職場もお仕事も社員もやっぱり、はてな？

2年目を迎えたテックハニーは、装いも新たにリニューアル！　よりパワーアップした新生ハニーを待ち構えていたのは、一見普通の職場の裏に隠された数々のユニークな「？」を秘めた場所だった……。

（取材・文／宮尾有希　総研スタッフ／山田モーキン）作成日：07.03.23

「エンジニアにとってこれ以上ない、理想の職場を探し出すこと」を使命に、鋭い突っ込みと癒しの笑顔を使い分け、その職場の特徴を浮き彫りにするＴｅｃｈ総研公認レポーター。
家電やモバイル製品など最新の技術に関心が深く、さらにアニメやゲームをこよなく愛する“アキバ系”の素顔には、エンジニアとの共通点も多い。
そんなテックハニーも２年目を迎え、衣装も新しくパワーアップ。毎週エンジニアのことを学習しているハニーブログも深みを増すテックハニーから、今年も目が離せない!?

天然のはちみつに、“きゃんち”の癒しの想いが込められた、程よい甘さのキャンディー。
効能：疲労回復　モチベーションアップ

　エンジニアの皆さん、こんにちは。早いもので、テックハニーも2年目を迎えました。衣装も変わって、今回からは気分一新です。
　この１年、いろいろな企業さんを訪問した経験を生かして、今後はより深く！　わかりやすく！　皆さんに魅力的な職場をご紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いします♪

　さて、本日突撃するのは、キーワードリンクできるダイアリーなどでおなじみのネット企業さん。そのウェブサービスと同じくらいユニークな職場なのだとか。では、いってきます☆

2001年に京都府にて有限会社として設立され、2004年に株式会社へ組織変更。人力検索サービス「人力検索はてな」やブログホスティングサービス「はてなダイアリー」をはじめとするユニークなインターネット関連サービスを開発・提供している。代表取締役は近藤淳也氏。

http://www.hatena.ne.jp/

今回ターゲットとなるエンジニアは開発者の舘野祐一さん。システム開発会社から１年前にはてなに転職を果たした当初は戸惑ったというが、現在は「面白いものを作る人」としてしっかり地位を築いている。はてなのスタッフブログではid：secondlifeとしておなじみ。カラオケやウクレレをたしなむ多趣味な側面も。

きゃ：	こんにちは、テックハニーきゃんちです。さっそくお仕事内容を教えていただきたいのですが……、この左の写真(①)はなんですか？
舘野：	これ、毎朝の立ちミーティングです。月曜は全員で掃除をするのですが、それ以外は毎朝８分間英語で会話する時間があります。クジを引いてグループを作り、ひとりがスピーカー役としてメインで話すんです。
きゃ：	英語で会話！　かっこいい☆　それは、英語力を向上させるためなんですか？
舘野：	最近はコミュニケーションを取り合うためのものですね。プライベートのことも英語だとドライに話せますから。たまに新しい単語を覚えたりできるから、英語力アップにも貢献しているとは思います。
きゃ：	そして、真ん中の写真(②)が、おなじみの「はてな」ウェブサイトですね。舘野さんから見て、この「はてな」サイトの魅力ってなんでしょうか。
舘野：	ユーザー同士が横につながれる仕組みがあることです。特徴的なのがキーワードのリンク機能。この横のつながりを発展させるサービスを考えるのが難しいんですよ。
きゃ：	具体的には、舘野さんはどんなお仕事をなさっているんですか？
舘野：	いろいろなサービス機能の一部を改正したり、新しいサービスを考えたり、技術者にとって便利なツールを作ったり、いろいろですね。
きゃ：	ちなみに満足感の高かったお仕事はどちらでしょう？
舘野：	はてなダイアリーのウクレレ記法です！　ウクレレのコードを並べるだけでちゃんとした譜面に出力されるという、珍しい機能なんですよ。ユーザーの方からは「いい意味でバカ」「使う人が限られる」と賛否両論でしたけど（苦笑）。
きゃ：	確かにそうかも（笑）。そういう企画もされるんですね。
舘野：	企画者とかプログラマとかの区別はありません。面白いことを思いついたら、口頭で発表したり、グループウェアに書いたりすれば、みんなが俎上（そじょう）に載せてくれます。
きゃ：	じゃあ、企画書を作って、要件書を……っていう手順がないんですね。何十万人に使用されているシステムなのに。
舘野：	そうですね。でも、はてなを通じてサービスを発表すると反響が大きいので、毎回やりがいと同時にプレッシャーも感じていますよ。
きゃ：	そしていちばん右の写真(③)は……なにやら組み立てていましたよね。
舘野：	あ、あれはサーバを組み立てているんです。自作すると安く上がるから（笑）。
きゃ：	開発から企画、サーバの組み立てまで（笑）。細分化されるより、そのほうがお仕事全体に愛着がわくかもしれませんね。ホント、ユニークです。

