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応募条件の謎 解明シリーズ 第3回 応募年齢の巻
シリーズ最終回の第3回目は、「年齢」を取り上げる。募集要項では「高卒上22〜30歳」や「35歳位までの方」など、応募者の年齢を条件にする場合が少なくない。それでは、その年齢を1歳でも超えると、無条件で不採用とされてしまうのか? 年齢オーバーを克服する方法はあるのか? 最後の「謎」を解明する。
(取材・文 総研スタッフ/高橋マサシ) 作成日:03.08.20


THANKS! 転職を考える際に、自分の年齢を気にしない人はいないでしょう。しかし、前向きに、「年齢に応じたスキルアップを目指す」などではなく、つい「この年だから転職は無理」とあきらめてしまう人もいます。年齢に関する企業の本音を聞きました。
Part1 || 求人データから探る応募年齢の最新事情
Part2 || 「応募年齢」とは何を意味している?
Part3 || 応募年齢に上限を設けるホントの理由&年齢オーバー時の対処法
Part1 求人データから探る応募年齢の最新事情

 応募者の年齢の上限を、企業は何歳と設定しているのか。「1歳の差」はどこまで採否に影響するのか。リクナビNEXTの年齢を条件にする応募要項から、最新事情を見ていこう。

リクナビNEXT応募要項に見る応募年齢の上限分布

ソフト系職種(ソフトウェア・ネットワーク) ハード系職種(電気・電子・機械)
グラフ ソフト系職種(ソフトウェア・ネットワーク) グラフ ハード系職種(電気・電子・機械)
※「希望条件で探す」で検索した「応募者の年齢の上限」が記載の件数(7月16日現在)
※年齢ごとの件数は「○歳」と「○歳位」という2つの表現を含めた数

ソフト系とハード系ともに「35歳まで」がダントツ

 応募条件を「35歳まで」、あるいは「35歳位まで」とする企業が突出している。これを、年齢を条件とする募集要項の総数から見ると、ソフト系が45%(427中193件)、ハード系が42%(416中176件)。どちらも半数弱が、応募者の年齢を35歳以下としているのだ。
 さらに興味深いのは、2つのグラフがほぼ同じ形をしていること。「○歳まで」を年齢の壁とすれば、いちばん高い壁は35歳、次が40歳、3番目が30歳という構成は同じだ。また、31歳や34歳、39歳といった、中途半端な数字の記載が少ないことも同様である。

年長者の転職はハード系職種が有利か

 次に求人の全体件数に対する、年齢を条件とした応募要項の総件数を見てみよう。これにより、年齢を問わない募集の割合がわかる。まず、ソフト系職種は全体で611件あり、上限年齢が記載された件数が427件、割合は70%だった。一方、ハード系職種では全体675件のうち416件で、割合は62%だった。つまり、ソフト系職種の30%に対して、ハード系職種の38%が、年齢を問わない募集をしているとわかる。

 また、同じように見える2つのグラフだが、個々の割合を考えると、ハード系職種の方が年齢の上限が高く設定されている。「40歳まで」はソフト系が17%(427中72件)に対して、ハード系が19%(416中78件)、「50歳まで」はソフト系が1%(427中5件)、ハード系が5%(416中20件)。つまり、ハード系職種のほうが、年長者への許容度が高いのだ。
 1つの募集要項中に複数の職種を掲載する場合もあるので、上の数字は正確とはいえないが、傾向はつかめるだろう。全体的なデータと年齢ごとのデータとの両面から、年長者の転職なら、ハード系職種のほうが有利のようだ。

