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現役コンサル、ファーム経営トップ、転職エージェントが語る 君で頼む!と言わせるコンサルタントになる方法
ITエンジニアが憧れるコンサルタント。彼らは優秀であればあるほど、「個人指名」で仕事を依頼されるケースが多くなる。こうした「売れるコンサルタント」になるにはどうしたらよいのか。現役コンサルタント、コンサルティングファーム経営トップ、転職エージェントの3つの視点から探っていく。
(取材・文/総研スタッフ 高橋マサシ)作成日:08.05.08
Part1 トップコンサルタントが語る「売れるコンサルになる方法」
 外資系大手コンサルティングファームで約50人からなるテクノロジーソリューション部隊を率いる中村潤氏。取材の冒頭で「この記事を読む中心的な読者像」を尋ねるなど、その豊富な経験に裏打ちされた心配りはまさに「売れるコンサルタント」。しかし、話の中身はとても人間くさいものだった。
現在のプロジェクトに関連した顧客の課題にも常に注意を払う
ベリングポイント株式会社 ディレクター中村 潤氏
ベリングポイント株式会社
ディレクター
中村 潤氏
 要件定義などから形のある「モノ」をつくるのではなく、コンサルタントの仕事は顧客の「あるべき姿」を考え、ミッションを明白にし、定義された目的の達成のためにプロジェクトを推進する。特に中村氏が率いるテクノロジーソリューションチームはCRM、SCM、ERPなどの部署との協働によるシステム間連携や、各業務のITとのつなぎ役にもなるという部署。システム化も視野に入れた業務プロセスのモデル化、サーチエンジンなどの導入によるパフォーマンス改善、システムの構成管理、将来的なIT投資計画支援など担当範囲は実に幅広い。
 そんな同氏が常々心掛けているのは、顧客の現状だけでなく先々の課題も探すことだ。

「お客様とのプロジェクト単位のお付き合いは数カ月から長くて1〜2年に及びますが、お客様の業務はその先もずっと続きます。担当プロジェクトに関して何かの悩みごとをおもちのことが多いので、問題点を整理して可視化し、複数の解決策を提案するようにしています。プロジェクト現場で信頼関係を築いていくと、現行メンバーでいつごろにこんなことをやってくれないか、と新たな課題に対して支援をお願いされることもあるわけです」
「Javaが得意」といったスキルの縛りをもたない
 中村氏の実例を紹介すれば、製造業の企業で文具や備品など間接材の購買システム導入のプロジェクトを担当していたとき。親しくなった顧客のリーダーが何げなく「直接材のシステム更改も取り組み始めたのだが」「関連会社との共同販売も考えている」などと漏らしたところ、中村氏は即座に社内外から必要な情報を集め、資料を読み込み、問題点を整理した1〜2枚のドキュメントを提出したという。この対応が新規案件の受注につながっていくのだが、言葉にするほど簡単なことではない。

「お会いするのは経営層、組織長、プロジェクト管理者、開発スタッフなどさまざまな立場の方ですので、課題はそれぞれに異なります。こうした方々に『相談してもいいかな』と思っていただくには、現場で信頼を築くしかありませんが、それには専門領域に関連した分野を広げる努力が必要になります。例えば、情報系に強い人が会計系に疎い場合もありますが、『情報化計画を立案しているが、ROIの指標はどう考えているの?』と聞かれたとき、普段から関連知識の蓄積努力をしているかいないかで随分と信頼感は変わってくるでしょう」
 中村氏は「Javaに強い」「セキュリティ分野が得意」などのように「何ができる」ということも大事ではあるが、それ以上にそこから飛び出すべく知見を広める努力を怠らない人が、優秀なコンサルタントになるという。
社外だけでなく社内でなすべきことも考える
 また、「社内で売れる」コンサルタントになることも、顧客との信頼関係に負けず劣らず大切だと言う。周囲から信用されれば自分を認めてくれる人が増え、何かのときに自分を指名してくれる。そのためには、きちんとした成果の報告や適切なトラブル対応といった「社会人の基礎」が、まさに仕事の基礎となるという。
「上司、プロジェクトマネジャー、メンターとの出会いも本当に重要。お客様との出会いで磨かれる部分も多いのですが、私は厳しいメンターをいかにして見つけるかが成長のポイントだと思います。まだコンサルタントとして駆け出しのころ、12月30日の夜11時になっても上司からいろいろと特訓されて(怒られて)いて、『3文字用語のCRMと今簡単にしゃべったけど、CRMって何だ?』と質問されてしどろもどろになったら、『本を何冊読んだ』と聞かれ、『1〜2冊です』と答えたら、もう、すべてを否定されました(笑)」

