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イーシー・ワン、CODE CREEDのカリスマ社長が右腕にしたい人材とは(2)  C言語 vs Java『究極のレジュメ』自己PRはどう書く?
今回はC言語とJavaを重視して採用しているベンチャー企業がほしがる人材像に迫る第二弾。今回は「希望条件」「自己PR」「キャリアプラン」について、明らかにする。カリスマ社長が採用したいと思う「究極のレジュメ」を紹介しよう。
(取材・文/中村仁美 総研スタッフ/宮みゆき)作成日:06.07.19
 前編に引き続き、求めるJava技術者、C技術者の人材像を語ってくれたのは、イーシー・ワン代表取締役社長の最首氏と、元セーバーホールディングス代表取締役チーフ・アーキテクトで、今年8月に新会社「CODE CREED」を設立した富田氏。それぞれの事業戦略を推進するために不可欠な技術スキルとして、イーシー・ワンはJava、CODE CREEDはC言語を挙げる。前回ではこれらの言語スキルと共に、理想の職務経験などについて明らかにしてきた。

 両社とも必要なのは技術スキルだけではない。ビジネススキルとしてイーシー・ワンでは「ビジネスマインド」、CODE CREEDでは「リーダーシップ」のある人を求めている。これらの資質は決して特別なものではなく、ソフトウェア業界で求められている普遍的なものである。

 リクナビNEXTスカウト「自己PR」「キャリアプラン」は、これらの資質に長けているかどうか、見分けられるポイントとなる項目である。カリスマ技術社長は、どんな記述に関心を示すのか、希望条件とともに理想の人材像の資質面を明らかにしていこう。
株式会社イーシー・ワン 「技術力」+「ビジネスマインド」のある人を求める
事業概要 Javaを使ったシステムの開発(業務設計、要件開発〜保守・運用支援まで)とITガバナンスやプロセス、標準化などのコンサルティングサービスを提供。またEJBなど、再利用できるソフトウェア部品「cBank」関連の自社製品の販売、保守、導入支援、教育研修など、プロダクト・サービスも手掛けている。
PROFILE
代表取締役社長 最首英裕氏
代表取締役社長  最首英裕氏
1961年、神奈川県生まれ。85年、早稲田大学第一文学部卒業後、エイ・エス・ティ(現アイ・ティ・フロンティア)に入社。97年、米Spyglass日本代表就任。98年4月、イーシー・ワン設立、取締役副社長就任。2004年、現職に就く。2001年5月に創設されたEJBコンポーネントの再利用を促進する「cBank」の普及にも積極的に取り組む。
CODE CREED Cでゴリゴリとコアプログラムを書きたい人を求める
事業概要  動画や音声など携帯電話向けのコンテンツの変換技術、配信管理システムなどの開発を行うセーバーホールディングスの元代表取締役チーフ・アーキテクトの富田拓朗氏が、2006年8月に設立。システム構築を含むコアプログラミング、コアメソッドの研究開発型企業。エージェント型人工知能や純国産のコーデックをはじめ、将来的な組込みOSの開発なども手掛けていく予定。
PROFILE
富田拓朗氏
富田拓朗氏
1971年、父はアートディレクター、母はファブリックアーティストという家庭に生まれる。6歳でTK80BSを組み立てる。21歳で起業。外資系企業、金融システムを手がけるシステム企業取締役を経て、99年セーバー設立。2005年、セーバーホールディングス設立と同時に、代表取締役チーフ・アーキテクトに就任。2006年7月、CODE CREED設立。
取材協力 リストランテASO
それぞれの求める人材をレジュメに落としてみると……
希望条件 転職意欲については、企業の採用したい人物像によって二極化
イーシー・ワン
転職意欲 積極的に多くの企業と会いたい
業種 IT・通信系
従業員数 101〜500名
職種 プロジェクトマネジャー(Web・オープン系)
勤務地 名古屋市
年収 750万円
最首英裕氏  会社を辞めたいと思っている人に興味がある。なぜ、辞めたいのか、何を求めているのか、聞いてみたいと思うからだ。希望の勤務地を名古屋としたのは、新しくオフィスの開設を予定しているからだ。その他、北海道、九州など地方土地との連携の強化を図っているので、東京ではなく、むしろ地方を志向している人をターゲットにしたいと考えている。年収は現在の年収プラスアルファぐらいを希望するのが妥当だろう。
CODE CREED
転職意欲 まだ積極的には考えていない
業種 IT・通信系
従業員数 51〜100名
職種 ソフトウェア設計開発(制御系)
勤務地 東京23区
年収 1000万円
富田拓朗氏  転職意欲が非常に高く、さらに転職経験が複数回ある人は、落ち着いてモノをつくれない人であることも多い。当社では細部までこだわってモノづくりをしていきたいので、限りなく転職意欲のない人を中心に、チェックしたい。職種はソフトウェア設計開発(制御系)もよいが、当社は研究開発型企業なので、研究(ソフトウェア・ネットワーク)を志向している人もフィットすると思う。希望年収を1000万円としたが、それだけの価値がある人ということ。自分のバリューを正しく評価できているかどうかは、ここで試される。
自己PR 客観的かつ具体的に、これまでの経験とそこで得たものについて書くのが得策
イーシー・ワン
自己PR  前職では証券会社を中心に、金融系システムの開発に携わってきました。そのため、金融業界、特に証券業界における業界・業務知識については、一とおり習得できたと思います。金融系システムでは他の業界よりもより高い信頼性、可用性、安全性が求められてきました。そこで培った経験は、他業界のシステムにおいても生かせることができると思います。

