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30代で売れるキャリアとどこが違うのか 何が決め手?企業が求める40代エンジニアの転職条件
エンジニア転職市場では現在、20代〜30代前半の世代に採用ニーズが高いようだ。それではそれ以上の年齢、例えば40代の転職事情はどうなっているのか。30代で求められるスキルとはどこが違うのか。実例を交えて「40代エンジニアの転職条件」を探っていく。
(取材・文/総研スタッフ 高橋マサシ) 作成日:05.04.20
Part1 エンジニアの求人ニーズは業界を総じて若手優位
 景気回復、あるいは団塊世代の大量退職を見据えて、積極的なエンジニア採用を進める企業が増えている。その効果は40代にも広がっているのか、あるいは若手が優位なのか。複数の転職アドバイザーに質問を投げかけた。
ソフト系職種では通信業界の採用年齢が高め
 今回は10人近い転職アドバイザーの方にメール取材を行ったため、全員の話をまとめる形で「企業の求める中途採用エンジニアの年齢」を見ていくことにする。
 まずソフト系職種だが、実務者で20代前半〜20代後半、PLやPMで20代後半〜30代半ばが採用の中心だ。ただ、PMでも望まれているのは27、28歳で、適任者が少ないために30代までシフトさせているという。

 このようなことから、40代の該当者はかなり少ない。別の背景としては、企業が40代に求めるスキルが、進捗、予算、メンバーの指導を含めた包括的なマネジメント職であるのに対して、その要件を満たす人材がなかなか転職市場に出てこないという事情もあるようだ。
 そんな中、比較的年齢を高めに設定しているのが通信業界のネットワーク系職種だ。人気があるのは30歳前後のPL職。PMなら40代での求人もある。2年前と比べて大きな変化だが、業界全体が好調で、大手や中堅で人を育てる余裕が出てきたせいもあるのだろう。特徴的なプロジェクトをまとめた経験など、光る強みがあればチャンスはありそうだ。
全業界的に35才以上の採用は厳しい
求人業界 40代エンジニアの転職事情
ソフトウェア マネジメント経験は必須。特に大口案件での実務経験が採否を分ける。
ネットワーク PMでのチャンスはあるが、特徴的なスキルや経験がほしいところ。
電気・電子 かなり厳しく、40代でのステップアップ転職は難しいのが実情。
機械・メカトロ 新規ビジネスの構築などマネジメント力以外の貢献度が求められる。
化学・材料 基本的に35歳くらいまでの転職者が多い。40代での採用はかなり減る。
ハード系職種は全体的に20代を積極採用
 熟練者であれば、高年齢層までの幅広いニーズがありそうなハード系職種。しかし、採用意識は若手に向いているようだ。電気・電子系と機械系は共に20代半ば〜後半が採用のターゲット。いわゆる第二新卒世代で、経験3年程度が条件だが、よい人材であればそれ以下の経験年数でも積極採用しているという。
 その結果、40代がもつキャリアへの採用ニーズはかなり少ない。あるとすれば新規ビジネスが興せるような部長クラスの人材だが、若手エンジニアに採用がフォーカスしているため、「いい人がいれば採用」というスタンスのようだ。

 化学系職種では35歳くらいまでと応募年齢は比較的高めだが、若い人ほど欲しがられる傾向は変わらない。ただ、もともと自社で人材を育てる風土が強いため、第二新卒よりは新卒採用に積極的な様子。いずれにせよ、40代での求人は少ない。
 このように40代エンジニアの採用ニーズは全般的に厳しく、ハイレベルな人材が求められているのが現状のようだ。

Part2 企業が期待する40代エンジニアのスキルとは何か?
 40代での転職はなるほど狭い門戸のようだが、この年齢で転職しているエンジニアも少なからずいる。彼らはどんなスキルが評価されて入社したのか。人事担当者に尋ねた採用ポイントと併せて2例を紹介する。
41歳で転職:29歳でエンジニアになりITコンサルタントへ
ピアニストから開発者、そしてソリューション業務を経験
 音楽大学大学院修了という、ちょっと変わった経歴をもつ徳田研一氏。元はソロのピアニストだ。そんな彼がエンジニアとして歩き出したのは29歳のとき。
「もともと電気系が好きでアンプを自作したり、LISPでプログラムを書いたりしていたんです。それがきっかけで、ファームウェアやアプリケーションを開発する企業で働くようになりました。当初はピアノも続けていたのですが、いつの間にかエンジニアが本職になりました(笑)」

