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20代最後の戦略的な転職でその後の10年が変わった 会社を移り変わる連続だったK.Yさん
28歳までに会社を2〜3年ごとに移っていたK.Yさん。ところが4回目に入社した企業には、10年たった今でも働き続け、キャリアアップも果たしている。今回は、あきらめずに新天地を求める読者へのエールとしてお届けしたい。
(取材・文/中村伸生 総研スタッフ/山田モーキン)作成日07.12.10
何事も、何度も同じ失敗を繰り返すと、チャレンジする意欲が失せるものだ。転職活動も例外ではないだろう。だが、転職は一生を左右することから簡単にあきらめてはいけない。やり方や考え方を変えてトライしていただろうか。焦って、目の前の話に飛びついただけの活動ではなかったか。転職で一度でも失敗したことがある読者にこそ、今回のケースは参考にしてほしい。
Profile ソフトウェア開発企業 プロジェクトリーダー K.Yさん(37歳)
専門学校を中退して入社した企業はIT業界ではなかったが、趣味でプログラムをかけたことから、社内システム開発のプログラマとして採用された。その後、間に2社を経験して現職。
転職前
(SE・27歳)
転職後
(プロジェクトリーダー・37歳)
年収380万円(残業手当込み) 給与 年収620万円
1日9時間前後
はっきり言って暇だった。
勤務時間 8時間〜14時間/日(土・日はほぼ休み、カットオーバー前の忙しい時期は深夜残業も)
のんびりとした社内SEらしい環境。 職場環境 入社時は100人の会社。それが10年で1000人超の企業に。環境も大きく変わった。
人間関係は良好。だが、業績が思わしくなく、部署を離れると居づらい雰囲気。 職場の
人間関係
部下が常時十数人。プロジェクトリーダーとして若手からの信頼も厚い。
社内SEとして資材管理システムを手掛ける。 仕事の
中身
公共系システムの開発プロジェクトで、プロジェクトリーダーを務める。
フラットなチームなので、指揮系統は中途半端。 仕事の
進め方
クライアントや元請けのプロマネと協議し、開発工程を任される。
今回の注目!
1人のSE。 仕事の役割 開発マネジメント以外にも、リーダーとしてメンバー育成やコーディングの規約を作ったりもする。
転職前編 気がつけば、7年で3社も経験していた。
専門学校を中退し、最初に入社したのがIT業界ではないA社。趣味でプログラムを組んだことがあったので、プログラマとして採用された。ところが3年程度で経営状況が悪化。給与の遅配が目立ち始めた。いよいよ危ないと思ったときに、渡りに船のようなタイミングで友人の紹介があったことからソフト開発専業のB社に転職した。

1度目の転職先であるB社は、小規模のソフトハウス。ひ孫請けの零細ゆえ、経営は常に不安定。入社時点は人手が足りなかったようだが、1年ほどで開発業務がなくなり暇になった。会社に行っても無駄な時間を過ごすだけ。肩身が狭く居づらくなってきたときに、プロジェクトで知り合った知人から新たな転職先の紹介があったので、3年目を待たずして辞めた。

2回目の転職先は、設備施工会社C社。情報システム部で社内システム開発の要員として採用された。ところが2年もたたないうちに業績が悪化。会社全体が売り上げを落とす中、間接部門である情報システム部の存在理由は小さくなる一方だった。そしてとうとう、システム部門の規模縮小が決まった。営業部門への異動を言い渡されたが、ソフト開発の経験しかない私にとっては、肩たたき同然だった。
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転職活動編 だんだんと、転職活動で賢くなっていった。
今度こそ、腰を落ち着けて働ける企業に入りたいと、心底願った。同じようなことを、もう繰り返したくない。そこで、安易に目の前の話に飛びつくのはやめようと考えた。そして、今度こそ焦らず、じっくりと転職先を探そうと思った。

と、言っても、何をすべきかわからない。そこで職安に行ってみた。当時はまだまだ平成不況と言われた時代。魅力的な求人票は見つけられなかった。仕事内容でピンときた会社は幾つかあったが、調べても経営面で安心できる会社であることが確認できなかった。このまま応募して入社できたとしても、また経営が傾くことになりかねない。では転職情報誌はどうかと思って買ってみたが、応募資格が厳しくて、どの会社もハードルが高そうに見えた。

ただ、転職情報誌に書かれてあった転職ノウハウは役立った。自分の市場価値を正しく見せるために、キャリアの棚卸しをすることが有効と書かれてあった。そうした指導に従って職務経歴書を充実させた。また、自分ができること、できないこと、したいことなどが明確になって、漠然としていた転職活動がクリアに見えてきた。
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そして最後の手段として、思い切って転職エージェントに電話をかけてみた。すぐに会うことになり、こちらの話を聞いてくれた。要望としては、オープン系のソフト開発がしたい。多少の実績もある。何よりも経営が安定しない零細の開発会社は嫌……などと言った内容である。 同じ失敗を繰り返したくないという思いから、こちらの希望を理解してもらえたかを確認した。 その結果、「K.Yさんにぴったりの企業がいくつかあります」とのこと。
本当か? 耳を疑ったが、最初に紹介されたD社の資料を見せてもらい、早速面接に臨むことになった。