 その上司はそれ以上突っ込んで聞かなかったが、中村氏は年明けに自腹で本を20冊ほど買って、「死ぬほど読みまくった」という。「その上司がいなかったら、今の自分はない」と中村氏は振り返る。プロジェクトやチームの単位で人員の巡り合わせはあっても、こうした鬼のような(実は成長を期待してくれている)人を探す努力は必要ということだ。
「最も大切なのはお客様の『あるべき姿』を常に考えること。そのためには、自分の知らないことでも知ろうとするパッションを高く保つことです」
指名されるコンサルタントになる方法
Part2 コンサルティングファーム社長が語る「売れるコンサルの育て方」
 ウルシステムズを起業した漆原社長は、「指示待ちSEでも口だけコンサルでもない、お客様に最高の満足を届ける『プロの集団』をつくりたい」と語る。そんな同社が最も大切に考えているのが顧客満足度だ。それを支えるコンサルタントに求めるものと、彼らの成長をサポートする環境について尋ねた。
顧客満足至上主義が実現したリピート率90%以上
ウルシステムズ株式会社 代表取締役社長 漆原 茂氏
ウルシステムズ株式会社
代表取締役社長
漆原 茂氏
「弊社のリピート率は90%以上です。その理由はお客様の顧客満足を常に追い求めている姿勢にあると思います。企業ですから売り上げは大切ですが、金額を最優先するなら効率のよい大型案件ばかりを受注せよという話になる。そうではなく、お客様と長くお付き合いしながら、ずっとご満足いただき、両社が成長できる関係を続けたいと思っています」

 こうした同社の「DNA」は入社時から伝えられる。特に漆原氏が強調するのが、「顧客との信頼関係」「最先端に居続ける」「チームワーク」の3つだ。顧客との信頼関係を築くのはスキルだけでない。コンサルタント個々人の人間性も重要だ。技術の最先端に「居続ける」には業界や技術を常に学ぶ姿勢が必須である。良好なチームワークは社内、顧客、パートナー企業などとのバランスから生まれる。コンサルタント一人ひとりは「ピン」で立ちつつ、そのバックは組織や会社を超えた仲間たちが支えているという考えだ。
「仕事の方法論は人それぞれです。お客様のモチベーションを上げて関係をつくる者、多少厳しいことを言いつつプロジェクトを進める者、自分なりの勝ちパターンを見つければよいのです。そのためには難しいプロジェクトをクリアしながら『成功体験』を積んでいくしかない。そういう場と価値観を用意するのが会社の使命だと思っています」
本人に意欲があれば育つ環境は会社が用意
 コンサルタントを育てる環境とは何か。常にプライム案件を受注し、顧客とともに発注側にいる同社だからかもしれないが、それは、「面白い案件」「チームメンバー」「ノウハウの共有」になりそうだ。
「例えば、小さくて大変だけどユニークなプロジェクトにアサインする。経験が少なければ周囲にベテランを配置する。新しいことに挑戦していくお客様を紹介して、一緒に自由に動いてもらうこともあります。こういうプロジェクトで成果を出すには、前向きで成長意欲が高く、業務や技術など得意技をもっているチームが前提となりますが、幸いにも弊社にはそんなメンバーが多いのです。業務だけでなく、ITだけでなく、互いのノウハウを共有することでユニークな価値を提供できます」
 キャリアパスは、業務分析系、ITアーキテクト系、プロマネ系など多様だ。というより、興味のあるいくつかの資質を試させて各自の適性を考えさせているようだ。「その人に向いている資質を最大限伸ばすべきだ」と漆原氏は語る。コンサルタントにもさまざまな種類があるが、同社では各人に合わせて選ばせ、平等に評価しているという。
SEもコンサルタントもなく「プロ」であるべき
 同社はほとんどが中途採用者で、SEからコンサルタントへの転職者も多い。漆原氏は「SEもコンサルも区別なく、両方できて当たり前。そういうプロ集団をつくりたくて起業した」と語る。
「SEは指示待ちと言われるけれど、本当の『プロ』なら言われたことだけやって満足しないはず。自分なりの工夫もするし、成果や結果も見たいし、評価者である顧客の声も聞きたくなる。これらはコンサルタントの仕事です。実際にモノをつくってきた人がコンサルティング能力を身につけると強いですよ。できないこととできることがわかるので、口だけにならない。プロジェクトの実現可能性が格段に上がります。どんなコンサルタントだって最初は素人だったのですから、プロジェクト管理能力や課題解決能力などは後からでも十分身につけられます」

