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SNS、英語、睡眠、ロボット、自動運転、再生医療、深海魚…

エンジニアにオススメのTED!
          14本を紹介します

アメリカで年に一度開催される「TED」は知っていますか? ネットの動画で見たことがありますか? もし見たことがなければ、ぜひ以下のURLからお試しください。エンジニアにオススメの動画を集めてみました。

(総研スタッフ/高橋マサシ) 作成日:12.12.10

世界に拡大する「ためになる」カンファレンス、「TED」とは?

「TED」(Technology Entertainment Design)は著名な研究者、技術者、芸術家、政治家、事業家、文化人などが講演を行うカンファレンスです。毎年アメリカで開催されており、その内容は「TEDTalks」により無料で動画配信されています。
TEDには「TED Conference」のほかに、世界中で開催される「TEDGlobal」や東京で開催される「TEDxTokyo」などがあり、その活動は世界規模で広がっています。
TEDの最大の特徴は、講演者と講演内容の充実度です。各分野の第一線で活躍する人たちが、数分から30分程度で自分の思うことを語ります。今回はその中から、特にTech総研編集部がお勧めする14本を取り上げました。

[1] インターネットって何ですか?

ソーシャル・メディアで注目を集める方法/アレクシス・オハニアン

どこもかしこもソーシャル・メディア。オハニアン氏の話もどこぞのコンサルタントの○○ロジック的なものと思いきや、主題は「ネーミング」です。
国際環境NGOのグリーンピースが日本の捕鯨を中止させようと、ザトウクジラに名前をつけようと考えた。クジラに親近感を持ってもらうためです。で、その名前をWebで募集した。
ある名前が投票されると、「皆でこの名前を投票しよう!」という動きが起こったんですね。投票率は70%超となり、普通なら決まるはずですが、グリーンピースは投票期限を延ばした。怒った推進者たちは動きを活発化させ……バトルが勃発!
最後のオハニアン氏の落とし所が絶妙です。


http://www.ted.com/talks/lang/ja/alexis_ohanian_how_to_make_a_splash_in_social_media.html

404、見つからないページにまつわるお話/レニー・グレッソン


検索したページがなければ返される「Page not found 404」。グレッソン氏は「ユーザーに本質的な喪失感を与える」と言いますが、その通りですよね。彼によれば「406 Not Acceptable」「417 Expectation Failed」と「数が増えるほどヤバい」。
そんな彼は「Page not found 404」のページに埋め込んだある動画を紹介し、その「納得感」に会場は大爆笑となります。そして、これをきっかけにコンテストが開催されたと言うのです。
その後もさまざまな「バージョン」を紹介しますが、「本質的な喪失感」を笑いに変えるって、面白い発想だと感じました。ネットの楽しさを教えてくれる講演です。

http://www.ted.com/talks/lang/ja/renny_gleeson_404_the_story_of_a_page_not_found.html

危険なインターネット上の「フィルターに囲まれた世界」/イーライ・パリザー


エンジニアならこうした問題をご存知でしょう。レコメンド機能などの身近なアルゴリズムはユーザーに役立つのだろうし、無料でサービスを享受するためには、ある程度の寛容さは必要なのかもしれません。ですが、嫌なときってありませんか?
パリザー氏は言います。放送の文化はその門番として「編集者」がいたが、インターネットの文化では「アルゴリズム」が門番になった。彼はまだ編集者が持ち合わせていた倫理観を持っていないと。
ただ、彼は悲観しているだけではありません。新聞を例に出して、今後のインターネット業界やアルゴリズムをつくる者たち、プログラミングする者たちに期待を呼び掛けます。

http://www.ted.com/talks/lang/ja/eli_pariser_beware_online_filter_bubbles.html

[2] エンジニアにとって、多分必要なこと

【コラボレーション】
エミー・マランスと12組の足/エミー・マランス


パラリンピックの元出場者であり、モデルとしても活躍するマランス氏。両脚が膝下からない義足ユーザーです。11年前にもTEDに出た彼女は、そこで人生が変わったと語ります。多くのクリエイターやエンジニアとのコラボレーションが、彼女の意識と生活を変えたのです。
「皆でひとつのことを追いかけたほうが効果的」と彼女は語ります。多くのエンジニアは利益追求という企業の目的は十分に理解していても、「あいつと組みたい」という意識があるのでは? それが仲の悪い部署でも、ライバル企業のエンジニアでも、現実には接点のないTVやネットの「あの人」であっても。
彼女からアピールすることで、夢にも思わなかった人たちが結集したそうです。

