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エンジニア給与WAVE! Vol.60 年収一挙公開!大手VSベンチャー どっちが給料多い!?
「大企業は高給与、中小はそれを超えられず、ベンチャーは不安定」──企業規模による給与・年収の格差については、こうした図式が描かれることが多かった。その構造はいまも変わっていないのか。それぞれに勤務する1096人のエンジニアを対象に行った年収調査。企業規模別・職種別・年代別の違いがいま明らかになる。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/宮みゆき イラスト/kucci(クッチー) 撮影/加納拓也)作成日:06.10.04
大手→ベンチャー→中小の順に年収は下がる?
 企業規模による給与格差とは果たしてどのくらいあるものなのか? Tech総研による今回の調査は、20代後半〜30代後半のソフトウェア、ハードウェア計20職種のエンジニア1047人を対象に行ったもの。今回は、企業規模別の差をクリアにするために、国内資本の企業に勤務する人だけを抽出した。
※回答者数の内訳は、国内大手(784人)国内ベンチャー(141人)国内中小(1022人)

 尚、今回の調査でいう「ベンチャー」「中小」「大手」の企業規模分類については、調査対象者の自己申告に基づくもので、必ずしも厳密な定義によるものではないことをお断りしておく。一般常識に照らせば、ベンチャー企業は設立から5年程度で小規模だが成長性の高い企業、中小企業は従業員数300人前後、大企業は1000人以上というのが一応の目安になろう。厚労省などの公的機関や給与調査会社による労働経済学的な調査に比べれば厳密さは欠くというものの、調査対象をエンジニアに限定し、かつエンジニアの“実感値”を拾い上げているという点では貴重なデータといえる。

 さて、職種を問わず全職種平均の数値で、年代だけに注目して企業の資本構成・規模別の比較をしてみると、「20代後半」では年収の多い順に、(1)国内大手(522万円)→(2)国内ベンチャー(513万円)→(3)国内中小(483万円)という順位になる。「30代前半」でも(1)大手(594万円)→(2)ベンチャー(527万円)→(3)中小(520万円)と順位は変わらないものの、中小がベンチャーに肉迫するようになる。

  「30代後半」になるとどうだろうか。(1)大手(687万円)→(2)ベンチャー(627万円)→(3)中小(581万円)と、ここでも順位に変動はないが、各グループの格差は再び開くようになる。全体としては、大手→ベンチャー→中小の順に年収が下がり、その差は年代が上がるにつれて大きくなるという構造だ。
DATA 1 年代が上がると、企業規模による給与格差も大きくなる? 単位(万円)
20代後半(25〜29歳) 30代前半(30〜34歳) 30代後半(35〜39歳)
職種 国内
大手
国内
ベンチャー
国内
中小
国内
大手
国内
ベンチャー
国内
中小
国内
大手
国内
ベンチャー
国内
中小
ソフト・
ネットワーク
関連
コンサルタント、アナリスト、
プリセールス
880 900 573 622 675 606 789 726 671
システム開発
(Web・オープン系)
529 483 475 570 513 526 705 624 565
システム開発 (マイコン・ファームウェア・制御系) 497 477 445 646 480 529 617 642 554
システム開発
(汎用機系)
574 560 502 659 520 545 616 - 575
ネットワーク設計・構築 (LAN・Web系) 513 415 595 556 650 539 630 600 588
パッケージソフト・
ミドルウェア開発
490 - 496 588 519 514 625 588 621
運用、監視、テクニカルサポート、保守 542 - 475 578 - 490 728 558 631
研究、特許、テクニカルマーケティング、品質管理 563 675 765 545 - 559 714 - 653
社内情報システム、
MIS
608 490 453 573 465 553 780 790 585
通信インフラ設計・構築 (キャリア・ISP系) 500 500 550 569 1260 504 704 727 615
ハード
関連

サービスエンジニア
436 500 449 544 510 496 632 530 557
セールスエンジニア、
FAE
458 - 500 793 - 513 636 - 557
回路・
システム設計
485 450 488 618 499 548 669 795 563
機械・機構設計、
金型設計
483 - 476 574 461 491 691 550 576
研究、特許、テクニカルマーケティングほか 482 - 490 607 - 583 734 583 676

光学技術
- - 410 563 - 425 820 480 616

制御設計
400 - 460 592 490 494 761 550 540
生産技術、
プロセス開発
480 - 479 574 500 487 666 540 564

半導体設計
518 - - 663 - 488 716 800 562
品質管理、製品評価、
品質保証、 生産管理
514 - 427 572 - 486 659 - 573
※ブランクの部分は回答者なし
30代後半で広がる年収格差
 こうした事情をよりわかりやすく見るために、年代別・職種別に年収を比較したのがDATA1だ。例えば「システム開発(Web・オープン系)」の職種では、20代後半では大手の年収を100としたときベンチャーは91、中小が90とまだ格差は小さい。30代前半になると100:90:92 で、大手:中小の格差は 一見縮まったようにも見えるが、30代後半になると100:89:80 と再び広がる。同じシステム開発エンジニアでも、20代後半では中小企業勤めは大手企業の90%程度の年収を得ているのに、30代後半になると80%程度になってしまうということだ。

 ハードウェア系の職種も見てみよう。たとえば「回路・システム設計」のエンジニアの場合、大手:ベンチャー:中小の比は、20代後半で 100:93:100 とほぼ均衡していたものが、30代前半では 100:81:89 とややばらけ、30代後半では 100:119:84 となる。ここでは30代後半でベンチャーが大手をしのぐという結果になっているが、大手:中小の比較では年代が上がると格差も広がるという傾向を示している。

