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フラッシュストレージのFusion-ioが新製品を国内発表

ウォズニアック氏が登壇!
     データセンターが変わる?

米国のITベンダーFusion-ioが、新型フラッシュストレージカードの日本国内販売を発表した。同社のチーフ・サイエンティストであるスティーブ・ウォズニアック氏もスピーカーとして登壇し、熱い思いを語った。

(取材・文・人物撮影/総研スタッフ 高橋マサシ) 作成日:13.03.07

小さくて高密度、低消費電力のフラッシュストレージカード

Fusion-io

Fusion-io
CEO兼会長
デイビッド・フリン氏

Fusion-io

Fusion-io ioScale(3.2TB)

2月28日、Fusion-ioが日本での「Fusion-io ioScale」の販売を開始すると発表した。同社の製品はNANDフラッシュメモリを用いたストレージが特徴で、主な販売先は大規模なデータセンターやクラウド事業者だ。
 海外ではAppleやFacebook、日本ではサイバーエージェント、ドリコム、ドワンゴ、ミクシィなどで導入実績があり、日本で400社以上、世界で4000社以上の企業が使用しているという。CEO兼会長のデイビッド・フリン氏はこう語る。
「蓄音器の時代から回転型メディアで情報が記録されてきましたが、メインフレームがパーソナルコンピュータに移行したように、そろそろ機械的ストレージから電子的ストレージに移るべきです」

ハードディスクのストレージと比較してフラッシュストレージは、容積が小さく、高速で、低消費電力。そのため、拡張性や信頼性が格段に向上するだけでなく、サーバーの台数や消費電力を削減できることから、大幅なコストダウンが可能になるという。
「サーバーの台数が減れば、その分の費用だけでなく、サーバーの接続コスト、ソフトウェアのライセンス費用、メンテナンス費用、消費電力や空調のためのコストまで削減できます。トラブルのリスクも減りますし、省スペースも実現できるのです」

ストレージにフラッシュメモリを使うという点では、SSD(Solid State Drive)も同様だ。しかし、Fusion-ioではフラッシュメモリをディスクではなくメモリとして扱う、「ダイレクトカットスルーアーキテクチャ」を採用しているという。
「SSDは一般的にCPUからRAIDコントローラ経由でフラッシュメモリにアクセスするので、読み書きのステップが増えます。しかし、Fusion-ioではCPUから直接フラッシュメモリを読み書きするイメージです。これにより故障が少なく、読み書きするスピードも高速にできるのです」

ハイパースケール市場に向けた「ioScale」を国内販売

これまで多くの企業が導入してきたFusion-ioの主製品は、エンタープライズ向けの「Fusion-io ioDrive」だった。しかし、この日発表された「Fusion-io ioScale」(以下「ioScale」)は、「ハイパースケール市場」向けだという。
ハイパースケール市場とは、アーリーアダプターを中心とするデータセンターで、非共有型のアーキテクチャ、オープンソースの技術、ライセンスフリーのソフトウェアを使うことが特徴だという。重視するのは運用ではなく導入のコストであり、リプレースの期間も短いそうだ。
こうした企業を対象としているので、「ioScale」も2〜4年での更新を考えているという。

「大手IT企業のWebインフラ、パブリックやプライベートのクラウド事業に加えて、これからは大量の低価格サーバーとLinuxでスケールアウトしていくようなデータセンターまで、さまざまなお客さまを応援できます」
「ioScale」は今年1月に米国で発表されたが、1カードで最大3.2TBという大容量と、高性能かつ1GB当たり3.89ドルという低価格で話題となった。日本でも同じ価格帯で販売される予定だが、販売時のユニット数を引き下げた。

従来は数千台規模のサーバーを保有する顧客向けに製品を提供してきたが、「ioScale」は100枚単位で販売するという。同社が推進するのは、ストレージをすべてフラッシュにした「オールフラッシュ・データセンター」の実現であり、その支援という意味もある。

Fusion-io

Fusion-io ioDrive2Duo

Fusion-io

フリン氏とスティーブ・ウォズニアック氏

シンプルな開発が「エンジニア魂」をくすぐる

スティーブ・ウォズニアック

Fusion-io
チーフ・サイエンティスト
スティーブ・ウォズニアック氏


同社のチーフ・サイエンティストを2008年から務めるのが、スティーブ・ウォズニアック氏だ。世界的に著名な「ギーク」であり、Apple Computer(現Apple)の共同創業者である彼を、フリン会長はこう語る。
「まさにメインフレームからPCへの移行を見てきた人物であり、今、同じ変化がストレージにおいて起きている。開発には彼の力が欠かせなかった」

一方のウォズニアック氏は、Fusion-ioに参加した理由をこう説明する。
「私はこれまで少ないパーツでモノをつくってきた。部品数が少なく、しかも物理的に小さいものを使って、シンプルに開発するのが好きなんだ。エンジニア魂をくすぐるっていうのかな。Appleでもコンピュータを小さくして、一般の人が使えるPCをつくった。Fusion-ioにも同じ意識を感じるね」
PCのデータの格納場所がカセットテープからフロッピーディスク(FD)に変わったころ、ウォズニアック氏も2週間をかけてFDを設計したという。そして当初はケーブルでFDをPCにつないでいたが、FDを制御するプログラムを書いてFDをPCに内蔵したところ、データの通信速度が向上し、ケーブルが不要になったことで故障も減ったという。

「これと同じことなんだ。部品数が少なくなり、ケーブルがなくなれば、信頼性が高まる。コストを下げて信頼性を上げるのがFusion-ioだし、プログラマがいいプログラムを書けば、もっと有効活用ができるようになる」
今後に向けては、トランジスタからチップへの変化を例に出した。
「トランジスタがチップになったことで、PCのパワーはアップして、逆に消費電力は下がった。確かに画期的なことだけど、僕らの生活にとってのメリットはもっとあったと思うんだ。Fusion-ioがこれから起こすこともこうなるよ」
Fusion-ioは日本のデータセンターを変えていくのか。要注目だ。

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