http://www.ted.com/talks/lang/ja/aimee_mullins_prosthetic_aesthetics.html

【モチベーション】
やる気に関する驚きの科学/ダニエル・ピンク


モチベーションと成果との関係について、お茶目なアナリストが語ります。何人もの学者の実験を紹介しながら説明するのは、「報酬やインセンティブが有効な動機づけになるのは、必ずしも正しくない。よりクリエイティブな仕事に求められるモチベーションは次の3つ」とのこと。
この3つ、実はよくある企業の平凡な朝礼で語られるような内容なのですが、そこで動画を止めずに最後まで聞いてください。今のITの世界からすると少し古い感じも受けますが、「エンジニアならこう働きたいね」という話が満載です。
この人が面白いのは、彼の母国であるアメリカを(多分)愛しながらも、時折おちょくっている点です。

http://www.ted.com/talks/lang/ja/dan_pink_on_motivation.html

【英語力】
ジェイ・ウォーカーが語る世界の英語熱/ジェイ・ウォーカー


日本でも仕事で英語を使う機会が増え、エンジニアにも英語力が求められるようになりました。ウォーカー氏は、世界中で20億人が英語を学んでいると語ります。顕著なのが中国で、「今年(講演は2009年)、中国は世界で最も英語を話す人が多い国になった」とも。
ここから話は中国の英語事情へ。どれだけ英語を学ぶために子供たちが努力しているかを紹介し、英語熱の理由は「よりよい生活やよりよい職を得るための機会が増えるからだ」と語ります。
そして最後に、「それぞれの国に、それぞれの文化に言葉があってもちろんよいのだが……」と締めくくるのですが、その先の結論は仕方のないことかも。

http://www.ted.com/talks/lang/ja/jay_walker_on_the_world_s_english_mania.html

【睡 眠】
成功の鍵とは? もっと睡眠をとりましょう/アリアナ・ハフィントン


冒頭の「私たちの中に眠っている何億というアイデアを解き放つ私の小さなアイデアは、睡眠です」というスピーチに会場は爆笑、拍手が続きます。
ハフィントン氏は以前に疲労から意識を失って怪我をしたことがあり、それから睡眠の大切さを実感し、眠ることに努めてきたとのこと。また、「睡眠不足は仕事のできる証拠」のように喧伝するビジネスマンや政治家には、男性が多いそうです。
見ようによっては「酔っぱらったお姉さんのパーティスピーチ」なのですが、確かに眠ることは大切だと教えてくれます。多忙で残業の多いエンジニアなら、眠る前に見ておいてもいいかも。 

http://www.ted.com/talks/lang/ja/arianna_huffington_how_to_succeed_get_more_sleep.html

[3] ハードウェアの愉しみ

パーソナル・ロボットの台頭/シンシア・ブリジール


TEDにはロボット系の講演がいくつもありますし、TEDxSeedsでは大阪大学の石黒浩教授が何度も登壇しています。その中でこの動画を選んだのは、MITのブリジール氏とロボットのレオナルドが素敵だからです。彼女はロボットを「ソーシャル・テクノロジー」だと言います。
アメリカでは宗教的な影響もあってロボットは人類の敵、日本ではアトムの影響からか人類の友と考える風潮があると聞きました。ただ、この講演を聞く限りでは、アメリカの意識は変わりつつあるようです。
ただ、ロボットは「家族とのコミュニケーションや肥満防止ためのツール」だけでなく、「その先の何か」に期待したいのは私だけでしょうか。

http://www.ted.com/talks/lang/ja/cynthia_breazeal_the_rise_of_personal_robots.html

