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俺も残業してるし、グチは聞くから、スーツくらい着てくれよ 常駐SEよ聞いてくれ!客先SEは顔で笑って心で泣くのさ
取引先に常駐する「客先常駐SE」特有の悩みやメリットを以前に紹介したところ、大きな反響が寄せられた。今回はそんな常駐SEたちを取りまとめる客先の自社SEを取材し、逆の立場から見た現場の“泣き笑い”を紹介する。
(取材・文/中村伸生 総研スタッフ/宮みゆき イラスト/きたみりゅうじ) 作成日:05.07.20
Part1:どこが違う?常駐SEと客先SEの意識ギャップを徹底比較!
仕事の責任範囲に見る意識の差はほぼ同じ?
同じシステムエンジニアなのに立場が違う常駐SEと客先のSE。その立場で、お互いの認識には大きな隔たりがあるようだ。だが、「仕事の責任範囲」に関する両者の意見を比較してみたところ、驚くほどの近似データが出た。「完全に任せている」あるいは「ある程度は任せていると思う」と答えた人が両者とも過半数を超え、現場での常駐SEの存在感や重要性が伝わってくる。
図1 常駐SE 常駐先で任されている仕事の責任範囲は?図2 客先SE 常駐SEに任せている仕事の責任範囲は?
客先SEの指示に従わざるを得ない。次はいい常駐先にアサインされることに期待する
ある程度の仕事の自由度をくれるよう折衝中
完全に任せたほうが混同しない
仕事内容については特に分け隔てはしていない
※客先で常駐SEとして勤務している200人に調査 ※自社で取引先SEを束ねているSE100人に調査
立場の違いが見解の相違を招く
常駐SEが感じる客先での待遇の格差。それに対し、客先のSEたちはどうとらえているのだろうか。
次の4つのポイントから両者の意識や立場の差を浮き彫りにしていこう。
情報共有の制限がある
常駐SE:情報共有を制限されている(48%) VS 客先SE:情報共有を制限している(47%)
常駐SEの本音:客先でのメールやファイルなど、閲覧制限がある 配布物が自分だけもらえない
情報がもらえないことでの
「仕事上で足踏みする不便さ」や「顧客との距離感・疎外感を感じる」ことに不満
情報制限の理由を理解してほしい
情報の完全共有は仕事の効率アップやチームの一体感を招くが、一方で情報の拡散を制限するのは世の流れ。情報の内容により、情報共有の制限が不等か適当か判断したいところ。
客先のSEの本音:個人情報保護法案が施行され、情報を制限することは義務でもある メーリングリストなどで、できるだけ情報共有できるように努めている
給与格差がある
常駐SE:給与格差が大きい(47%) VS 客先SE:給与格差が大きい(53%)
常駐SEの本音:同じ仕事をしているのに、客先との給与・賞与が全然違う 直属の上司が自社にいるので、成果が評価につながりにくい
客先SEよりも給与が少ないことだけでなく、仕事の評価があいまいであることが不満のベースとなっている模様。
給与ばかりはどうしようもできないが・・・・・・
客先SEはできる範囲で、頑張ったSEの待遇アップを応援したいというのが本音。一方で、その査定に関与できないことから、普段は給与の話題には触れないという客先SEも多い。
客先のSEの本音:給与は業務委託先との契約に基づくことなので、口を出すことができない 委託先社内での査定が高くなるように、営業担当者に評価を伝えている
勤務時間が違いすぎる
常駐SE:勤務時間の格差を感じる(40%) VS 客先SE:勤務時間の格差を感じる(36%)
常駐SEの本音:客先のメンバーのほうが早く帰ってしまう 客先はフレックスなのに、朝8時に出勤しなければならない
客先常駐であるがゆえに柔軟な勤務時間を設定できないことが多い。休みを自由に取れる雰囲気ではないし、納期が近づくと客先SEが早く帰るのを横目に残業をしなければならない場合もある。
オレたちのほうが遅くまで残ることだって多い
常駐SEよりも遅く帰るという客先SEも実際には多い。無理な残業させないように配慮しているという意見が目立つ。常駐SEは、立場上、自分の都合で休んだり早退したりしにくいことは理解して労務管理を心がけているという人も少なくない。
客先のSEの本音:深夜対応などは極力自社の社員が行うようにしている 自分たちが先に帰ったり、声をかけることで、帰りやすい雰囲気をつくっている
