬け君」「古漬け君」と診断された人は、マンネリ感や伸び悩み感を抱いているはず。特に、「塩漬け」「古漬け」レベルの人は、早急に対策を練ることが必要だ。
7割が塩漬け予備軍。既に「どっぷり塩漬け」のエンジニアも?
 では、現実の職場では、どの程度のエンジニアが塩漬け状態になっているのか。30歳から43歳までのエンジニア200人に対して、アンケートを実施した。
Q1:現在、仕事を通じて成長している実感が持てていますか?Q2:「ここ数年、同じような仕事ばかりしている」と感じたことはありますか?
Q3:同じような仕事をしていることに対して、どのように感じますか?
システムの内容は異なるものの、作業工程的には似通っているため、スキルアップしているとは思えない。これから先のことを考えると不安になる。(31歳/システム開発[Web・オープン系])

同じシステムのGUI系の機能改善ばかりやっている。同じような内容で楽ではあるが、これ以外の仕事を担当するスキルがないのではと不安に感じる。(30歳/システム開発[汎用機系])

電話応対をして、お客様をサポートしていく業務そのものから離れられない。(34歳/運用・保守)

どの顧客であっても、同じサーバーのインフラ構築ばかりで代わり映えがしない。ミッションクリティカル系なので重宝はされるが、特殊性が高い仕事で、つぶしが利かないという不安が常に付きまとう。(34歳/運用・保守)

経営面で勉強しなければならないことが多く、技術面の成長がおろそかになっている。新たな技術を習得する余裕がなく、システム提案をする際も新技術に対して消極的になっている。(35歳/システム開発[Web・オープン系])

顧客が基本的に同じ。同じ仕様で同じような工程。やる気がなくなる。(39歳/システム開発[Web・オープン系])

ユーザーサポートばかりに時間がとられる。各部署の係を教育しても、メンバーは毎年変わるので、またやり直しになる。(40歳/社内情報システム、MIS)
 ご覧のとおり、多くのエンジニアが仕事に対してマンネリ感を覚えているという結果が出た。そして、将来に対する漠然とした不安や、スキルアップできないことへのいらだちを感じている人がたくさんいることもわかった。

「人は、仕事を通じて成長し続けることができるし、そうあるべきだと私は思っています。特にエンジニアは、時代の半歩先を歩いてこそ価値がある存在。常にスキルを磨き、伸びていかなければいけません。
 ところが、仕事を通じて成長していると感じているエンジニアは、たったの11.5%。『多少実感はある』を含めても半分。これは本当に困ったことだと思いますね。また、Q2で『ものすごく感じる』『多少感じたことがある』と答えた7割の人は、塩漬け、または塩漬け予備軍だと言えるのではないでしょうか」(野田教授)
Part2 自己診断のポイントは「成長実感」
学ぶべきことがたくさんあるうちは「塩漬け」ではない
 塩漬け状態になると、人材としての価値は下がる一方。時間がたてばたつほど、転職などで環境を変えることも難しくなってしまう。だから、早い段階で塩漬けかどうか自己診断することが大切だ。

「見極めのカギは、自らが成長していると実感できるかどうかです。仮に同じ職種、同じレベルの仕事を長く担当していても、手掛けるシステムや商品が変わり、学ぶべきことがたくさんあれば、その人は塩漬けではないと思います。
 また、成長しているという実感があっても、実は見せかけだけにすぎないこともあるので要注意。技術進歩の速い分野では、例えどんなに懸命に勉強し、成長したつもりでも、ライバルや世間がさらに先に進んでいたら、エンジニアとしての価値は相対的に下がっているわけです。ですから、同世代の技術者に比べて自分がどの程度最先端の技術に追いついているのか、冷静に検証することが大切ですね」(野田教授)
 そのため、チェックシートの診断結果では、「成長実感」に関する回答の比重を高くしている。
3年目までは「生のキュウリ」から「おいしい漬物」になる時期
 アンケートの回答の中には、「毎年同じ仕事の繰り返し。ときどきうつっぽくなるときがあるが、楽といえば楽である」(34歳/システム開発[Web・オープン系])という意見もあった。塩漬けであることに不安・不満はあるが、仕事は楽だからそれでいいというスタンスだ。しかし、こうした考え方は危険だと野田教授。