「まで」と「位まで」では、年齢の上限はどう違うのか

■年齢を条件とする募集要項例

■応募年齢に関する近年の傾向

企業が応募者の年齢を見る目は従来より厳しい
「35歳まで」の募集が目立って多くなった
役職のない職種募集の場合、40歳以上の採用は条件が難しい
 上記に、年齢を条件とする募集要項の例を挙げた。上がソフト系職種、下がハード系職種だが、ハード・ソフトを問わず気になったのは、「○歳まで」と「○歳位まで」の記載。
 この2つを比べると、実は「位まで」が圧倒的に多い。35歳を例にすると、ソフト系の「35歳まで」が20件、「35歳位まで」が173件。ハード系では14件と162件。なんと、ソフト系の90%、ハード系の92%が「位まで」なのだ。

 なぜ、このような表記をするのか。上限をきちんと設定しても、実は、その年齢を超えた応募者は少なくない。つまり、「35歳まで」でも「35歳位まで」でも、36歳や37歳の応募者がおり、実質的な差がないので「位まで」を使っているのが実情だ。
 逆にいえば、「35歳位まで」なら、「35歳まで」と考えた方が賢明だ。
Part2 「応募年齢」とは何を意味している?

 応募年齢の意味するところを、3人の転職コンサルタントに聞いた。Part1のデータでいちばん記載の多かった「35歳まで」を中心に語っていただいた。

応募要項例

「35歳まで」とする求人が多いのはなぜか

 Part1のデータでも明らかなように、年齢の上限は35歳に集中している。この理由は何だろうか。
 「年齢を区切る大きな要素は、給与とポジションです。国内系企業の多くは給与テーブルがあるので、年齢と役職で給与が決まります。35歳以下ならメンバーで、マネジャークラスの人は少ない。つまり、給与が抑えられる。マネジャークラスの募集なら、より上限が高いでしょう」(清野氏)
 「特にメーカーは賃金テーブルがしっかりしているので、年齢を見る目は厳しいです。また、『入社後に何年働けるか』を想定する企業もあるので、若い人がよいという結論になります」(佐藤氏)


企業が本当に「欲しい年齢」とはいくつくらいか

 「35歳まで」と書かれていた場合、それは真実なのか。あるいは、記載された年齢のレンジが広い場合は、どのように考えたらよいのだろうか。
 「募集要項に出す年齢は、多少高めに設定することが多いのです。『35歳まで』なら、本当に欲しいのは32歳くらいまでではないでしょうか。ただ、業務にマッチした人材が35歳の場合もあるので、余裕を持たせているわけです。これが上限を入れないと、40歳の人が来てしまう。一般的なエンジニアなら、40歳の転職は難しいと思います」(清野氏)

 「『25〜40歳位まで』の募集なら、その募集スキルは限りなく25歳に合わせていると思います。広告費などの理由で、人材像を細分化できなかったのでしょう。ただし、年齢が高いほど企業の望む実務経験と合致するか、それ以上のものを期待されます」(佐藤氏)
 企業が考える年齢とは、かなりシビアなようだ。それでは、この「年齢の壁」の越え方はあるのだろうか。


(取材協力)
株式会社リクルートエイブリック
株式会社アイテック
株式会社クロップス・クリエイト
キャリアプロモーション一部 ITCAグループ 稲垣礼仁氏
人事事業部 部長 清野義則氏
エグゼクティブサーチ事業部 コンサルタント 佐藤 淳氏
Part3 応募年齢に上限を設けるホントの理由&年齢オーバー時の対処法

 企業は条件となる年齢をどのように決定しているのか。また、応募年齢が条件より高い場合には、どのように対処したらよいのだろうか。

企業はどのようにして年齢の「数字」を決めているのか?

