サブスクリプションって何?リースや定額課金との違い、市場規模、ビジネスモデルを解説

音楽や動画コンテンツなど、デジタルサービスで注目される「サブスクリプション(サブスク)」が様々な領域での製品・サービスに拡大しています。サブスクリプションとはどのようなビジネスモデルなのか、その特徴や現在の市場規模、今後どう進化していくのかなど、日本総合研究所の吉田賢哉さんに伺いました。

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サブスクリプションとは?

サブスクリプション(subscription)は、定額料金で一定期間コンテンツやサービスを利用する仕組みのこと。日本ではサブスクと略されることが多いようです。代表的なのは、音楽や映画などのデジタルコンテンツのサブスクリプションです。

また最近では、パッケージソフトを買わなくても複数のゲームを遊ぶことができるゲームのサブスクや、アニメや雑誌などが読み放題のサブスクサービスなども人気があります。

実は、こうしたサブスクリプション型のビジネスは従来でもありました。例えば、会員制のスポーツクラブの月額固定料金で使い放題プランなどもサブスクリプションといえますし、DVDを月額料金制でレンタルできるサービスなどもサブスクリプション型のビジネスモデルといえます。

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サブスクリプションの市場規模、拡大の理由

サブスクリプションサービスの市場規模は矢野経済研究所の発表によると、2021年度の国内市場で9,615億5,000万円、2024年度には1兆2,422億4,000万円に拡大すると予測されています。

●サブスクリプションサービス国内市場規模(6市場計)推移・予測

サブスクリプションサービス国内市場規模(6市場計)推移・予測
出典:株式会社矢野経済研究所「サブスクリプションサービス市場に関する調査(2022年)」(2022年6月8日発表)
注1.エンドユーザー(消費者)支払額ベース
注2.市場規模は消費者向け(BtoC)とし、「衣料品・ファッションレンタル」「外食サービス(外食等の食品・飲料提供における定額サービス)」「生活関連サービス(家具・家電・日用雑貨・家事関連)」「多拠点居住生活サービス(月額定額で短期間に住み替える、もしくは複数の住居に自由に住み替えることのできるものであり、シェアハウスやマンスリー系賃貸住宅は対象外)」「デジタルコンテンツ(語学教育サービス含む)」「定期宅配サービス(定期購入システムのプラットフォームを利用して提供される食料品や飲料、化粧品類等の当該品頒布会・定期販売サービス)」の6市場を対象とする
注3.2022年度以降は予測値

矢野経済研究所では、サブスクリプションの市場を以下の6つに区分しており、このうち主要な市場はデジタルコンテンツと定期宅配サービスであるとしています。

  1. 衣料品・ファッションレンタル
  2. 外食サービス
  3. 生活関連サービス
  4. 多拠点居住生活サービス
  5. デジタルコンテンツ(語学教育サービス含む)
  6. 定期宅配サービス

デジタルコンテンツのサブスクリプションサービスが伸びた背景には、「量と質の充実」と「機会の創出」という2つの理由があります。「量と質の充実」については、音楽や映像サービスなどを中心に、様々なサービスが登場し、互いに競い合う中で定額の支払いで利用可能なコンテンツの量・質が充実し、魅力的になってきたことが挙げられます。

「機会の創出」は、サービスの中身の充実に加えて、これまではそのサービスを知る機会がなかった人も、コロナ禍の行動制限により、自宅でデジタルコンテンツを楽しみたいと考える機会が増えたことが要因の一つ。ユーザーがサービスを試してみる機会が生まれ、1カ月間の無料お試しサービスなど、事業者側の積極的なキャンペーン展開が功を奏し、利用が拡大しました。

サブスクリプションの代表的事例は音楽・映像サービス

サブスクリプションの代表的なものとしては、音楽や映像サービスが挙げられます。他には、洋服やバッグなどを月額定額でレンタルし、何度でも変更できる定額サービスや、ヘアケアや脱毛、ネイルなどのサービスを一定期間内に何度でも受けられる美容関連のサブスクリプション、語学学習レッスンのサブスクリプションなどもあります。

また、コロナ禍で話題となったのが多拠点サービスです。定額で全国各地の提携個室や宿泊施設の利用が選び放題になるというもので、宿泊施設を月額制サービスとして提供するホテルなども登場しました。

化粧品メーカーがスキンケア商品を月額制で提供するサービスや、自動車保険やメンテナンスなどの諸費用を含めた定額料金で一定期間好きな車に乗れるサブスクリプションも登場し、様々な製品・サービスの領域に拡大しています。