きゃ：	職場環境についてお伺いしたいので、左の写真(①)にご注目を。ずいぶんガランとしたオフィスですよね。
舘野：	水曜ですからね。うちは水曜と土曜、どちらでも好きなほうを休んでいい制度なんですよ。水曜は自宅作業も可能な日ですから、人が少なくて。
きゃ：	平日しかできないこともあるから、いい制度ですよね。舘野さんのデスクはどこですか？
舘野：	特に決まってません。「毎日違う机に座ること」という決まりがあるので。
きゃ：	えーっ！　じゃあ、お気に入りの場所を取るために早く来たりするんですか？
舘野：	そういうときもあります。集中して作業のできる静かな部屋も奥にありますよ。席が変わると、気分も変わるんですよね。
きゃ：	そうそう、オフィスの片隅で非常食を発見しましたよ。カップラーメンとお菓子！　福利厚生なんでしょうか、ちょっと体に悪そうです（笑）。そして真ん中(②)の写真は、シリコンバレーにいる社長さんから定期通信ですね！
舘野：	そうです、顔を見ながら話せます。テックハニーさんのこと、ちゃんと向こうにも見えてますよ（笑）。
きゃ：	お忙しい中、こんな撮影にお付き合いいただいてすみません！　とても気さくな方でほっとしました。ありがとうございます。
舘野：	で、右の写真(③)は畳のスペースですね。会社に昼寝制度があって、眠くなったらちょっと横になって寝てもいいんですよ。畳がない時代は社長が床で普通に寝てて、入社したばかりのころはビックリしましたよ。
きゃ：	いや～、昼寝用に畳があるのだって十分ビックリですよ（笑）。社長さんが率先して昼寝制度を使っているのもビックリだし。変わってると思いますよ。
舘野：	私は中途入社なのですが、最初は本当に変な環境だなと思いましたよ。ミーティングはざっくばらんだし、スターウォーズのライトセーバーを振り回して遊んでいる取締役はいるし。慣れてしまうと、すごく居心地がいいんですけど。
きゃ：	それ、舘野さんも変わり者なんですよ（笑）。

きゃ：	さて、今までお仕事内容、職場の環境とご紹介していただきましたが、気になる人間関係はいかがでしょうか。
舘野：	社長と取締役の面々が上司にいますが、部長や課長という役職はありません。エンジニアとデザイナーのトップにチーフがいて、それ以外のスタッフはフラットな立場です。上下関係の縛りはありません。取締役とも一部タメ口だったりします（笑）。
きゃ：	先ほど私も英語ミーティングに参加しましたが、皆さんフランクというか、個性的ですよね（笑）。特に上司がいないということは、スケジュール管理はどうなさっているんでしょうか。
舘野：	進捗は自己管理ですよ。自社サービスなので、納期も自分で決めて、でき上がったらリリースします。あとは「はてなグループ」というグループウェアに、今やっている仕事について細かく書き込むのが、進捗報告を兼ねていますね。営業やデザイナーを含めた全員の進捗が読めるので、誰がどんな仕事をしているのかは、わかるんです。
きゃ：	個人の裁量でできる範囲が大きいんですね……珍しいシステムだと思うのですが、転職した当時は、戸惑いませんでしたか？
舘野：	最初のうちはどういうコミュニケーションの取り方がベストなのか、どう仕事を提案して進めていけばいいのか、手探りでした。今は、なんでもズバズバ言っていい社風だとわかったので、問題ないですよ。
きゃ：	ほかの人のお仕事にズバッと言うこともあるんでしょうか。
舘野：	ありますし、逆にきついことを言われることもあります。でも、私の仕事に関心があるからこそ言ってくれる、貴重な意見ですから。前向きに受け止めて昇華させなければもったいないですよね。
きゃ：	ポジティブですね、私も見習わなきゃなあ。でも、そういう社風に、向いていない人もいるかもしれませんよね。
舘野：	自発的にアイデアを提案しないと仕事がないので、指示を待ってしまうタイプの人は向いてないでしょうね。
きゃ：	ほかに、「はてな」さんのスタッフならではの共通点はありますか？
舘野：	みんな個性はバラバラだけど、人の話をきちんと聞くし、根本的にモノづくりが大好きだし、やるべきときはすごい集中力を発揮できる人たちだと思います。
きゃ：	メリハリが利いているんですね。皆さん自分で自分を管理してて、すごいです☆　舘野さん、今日はありがとうございました。これ、ハニー“きゃん”ディーです。社長さんが帰ってきたら、お渡しください。
舘野：	ありがとうございました。これ、はてなオリジナルパーカーです。よろしければ、どうぞ。
きゃ：	すごい、かわいいっ！　さっそく着て帰ります♪

はてなを通して、大勢の人たちが「面白い！　便利だ！」と思って使ってくれるサービスを作ることが、一番の目標です。エンターテインメントでも、便利なツールでも、今までになかったものでも、ジャンルにはこだわりません。
技術者としては「あいつすごいもの作ったな」と言われたいですね、やはり。将来的な野望は、独立したいとはあまり思わなくて、いろいろな人を楽しませるものが作れる環境に常に身を置いていたい。今日、お話ししていて、自分はモノをつくること、技術的に面白いことを探求することが本当に好きなんだなと改めて実感しました。

日本の普通の会社からすると「変な人？の集まり」という感じがしました（笑）。でも、すごく楽しくて働きやすそう。みんな個性が強くて、バラバラに見えるのですが、実はひとつの方向をちゃんと目指しているんですよね。写真を撮らせていただいたときも「みんな協力しようぜ！」「イエーイ！」っていうノリで、楽しいのにビシッとされていて。自由な職場なのに、皆さんのモチベーションが高くて、素敵な職場でした。
１年間、会社訪問してきましたが、まだまだいろいろな会社があるんですね。気を引き締めて、これからも頑張りたいです！