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歯車的ポジション、プロジェクトたらい回し、会社の業績悪化…

30歳中堅SEの不満と不安−
今日からできる実践的解消法

30歳前後の中堅SEは、現状への不満や今後のキャリアに対する不安を数多く抱えていると言われている。実際、今どきの中堅SEはどんな不満や不安を抱えているのか。またその解消手段はどこにあるのか?専門家に詳しく聞いた。

(総研スタッフ/山田モーキン) 作成日:10.11.17

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(株)BS bit Partners<br />
取締役兼講師<br />
関口治武氏

(株)BS bit Partners
取締役兼講師
関口治武氏

プログラマ、SEを5年経験後、人材育成企業にてマネジャーと講師を務める。その後スピンアウトし、IT企業の人材に特化したキャリア開発支援を行う株式会社BS bit Partners 取締役に就任。自身の経験と2000人を超える個別面談経験により、ITエンジニアがどのような問題を抱え、どう解決できるか日々研究、講師として研修生が現場で行動できる能力開発に努める。

不満と不安を解消するためには、「自立したエンジニアへの変身」が必須条件

会社の営業力がない、研修なくスキルアップできない不満と不安


「これまではITシステム投資に対するクライアント側の予算が潤沢にある中で、IT企業側は予算の使い道、つまり“システム提案”を営業活動の軸として展開していれば受注できました。しかし今は不況の影響で、クライアント側のシステム投資に対する予算が少ないため、ビジネスにおいて具体的にどのような形で、どれくらいの効果が見込めるシステムなのかを具体的に提案できるか、つまり“ビジネス提案”が求められています」と関口氏が指摘するように、2008年秋以降に起こった世界的な不況の影響で苦境に陥ったIT業界は今、生き残りをかけて各社厳しい生存競争にさらされています。
その厳しいIT業界の渦中にいるエンジニア、中でも現場の第一線の中心で活躍している30歳前後の中堅SEの多くは今、「仕事がない」「収入が頭打ち」「研修も受けられず、最新技術のキャッチアップもままならない状況でキャリアアップできない」といった不満や、「今後もSEとしてやっていけるのか」という不安を抱えているといわれています。

しかしそうした不満や不安の多くは、ひとつの理由に行きつくと関口氏は指摘します。それは「会社もエンジニア個人も、急激なビジネス環境の変化に対応できていない」ということ。
「会社の場合、営業力がないばかりに、クライアントに対して先述した“ビジネス提案”ができないため、質が高く利幅の大きい案件を受注できない。それによってエンジニアは最新技術にキャッチアップできなかったり、収入が上がらないといった状況に。その状態が長引くほど、将来への不安がさらに増していくという悪循環に陥るわけです。
またエンジニア側も“仕事があって当たり前”“収入が毎年上がって当たり前”“会社がエンジニアを育てて当たり前”という常識をいまだに引きずっていることにも問題があります」

自立したエンジニアを目指して、不満&不安を解消すべし


こうした不満や不安を解消するには、会社側とエンジニア側、双方が従来の考え方や体制を大幅に刷新する必要があるようです。会社側の具体例としては、異業種から優秀な営業経験者を採用して、予算ありきの営業から脱却したビジネス提案をする“営業力の強化”などが、大きなポイント。
一方、エンジニア個人が対応できる手段について関口氏にうかがうと、「IT業界以外のビジネスに触れることによって、“自立したエンジニア”に変身すること」だといいます。

「例えば転職エージェントに相談したり、外部の研修やセミナーに参加することで、他業界の人と意見交換します。それによって、いかにこれまで置かれていたSIなどのIT業界のビジネス環境が温室だったのかを認識できるのです。
その上で必要なのは、これからは自ら考え、行動することで理想の環境を手にする積極的な姿勢。顧客志向で相手のビジネスの課題を抽出し、課題解決のためにどんなシステムを提案できるのかを考え行動に移すことで、自ら仕事を創りだしていくのです」。
このように今抱える不満や不安を解消するための前提条件として、まず「自立したエンジニアへの変身」が求められるようです。
しかしいきなり自分一人で働き方を変えて行動に移していくことは、かなり高いハードルです。そこで重要なのが「身近に励ましてくれる人」がいること。
「例えば他業界にいる学生時代の友人や、他業界で働いている過去の同僚などに協力をお願いしてみること。周囲に一人でも自分のことを評価してくれる人がいれば、社内で反発されてもめげずに立ち向かっていけるのです」(関口氏)

ではその点を踏まえた上で、今の中堅SEが抱えている代表的な3つの不満&不安の解消法について紹介していきましょう。

3つのケース別、不満&不安解消法

不満:言われた仕事を黙々とこなす「歯車的ポジション」からの脱出手段


多くのエンジニアの場合、言われた業務を黙々とこなすよりも、自らのアイディアや技術力を駆使して自発的に仕事に取り組む方が充実感を得られるはず。それに自らのスキル・キャリアアップにもつながるので、よりベターなワークスタイルだといえます。でも現状の環境で急に理想のワークスタイルに変えるのも難しい話。そこで関口氏からは「下流工程の特徴は“作業=手段”、上流工程の特徴は“目的達成”。つまり目的を常に意識して目の前の業務に取り組む姿勢が、歯車的ポジションからの脱出につながります」とのこと。
そこで今すぐ実践できる脱出手段の手順を、関口氏に挙げてもらいました。

