出世する人が「自分の評価」よりも大切にするものとは?

12万部を超えるベストセラーシリーズとなった『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社、小学館文庫)。その著者である俣野成敏さんに、「ビジネスパーソンの仕事への向き合い方」についてお話しいただくこのコーナー。第3回の今回は、「出世する人が自分自身の評価よりも大切にしていること」についてです。

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こんにちは。俣野成敏です。

会社で働いている人の多くが感じている悩みのひとつに「人間関係」があります。表向きはともかくとして、退職理由の大部分を占めているのは、本当は「職場の人間関係」だともいわれています。

部下の立場にいる人であれば、異動の時期になる度に「次の上司とはうまくやれるだろうか?」という気持ちが頭をよぎるものです。嫌われるとはいかないまでも、もし上司が「話のわからない相手」だったとしたら、あなたはどうしますか?

「上司に気に入られれば出世する」は本当か?

私は独立してから複数の事業を手がけていますが、そのひとつにフランチャイズの店舗展開があります。先日、店舗の社員からこのような相談を受けました。

「店長になりたいです。どのようにしたら評価いただけるでしょうか?」

この手の質問は本来、直属の上司である店長が受けるべきものですが、今回は店長が自分なりの回答した上で、「他店舗でも同様の悩みを持つ社員がいるかもしれない」と判断し、店長会議の場で直接店舗の社員に質問してもらったものです。

当社の場合、優秀な店長が育ってきているため、私が直接店舗の社員をマネジメントするということはほとんどありません。そのため、社員と顔を合わせる機会は、年に数回だけというのも珍しいことではありません。しかし、優秀な社員を見極め、店長などの人事を最終決定するのは、私の仕事。自社の社員とはいえ、ほとんど顔を合わせる機会のない相手を、どうやって評価するのでしょうか?

実は、本人のことをよく知らなくても、その人のことを評価することは可能です。聞き方さえ間違えなければ、当人と普段接している周りの人間の一人ひとりにヒアリングをし、出て来た答えを合わせれば、狂いがないからです。

世間では、しばしば「ウチの上司は他人を評価する能力がない」とか「上司に気に入られないから評価されない」ということをいう人がいます。ひょっとすると、これをお読みのあなたもそう思っていらっしゃるかもしれません。

しかし、仮に上司ひとりに取り入って出世ができたとしても、周りの関係者からさほど評価されていない人が、そんなに長続きすることはありません。

ですから逆をいえば、今の上司からは評価されていなくとも、周囲から評価されているのであれば、安心して大丈夫ということです。

なぜ、会社には「あんな人が上司?」と思う人がいるのか?

確かに、上司の中には「適材適所」などお構いなしに、いき当たりばったりの仕事を振ってくる人がいるのは事実です。誰しも一度は心の中で「なぜ、あんな人が上司をやっているのだろう?」と思った経験があると思いますが、それに関しては「ピーターの法則」という法則で説明することができます。

それは1969年、ローレンス・J・ピーター教授らが出版した『ピーターの法則〜〈創造的〉無能の勧め〜』の中で提唱された概念です。それによると、「人は会社の中で自らの能力の限界となる地位まで出世し、そこで止まる。仕事はまだ限界に至っていない人の手によって遂行される」とあります。つまり、今は無能に見えるかもしれない上司も、かつてどこかの場面では有能だったということです。

一般に、人は新しい任務を与えられた時に、すぐにその仕事ができるようにはなりません。何度も失敗して試行錯誤を繰り返しながら、徐々に仕事のノウハウを身につけていくものです。

もともと、上司と部下は業務内容が違います。会社から求められていることも当然違いますから、仕事の優先順位も変わります。上司にとって、プレイヤーとしての経験はありますから、おおよそのところはわかります。けれど、部下はまだマネジメントをしたことがないため、部分的なことを見て揚げ足を取りたくなるものです。

たとえ側から見て「ダメな上司」に見える人であっても、実際は上司も自分の仕事に悪戦苦闘している最中か、またはあなたが上司の仕事を理解できない可能性もあるということです。

チームの評価が「あなたの評価」になる

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そうはいっても、中にはどう見ても自分より能力の劣る上司はいるでしょう。でも、それでいいのです。そもそも、マネジメントのキモとは「いかに自分より優秀な人を集められるか?」ということに尽きるからです。

アメリカの鉄鋼王と呼ばれた実業家のアンドリュー・カーネギー氏は、自分の墓石に「己より優れた者を周りに集めた男、ここに眠る」と刻ませました。ここからもお分かりのように、仕事とは必ずしも自分ができる必要はなく、有能な人に代わりにやってもらえばいいからです。

よって「オレの部下はできないやつばかりで困る」という上司がいるのだとしたら、その人は自分のマネジメント能力のなさを露呈していることになります。

もちろん、部下とて会社の命令で仕方なくその人の下で働いているだけでしょう。しかしもし、あなたが「自分は上司よりも仕事ができる」と感じているのであれば、できない上司を非難するより先にやっておくべきことがあります。それが何かというと、いずれ立場が入れ替わる日に備えて「いつでも上司の代わりができるように」準備をしておくことです。

あなたが上司の「ここがダメだ」というのが見えるということは、あなたにはとってはそれが強みです。ですから、まずはその上司の弱みをフォローし、できればその仕事を取って自分ものものにしてみてはいかがでしょうか。

ここであなたは、「そんなことをすれば、自分の手柄が上司のものになってしまう」と思うかもしれませんが、気にすることはありません。そもそも、上司を出世させるのが部下の仕事。そこにフォーカスし、貢献した人がその席に近づいている人です。誰がチームに貢献しているのかは、結局「みんなが知っている」ものです。

上司とは「一採点者」に過ぎない

働きながら成長を続け、会社の中でイキイキと仕事をしたいと思ったら、「上司が自分の評価を左右する人」という固定観念を捨てることです。

たとえば「資格取得試験」を思い浮かべてみてください。試験とは通常、評価基準を決める人と、それをもとに採点する人がいますが、これを会社の人事評価に当てはめた場合、「評価基準を決める人」が会社で、「採点をする人」が上司ということになります。

会社における人事査定は人が行う以上、短期的には間違えることはあります。「評価と現実が一致していない」という一時的な評価のギャップは、社内でしばしば見受けられます。

つまり、会社で仕事をしていれば、「うまくいかない」「認められない」「こんなはずじゃなかった」ということは普通に起こります。

しかし、中長期的にはその間違いは是正されます。間違った一人の採点者の評価以上に、触れ合った関係者の評価のほうが大きな影響を及ぼすからです。そのような場面にいき当たった時は今回の話を思い出してください。

俣野成敏(またの・なるとし)

大学卒業後、シチズン時計(株)入社。リストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。31歳でアウトレット流通を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に12万部を超えるベストセラーに。近著では『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』が9刷となっている。著作累計は34万部超。2012年に独立後は、ビジネスオーナーや投資家としての活動の傍ら、私塾『プロ研』を創設。マネースクール等を主宰する。メディア掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿している。『まぐまぐ大賞2016』で1位(MONEY VOICE賞)を受賞。一般社団法人日本IFP協会金融教育顧問。

俣野成敏 公式サイト

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