SEM(Search Engine Marketing)の代表格であるリスティング広告は、多くの企業においてインターネット広告予算の大部分を占める重要なマーケティング手法です。しかし細かい運用が必要なこともあり、運用については代理店にお任せ、となってしまっているWeb担当者の方も多いのではないでしょうか?
もちろん信頼できる代理店に任せることは悪いことではないですが、人が行う運用である以上、大なり小なりミスというのは生まれてしまうもの。後になって「ちゃんとチェックしておけばよかった!」とならないように、リスティングの運用時にミスが生まれやすい4つのポイントをまとめてみました。
1.キャンペーン上限によって思わぬ機会損失が発生!
代理店から提出されたレポートをチェックして、CPA(Cost Per Acquisition = 1件のコンバージョンを獲得するのに費やしたコスト)が見合っていればOK!というわけにはいかないのがリスティング広告。実は機会損失を生んでいるかもしれません。
たとえば1日100万円投下して、CPA500円で獲得できるだけのポテンシャルがあったとしても、実はキャンペーンの1日あたりの上限予算が50万円に設定されていて、配信がお昼ごろに止まってしまっていた、なんていうことが起こり得ます。
本来は100万円投下できれば倍の件数が獲得できていた、もしくは1日かけて50万円を消化できるような入札単価に設定していれば、もっと安いCPAで獲得できていた、という機会損失を生んでしまうこのミスは、レポート上ではCPA目標がクリアできているところから生まれるものです。
これらは管理画面を見て気付けること。定型のレポートだけではなく、管理画面も定期的にチェックすることを忘れないようにしましょう。
2.効率の悪い配信面の見逃し
Yahoo!には「WEB検索」と「その他の広告掲載方式」、Googleには「Google検索」と「検索パートナー」という配信枠が存在します。例えばYahoo!の「その他の広告掲載方式」は必ずしも「検索ニーズ」ではない画面(Yahoo!ニュースやYahoo!知恵袋など)も対象となることがあり、業界によっては効率が悪化してしまうことも(これは業界によって異なるため一概には言えません)。それぞれの特性を把握しておくことが必要です。
全体のCPA目標や件数の達成に満足するだけでなく、効率の悪い配信面に配信されてしまっていないか、といった部分もチェックしていくことで、さらなる効率化、効果の向上が見込めることもあります。
3.ダラダラとクリエイティブを検証した結果、効率が悪化!
リスティングのタイトルや説明文などのクリエイティブパターンを複数用意し、均等配信してどのクリエイティブがよいかを検証する、という取り組みは多くの企業で実施されている事と思います。そこでありがちなのが、検証期限を決めず、いつまでも効率の悪いクリエイティブを配信し続けてしまうこと。
思わぬ効率の悪化にもつながり得ることなので、検証をするときはしっかりと期限を決め、期限が来たタイミングで検証を継続するか、良いものに寄せるか、検証対象を差替えるかといった適切な意思決定を行っていく必要があります。
4.『部分一致』の思わぬ作用で効率が悪化!
リスティングの入札方法の一つに「部分一致」があります。これはざっくりと言えば、入札したキーワードを含む検索キーワードに対して広告を表示する機能ですが、その結果当初想定していなかったようなとんでもないキーワードにも広告が表示されてしまうことが起こり得ます。わかりやすい例でいうと、ファッションのECサイトで「ワンピース」の部分一致で入札した場合、マンガのワンピースに関するキーワードにばかり反応してしまった、なんていうことが起こるのです。
パッと見て、その部分一致全体で見れば合格ラインの効果 / 効率であっても、実際に表示された検索キーワード単位でみると、ビジネスとは全く関係のないキーワードで表示され、ただ無駄クリックを生んでしまっていることも。また、逆に特定のキーワードに効果が偏っていて、完全一致入札にした方がはるかに効率的、なんてこともあり得ます。
『部分一致』という便利な機能に頼り過ぎず、ちゃんと精査を入れる工程を怠らないようにしましょう。
リスティング広告はその予算の大きさもあって、Webプロモーション全体へ与える影響はとても大きなものです。信頼できるパートナーを見つけることも大事ですが、その上できちんと自分でもチェックし、配信の最適化を心掛けていきたいものですね。
監修:リクナビネクストジャーナル編集部