面接はスムーズに進んだ。大手SIerから依頼される案件が多い、二次請けの開発会社だった。クライアントは大手企業や官公庁ばかり。公共系のシステムが得意のようだ。なるほど、ここなら経営は安定していそうだと思った。エージェントがよく理解してくれていたことに思わず感心した。

そして何と、このすぐ後に、「D社から内定をいただけました」という連絡がエージェントから届いた。じっくりと打ち合わせをした末に紹介してもらった企業だったことから、安心して「お願いします」と返答した。
転職後編 思いもよらなかったキャリア、ポジションを築いていった。
これで腰を落ち着けてオープン系のソフト開発ができると思ったのもつかの間。最初に配属されたのは汎用機系のプロジェクト、しかも運用業務だった。「話が違うじゃないか!」と憤ったが、ここですぐに辞めてしまえば、また振り出しに戻ってしまう。ほかの案件に移ることも考えられるので、とりあえずは我慢しようと思った。

我慢を続けたのは数週間だった。やっぱり辞めた?……いやいや、運用業務の中にも、細かいソフト開発業務があって、これはこれで面白い。数週間で大きな不満もなくなり、月日が過ぎていった。

1年半後、担当していたシステムの大幅な更新案件が持ち上がった。オープン系でシステム全体の再開発をするというプロジェクトである。そして、そこに開発メンバーとしてアサインされた。いよいよ、オープン系の開発ができる。そう喜びつつ、この1年半を振り返ってみると、いい助走期間だったことに気がついた。業務やアプリケーションの知識を運用で完全に把握できていたからだ。開発は1年と少し。タイトなスケジュールだったが、運用時に身につけた業務知識が大きく役立った。カットオーバー時は、思ったとおりの充実感があった。
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気がつけばD社に入社して3年。メンバー数人を率いるチームリーダーになっていた。ひとつの会社に落ち着けなかった以前の自分を思うと、雲泥の差だ。仕事にも力が入る。

それからまた数年。Webシステムの開発にも取り組んだし、Javaの開発スキルも習得した。自分で言うのも変だが、ソフト開発エンジニアとして、まさに水を得た魚のように活躍することができた。そうした好循環からか、34歳のときには、なんと課長に抜擢された。仕事でもプロジェクトリーダーを務めるようになっていた。クライアントや元請けのSIerと上流工程で協議することも多い。その後に設計からコーディング、テストまで自分のチームで引き受ける今の立場はやりがいが大きい。収入も順調に増えていった。ひとつの転職で、自分の可能性がこれほど広がるとは……、焦って転職先を探していた20代のころは想像もつかなかったことである。

そんなある日、マネジャーへの打診があった。ところが素直に喜べない。むしろ困惑した。理由は、マネジャーというポジションはD社では各プロジェクトの統括職の色が濃く、開発現場を完全に離れることになるからだ。自分にとっては組織マネジメントよりも、まだまだ開発の醍醐味を味わいたいのである。開発職としてステップアップするキャリアパスは、D社にはない。そして、昇進を断ることは会社にとって好ましいことではないようだ。10年ぶりの転職を、今、真剣に考えている。
K.Yさんの転職考察 転職は、「とりあえず明日から何とかなればいい」では失敗する。
転職して良かった点
・ソフトウェア開発専業なので、地に足がついた感覚で開発に取り組める。
・順調にキャリアアップし、ポジションが築けた。
・待遇面も順調にアップした。
転職して悪化した点
・残業が増えた。
・責任のある仕事やポジションを任されて、プレッシャーを感じる。
転職で失敗を繰り返してきたK.Yさんは、転職エージェントの専門サービスによって、ようやく満足のいく転職ができた。だが、転職はエージェントの力を借りるべきだと結論付けるのは早計だ。自ら転職サイトで応募先を探すメリットとしては幅広い企業へのアプローチが可能だし、知人のツテを頼れば耳寄りな話が聞けたり多少の融通が利いたりするかもしれない。それぞれにメリットがあるのだ。要は、そこに自分なりの確かな判断基準が必要だということである。
最も避けたいのは、「とりあえず明日から何とかなればいい」という、目先のことしか考えない転職である。そして、一度や二度の転職の失敗でエンジニアとしてのステップアップをあきらめてはいけない。いくら転職しても状況が好転するわけではないというマイナス思考も、チャンスを逸する。チャレンジを続けた末の最適な転職が、その後の展開を大きく変えることは、K.Yさんのケースが何より証明しているといえるだろう。
今回の転職ノウハウ:転職で負け癖がついたと思ったら、方法を変えてみる。そして、焦らずに応募先を見極める。プロの手を借りることも有効。
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