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厳選★転職の穴場業界 第13回 次世代フラットパネルディスプレイ 美しさ極まる!次世代FPDに注がれる熱い視線
デジタル放送の本格化やBlu-Ray、HD-DVDなど次世代高精細メディアの登場で注目を浴びる次世代FPD。今年の国際フラットパネルディスプレイ展でも、世界中のメーカーがこぞって先端技術を披露していた。映像のギザつきがまったくないフルHDのFPDなど、出展された数々のテクノロジーを紹介する。
(取材・文/伊藤憲二 総研スタッフ/高橋マサシ)作成日:06.06.14
業界動向:13兆円の巨大市場を巡って激化するFPD研究開発競争
 地上波を含むデジタルハイビジョン放送の本格化やワールドカップサッカーをはじめとするスポーツイベントの盛り上がりを受け、フラットパネルディスプレイ(FPD)市場が大いに活気づいている。景気回復の追い風もあり、FPDメーカーは軒並みフル操業で増産し、需要に応じている。

 2005年のFPDの市場規模は、ワールドワイドで約8兆円。米ディスプレイリサーチ社の予測では、2009年には約13兆円にまで拡大する見通しだという。
最大の消費国でデジタルハイビジョン放送が普及しているアメリカではプラズマ、液晶、リアプロジェクターとも大型モデルを中心に、販売はきわめて好調。個人消費の回復が遅れていた日本でも、比較的安価な商品が出てきたことで販売が急増中だ。
 また、ここにきてフルハイビジョンなどのハイエンドモデルの売れ行きも伸びている。今後は欧州やアジアでも需要が高まるとみられており、販売は当分上昇カーブを描くと思われる。

 価格競争も徐々に激しくなっているとはいえ、販売単価の高いFPDはメーカーにとっても大きな利益を見込める魅力的な商品だ。販売競争を勝ち抜くため、各社とも次世代FPDの技術開発や、現有技術を使ったFPDのさらなる高性能化(ハイコントラスト化、応答速度向上、省電力化など)のための製品開発などに力を入れている。
 また、ワンセグ(携帯端末向け放送)用の小型高品位ディスプレイ、CADや医療機器向けの超高精細ディスプレイなどの開発も進む。開発現場では人手不足が続いており、エンジニアの人材ニーズは、かつてないほどに高まっている。
注目企業:世界中の次世代FPD技術が結集したDisplay2006潜入ルポ
 FPD関連テクノロジーの祭典、第2回国際フラットパネルディスプレイ展(Display2006)が4月19日から3日間、東京・晴海の国際展示場で行われた。会場には日本はもちろん、FPD生産を急速に伸ばしているアジア、大マーケットである欧米などから多数の関係者が訪れ、会場は熱気に包まれていた。
■松下電器産業
  103インチフルHDプラズマディスプレイ
■ビクターJVC
  フルHDプロジェクションテレビ
 縦1277mm×横2270mmという、商用ミニシアターにも使えそうな超ど級プラズマディスプレイ。会場でも注目度はナンバーワンだった。1080pのフルHDに加え、プラズマ発光素子のクリアランスを限界まで詰めたレイアウトによって、この巨大画面にもかかわらず、映像のギザつきはほとんどなく、細い髪の毛まで映し出すくらいの描画性能をデモンストレーション。単なるデモ機ではなく、今年度中の発売を表明している。  ビクターJVCは最新の70インチモデルをはじめとするフルHDプロジェクションテレビを中心に出品した。リアプロジェクターテレビというと廉価版というイメージがあるが、1080pのフルHDともなると、画像の美しさはハイエンドモデルとして十分通用するレベルだ。液晶部はリアプロとしては異例の透過率90%以上をマーク。映像を映し出すD-IRA素子は、ハリウッドの次世代デジタル映画規格である2K・4K対応モデルもラインナップ。
地上波デジタル化をひかえてトレンドは早くもフルHDモデルへ