1. まず仕事やシステム化の目的を把握するために、仕様書や詳細設計書の冒頭部分に記載されている「プロジェクトの目的」項目や仕事の相手から見つけ出す
2. 目的を把握したら、今自分がやっている作業(手段)が目的のために最適な手段なのか、つまり設計書通りに作ることが本当にベストな手段なのか、目的と手段を一通り書いてみる
3. 目的達成のための最適な手段を、システム化に限定せずあらゆる方法を模索しながら自分なりに考えてみる
4. これまで自分が考えてきた目的と目的達成のための手段を、雑談レベルでいいので同僚やリーダーと話し合ってみる
5. トラブルや問題解決に迷った時こそ、これまで考えてきた「目的に対して仕事をすること」の重要性をまわりに話してみる
6. これまで実践してきた「目的から手段を考える思考」や「目的に対して行動するスタイル」を日常の習慣にする

このように、まずは「自分の仕事の目的は何か」、そして「その目的を達成するための最適な手段について考えてみる」ことが、歯車的ポジション脱出への糸口につながるようです。

不満:担当プロジェクトが次々に変わることで達成感が得られない状況からの脱出手段


長期に及ぶプロジェクトで、立ち上げからリリース、そしてその後の運用まで深く関わることでクライアントから感謝や信頼を受け、「自分の力で役に立てた達成感」を得られる。このケースも多くのエンジニアが理想とするスタイルだと思いますが、現実はプロジェクトの一部分のみを担当し、それが完了すれば次のプロジェクトへ自動的に回されてしまう。
これではなかなか仕事の達成感は得られません。といってすぐに転職という手段を取るのも、先のことを考えると踏み切れない。そこで現状の中でも実践できる手段を関口氏にうかがったところ「どんな仕事に対しても、“自分なりの目標やテーマを持つこと”が重要」だと指摘します。
そこで今から実践したほうがいい脱出へのプロセスを、関口氏に挙げてもらいました。

1. まず“3年後”を目安に、なりたい自分の目標を作る
2. 目標の“要素分解”をする。つまり目標を達成するために、どんな課題をクリアしなければならないのかを可能な限り考え、出してみる
3. 挙がった複数の課題に対して、クリアするまでの期限だったり、クリアする順番をつけてみる
4. 与えられた仕事の中から自分が挙げた課題を見つけ出し、クリアするために努力する

このように先ほど紹介した歯車的ポジションからの脱出と同様、まずは自分なりの目標や課題を設定すること。そこから今取り組んでいる業務を客観的に見直すことで、達成感を得るためのきっかけを自ら作り出すことができるといえそうです。

不安:不況下でも業績を上げている企業に転職するための手段


将来への不安解消のための最も有効的な手段として挙げられるのは、やはり安定した業績を上げている優良企業へ転職することではないでしょうか。しかし、当然ながらそうした企業への転職は条件面等の「転職ハードル」が高い傾向にあり、容易なことではありません。
そこで今すぐにそうした優良企業への転職は厳しいと考えている方に対して、関口氏は「不況下でも業績を上げられる実績を、今日から作り始めることが重要」だと指摘します。
では具体的に今からどのような手段で「不況下でも業績を上げられる実績」を残せばよいのか、いくつか具体的なアドバイスをいただきました。

・「○○だからできない」と思うものの中から「どうやったらできるか」を考えて、実践してみる
・自分の会社や業界に根付いた「当たり前」を疑ってみる。そうすると「形骸化している」「時代に合っていない」「目的があいまい」などおかしな制度や仕組みが意外に多いことに気づきます。そこから自分の力でできる範囲で「変えてみよう!」と心がけ実践してみる

上記のポイントを実践することで、「目に見える結果を出す」こと。
例えば
「形骸化した進捗会議を見直し、納期遅れをゼロにした」
「仕事がないと嘆くだけでなく、余剰社員の経験職務シートを常駐先社員に展開。その結果、小さい仕事だけれど受注にこぎつけた」
「二次請け、三次請けが当たり前の状態から、お客様と直接やり取りできた」
「お客様のビジネス成功のための手段を真剣に考え提案・実行したら、プロジェクトリーダーに抜擢された」
このようにして実績を残すことで、いざ転職するときに強力なアピール材料にする。


以上、3つの不満&不安についての解消法について紹介してみました。上流下流どんなポジションであれ、ユーザー視点で現状に疑問を持って仕事に取り組み、何らかのアウトプットを出し続ける努力を続けることが唯一、今抱えるさまざまな不満や不安を解消する有効な手段といえそうです。

本レポートは総合転職サイト「リクナビNEXT」連動コンテンツです。 Supported by リクナビNEXT

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