• はてなブックマークに追加
  • Yahoo!ブックマークに登録

編集部注目の企業「ブロードバンドタワー」

クラウドの普及で市場拡大!データセンターが熱い

クラウドの普及で市場拡大!
データセンターが熱い

クラウドの広がりにより、着実に成長するデータセンター市場。そこで今回、編集部ではブロードバンドタワーに注目した。同社への取材を通して、転職市場としての魅力および同社での働き心地などについて紹介する。

(総研スタッフ 中村仁美)作成日:09.09.03

データセンターはIT業界の中の成長市場


代表取締役執行役員社長
大和敏彦氏

  今や企業情報システムは所有するより、利用する時代。そのような追い風を受け、データセンター市場は堅調な成長を続けている。成長市場にあるとはいえ、データセンター事業の競争は激しい。これまでデータセンター事業者が展開してきたビジネスは、ユーザー企業にサーバー設置に必要なスペースを売るという床売り事業だった。それでは価格のたたき合いになり、体力のない事業者は淘汰されていくしかない。つまりデータセンター事業者がこれから生き残っていくためには、魅力的な付加価値サービスがどれだけ提供できるかにかかっている。

  顧客への付加価値追求に余念のないデータセンター事業者がある。それがブロードバンドタワーだ。

  ブロードバンドタワーは2000年に設立された独立系のデータセンター事業者。2007年9月に代表取締役社長に就任した大和敏彦氏は、エンジニアの出身。慶応義塾大学理工学部卒業後、日本NCRに入社。そこで大型コンピュータのOS開発に携わった。その後日本アイ・ビー・エムに転職。日本IBMでは大和研究所のネットワーク設計からThinkPadの技術サポート、システムインテグレーション部門の立ち上げ、戦略コンサルティングなどに従事。1996年にはシスコシステムズへ転職、CTOとしてビジネスインターネットの普及に努めてきた。大和氏は自身のこれまでのキャリアを振り返って「楽しいと思う仕事にずっと携わってきた」という。

発想力や組み合わせる力が重要になる

   元エンジニアである大和社長の目から見て、データセンターで働く面白さはどこにあるのだろうか。

「ITやPCはコモディティ(日用品)化しつつあり、なかなか面白い技術が出てこなくなりました。しかし従来技術でも新しい発想で組み合わせ付加価値のあるサービス、ソリューションを開発できれば、イノベーションを起こすことができます。それをできる可能性をもっているのが、データセンター事業者。これからはクラウドの時代。その環境をもっともうまく使えるのが、データセンター事業者だからです」

  大和社長の言葉を裏付けるように、コロケーションサービス事業以外に同社が注力しているのが、ホスティングサービス事業やプロダクトサービス事業、ECプラットフォーム事業である。各事業とも「前年度と比べ、大幅の伸びを示している」と大和社長。プロダクトサービス事業で扱っているのは、ストレージ。今はまだコロケーションサービス事業とのつながりはないが、当然、将来的には組み合わせてソリューションとしての展開も考えているという。

「データセンターでの仕事はお客さまのサーバーを安全に運用しなければならないため、プロフェッショナル性はもちろんですが、これからは新しいサービス、ソリューションを生み出すための発想力や組み合わせる力が重視されます。新しいソリューションを考え、イノベーションを起こしたいというエンジニアの方にとって、働きがいのある職場だと思います」(大和社長)

ファシリティエンジニアの仕事は多岐にわたる

内海清氏

エンジニアリンググループ
ファシリティ技術
マネージャー
内海清氏

  データセンターでの仕事はサーバーの運用監視からIP関連機器のメンテナンス、実際に設備設計や工事の実施、管理などまでとさまざまある。中でも今回取り上げるのは、ファシリティエンジニア。ファシリティエンジニアの仕事の内容ややりがい、さらに求められるスキルなどについてエンジニアリンググループ ファシリティ技術マネージャーの内海清氏に話を聞いた。

  一般的にファシリティエンジニアというと、電源や空調、通信などの設備の設計や管理の業務を頭に思い浮かべる。が、実際のファシリティエンジニアの仕事はさらに多岐にわたる。

「例えばセキュリティシステムの企画、管理もファシリティエンジニアの仕事のひとつです。データセンターではセキュリティの確保が必要不可欠です。建物やマシン室に入るには、いくつものセキュリティシステムが使われています。セキュリティ性を高めるにはそれだけではなく、誰がいつ入館したのかをお客さまの個人情報とリンクさせてしっかり管理していかなければなりません」(内海氏)

  現場での泥臭い仕事だけではない。対外的な折衝場面も意外に多い、と内海さん。電力会社への折衝はその代表例だ。電気使用量を予測して計画書をつくり、電力会社と交渉する。電力使用計画書づくりで問われるのは、いかによく電気を使える工夫がなされているか。省エネ対策はデータセンターにとって最も大きな課題となっている。空調設備がうまく機能しているか、人員のシフトが効率的など、使用計画を立てるのもファシリティエンジニアの重要な仕事だ。