職場でのコミュニケーションに気疲れする
常駐SE:コミュニケーションストレスあり(40%) VS 客先SE:コミュニケーションストレスあり(26%)
常駐SEの本音:客先の社内行事に参加しにくい 敬語でしか話をしてくれない。もっとストレートに話したい
同じ目標に向かい協力しあってるのに、つい距離を取ってしまう。普段は意識しなくても、社内行事や飲み会に呼ばれなかったときなどに寂しさを感じるようだ。
飲み会を利用して打ち解けるようにする
客先SEも円滑なコミュニケーションが取れるようにいろいろと努力しているといった意見が多い。社内行事は、こちらから声をかけているという意見も多かった。少なくともドライな関係を両者とも望んではいないようである。
客先のSEの本音:敬語はお互い必要な時だけにし、そうでない時は使わない 飲み会やプライベートなコミュニケーションを持つようにしている
Part2:異論、反論、客先SEとしてこれだけは言いたい
 常駐SEとその客先の自社SE。それぞれが訴える不満、ボタンの掛け違いはどうしたら解消されるのか、その改善策について、客先SE側3人のエンジニアに取材した。
CASE1 プログラマならオブジェクト指向ぐらいこなしてほしい
iDC運営会社Aさん(30歳) Aさんの改善策
 常駐SEの方の意見にも耳を傾けるべき点があることは理解できます。でも、客先SEとしても不満は結構あります。こちらはプロが派遣されてきていると思っているため、それだけの成果を期待していますが、それに応えられないレベルの方もときどき見られます。そんなとき、何とか戦力として活躍できるように指導したり、苦労するのは私たち。

 客先である私たちに「オブジェクト指向って何ですか?」という質問をされては困る。現場としては、不満や文句はいくら並べてもいいから、同時に前向きな提案も投げかけてくれるくらいの人材やスキルを期待しています。
●給与
頑張っている常駐SEに対しては待遇向上のために、派遣元にその評価を伝えている
●情報
セキュリティ事情に関しては、説明して理解してもらっている
●コミュニケーション
たまに飲みに行って、仲良くなれるように心がけている
●労働時間
長期休暇を含めて、事前に要望を聞き休暇を割り当てている
●服装
自分たちも自由ではないので、一緒に我慢してもらっている
求めるスキルとのギャップを埋めるのは客先SEの腕の見せどころ
 猫の手も借りたくなるほど忙しい現場は少なくない。ついつい頭数を揃えるだけの契約をしてしまうのは、業務委託元の甘さでもあるはず。しわ寄せを受けてしまうのは現場の客先SEだが、いったん預かったSEを戦力とするのも客先SEの腕の見せどころでもある。
CASE2 メーリングリスト活用で意思疎通がスムーズになった
インターネットサービスプロバイダーBさん(28歳) Bさんの改善策
 私も以前は情報共有の面で苦労しました。必要な情報を確実に伝えなければならない一方、他社との守秘事項やユーザー情報などは、意図的に社員メンバーに留めておかなければなりません。口頭や紙ベースではこの仕分けが難しかったのですが、メーリングリストを活用するようになって一挙に解決できました。情報を確実に共有できるうえ、時間を気にすることもありませんしね。仕事上で必要な情報が伝わらなくて困るのはお互いさまですから。
●給与
常駐SEの上司に活躍ぶりを伝え、間接的に待遇向上を働き掛けている
●情報
メーリングリストに参加してもらい、情報共有の壁をできるだけ取り除いている
●コミュニケーション
社員と同じ名刺を使ってもらい、責任感をもってもらう
●労働時間
帰宅の早い日と遅い日を平準化すると、常駐SEと変らないことを理解してもらう
●服装
特に規定はなく問題は発生していない
ITの活用でコミュニケーションを取るという手も
 ITの最前線で活躍しているのだからITの力を活用しない手はない。Bさんが利用しているのはメーリングリストだが、プロジェクトメンバー全員が共有LANで見ることのできる情報共有サイトを作ったり、掲示板(BBS)を活用している開発現場もあると聞く。これで、「言った、言わない」のトラブルが激減するという二次効果も。
CASE3 仕事に対する最後の責任が重いことを理解してほしい
大手設備・建設会社Cさん(36歳) Cさんの改善策
