平日の帰宅は0時近く…でもイクメン?!「イクメングランプリ」受賞者に学ぶ、平日と休日の「時間効率化術」

 法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」、個人向け名刺管理アプリ「Eight」を手掛けるSansan株式会社。
 先日、同社Sansan事業部の社員である綱島芳紀さんが、英国発イクメン雑誌『FQ JAPAN』の「Mr.イクメンコンテスト」のグランプリに輝き、話題となった。綱島さんは、現在1歳3カ月になる男の子のパパ。椎間板ヘルニアを患っている妻の負担を軽減するために、息子の離乳食作りを始めとした家事・育児に積極的に取り組んでいる姿勢が評価された。

 しかし、法人クライアントを数多く抱える綱島さんは、Sansanの「スーパー戦力」。クライアントからの問い合わせや要望は引きも切らず、分刻みのスケジュールをこなす。平日は23時退社、帰宅は0時近くという日も多い。そんな中で、どのような方法で家事・育児に取り組んでいるのだろうか?

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Sansan株式会社
Sansan事業部カスタマーサクセス部 シニア運用コンサルタント
綱島芳紀さん

■「自己満足」のこだわりを捨てることで、業務時間短縮を図る

 綱島さんの役割は、「Sansan」の導入を決めた法人クライアントへの導入サポートと運用支援。企業が「Sansan」を導入する目的は、社員が交換した名刺をデータ化することで、顧客データベースという資産に変えるためだ。従って、社員一人ひとりが自らの名刺をスキャンしてデータ化するという作業が必要になる。社員への機能説明や周知などのほか、能動的に「スキャンしたい」と思わせるような仕掛け作りを考えるのも綱島さんの仕事だ。

「社員一人ひとりの机の中に眠っていた名刺」を顧客データ化できれば、営業力のさらなる強化のみならず、新たなビジネス展開などにもつながる可能性がある。クライアントからの期待は大きく、より良い提案で応えたいという思いから、時間はいくらあっても足りなくなる。作業を見直し、時間の効率化を図っても、23時より前に会社を出られる日は少ない。
「やりがいのある仕事ではあり、とことん没頭したい気持ちもありますが、一方で少しでも妻の負担を減らしたいし、子供とももっと触れ合いたい。そのために、『平日は仕事に没頭し、その代わりに土日は家事、育児のみに専念する』と決めたんです」

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 子供が生まれる前は、平日にこなしきれない仕事を自宅に持ち帰ることも多かったという。
「仕事って、やろうと思えばいくらでもやることがある。一生懸命取り組むほど、仕事って終わらないし、やり続けていても苦にならないんですよね(笑)。でも、家族のことを考えたら、どこかで区切りをつけなければならない。そのため、まず自分の仕事内容を一から見直し、『自分にしか影響を及ぼさないこだわり』は捨てました」

 それまでは、何においても常に最良のクオリティーを求める「完璧主義者」だったという。ただ、仕事においてのこだわりは大切だが、「クライアントや自社のためではないこだわり」はいらないと判断した。

 例えば、クライアント向けの資料を作る際は、デザインやレイアウトにこだわり、使用フォントにまで工夫を凝らしていた。そのほうが印象がいいと思ったからだが、「要は自己満足だった」と振り返る。
「資料においては、相手が一番求めているものをわかりやすく切り出して説明することだったり、求められている情報をいち早く提供することのほうが重要なはず。そこさえクリアできていれば、デザインなんて関係ないんですよね。見栄えに関するこだわりは捨て、クライアントごとに、何が今一番求められているのか?を考え、そこを尖らせることを徹底しました」

 その他の業務においても、基本的には「クライアントや自社に影響を及ぼさない作業であれば、端折れるものは端折る」「営業数字をまとめる際には、関数レベルから見直して時間短縮する」など、少しでも効率化を図れる方法を探しては実行した。小さな見直し、工夫の積み重ねにより、「平日に早く帰れることは少ないものの、少なくとも土日に仕事を持ち込まないようにはなった」という。

「今も、常に業務効率化できる部分がないかを毎日考え続けています。自分だけで考えても限界があるので、同僚と意見交換をすることも。『このツール、すごく簡単だし早いよ』など、新しい情報を得られることが多いんです」

 休日は、仕事のことはスパっと忘れ、家事と育児に没頭する。家事はもともと好きで、料理は定期的にホームパーティーを開催していたほどの腕前。平日に妻が行っている家事をすべて引き受け、子供の面倒も積極的に見る。
 そして、家事や育児に参加できない平日のために、日曜日に1週間分の「料理の仕込み」を行う。綱島家の冷凍庫を開くと、調理された野菜や惣菜などが入った保存容器がズラリと並んでいる。

「子供が一人遊びに没頭しているとき、うたたねをしているときなど、『今がチャンス!』とキッチンに向かいます。じゃがいもや人参など野菜類を細かく切って湯がき、ショートパスタを茹で、ハンバーグをこねて焼き、それぞれを保存容器に入れて冷凍しておきます。ここまでしておけば、例えばパスタと人参をレンジでチンして味をつければ、離乳食になります。妻が自分の食事を作る時も、下ごしらえがいらない材料があれば便利ですよね」

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■「完璧にやらねば」と構えすぎず、今やれることをやればいい

 毎日忙しく働くビジネスパーソンの中には、「家事や育児にもっと取り組みたいけれど、ハードルが高すぎる」とあきらめている人も少なくないようだ。でも、「男性が家事や育児に参加することを、そんなに難しく捉えないでほしい。もっと気軽な気持ちで臨み、楽しんでほしい」と綱島さんは言う。

「私もそうですが、男ってやるならとことん完璧に!という人が多いんですよね。イタリアンを作るならば、イタリアンパセリじゃないとだめだ!みたいな(笑)。でも、国産のパセリで全然事足りるはずだし、何なら無くてもおいしいイタリアンは作れる。形通りに考えず、自分が今やれることをやればいいんです。『離乳食作り』というと難しく聞こえるかもしれないけれど、私がやっていることは野菜を切って、チンして、冷凍するという誰でもできる簡単なこと。子供が泣いたら、途中で手を止めて一緒に遊び、落ち着いたらまたキッチンへ行く…というようにマイペースでやっていますが、それでも妻は『いつも助かる!』と喜んでくれますよ」

 それでも何をしたらいいのかわからない…というときは、「例えば『出社までの朝の30分にもし僕が何か家事を手伝うとしたら、何をすれば嬉しい?』などとストレートに聞いてもいいのでは?」とのこと。
「きっと奥さんはまたやってほしいがために、どんな手伝いでも『すごく助かった!』とベタ褒めしてくれるでしょう(笑)。モチベーションが上がり、もっと家事や育児を楽しめるようになりますよ」

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EDIT&WRITING:伊藤理子 PHOTO:平山諭

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