 よく「SEを卒業してコンサルタントへ」などと聞くが、同社にこの考え方はない。むしろ、技術屋のままコンサルティング能力を身につけ業務知識を蓄えて、顧客に「任せてください」と言えるITコンサルティングのプロを育成している。
「私は技術屋さんに、ぜひコンサルティングのフィールドに踏み込んでほしいと思っています。今後は経営と技術がわかるCIOを支える人、あるいはCIOそのものを弊社からどんどん輩出していきたいですね」
指名されるコンサルタントになる方法
Part3 転職エージェントが語る「売れるコンサルタントの採用事情」
 企業の求める人材像をよく知る転職エージェントから見た「売れるコンサルタント」とはどのようなものか。何らかの共通項はあるのだろうか。戦略系や業務系などの職務で分けたそれぞれの求人動向と併せて紹介する。
関連業界を含めた顧客の業界動向を常にチェック
株式会社リクルートエージェント ITカスタマーマーケット キャリアアドバイザー石田 真一氏
株式会社リクルートエージェント
ITカスタマーマーケット
キャリアアドバイザー
石田 真一氏
 石田氏によれば、顧客企業が再度同じ企業にコンサルティングを依頼するケースは少なくなく、当初は二次請けで入ったものの、追加案件を一次請けで依頼されるケースもあるそうだ。これらの要因には最初の案件を担当したコンサルタントに負うところも大きく、シニアマネジャーの上のパートナークラスになると、売り上げ額など年間の数値目標をもつケースも珍しくない。こうしたトップコンサルタントには3つの共通点があるという。

「まずは『業界への認識度』です。金融や流通などクライアントの業界は多種多様で、それぞれに業務の内容やプロセスが異なるため、関連業界の動きを含めた担当業界をどれだけ熟知しているかが重要になります。ひとつの案件が成功すればその企業から同業他社を紹介される場合もあるので、業界知識は大前提です。2番目は、社内のキーパーソンを見つけて協力を得るための『顧客企業に対する精通』です」
プロジェクト成功のカギは社内のキーパーソン
 コンサルタントはいくつかの職務に分かれるが(下表参照)、共通しているのは業務や組織などの改善・変革に携わる点だ。近年の企業はERPやSCMなどのコスト削減を主体とした案件から、SFAやCRMなど売り上げ増を目的とした、「付加価値」を求める傾向にあるという。一層必要となるのが、経営層や情報システム部門を問わず、問題点を社内に広く認識させ、課題解決の協力者となるキーパーソンの存在だ。
「その人物の発言権が弱かったり、意見を言うのが得意でない場合などは、しかるべき会議を設定し、反対意見に対する根回しを行ったうえで組織を動かす場合もあるようです。社内のすべての人が、業務改革やIT導入に積極的とは限りませんから」

 3番目は関係者の懐に入って信頼を得る「人間力」だそうだ。プロジェクトを円滑に進めるためには、多くの人と信頼関係を構築し、的確なアウトプットを出すことが欠かせない。成果を確実に出しているコンサルタントは誰もが勉強家であり、バイタリティーと同時に、人の思いを真摯に受け止める能力が高いと石田氏は語る。
「人間力のある人は面談室に入った瞬間にわかります。ビジネスだけでなくさまざまな分野に見識があり、話が魅力的です。一口に言えば『光っている』のです」
求人ニーズが高いのはIT系の業務コンサルタント
 最近の求人事情はどうだろうか。コンサルタントを下表のように大別すると、企業の求人数ではプロマネ系、パッケージ系、ITアーキテクトが多く、ITアーキテクトは「システム全体の戦略」から入る場合が全体の約3分の1、次の「基本構想」から入る場合が残りの3分の2だという。また、有効求人倍率で圧倒的に高いのが業務系、特にIT系のコンサルタント。少ない登録者に対して企業のニーズが多いためで、SEなど開発職出身者もターゲットになっている。
「年齢的には、SI企業からの即戦力となるコンサルタント求人が急増しています。経験豊富で折衝能力にたけ、顧客企業の環境や力量に合わせて対応できる方を求めているのでしょう」
 瞬間的に力を発揮する営業職とは別の能力が必要で、コンサルタントは数カ月から数年にわたって多くの部署・分野の関係者と接し、「あるべき姿」を考え続ける仕事。トップコンサルタントになるのは簡単ではないが、努力を惜しまなければ道はあるはずだ。
職務別によるコンサルタントの担当範囲
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高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ 高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ
くしくも、というか当然なのか、皆さんのご意見には重なる部分が多くありました。加えて、それを日々実現することの難しさといったら……。ただ、コンサルタントの仕事がロジックや業務知識一色の頭でっかちではなく、人間を相手にした泥臭いものであることに、改めてその醍醐味を感じました。

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