 客先SEの方が先に帰ってしまうというアンケートのコメントを見て、驚きました。当社ではまったくの反対、私たち社員SEの方が居残りがちだからです。ひとたび障害が起これば、何が何でも何とかしなければならない。社内でその全責任は客先SEにかかってきます。そうしたポジションであることを強く認識しているので、対処し終わるまで最後まで残るなど無理をする立場は自分たちのほう。確かに給与は高いのですが、それだけ責任を背負って長く働いているからだと捉えています。そこは理解してほしいと思います。
●給与
請負元と請負先という会社間の問題なので、あまり立ち入っていない
●情報
業務上で重要な情報を伝達する時は全員を集めて話す
●コミュニケーション
基本的には社員(客先SE)とまったく同じ
●労働時間
社員(客先SE)のほうが、遅くまで残っている
●服装
自社同様、カジュアルで構わないが、請負元がスーツ着用を命じている
客先SE の立場も楽ではないことを理解
 Cさんは、社員SEと常駐SEを同列にマネジメントする立場にある。その際、双方を差別しないように苦心しているが、どうしても無理難題を言えるのは社員のほうらしい。ただし、仕事をきちんとこなし信頼できる常駐SEには頼ることも多いとのこと。ハードルは高いが信頼を勝ち取るのはやはり地道だが仕事で勝ち取るしかない。
Part3:常駐SEも自社SEもプロ意識を持てば、関係がスムーズになる
 7年のキャリアをもつ元システムエンジニアのきたみりゅうじさん。自らの経験を赤裸々につづった『SEのフシギな生態』など、システム開発業界の“泣き笑い”をリアルに書きつづった著書を読んだ方も多いのではないだろうか。そこで、きたみさんご自身の経験に照らし合わせたお話を伺った。
常駐SEは営業マンの顔ももつ
 私は双方、どちらの意見もよくわかります。客先SEも常駐SEも経験しましたから、実際に目にしてきた場面ばかりですね。でも私はあえて常駐SEにキビシク言いたいと思います。「ビジネスはシビアだ!」と。常駐SEは営業マンだと思うんですよ。優秀なSEなら所属会社の信用を背負い、評判をつくり、活躍次第でリピートオーダーを引っ張ってこれるんですから。

  単に開発の歯車として常駐するのならアルバイトと変わりません。エンジニアとしての向上心やプライドがあるはず。「あなたのようなSEがあと何人かいてくれたらどんなに良いか」と思わせましょうよ。そう考えれば、服装はスーツがいちばん自然なのかもしれませんし、給与の格差は気にならないはずです。もっと収入を上げたいなら、自分の会社(業務委託先)内で評判を上げて、その会社になくてはならない存在になり、それから自分の上司と交渉すれば良いのです。
きたみりゅうじさん
ソフトウェア開発会社にて約7年間、企業システムの営業・設計開発、Windows向けパッケージ商品の企画開発などに従事。現在は、フリーのイラストレーターおよびライターとして活躍中。主な著書は、『SEのフシギな職場』『SEのフシギな生態』ほか。
もしSEに戻るなら?
 仕事に責任感をもち、客先との信頼関係を構築できれば、コミュニケーションなども自然と取れるでしょう。上っ面の飲み会なんかよりも、内容の濃い信頼関係が築けますよ。それに、客先SEの立場になって気づいたのですが、常駐SEのほうが楽でした。だって、一人分しか仕事しなくていいのですから。時として、立場上、客先SEは何人分もの仕事や責任を被ることがあるんですよね。私は今でも開発の仕事が好きです。
 もしもSEに戻るなら、常駐SEを選ぶかもしれません。
 
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宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ  
宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ
常駐SEも客先の自社SEもそれぞれの立場、悩み、不満はあるのは当然。表面上うまくいっていてもお互いの立場による遠慮から どうしてもぎくしゃくする面もあるでしょう。でも、そのほどよい緊張感が現場をうまくまわすコツなのだと思います。なあなあになりすぎるのも、距離を空けすぎるのもいい結果は生みませんものね。皆さんの場合はいかがですか?

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