「確かに、年がら年中キャリアアップのことばかり考えているエンジニアは、ちょっとヘンですね(笑)。普段はキャリアアップなんて意識せず、そのときの環境に流されてもかまわないと思うんですよ。特に新しい職場に移って最初の3年間は、放っておいても急成長できる時期。積極的に流されればいい。そこで焦ってあまりに短期間で退職してしまうと、成長しないまま終わってしまう。いわば、浅漬けにもならない状態。それじゃ、ただのキュウリですよ(笑)。
 でも、同じ仕事を担当するようになって3年以上が過ぎ、『オレ、成長している気がしないけど、これでいいのかなあ?』なんて考えるようになったら危険信号です。ぬるま湯っていうのは、気持ちいいじゃないですか。でも、いつまでも出ないでいると、どんどん体がふやける。そして気がついたときには、もう動けない状況になっているんです。
 もちろん、塩漬けが絶対に悪いわけじゃない。例えば、現在の職場が居心地良くて、しかもこの仕事は20年、30年後も先細らないという確信があれば、ぬるま湯に一生つかり続けるという選択肢もあっていいでしょう。でも、その領域ごとなくなってしまうという危険性は、どんな業界にもあるんですよ」(野田教授)
「食べごろを過ぎそうだ」と感じたら
 では、自分が塩漬けになりそうだと感じたら、あるいは既に塩漬けだと気づいたら、どうすればいいのだろうか? 野田教授は、自らの「成長マップ」を描くことを勧めている。
「これまでにどんな仕事をして、何を学んだか。次の3年、あるいは5年間で、いったい何を学ぶのか。そして、最終的にはどんなエンジニアになりたいのか、青写真を作ってみるんです。そうすれば、転職などで環境を変える際に、ポジティブな気持ちで臨めるはず。
 また、転職するなら、待遇など目先の利益にとらわれるのは、絶対にダメですね。ほら、『結婚前には両目を大きく開いて見よ。 結婚してからは片目を閉じよ』って言うじゃないですか。あれと同じ。きちんと情報を集め、面接に行き、自らが成長できる職場かきちんと見極めましょう。そして、いったん入社したら、3年間は流されてみるんです」(野田教授)

 また、「成長マップ」の中に、いずれはマネジャーになることも盛り込んでおくほうがいい。現場のプレーヤーとしての限界は、どんなエンジニアにもやってくる。
「多くのエンジニアはマネジメントが苦手なもの。苦手だからこそ、いつごろマネジメントの仕事をしなければいけないか、そして、それに間に合わせるためにはいつごろから準備をすべきか考えてみましょう。例えば、学生時代に生徒会長をやっていた人は、マネジャーになってもすぐに対応できます。でも、昔から引っ込み思案だったという人は、早めに自分を変えていかないと間に合いません。
 マネジメントは『経験の科学』。何らかの形で、皆のまとめ役を予行演習しておくと効果的です。例えば仕事以外で、宴会の幹事に立候補したり、地域のボランティア活動のリーダーを買って出たりするのもいいかもしれませんね」(野田教授)

 成長している実感がもてない場合は、自分が「塩漬け」になっていないか疑う。そして、塩漬けになっていると確信したら、勇気をもって新しい環境に飛び出す。それが、停滞感に悩まされているエンジニアに対する、野田教授からのアドバイスだ。
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根村かやの(総研スタッフ)からのメッセージ 根村かやの(総研スタッフ)からのメッセージ
一生涯とは言わないまでも、30年とか40年とか働いていくことを考えれば、「キャリア塩漬けの危機」にどう対処していくかは、職種を問わずあらゆる職業人に共通する問題です。でもエンジニアという仕事に特徴的なのは、「(新しい)技術」が、目的として課せられていると同時に、成長する手段として組み込まれていることでしょう。エンジニアなら成長せねばならないという厳しさの一方で、エンジニアなら成長できるという幸せ。素敵な仕事だと、改めて思います。

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