応募年齢を条件にする企業の本音
理由1:若いほど給与が低く、使い勝手がよい
同じスキルなら、給与額が低くて将来性のある若い人がうれしい。年齢が高い人なら、同年齢の社員以上のスキルがなければ、採用する意味がない。役職がない場合は、特にこの傾向が強い。

理由2:年上の部下はなるべく入れたくない
企業は応募者の上司となる人の年齢を考慮し、その人物より年下を採用したがる傾向がある。理由は、年上の部下を嫌がる上司が多いから。その上司が応募年齢を設定する場合も、おのずと年下になる。

理由3:年齢から受け取る「印象」が違う
29歳と30歳といった年代の分かれ目や、34歳と35歳では、受ける印象が異なる。また、中途半端な数字はすっきりしない。募集年齢を決める人たちも同様に感じているので、切りのよい年齢となる。

 年齢の上限とは、社内に何らかの規定があるわけではなく、担当者の人間的な要素で左右されるようだ。
 「一般的に、26歳までなら若干の職務経験とポテンシャルを見ますが、それ以降はプラスアルファが必要です。同じスキルなら若い人を採用しますから。また、企業が年齢の上限を設定する際は、採用部署の年齢構成や、リーダーの年齢が影響する場合もあります」(稲垣氏)

 「やはり、年上の部下は扱いにくいのです。これは外資系企業でもさほど変わりません。外資系の場合はポジションにお金が付きますから、年齢が高くてもポジションが低ければ給与は抑えられます。しかし、年上の部下を持つことを、嫌がる人は多いですね」(清野氏)

 「一般的にも29歳と30歳、34歳と35歳では、印象や言葉のひびきが違うでしょう。企業もそう感じているのです。ですから、あと1週間で35歳になる人なら、34歳のうちに履歴書を出したほうが印象がよい。もちろん、すべての企業や部署がそうではありませんが、印象で年齢を見る場合も少なからずあるということです」(佐藤氏)
 しかし、入社後に上司となる人の年齢や、転職のタイミングなどは、事前にわかるものではない。転職コンサルタントたちは、「運もある」と口をそろえた。ならば、年齢をオーバーしてしまった場合はどうすればよいのか。


企業はどこまで譲歩できるか、どうすれば譲歩させられるか

企業の譲歩のポイントと対策法
●年齢が条件を超えている⇒書面などを用意して、年齢相応のプラスアルファを訴える。
●年齢が30歳以上⇒一般的な30歳よりも高いスキルがあることをアピールする。
●年齢が35歳以上⇒メンバーならより高スキルをプレゼン。また、マネジャークラスを狙う。

 「年齢の上限は、さまざまな要因から決まります。しかし、企業が本当に求めているのは、その人の年齢に応じたキャリアやスキルです。年齢をオーバーしているからと、すぐにあきらめる必要はありません。応募条件と照らし合わせて、さらにプラスアルファが提供できるなら、志望動機書などを用意して、アピールしてはいかがでしょうか。それが有効となるケースは十分にあります」(稲垣氏)

 「『35歳まで』の募集でも、37、38歳までなら企業に紹介しています。その企業の同年齢の社員よりも、かなり秀でたスキルがある人の場合です。例えば、『38歳だがERPの開発を5年続けていて、社内の評価も高いエンジニア』などです。多くの人が採用されていますよ」(清野氏)

 「35歳なら、大手企業では課長職に上がるか上がらないかの年齢。マネジャークラスで『35歳まで』なら、30代後半までは余地があると思います。ただ、40歳を超えると厳しいですね」(佐藤氏)
 職種や企業により異なるが、年齢が若いほど転職に有利なのは間違いないようだ。ただし、年齢相応かそれ以上のスキルがあれば、転職できないわけではない。希望する企業があるなら、迷うよりまず行動だ。
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高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ
 以前、アメリカ人の友人からこんな言葉を聞きました。「その人が何かを変えようと行動を起こしたとき。そのときがベストタイミングなんだ」。いかにもアメリカ的なポジティブ思考だと思いましたが、なぜか耳に残っています。
 年齢と転職の関係も同じではないでしょうか。年齢がいくつであれ、前を考えるしかないと思います。このシリーズは今回で終わりますが、調査の依頼は随時受付中です。あなたの「転職活動の謎」「これを調べてほしい」をお待ちしています。

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