【経沢香保子氏インタビュー】一人ひとりを深く知らないと、心を動かすマネジメントはできない。

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マネジメントをするうえで、意識すべき視点とは何か?

業績に貢献する人材を育てる秘訣とは何か?

新任マネジャーに限らず、多くの管理職の方が常に課題に感じている「マネジメント」。そんなマネジメントに必要なスキル・ノウハウについて、現在第一線で活躍中の経営者・人事のプロに伺いました。今回は、株式会社カラーズ 代表取締役社長の経沢香保子さんです。

~経沢香保子氏のマネジメント論~

つねざわ・かほこ:株式会社カラーズ 代表取締役社長
<プロフィール>
1973年千葉県生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、株式会社リクルートに入社。楽天株式会社勤務を経て、2000年、26歳のときにトレンダーズ株式会社を創業。2012年当時最年少女性社長として東証マザーズに上場。2014年「女性が輝く社会」をミッションに掲げた株式会社カラーズを創業。時給1000円〜即日も手配可能な格安ベビーシッターサービス「KIDSLINE」(https://kidsline.me/)を運営。新しい育児スタイルの提案などの育児支援を行い、日本にベビーシッターの文化を広める事を次のミッションとしている。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

■社会人1年目の上司に学んだのは、プロとしての意識

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私が初めて部下を持ったのは、トレンダーズを起業してからのこと。それまでマネジメントの経験すらなかったのに、自分で会社を作って、人を雇って、我ながらよくやってこられたなと思います。

新卒で入社したリクルートには1年と少ししかいませんでしたが、この時期に社会人としての基礎体力が身につきました。私がとてもラッキーだったのは、当時は景気が悪かったけれど、それを言い訳にせず、「営業マンは景気が悪いからって、目標達成できないなんて言っちゃいけない。」という雰囲気の部署に所属できたこと。与えられた数字を達成することは営業の基本のキですし、社会に出ると、サービスを享受する側から提供する側に意識を切り替えないといけません。そのことをちゃんと教えてくれない会社や上司だったら、社会人としてのスタートが遅れていたんじゃないでしょうか。

当時の上司に言われて印象に残っているのは「お前なりに頑張ったってしょうがないんだ」という言葉。私は、人の5倍仕事をすれば、5年上の先輩にも1年で追いつけると考えるような仕事中毒で、毎日始発から終電まで働いていました。だからつい、「私は頑張っている」と思ってしまっていたのですが、そのことは「お客様が求めるものを提供するのが、プロの仕事だ」と評価されなかったんです。私はこんなにお客様のことを考えて頑張っているのにと思って涙が出るほど悔しかったけど、きっぱりとそう言ってもらえたことで、経営者にもつながる、プロのビジネスパーソンとしての意識が身につきました。

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■「自分が言いたいことが伝わらない」という壁に直面した

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最初に起業したとき、私はなんの実績もない26歳でした。今振り返ると、人間的にも未熟でしたし、仕事の指示がなっていなかったと思います。何を、いつまでに、どうすればいいのか、という細かい5W1Hが伝わらないまま、「なんとなくこういう感じでやってよ」みたいな頼み方をしていました。

大企業のように、マネジメントする側もされる側も優秀で、企業のスタイルが確立されていれば、コミュニケーションに壁がなくてそのやり方が成り立ったのかもしれません。でも、15年前のトレンダーズなんて誰も知らないし、ずば抜けて優秀な人材が採れるわけでもない。そもそも、偶発が重なったところを力技で成果に結びつけるのがベンチャー企業の1年目なので、こちらのストーリーもあいまいなままの手探り状態。自分が作った会社ですから自分では何をやるべきかがわかっていましたが、それをうまく部下に伝えることができませんでした。

結果、なぜこんな風にしか働けないんだろうとイライラして、こっちも言いたいことと違うことを言ってしまったりして…という悪循環に陥りました。もちろん、マネジメントには今でも毎日のように悩んでいますが、その頃は小学1年生が因数分解を解いているくらい、何にもわかっていませんでしたね。当時一緒に働いていた人に会ったら、本当にお詫びしたいくらいの気持ちです。

■一人ひとりにあった言葉やストーリーで心を動かす

どうしてもっとうまく言えないんだろう、なぜ伝わらないんだろうと悩んだ結果、私は読書マニアになりました。本に書かれている言葉は、多くの人に伝わりやすいよう考えられています。本を読み漁り、私はなんて人に伝わらない言葉を使っているんだろうと反省して、とにかく勉強しました。最終的に気づいたのは、「一人ひとりの言語は、私が思っている以上に違うんだ」ということです。

トレンダーズ創業時、そしてカラーズという会社を立ち上げた今、経営者として私がやらなければならないのは、会社の文化をイチからつくることです。それも、ベンチャー企業に就職したいと思うような、どこかユニークな人たちのチームを率いて、それぞれのメンバーが持っている能力以上のものを引き出していくことが求められます。そのためには、一人ひとりをよく知り、それぞれの人に響く言葉やストーリーでコミュニケーションを取ることが大事だったんです。

一般的なマネジメントスキルとはちょっと違うかもしれませんが、私は、人の心を動かすための言葉や振る舞いを一つひとつ学んできました。どうすれば、彼や彼女の心が温まるのか。どうすれば彼らは前に進めるのか。そういうことを見極め、個々の成長を考えることで、私は私のマネジメント法を身につけてきたんだと思います。

EDIT/WRITING宇野浩志 PHOTO高柳豪志

>後編はこちら

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