 来場者の目を引いていたのは、何と言ってもエンドユーザー向け高精細FPDの新製品群。デジタル放送の本格化、Blu-RayやHD-DVDなどの高密度光ディスクの登場に伴い、従来の高精細(HD)よりさらに細かい描写を行うことができるフルHDに対応する製品や、プロトタイプがそろい踏みとなった。
 松下電器産業は世界最大となる103インチのフルHD対応プラズマディスプレイ(PDP)を出展。解像度は1920×1080ドットのフルHD(1080p)で、コントラスト3000:1、2048階調の描画能力をもつ。巨大な画面ながら、ギザつきをほとんど感じさせない高画質が印象的だった。「プラズマの省電力化のため、発光素子の改良や効率的に画像を出す技術を開発していく」(同社関係者)という。
 また会場では、松下とパイオニアが50インチフルHD市販モデルを出展。富士通日立プラズマディスプレイは42インチのフルHDモジュールを展示。技術力を競っていた。

 液晶FPDではソニーが出展していた82インチモデルが注目を浴びた。カラーをより鮮やかに表示させるxvYCC規格対応、新しい色温度のバックライトなどの最新テクノロジーを投入し、室内の光環境などに左右されず高品位な映像を表示することが可能だという。液晶トップのシャープは65インチ液晶FPDを使った3D CADやプレゼンテーション、広告表示などのビジネスソリューションを提案していた。
 PDPは省電力化、液晶は高輝度化、応答速度の高速化と、それぞれデメリットを打ち消し合う形で進化を続けているようだ。その一方で技術的に飛躍的な進歩をみせたのは、廉価版FPDというイメージの強かったリアプロジェクター液晶FPDだ。
 ビクターJVCの70インチフルHDリアプロは、安いが画質もそこそこという従来のリアプロのイメージを打破する高輝度&高精細のデモンストレーションを見せた。また、視野角もかなり改善されている。61インチで50万円強という実売価格は競争力が非常に高く、アメリカでは完全に市民権を得ているが、アジア、ひいては日本での販売拡大も期待できる仕上がりだ。また同社は、次世代超高精細2K・4K(4×HD、16×HD)対応D-ILA素子も展示していた。
■東芝松下ディスプレイテクノロジー
  携帯電話用2.4インチVGA LCD
■NEC液晶テクノロジー
  マンモグラフィ用液晶ディスプレイ
 東芝松下ディスプレイテクノロジーのブースで注目されていた2.4インチ超小型VGA液晶。332ppiの解像度をもち、情報量は既存の携帯電話に使われているQVGAの4倍。もちろんQVGA入力にも対応しており、携帯サイトも普通に見ることができる。表示カラーは最大18bit(約26万色)。高精細化により、PCサイトの地図などもきれいに表示でき、インターネット携帯端末に最適だ。まもなく次世代携帯電話に実装される見通しだという。  レントゲン撮影装置のフィルムレス化を実現するのが、NEC液晶テクノロジーの医療機器向け高精細LCDディスプレイだ。超ファインピッチパネルを使用し、2560×2048ドット、5メガピクセル表示を実現している。コントラスト比(CR)=10、輝度850cd/m2という描画能力で、ほんのわずかな病変も見逃さない仕立てとなっている。同社は各種診断装置のフィルム代替デバイスとして、積極的なセールスを展開する計画だという。
2.4インチのVGAも登場。携帯端末や業務用パネルも超高スペック化

 コンシューマー向けFPDだけでなく、携帯端末やカーナビ向けの小型高精細液晶、医療機器、工業向け液晶なども数多く展示された。東芝松下ディスプレイテクノロジーは、わずか2.4インチサイズでVGA(640×480ドット)表示を可能とするLCDモジュールを参考出品した。QVGAの4倍の情報を表示できることから、「将来的には携帯型インターネット端末や携帯電話の表示をより高度化できる」(同社関係者)とのこと。
 富士電機は青色発光層の光を透過、赤変換、緑変換の3パターンで制御してVGAを構成する、CCM(色変換)有機EL液晶を出展。従来型の有機ELに比べて格段に高い色再現性をデモンストレーションしていた。

