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最先端ネットワーク世界のカリスマプログラマであり、CGアーティストでもある富田拓朗氏。情報世界と現実世界の融合に挑戦し続ける電通大教授、稲見昌彦氏。SF好きを自認する2人の“クレイジーエンジニア”に、技術の夢を存分に語って頂いた。
(取材・文/川畑英毅 総研スタッフ/宮みゆき 撮影/栗原克己)作成日:07.10.23
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10月某日夜、富田氏のオフィスで、2人の“クレイジーエンジニア”の対談を挙行。この日が初対面というお二人だが、お互い「一度お会いしてみたかった」と言うだけあり、最初からテンションは高め。まずは、対談場所でもあるコードクリード社打ち合わせスペースのオーディオセットにかかる、富田氏秘蔵のレコードから話が始まった。
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注1:昔の電話ボックスのような外見の「疑似体験装置」。中に入って「もしも……だったら」などと指令すると、その通りの世界を体験できる。
注3:原作はP・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」(1968年)。映画は1982年に公開され大ヒットした。 |
「攻性防壁」は、攻殻機動隊に登場するハッカーの電脳を焼き切るプロテクト技術。現在、zigsowのCTOである田中一秀と一緒に人工知能の技術を応用して、その研究開発を行っています。 現時点では「攻性防壁」というよりは「身代わり防壁」という段階。クラッキングされたときにシステムの身代わりになって、やられてくれるという健気なテクノロジーです。攻撃パターン等を動的解析し、その傾向をグルーピングし、リアルタイムでそれに対して対応を行うという仕組みで、人工知能というなかなか新しい具体的用途を見いだしにくい技術をふんだんに応用出来ることが開発の面白味でもあります。将来的には応用系として「攻撃を受けたらやり返す」くらいのシステムにまで発展させても面白いかと思っています。 アニメ中に登場するそのものという訳ではありませんが、今後確実に必要不可欠な技術になると思ったら、つい、やり始めていました。もともとコードクリード社として研究していたのですが、田中がJOINした事で開発が一気に加速しました。 今現在はα版のレベルで、唯一の問題点は、ネットに迷惑を掛けられないので広域実験が行えないこと。どこかの大規模研究所と共同でやれればいいなと思っています。 「ヤッターマン」の魅力は、なんと言っても「今週のビックリドッキリメカ、発進!」。ヤッターメカもさることながら、三悪(*6)が毎回、インチキ商売をしながら作ったオリジナリティ溢れるロボットが大好きでした。ボヤッキーは憧れの研究者の一人です。 今週のビックリドッキリメカ(ゾロメカ)には、研究の観点から大変注目しています。現在研究中の災害のためのレスキューロボットシステムはゾロメカ的な発想で、データ通信を相互に行いながら多数のロボットが被害者の探索を行えるようなシステム構築を考えています。シンプルな機能を持つロボットを大量にという発想は今なお斬新です。 インタフェース/コックピット系研究者としては、三悪のメカのラグジュアリな内装と「おだてブタ」をはじめとする物理エージェントベースのユーザインタフェースには大変惹かれます。もちろんこちらは、通常の大学の研究費では絶対構築出来そうにないので、それこそ何かインチキ商売の上がりで製作するのが正しいファンのあり方と言えるでしょう!(笑) 注6:ヤッターマンの敵役、ドロンジョ、ボヤッキー、トンズラーの3人。ボヤッキーはメカ・作戦担当。 |
上に紹介したほかにも、「20世紀の技術論」から「感動は伝達できるか」、さらには思考のプロセスや読書法まで……。2人の“クレイジーエンジニア”のお話は、夜遅くまで熱心に続いた。聞いていて感じたのは、お2人とも技術や夢の「ときめき感」を熱く抱き続け、それが研究開発の強い原動力になっていること。「未来」が不確かなものに見える今だからこそ、そんな熱い思いがますます重要になってきているのかもしれない。 |
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