そのひと言に救われた…エンジニアが癒された瞬間

未曾有の大不況。ギスギスした話題が多いこのごろですが、そんな時勢でも温かいエピソードは生まれています。今回は、ちょっと心が温まる、職場で和んだエピソードを集めてみました。

（取材・文／総研スタッフ　タニー只野　イラスト／森のくじら）作成日:09.04.13

　全国のエンジニア200人にアンケート調査を行い、「職場で癒された瞬間」を聞いてみたところ、いちばん多かったのは「仕事がうまくいったとき」という回答。確かに、無事に納品やサービスリリースを迎えることが絶対条件とされているエンジニアの場合、プレッシャーから開放されたときの安堵感、達成感は何ものにも替えがたいはず。それではさっそく、エンジニアたちの心癒された瞬間を、テーマに分けてご紹介していこう。

システムのサービス開始前に徹夜でシステム調整を行い、なんとか終了が見えた朝方。夜明けの景色を見ながらコーヒーを後輩と飲んだとき、心からホッとしました。
（31歳　男性　既婚　金融系システムのプロジェクトマネジャー）

		システムのカットオーバーを翌日に控えた深夜のこと。実行プログラムにバグがあり、再処理しても間に合わないことが判明した。普段は管理しかしない上司が解析と復旧を手伝ってくれて、シェルで違うプログラムを"ささっ"と作り、無事にカットオーバーを迎えられたとき。（34歳　男性　既婚　情報システムの運用、構築）

		社内のすべてのプロジェクトで人出が足りなく、毎日残業が続いていた状態。ほかのPLがヘルプ要員を送り込んでくださった。どこのチームも大変な時期なのにとてもありがたかった。以前に私が他チームのヘルプをしたことがあり、そのお礼ということだったが、あのときほど仕事で愛情を感じたことはありませんでした。これをきっかけに人とのつながりの大切さを再認識させられました。（35歳　女性　独身　携帯電話ソフトウェアの評価）

		たまに終電より1時間程度早く終わったときは、他業務チームのメンバーと飲みに行き、情報共有や愚痴を言い合っている。（35歳　男性　既婚　通信サービス開発）

		頑固なバグが取れたとき。（32歳　男性　独身　ゲームソフト制作）

		口の悪いベテランの元上司が、文句を言いながらも自分の製品を予約してくれていることを知ったとき。（38歳　男性　既婚　家庭用ゲームソフト開発）

連日のサーバー復旧作業で疲れ果てていた年末年始、クライアント側の若手社員の人がコンビニで大量の食べ物を買ってきてくれた。一緒に食べて、もう一頑張りしようと元気を出させてもらった。
（34歳　男性　独身　インターネット関連雑務）

		景気後退で、部下は残業規制がかかっているため先に帰らせたが、トイレに行って帰ってきたら、「頑張ってください」のメモとお菓子がひとつ置かれていたとき。（38歳　男性　既婚　製品情報管理、生産管理システムの設計、導入支援）

		バレンタインデーに徹夜明けで会社へ戻ると、滋養強壮ドリンクが机の上においてあった。（29歳　男性　独身　流通業界向けの供給支援システム開発）

		「ついでだから」とよく仕事を手伝っている人から、「いつもありがとう。助かってます」と、机の上にラスクと缶コーヒーが置かれていたのを見たとき、なぜかとてもうれしかった。なんでもないことなんだろうけど、こういうことがうれしいのは、自分に余裕がないからなのかなぁ？と考えてみたりして……。（37歳　男性　独身　機械用の潤滑材の分析・評価）

		大きなシステム開発で別の会社の女性だったが、疲れた顔をしていたら「お疲れですね」とお菓子を差し出してくれたとき。（36歳　男性　既婚　システム設計、開発、運用）

昇格の準備で休日出勤しているときに、先輩から「君はもう一人前になったけど、これからは二人前を目指すように」といって、寿司詰めを二人前差し入れてくれたとき。
（28歳　男性　独身　半導体のシステム設計）

		セキュリティ施策はユーザの自由を制限することがしばしばで、不快に思う人も多く、理解されることが少ないが、「大変だね。いろいろ文句を言われるでしょ。がんばってね」と声をかけられて救われたことがある。（32歳　男性　独身　ヘルプデスク、社内ネットワーク保守運用）

		顧客から上司を通して、「よくがんばってくれている」と言われたとき。今までやってきたことが間違っていなかったな～と思った。（37歳　男性　既婚　空調設備のメンテナンス）

		本社営業の女性から「ファンになりました^^」とメールがきたとき。（37歳　男性　独身　出荷品の社内検査）

		トラブルを起こし、何日も遅くまで掛けて調査を行い、顧客へお詫びと原因説明に伺ったときに、もちろんたっぷりとお叱りを受けましたが、最後には「ここまで調べてくれてありがとう。大変だったでしょう」と言っていただいたとき。（37歳　男性　既婚　電力関連の制御装置の製品開発、設計）