ジョニー・リーが披露するWiiリモコンHack/ジョニー・リー


任天堂「Wii」のコントローラーの「転用例」です。その視点が研究者っぽくって面白い。5〜6分の短い動画で、リー氏のスピーチが早口かつ動作が機敏なので、余計にテンポよく進んでいきます。
「技術の恩恵を受けられるのは一部の人で、研究者がチャレンジングになれるのは、そうした偏りを劇的に変える簡単な方法を考えたときだ」
彼の最初のセリフですが、その後の2例の「実用性」に瞠目です。いちいち「これに掛かる費用は○ドルです」みたいな注釈がリアル。2008年の講演ですので、今ならもっと新しい可能性を探したくなると、エンジニアならワクワクすると思います。

http://www.ted.com/talks/lang/ja/johnny_lee_demos_wii_remote_hacks.html

Googleの自動運転車で目指していること/セバスチャン・スラン


Googleの自動運転技術が話題ですが、その開発の端緒を教えてくれます。スラン氏は言います。アメリカでの若者の死亡原因の第一位は自動車事故であり、ほとんどが人間のミスだと。だからもう、人間は運転せずに技術の制御に任せればいいのだと。渋滞も少なくなるし、ガソリンも膨大に節約できるのだと。
クルマの魅力のひとつは便利で実用的な移動手段であることですが、「自分で運転する楽しさ」を感じて乗る人も多いはず。完璧な自動運転車が完成すれば、本当にクルマは消えるのか? その世界が見たいと思います。

http://www.ted.com/talks/lang/ja/sebastian_thrun_google_s_driverless_car.html

臓器を印刷する試み/アンソニー・アタラ


臓器移植について問題提起をします。臓器提供者は増加しているのに、移植例はさほど進んでいないとのこと。そして話は再生医療の研究例から、破棄される臓器の再利用、細胞を移植できるようにするプリンタ出力、3Dプリンタによる臓器再生など、SFのような世界が動画と共に紹介されます。
身近なハード機器を医療の最前線に活用するなど、こういう人たちの頭の中はどうなっているのか。妙に感心してしまいます。最後には移植に成功した若者が登場し、自らの経験を語ります。
会場は冒頭から水を打ったように静かで、聴衆は博士の話に聞き入りますが、若者が登場した途端に一斉に拍手。気がついたら、私も同じことをしていました。

http://www.ted.com/talks/lang/ja/anthony_atala_printing_a_human_kidney.html

[4] 番外編

水中の驚き by デイビッド・ガロ/デイビッド・ガロ


ごめんなさい! スクーバダイビングが大好きで、深海魚を愛しているから選びました。さほど画質がよいわけでもないし、DVDでも借りてろよって話かもしれませんが……イカさん、タコさんも満載です。

http://www.ted.com/talks/lang/ja/david_gallo_shows_underwater_astonishments.html

ジル・ボルト・テイラーのパワフルな洞察の発作/ジル・ボルト・テイラー


兄が統合失調症であり、「正常な脳」と「そうでない脳」の生物学的な違いに興味を持ってきたという、脳科学者のテイラー氏。そんな彼女がある日、脳内出血を起こして倒れます。
そのときの模様を彼女はとても冷静に表現するのですが、内容はぜひ動画を見てください。いくら専門家とは言えここまで冷静に行動し、自分を観察し、記憶して説明できるものなのか。リハビリには数年が掛かったようですが、回復振りは一目瞭然です。

http://www.ted.com/talks/lang/ja/jill_bolte_taylor_s_powerful_stroke_of_insight.html

次なる可能性を秘めたSixthSenseテクノロジー/プラナフ・ミストリー


番外編というよりもろ技術の話なのですが、日常の些細な好奇心から技術や科学が生まれるのだと、改めて感じさせてくれる講演です。その実際は動画を見ていただくとして、最後に彼は語ります。「これらの技術はオープンソースにするつもり」だと。
研究者であり企業人ではない彼だから言えることかもしれませんが、ぜひ開放してほしいと思う技術ばかりでした。

http://www.ted.com/talks/lang/ja/pranav_mistry_the_thrilling_potential_of_sixthsense_technology.html

※「Translations Talks in 日本語」の動画を掲載させていただきました。本当にありがとうございます。
※記事の記述は各講演内容に準じています。現在、当時と同じ状況であるとは限りません。

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