 NEC液晶テクノロジーは、医療用超高精細液晶ディスプレイで技術力をアピールした。2560×2048ドットの5メガピクセル表示により、人体のマンモグラフィ画像を現像フィルムと同等のクオリティでリアルタイム表示する。微細な病変部をも見逃さないために与えられたスペックは、視野角170度(水平、垂直)、850cd/m2の超高輝度、CR(コントラスト比)は10以上に達するというもの。「医療用液晶パネルはスペック要求が非常に厳しいですが、その経験は需要が伸びている3.5インチ以下の高精細液晶にも生かすことができるため、手がける意味はきわめて大きい」(同社関係者)。

 新技術の宝庫であったDisplay2006の盛況ぶりは、FPD業界の景況感を象徴していたが、取材したFPDエンジニアは一様に「技術開発競争はむしろこれからが本番」と口をそろえる。実際、会場では新型回路による制御の高度化や微細加工、材料などが話題になることが多く、技術はいまだ進化中であることが印象づけられた。転職を目指すエンジニアにとって、FPD業界が魅力的な分野であることは間違いなさそうだ。
穴場求人:求められる電気・化学系のスキル。未経験でも可能性あり
 コンシューマー向けを中心に需要が急増している関係で、FPD業界ではエンジニアの不足感が強まっており、採用も活発に行われている。リクナビNEXTでは「FPD」「PDP」「液晶」「有機EL」「プラズマディスプレイ」などをキーワードに検索すれば、大量の求人情報にヒットする。企業によって得意とするFPDの種類が異なるため、自分の希望と照らし合わせてじっくりと選択したい。

 求められるスキルはさまざま。最終製品、モジュール開発ではまず電気・電子分野がメインだ。具体的にはアナログ・デジタル回路設計や半導体プロセスなど、実装系のスキルが主となる。画面の美しさ、液晶の応答速度、省電力化、ノイズ除去などの改良の多くは、制御回路の性能向上によるところが大きく、回路設計はまさにコアテクノロジーだ。
 プラズマ発光素子単体やアレイ技術、液晶のRGB透過機構開発では、MEMSなど微細加工の経験を大いに生かせる。ほか、地上波デジタル対応のためのデジタルチューナー開発要員が不足している企業が多く、無線、デジタル信号処理などの経験があると転職に有利だ。
 材料系では画像表示部の光学機能材料開発が主となる。特に材料開発がさかんなのは有機ELを含む液晶パネル向けで、光に色をつけるフィルムやコーティング剤などケミカル分野が主。最近ではポリシリコンの薄膜の無機化などが進んでおり、有機、無機両方のエンジニアに転職のチャンスがある。

「FPDは極端な話、部品を買ってくればとりあえず映るモノはできる。そこからどう素晴らしい製品を生み出すかは、映像へのこだわりとセンス次第。経験よりもこちらのほうが大事かもしれない」(FPDメーカー関係者)という声もある。実際、未経験でも可という求人も多数見られるため、転職希望者はとりあえず門をたたいてみることだ。
FPD業界のエンジニアニーズ
・ 回路設計技術者はデジタル、アナログとも転職しやすい
・ 本体の制御部のほか、チューナー、電源などのエンジニア需要も
・ 材料開発では有機、無機化学の知識が求められる
・ 家電未経験のエンジニアにも十分に転職のチャンスあり
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 高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ 
高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ
 もう、人、人、人、でした。展示製品を眺めながら歩いていると人にぶつかってしまうほど。そんな中で驚いたのはビクターのリアプロ。最初はスタッフのだれもが何気なく眺めていたのですが、リアプロとわかった途端「すげっ、これリアプロ? 俺買うよ」と目の色が変わる変わる。「これからも面白い展示会を取材しよう!」と決まった瞬間でした。

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