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リース・レンタル・定額課金などとの違い

では、リースやレンタル、定額課金制など、従来からあるサービスとはどこに違いがあるのでしょう。これらについては、様々な定義がありますが、一般的な定義で解説します。

リースとの違い

リースは商品・サービスなどの比較的長期の利用、契約時に定めた期間で利用することを前提にしています。このため途中解約時は違約金などが発生することがある仕組みであることが多いです。例えばオフィスのコピー機などは、3年、5年などの契約期間を設けたリース契約になっていることが大半です。

一方、サブスクリプションでは、基本的にはいつでも途中解約できるサービスとして設定されています。

レンタルとの違い

レンタルは、旅先で借りるレンタル自転車や成人式の貸衣装のように、特定の商品やサービスの単発利用を指すケースが一般的です。サブスクリプションでは、繰り返しレンタルを行うことが可能で、特定期間内に、何度レンタルを行っても、料金は同一となります。

定額課金との違い

定額課金は、一般に特定の商品やサービスの継続利用において、月や年単位で決められた金額が支払われることを想定したもの。例えば、あるソフトウエアの利用に対して、その利用の回数や時間等によらず、月々決められた料金を支払うケースは、定額課金と呼ばれます。

これに対し、回数や時間に応じて料金が高くなっていくケースは従量課金と呼ばれます。一方、サブスクリプションでは、料金が定額であることに加え、複数のソフトウエアから自身にとって必要なものを選択して使用できるケースになっていることが多いです。

つまり、サブスクションは、定額であることに加え、複数の商品・サービスから、その時々で自分に合ったものを選択できるサービスとして提供されていることが多いです。

また、これまでの通販サービスには、頒布会として月額会員制で毎月異なるワインや地酒、食品などを届けるサービスがありました。頒布会は、基本的に事業者側が決めたものが届けられる仕組みであるため、従来の頒布会とサブスクリプションとの違いは、やはり複数商品の中から自分で選択できるかどうかの点に違いがあります。

以上のような比較から、サブスクリプションは、定額で様々な商品・サービスをチョイスしながら、使い放題で利用可能であり、比較的解約しやすく必要な時にだけサービスを契約・利用すればいいという点が特徴と言えるでしょう。

今後も拡大を続けるサブスクリプションサービス

今後も様々なジャンルでサブスクリプションの導入が広がると考えられます。多数の選択肢を提供することで、自社の商品をより魅力的にするビジネスや、個別に利用・購入するよりお得にすることができる商品・サービスでは、サブスクリプションがより拡大していくでしょう。

ただし、サブスクリプションで提供する企業は、ユーザーが頻繁に利用しても利益を生み出せる工夫や仕組みを考える必要があります。1商品・1サービスあたりの提供コストが高く、利用される回数が増えるほどコストが増大するビジネスは、サブスクリプションでは利益を生みにくいからです。

ユーザーにとって多くの商品・サービスの選択肢があることが魅力的であり、商品やサービスを提供するための準備にはコストがかかるとしても、個別の商品・サービスを提供するコスト・変動費が小さいビジネスは、サブスクリプションに向くと考えられます。

例えば、デジタルコンテンツとして、最初に何十万曲も曲を集めたり、数万本の映画映像を集めたりするのは大変なことですが、その後、個々のサービス提供にかかるコストは低額です。

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また、レンタルスペースやサテライトオフィスを提供する不動産サービスは、不動産の取得費用や、設備や備品などを用意する初期費用は多く必要となりますが、利用が増えることによるコスト増は相対的に少なく済むため、サブスクリプションによるさらなる収益を狙うことも可能なジャンルだと考えられます。

加えて、今後は所有するより共有するという「シェアリングエコノミー」の発想が、サブスクリプションを後押しすることになるでしょう。

自分が使用しているものを所有している人や自分自身の持ち物として身につけていることを重視するという人よりも、今後は必要な時にだけ使用したいものが自分の手元にあればよいと感じる人が増えていく可能性が指摘されています。後者の人たちは、サブスクリプションを使うことで、自身に様々な選択肢を安価にもたらすことが可能になります。

このようにユーザー心理を見極めてサービスを提供していくことは、今後伸びていくサブスクリプションサービスを提供する上で重要なポイントになるでしょう。

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株式会社日本総合研究所
リサーチ・コンサルティング部門 シニアマネジャー 吉田賢哉氏

吉田賢哉氏東京工業大学大学院社会理工学研究科修士課程修了後、日本総合研究所に入社。新規事業やマーケティング、組織活性化など企業の成長や、産業振興・地域振興・地方創生などを幅広く支援。従来の業界の区分が曖昧になり、変化が激しい時代の中で、ビジネスの今と将来を読むために、さまざまな業界のビジネスチャンス・トレンドについて多角的・横断的な分析を実施。

取材・文:中城邦子  編集:馬場美由紀
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