効率改善がうまくいったときに大きなやりがい

データセンター内部イメージ

データセンター内に整然と並ぶラック群

  転職して6年。現在はファシリティマネージャーとして、現場のエンジニア5人を率いている内海氏はファシリティエンジニアのやりがいを次のように語る。

「私たちファシリティエンジニアは、常にエネルギー効率を上げるためにはどうすればよいか考えていく必要があります。よいアイデアが浮かんだときはチームで議論、その場で評価が高ければすぐ試してみるという。また導入してリスクがあるとエネルギー効率の改善はすぐに効果がわかるわけではありません。半年後ぐらいに測定し、自分の予測どおりの結果が得られると、地球に貢献しているんだという実感できる。これは大きなやりがいです」

  データセンターの使命は24時間365日、顧客のIT資産を安全に管理・運用することである。常に安全を確保し、顧客が求める以上のものを提供できれば、顧客の信頼感も増す。そのような関係を顧客とともにつくっていけることもこの仕事の醍醐味である。

生産ラインの維持管理経験者にもチャンス

打ち合わせ

上司との打ち合わせもなごやかに

  求められるスキルについて内海氏は「電源や空調、通信などの設備に関する基礎的な技術知識があることはもちろんですが、メンバーに的確な指示を出せるなどのマネジメント力を重視しています。人をうまくつかって予防保全(定期整備)を迅速にできる能力があるかどうかも重視するポイントです。ですので、工場の生産ラインの設備維持に携わってきた方なども、意外にこの仕事に合うと思います」と語る。

  大和社長が就任した当初、同社の社風はデータセンターの業務(24時間365日安定稼働)同様、硬い雰囲気だったという。しかし大和社長が率先してカルチャーを変えることに取り組んだことで、よりオープンで柔軟な考えができるような文化・社風へと変革しつつある。内海氏も「働きやすく、お互い切磋琢磨できる環境だ」という。

  クラウドはますます、企業情報システムに浸透する。データセンター事業は成長する余地はこれから。組み合わせによる新たなサービスやソリューションを考えたいという人にとって、データセンターは注目の働き場所といっても過言ではないだろう。

  • はてなブックマークに追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
あなたを求める企業がある!
まずはリクナビNEXTの「スカウト」でチャンスを掴もう!
スカウトに登録する

このレポートを読んだあなたにオススメします

「プサンデータセンター」設立に情熱を燃やした4人のエンジニア

ソフトバンクKT社日韓協業データセンター設立の舞台裏

人気企業の採用実態東日本大震災以降、不測の事態が発生した際の事業継続計画に対する企業の関心が高まり、バックアップ機能として海外のデータセ…

ソフトバンクKT社日韓協業データセンター設立の舞台裏

ギークエンジニアたちの哲学

AWSエバンジェリスト玉川憲氏を成長させた挫折と転機

ギークエンジニアたちの哲学熱い活躍を続けるギークエンジニアを仕事へと駆り立てているのは、どんな想いなのか。新連載第1回は、クラウドサービスで注目…

AWSエバンジェリスト玉川憲氏を成長させた挫折と転機

クラウド事業、スマートフォン業務改革、グローバル需要etc.

ソフトバンクテレコムが、エンジニアの大量採用を開始

人気企業の採用実態ソフトバンクグループがグループ全体で400人規模のエンジニアを積極採用する。中でも日本企業のアジア進出に伴うグローバル…

ソフトバンクテレコムが、エンジニアの大量採用を開始

究極の「集約と共有」で、TCOの大幅削減を実現する

パブリック&プライベートクラウド構築の最適解を探せ

ますます加速する企業のクラウド導入の動き。その中で今回注目したのは、「パブリッククラウド」と「プライベートクラウド」の使い分け。…

パブリック&プライベートクラウド構築の最適解を探せ

AWSのクラウドサービス、インテグレーション、モバイル開発etc.

アマゾン技術者が担う、日本市場のサービス・開発強化

人気企業の採用実態Amazon.co.jp(アマゾン)のサービスを利用する人は多いが、日本のエンジニアがどんな仕事をしているかは意外と知られてい…

アマゾン技術者が担う、日本市場のサービス・開発強化

こんな時代に人事が欲しがる

年収1000万円超プレイヤーの自己投資術

不景気だから年収が下がるのは当たり前、と思ってはいませんか? 世の中には、こんな時代でも年収が上がり続ける「不況知らず…

年収1000万円超プレイヤーの自己投資術

この記事どうだった?

あなたのメッセージがTech総研に載るかも

あなたの評価は?をクリック!(必須)

あなたのご意見お待ちしております

こちらもお答えください!(必須)

歳(半角数字)
(全角6文字まで)
  • RSS配信
  • twitter Tech総研公式アカウント
  • スカウト登録でオファーを待とう!
スマートグリッド、EV/HV、半導体、太陽電池、環境・エネルギー…電気・電子技術者向け特設サイト

PAGE TOP