		仕事が忙しいが、会社は赤字でいつ潰れるか不安に思っているとき、客先の担当者に「わが社に転職しないか」と誘われた。ちゃんと自分を評価していてくれる人が、社外にもいたことに非常に感激した。（35歳　男性　既婚　電気回路設計・システム設計）

新しく来た"やり手"とうわさのおじさんの席に、アヒルのぬいぐるみが置いてあること。機嫌のいい日はアヒルの首にバンダナが巻かれている。
（28歳　女性　独身　国際決済パッケージの導入・保守）

		中国国籍の人材がいるのですが、まだ日本語が難しいようで、質問ひとつするのもかなり大変そう。ある日、プログラムのコードを目で追いながら、日本語で「またお前か！」と呟いていた。（39歳　女性　独身　顧客向けシステム開発）

		ターミネーターみたいな先輩の壁紙がアイドルだった。（27歳　男性　独身　キャリアISPでのネットワーク監視）

		マネジャーのPCの壁紙が「いいちこ」だった。（37歳　男性　既婚　セキュリティコンサルタント）

		向かいの席の人がガンダムのフィギュアに話しかけていた。（29歳　男性　独身　発注用汎用機の管理）

		メールで不具合報告をしていた人が、最後に「以上」と書くところを間違えて「異常」と書いていた。（35歳　男性　既婚　家電製品のシステム開発設計）

		仕事のできない先輩から、横柄に仕事を頼まれたアシスタントの女の子。「あ～！　ムラムラする～!!」と呟いていた。「ムカムカだよ！」と心で突っ込みながらも、なんだかほほ笑ましかった。（35歳　男性　独身　新製品開発、品質改善）

		ソフトウェアで行き詰まったとき、組み立てのおばちゃんが「オラそういうの全然わからねえや」といいながら飴をくれた。（39歳　男性　既婚　カメラ、レンズ関係電子回路設計）

職場の喫煙室から外を眺めていると、保育園の散歩の時間で子供が並んで無邪気に歩いていた。見ていて和んだ。
（39歳　男性　既婚　システム部の事業部長）

		半年近くもあった根雪も消え、春を感じつつあったころ、ふと窓に視線を向けると兄弟のような猫が交互に毛繕いをし合っていた。（39歳　男性　既婚　システム開発における工程管理設計全般）

		毎日残業続きで家に帰ったとき、子供の手紙が置いてあった。「いつもご苦労さま」と書いてあった。（38歳　男性　既婚　システムの提案、設計、製作、保守）

		昼休みに敷地内に犬が迷い込んできた。まだ子犬で、しばらくは社員からゴハンを貰っていた。すぐに近所の人に貰われていったが、時々社内掲示板に写真が張られていた。6匹子供を産んだらしい。（39歳　男性　独身　半導体製造プロセス開発）

		目を休ませるために外を眺めていたところ、イノシシの親子が近くの空き地でたわむれていた。（36歳　男性　既婚　装置開発のプロジェクトリーダー）

　アンケート結果を見てみると、デスク周りを彩って癒しを充填するエンジニアの声も多かった。デスクにグッズを置くことが許可されている会社にお勤めの方は、参考にしてみてほしい。

▲張り紙
目の前に巨大フォントで「温厚」と書いた紙をはっておき、イラッとしたときにそれを見て心を落ち着ける。（31歳　女性　独身　コンサルティング）

▲キャラクターグッズ
リラックマのキイロイトリが好きなので、ペンや付箋紙など集めて会社の机に飾ってあります。個人的な観賞用なので、業務には使用しませんが。（39歳　女性　独身　顧客向けシステム開発）

▲デザイン文具
電卓や文具は使っているだけで楽しくなるようなデザイン重視のものに順次置き換えている。（36歳　男性　独身　変電所監視制御システムのソフト設計）

▲飲み物・お菓子セット
自分専用の飲み物（スティック状の粉末のコーヒーや抹茶ラテ、ロイヤルミルクティーなど）をデスクに常備しておく。引き出しにお菓子も。（35歳　男性　既婚　薬品開発）

▲観葉植物
小さい観葉植物をデスクに置いている。あまり水をやらなくていいのが楽でいい。（33歳　男性　独身　物流機械メーカーの機械設計）

▲フィギュア
機動戦士ガンダムシリーズのフィギュア。主としてシャア専用機。戦闘機（航空自衛隊）のフィギュアもある。（36歳　男性　既婚　生産部門の管理全般）

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タニー只野（総研スタッフ）からのメッセージ

同僚から「添付ファイルをご覧ください」と書かれたメールが届いたのですが、添付ファイルがありません。ハテナ？と思っていたら、直後に「添付忘れました」というタイトルのメールが届くも、内容に修正があったようで、すぐに「こちらが確定版」メールが。時間を置かずして「こっちが正しいです」が、最終的に「これが最後　エーンエーン」が届きました。何があったのかよくわかりませんが、混乱だけが伝わるそのタイトルに、ちょっと癒されました。