 現場の開発者としてうでを磨いて6年後、知り合いに誘われてECサイトの開発とソリューションを行うSI企業に転職する。理由は「創業期で楽しそうだったから」。最初の3年はシニアエンジニアとして顧客に提案してシステムをつくり、後半の3年ではECパッケージの開発責任者を務め、ソリューション業務に携わった。そんな中で学んだひとつがデータベース。もうひとつ、強く興味を惹かれたのがJavaだ。
「使ってはいたのですが必ずしもオブジェクト指向ではなく、本格的に取り組みたいと思っていました。そんなときにイーシー・ワンさんからお誘いがあったのです。『あのイーシー・ワンだろ? 思う存分Javaがやれる!』と喜びました」
徳田研一氏(43歳)
株式会社イーシー・ワン
cBankソリューション本部
コンサルタント

徳田研一氏(43歳)
顧客を超えるスキルがないと戦略的に動けない
 徳田氏は2003年に入社。以来、主に企業が基幹系システムをメインフレームからオープン系に移行する際の、ITコンサルタントとして活躍している。顧客はオープン系の経験が浅い場合が多いので、ディスカッションを続けながら開発の標準化を進めていく。
「お客さんの多くはシステムの自社でのハンドリングを希望しています。そのためにオブジェクト指向を学んでいただき、アーキテクチャーのアドバイスも行います。ただ、お客さんと対等以上に議論できるだけの技術力、マネジメント能力、あるいは実務経験がないと、戦略的に動けません。それができるのが40代ではないでしょうか」

 徳田氏の2回の転職は、どちらも先方からのオファーがきっかけとなっている。それはスキルが評価されてのことだが、彼にはひとつの信条がある。
「自分の強みを意識することが大切だと思います。そのためには、『常に自分に対してスジを通す』ことです。そうしたプロジェクトの積み重ねが認められたのでしょう。私は『いい話は外からくる』と思っています」
採用の視点:年齢よりも人材要件にマッチしたスキルを重視
人事総務部部長 鈴木智弘氏
管理本部
人事総務部 部長

鈴木智弘氏
 弊社の基幹系システムのコンサルタントには、Javaの経験を含めた技術力と、その技術力とコミュニケーション能力とでプロジェクトをリードしていくスキルが必要です。これらを兼ね備えた人材は非常に少ないのですが、初めて徳田と話して「かなりできる人だ」と実感しました。ぜひ働いてほしいと思いましたね。
 弊社ではSE、PM、コンサルタントなど職種ごとに年齢の目安は設定していますが、求めるスキルと意欲があれば特に年齢は問いません。弊社では部長職でも40代と若く、フラットな社風。40代にはどんどん仕事を任せます。
43歳で転職:大手電機メーカーのハード開発者がベンチャーへ
技術と離れるのなら異動はしないで退職する
 荻原正行氏は新卒で入社以来、約20年間を大手電機メーカーでハード系エンジニアとして過ごしてきた。普及期からのPCの半導体設計、回路設計に携わり、近年では携帯電話端末の開発も行っていた。30代後半からは管理職にもなり、仕事に不満はなかったという。そんな彼が転職を考えたのは、家庭の事情で週末に時間が必要となったためだ。
「やっぱり忙しいから土日も出社していたのですが、それが無理になった。週末に体が空く部署に変えてもらうことはできましたよ。でも、それは技術の現場から離れるということで、どうしても嫌でした。夜も眠れないほど悩みましたね」

 結局荻原氏は、転職先を決めずに退社を決心する。「何とかなるという漠然とした自信はあった」と語るが、そんな彼に声をかけたのが、個人的につながりのあったモバイルコンピューティングテクノロジーズ(MCTEC)の元会長。ハードの開発部隊を強化できる人材を探していたのだ。
「願ったりかなったりでした。しかも自分で開発もできる。マネジャーになってから実際の開発にあまり参加していなかったので、約5年ぶりの現場復帰。うでが鳴りましたよ」
荻原正行氏(46歳)
株式会社モバイルコンピューティングテクノロジーズ
開発部 部長

荻原正行氏(46歳)
開発現場と若手指導の両方が面白い width=
 2002年に入社した荻原氏は、HDDレコーダーの評価用ボードや、測量用GPS機器へPHS通信機能を組み込むボードなどを開発してきた。写真で手にしているのは、1年がかりで手がけているCPUの評価ボードだ。企画段階から顧客と打ち合わせて、昨年3月に設計を開始。細かな注文を反映させながら完成へと近づけている。
 ただ、彼の仕事は純粋な開発だけに終わらない。7人のハードウェア開発チームをまとめながら、若手エンジニアへの技術指導も行っているのだ。

