『ボヘミアン・ラプソディ』クイーンが歌う名曲の歌詞の意味を知っていますか?

『頑張らない英語』シリーズ(あさ出版)『TOEIC最強の根本対策』シリーズ(実務教育出版)など数々の英語学習に関する著書を出されている西澤ロイさん。英語の“お医者さん”として、英語学習の改善指導なども行っている西澤さんに「正しい英語学習の方法」についてお話しいただくこのコーナー(→)。第24回目の今回も大好評企画の「映画に学ぶ英語フレーズ」です。今回は映画『ボヘミアン・ラプソディ』を題材にしたいと思います。

プロフィール

西澤ロイ(にしざわ・ろい) イングリッシュ・ドクター

英語の“お医者さん”として、英語に対する誤った思い込みや英語嫌いを治療し、心理面のケアや、学習体質の改善指導を行なっている。英語が上達しない原因である「英語病」を治療する専門家。ベストセラーとなっている『頑張らない英語』シリーズ(あさ出版)(→)や『TOEIC最強の根本対策』シリーズ(実務教育出版)(→)他、著書多数。さらに、ラジオで4本のレギュラーがオンエア中。特に、木8の番組「めざせ!スキ度UP」が好評を博している。

クイーンの名曲で英語を学ぼう

イギリスのバンド「クイーン(Queen)」の成功を、故フレディ・マーキュリー(Freddie Mercury)の生き様とともに描いた映画『ボヘミアン・ラプソディ(Bohemian Rhapsody)』が大きな評判となっています。クイーン世代はもちろん、そうではない若い人たちにもかなり受け入れられているそうです。

私自身は、洋楽に目覚めたのが高校に入った1992年。つまり、フレディが亡くなった翌年だったのですが、CDを聞いて大ファンになりました。ですから、今回の映画を涙なしに見ることはできませんでした。

さて、映画『ボヘミアン・ラプソディ』では、クイーンの名曲をたっぷりと聴くことができます。それらの歌詞に含まれる英語表現について今回は解説したいと思います。

「We Will Rock You」のrockはどういう意味?

まずはこのフレーズです。

We Will Rock You

これは『ウィ・ウィル・ロック・ユー(We Will Rock You)』のタイトルにも含まれ、歌詞の中にも繰り返し登場します。「あなたをrockしてやる」というのは一体どういう意味なのでしょうか?

rockというのは、名詞ではもちろん「岩」ですが、動詞で使われているこれは別の単語です。「ロッキング・チェアー(rocking chair)」という言葉があるように、「揺れる、揺らす」という意味合いを持ちます。

つまり、「rock you」というのは文字通りには、「あなたを揺らす」と言っているのですが、どういうことか分かりますでしょうか。

感情を揺さぶったり、感動を呼び起こしたりするのかもしれません。相手の価値観を揺さぶるのかもしれません。あっと驚かす、という言い方をしてもよいでしょう。それが「rock you」なのです。

「Another One Bites the Dust」の「ちりを噛む」とは?

次に取り上げたいのは、「地獄へ道連れ」という日本語に訳されている曲のタイトル、『Another One Bites the Dust』です。「another one」は「another person」だとお考えください。つまり、「また別の人が bite the dust(ちり/ホコリを噛むこと)をする」と言っているのですが、意味が分かりますか?

実はこの表現、「死ぬ」という意味なのです。

dustというのは「地面に積もったちりやホコリ」のことです。倒れ込むことでdustが口の中に入る――。ですから、人が地面に倒れ込んでそのまま亡くなるような場面がイメージできるのではないでしょうか。

この曲の歌詞の一部を引用します。

Another one bites the dust
Another one bites the dust
And another one gone and another one gone
Another one bites the dust

1人倒れ、また1人倒れ……という風に、どんどんと人が亡くなっていく情景が描写されているのです。

ちなみにgoneのところは「is gone」のbe動詞が省略されています。goというのはやはり「亡くなる」ことを婉曲的に表しています。日本語で「逝く」と「行く」は音が同じですが、goと「行く」にはどこか似たような感覚があるのかもしれませんね。

「物質」を表すmatterを動詞で使うと?

映画のタイトルにもなっている名曲『ボヘミアン・ラプソディ(Bohemian Rhapsody)』。発表された1975年の常識(シングル曲は3分程度)からすると、あまりに長すぎる約6分間の楽曲であり、貧乏な家庭に生まれた少年が殺人を犯してしまい、裁きにあうというストーリーが描かれています。

この曲の中で繰り返し登場するフレーズがこちらです(引用します)。

Nothing really matters.

「何事も大してmatterしない」とは一体どういう意味なのでしょうか。

matterは、名詞で使うと「物質」であり、「目に見える(エネルギーを持つ)物体」を表します(逆に、目には見えないものの代表は、例えば「精神(spirit)」ですね)。

そこから「考慮すべき事柄」や「大事な問題」という意味でも使われます。

Let’s discuss this matter.(この事柄について話し合おう)
It’s a matter of life and death.(これは死活問題だ)

つまり、単なる「事柄」ではなく、「重要である」ということが暗に含まれるのです。そこから、動詞で使った場合には「重要である」という意味を持ちます。

Does it matter?(それが重要/問題なの?)
It matters a lot to me.(これは僕にとってとても大事/大きな問題なんだ)

さて、歌詞の中に登場するフレーズに戻りましょう。

Nothing really matters.

直訳としては「何事も特に問題/重要ではない」ということですから、「何事も大したことはない」というのが1つの訳し方でしょう。ただし、場合によっては「全てはどうでもいい」という解釈も可能なのです。

裁きにあうストーリーだと先ほどお伝えしましたが、結末が一体どのようになったのかは誰にも分からない難解な歌詞だと言えます(ウェブ検索をすると解説記事がいろいろと見つかるでしょう)。『ボヘミアン・ラプソディ』の曲の中で、上記のフレーズは3回登場します。ぜひあなたなりに、それぞれの意味を解釈してみてください。

過去に捉われなかったフレディの言葉

映画『ボヘミアン・ラプソディ』はぜひ多くの人に観ていただきたいと思います。

その理由の1つは、フレディ・マーキュリーという稀有なアーティストの生き様を感じることができるからです。クイーンというバンドが世界的な成功を収めることができた理由の1つは、間違いなくフレディの強烈な個性だと言えると思います。

ですので最後に、映画『ボヘミアン・ラプソディ』に登場した、フレディ・マーキュリーのセリフを2つご紹介したいと思います。

I don’t look back. Only forward.
(俺は過去を振り返らない。前しか見ない)
—–
I decide who I am.
(俺が何者かは自分で決める)

もちろん、このような生き方をすれば、当然ながら周りとの摩擦も生まれることでしょう。しかし、何かを成し遂げたい人には、フレディの生き様は非常に良い刺激となるはずです。

<映画情報>

映画『ボヘミアン・ラプソディ』(→)
配給:20世紀フォックス映画 © 2018 Twentieth Century Fox
オリジナル・サウンドトラック:クイーン『Bohemian Rhapsody the original soundtrack』Universal Music(→)

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