 一つ注目すべきなのは、20代後半では大手と中小の差が小さい、というより、職種によっては、中小が大手を上回るという“逆転”現象が起きているということだ。「ネットワーク設計・構築」では大手が513万円であるのに対し、中小が595万円と80万円の差をつけている。「制御設計」でも400万円に対して460万円と中小が大手を上回っている。20代の給与は新卒初任給のベースに影響を受けるため、大手に負けじと新卒採用において、中小企業が初任給をベースアップさせていることが、こうした数字の背景に見えているのかもしれない。

 ただし、この逆転現象は、年代が上がるにつれて消滅する。
 これらの例からとりあえず推測できることは、(1)20代の若手層にも企業規模による年収格差は厳然と存在するが、まださほど大きくない。しかし、(2)30代後半になると格差はいっそう広がる。また(3)ベンチャー企業は職種や年代によってときには大手企業をしのぐこともあるが、ばらつきが大きく、必ずしも一般的傾向とはいえない──の3点だろう。
超えられそうで超えられない「100万円の壁」
 給与データを見るときに重要なのは、給与の絶対額もさることながら、それに対する個人の満足度である。仕事内容に比べて、自分の給与が高いか低いかという“感覚”だ。それによって、仕事に向き合う姿勢も変わってくる。

 満足度の分布状況を見たのがDATA2だ。全体的には現在の給与がいまの仕事に「見合っている」という層と、「100万円程度安い」という層の分布が厚くなっている。「見合っている」という“満足層”は全体の3割から4割に達するが、むろん「安い」と感じている“不満層”のほうが圧倒的に多い。で、どのぐらい安いの?と問うと、ざっくり「100万円」という数字に集中するということだろう。

 これを企業規模別に詳しくみると、大手企業では「見合っている」と答える人の層が39%と最も多くなっている。仕事内容に比べて給与が「高い」という人も6%存在し、約半数が満足層だ。これに対し、ベンチャー、中小企業では不満層の割合が高くなる。ベンチャー・中小では「見合っている」「高い」という満足層は3割前後で、それ以外は全員が不満層。最も集中しているのは「100万円程度安い」という層だ。その割合はベンチャーで32%、中小で42%となる。

 100万円という金額は月給にならせば約8万円。もちろん残業代が増えたり、ボーナスが奮発されれば、あるいはこっそり副業をこなせば、カバーされる額ではあるものの、そうはうまくいかないから不満になっている。超えられそうで超えられない「100万円の壁」。これが仕事へのモチベーションに影響し、場合によっては転職の動機づけになるということは、容易に想像できることである。この層が、不満をかこちながら企業の中でくすぶり続けるのか、より高い給与を求めて転職 活動に進むのかは、なかなか興味深いところだ。

 ちなみに大手企業の満足と中小の不満という差は、おそらく給与だけではなく、福利厚生や教育研修制度の充実度、会社のネームバリューなど非給与的要素による心理的満足度の差も加味されていると思われる。

「200万円程度安い」と感じる層が、いずれの企業規模でも12〜15%は存在することにも注目したい。自分の能力と業績に自信をもっていて(時には過信があるかもしれないが)、並の企業の給与水準や待遇では満足しないという、永遠の不満層である。
DATA 2 仕事内容に比べて給与は高い?低い?
仕事内容に比べて給与は高い?低い?
給与上昇への期待感が高いベンチャー企業
 たとえ「安い」と感じる給与でも、世の中に好況感が漂い、会社の業績も上向きで、自分のスキルが日々身についているという実感があり、さらに自分の業績を正しく評価するシステムが社内にあれば、気持ちも救われる。つまり、将来の展望はどうかということだ。

「今後、給料は上がると思うか」という問いへの答えがDATA3だ。ここでひときわ目を惹くのは、ベンチャー企業に勤める20代後半から30代前半の人たちが、「給与が上がる」ことにきわめて高い期待感をもっていることだ。ベンチャーの20代後半層では実に71%が、「上がる」と答えている。30代後半に至っても、半数以上が上昇期待だ。まさにこの将来への期待感を醸成する雰囲気こそが、ベンチャー企業のベンチャーたるゆえんなのだろう。

 それに比べて、大手、中小企業では「変わらない」とする層が増えている。「変わらない」「下がる」という回答の分布状況は、大手、中小とも奇妙なまでに符合している。
 将来の給与上昇をあまり期待できない背景には、成果主義が浸透しつつあるとはいえ、実質的には年功序列などの旧来システムを打破できない既存企業の閉塞感があるのかもしれない。年代が上がるにつれて期待感が先細りになるのも、つまりだんだん「先が見えてくる」からなのだろうか。給与の数字の裏側には、サラリーマン・エンジニアの、悲喜こもごもの人生ドラマが見え隠れしている。
DATA 3 今後給料は上がると思う?
国内大手国内ベンチャー国内中小
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  宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ  
宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ
働くとしたらどっちがいいのかと、何かと話題になる大手企業とベンチャー企業の比較。やりがいや、仕事の内容もそうですが、やはり気になるのは、みんな実際にいくらもらってるの?ということではないでしょうか。ここで紹介した調査データですべての答えが出るとは思いませんが、判断基準のひとつとして、参考にしていただけるとうれしいです。

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