「以前の会社では毎年新入社員が入ってきましたから、すぐ上の者が彼らの面倒を見ればよかった。今の会社はベンチャーで社員数も少ないから、皆が一緒に若い人を教えている。彼らの成長していく姿を見るのが楽しいんですよ」
 40代での転職について荻原氏は、「それなりの財産を振り払うことになるので、転職するほうも採用するほうもリスクが高いはず」と語る。
「転職には捨てるものもあるので、高めたい優位性を決めたほうがよいと思います。私のような時間なのか、お金なのか、技術レベルなのか。40代ならそれなりの地位に就いているはず。迷って当然です」
採用の視点:40代の「教育力」が企業を進化させる
佐藤晋亮氏
代表取締役社長
佐藤晋亮氏
 40代のエンジニアに期待するのは技術力とマネジメント力、加えて教育力です。この3つがなければ採用しません。特に教育力は企業を進化させる要です。ただ教えるだけではなく、人を導く力や効果を伝播させる力が必要で、そのため「人柄」も大きな要因になります。
 採用に失敗すると時間や資源、エネルギーをロスしますが、採用年齢が高いほどその度合いも強い。多くの企業が「35歳まで」などと年齢を区切るのは、この年齢まではリスクが負えると感じているためだと思います。リスクがなければ40代へのニーズも強いでしょう。

Part3 転職が難しい40代エンジニアは求人倍率で若手をしのぐ
 これまで見てくると、40代エンジニアに求められるスキルは高く、そのためか転職市場での求人ニーズは低いようだ。しかし、40代エンジニアの転職支援を専門とするリクルートエイブリックの柴田氏は、求人倍率では若手を逆転していると語る。
求人倍率では40代が35歳以下より2倍も高い
 企業が弊社に技術者を求める求人数を、転職を希望して登録している求職者数で割ると、求人倍率が出ます。これが35歳以下で約0.7倍なのに対して、40代以上では約1.4倍。40代以上のほうが倍ほど優位なのです。なぜなら、確かに企業の40代に対する求人数は少ないのですが、転職活動をするエンジニア(登録者)はもっと少ないからです。この年代の一般像はお子さんが小さくて教育費がかかり、家のローンの支払いもある課長クラス。40代で転職を考える人は少数派なのです。

 一方、40代は技術力、マネジメント力、創造力などの「全体力」をもつ年代ですが、その価値に気がついていない企業が多い。部分的なスキルで判断すれば30代のほうが採用コストは安く、ピンポイントの傾向が弱いため対象が広く、ミスマッチのリスクも低い。結果として40代の求人には、特定の業務に携わるマネジャークラスが多くなっています。
英語でのネゴシエーション能力がフィールドを広げる
 40代で転職を希望する人には、何らかのキーパーソンになることと、英語力のスキルアップをお勧めします。ピンポイント採用の狭い枠には「彼でなくては」と思わせるスキルが求められます。特に中小企業では少ない中間世代の人材ですので、中堅メーカーの開発職、生産技術職、海外の工場勤務などでニーズが高いでしょう。その意味でIT系企業のソフト職は30代前後からリーダーになる場合が多いので、採用の総数では少々厳しいかもしれません。

 また、転職のための資格取得を考えるより、英語力の向上が一番です。ネイティブとのネゴシエーション能力という意味です。それなりに実務スキルは身についている年代ですから、それを海外や外資系企業という新しい場に広げるのです。中国や東南アジア圏でもやはり英語でしょう。英語が読めても話せるエンジニアは少ないので、市場価値も高まります。
 40代の求人は表に出ないケースも多く、募集要項から細かな内容が読み切れない場合もあります。いろいろな方法で情報を集め、企業が望むエンジニア像を把握することから始めましょう。
柴田教夫氏
株式会社リクルートエイブリック
キャリアプロモーション二部
EMC・CA3グループ
コンサルタント

柴田教夫氏
40代のスキルを生かした転職成功のポイント
現実的な40代エンジニア転職事情 転職先企業の探し方
40代エンジニアの転職アクションは少ない 中間世代の少ない中小企業がねらい目
実質的な求人倍率で若手に勝る場合もある 技術転用を考慮した異業種企業も候補に
部下、進行、予算など管理業務への期待大 隠れた求人情報を人脈・登録などから探す
採用はピンポイントが中心でその枠は狭い 英会話力を磨いて技術を生かす場を広げる
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40代は約20年の実務経験に加えて、知力も体力も充実している世代だと思います。世の中の仕組みや社内の事情も見えてくるし、家族をもって人間的にも成長しているはず。こうした人材が流動すれば、技術のすそ野はもっと広がるのではないでしょうか。企業の皆さん、40代エンジニアを活用しない手はありませんよ。
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