 興味のある分野はセキュリティ。某トレーディングシステムにおける認証システムの開発に携わったことで、さらに関心を強く抱くことになりました。高いセキュリティを確保しながらも、ユーザーにとって使い勝手のよいシステムを開発し、顧客のビジネスの成功を支援していきたいと考えています。
最首英裕氏  自己PRでは、得意なことについてなるべく具体的に書くとよいと思う。その分野でどんな実績を残してきたのか、そしてその経験を基にこれからどんなことに携わっていきたいと考えているのか。そういうことが書かれていると、本人の意思が感じられるので好感がもてる。しかしながら、自己PRはあくまでも参考程度。当社がレジュメで重視するのはあくまでも職務経歴だ。自己PRよりもむしろ、職務経歴をしっかり、書いてほしい。そこさえ見ればどのような実力を持っている人か、ある程度、判断できると考えているからだ。
CODE CREED
自己PR  大学で数理学を専攻した後、社会人になってからは総合電機メーカーの研究所で、動画圧縮エンジンの開発やマルチメディア・コーデックに関する研究に一貫して、携わってきました。現在は、次世代車載方映像機器のエンコーダの制御アルゴリズムの理論的解析や、より高性能な動画圧縮アルゴリズムの開発を担当しています。現在のプロジェクトは完成車メーカー、部品メーカーとの共同開発。30代前半という年齢ながら、私は自社側のプロジェクトの責任者として5人のメンバーの統率を任されております。

 マルチメディア・コーデックの分野は、技術的にまだまだ性能を追い求められる余地があると思います。より高性能なものをいち早く市場に提供したいと思い、日々研究開発に取り組んでいます。
富田拓朗氏  自己PRは、淡々とこれまでの経歴について書いている人に興味を抱く。よく、自己PR欄に「貴社に入ったら、これまでの経験を生かしてこんな風に頑張れる」「何事にも頑張れる」という貢献のイメージを書き連ねている人がいるが、あまりよい印象を受けない。だからといって、控えめに書く必要もない。1のモノは1に、100のモノは100に自分の評価を正しく捉え、伝えられていればそれでよい。淡白とも思えるぐらいのほうがむしろ凄みを感じる。あまり熱く語るのは、得策ではないと思われる。
キャリアプラン 技術とマネジメント力双方の向上心が表現されたプランを
イーシー・ワン
キャリアプラン  将来的にはビジネス的な視点を持った上で、Javaを利用したミッションクリティカルなシステムの企画、設計に携わる、ITアーキテクトを目指しています。特にこれまで金融系システムに長く携わってきましたので、今後も、その分野を極めていきたいと思っています。
 現在のビジネスはシステムなしでは動きません。システムはビジネスのインフラです。そのインフラを設計するためには、技術的な観点だけではなく、経営的な観点からのアプローチが不可欠です。そのような2つの方向からのアプローチを的確にできるITアーキテクトが理想です。
最首英裕氏 「将来は居酒屋経営」というように、まったくIT業界とまったく関係のない将来プランが書かれているのは問題だが、「技術を極めたい」「ビジネスを考える人になりたい」というように、当社の業務に関することが書かれていればよい。自己PRの欄でも述べたが、当社は職務経歴以外の項目は、それほど重視していないからである。しかし、自分のキャリアについてまったく考えていない人は困る。自分自身が考えている理想のキャリアプランについて、正直に書くのがいちばんだろう。現在、当社では部門を率いるぐらいのリーダーシップのある人を求めているので、マネジャー志向のキャリアを描いている人が、フィットするのではないか。
CODE CREED
キャリアプラン  入社以来、マルチメディア・コーデック関連の研究・開発に取り組んできました。自己PRでも書きましたとおり、この技術はまだまだ改善する余地があると考えています。したがってこれからも、この分野を技術的に追求し、今までにない高品質なものを生み出したいと思っています。
 また最近のプロジェクトでは、若手技術者を数人率いることも多くなりました。人とのコラボレーションにより刺激され、新しい発想や知恵が沸くことの面白さを改めて思い知らされました。若手を育成することにも興味を覚えており、技術的にも人間的にもリードできるプレイングマネジャーを目指したいと思います。
富田拓朗氏  当社はスタートアップ企業のため、研究開発型企業でありながらも、求めているのは「一生研究者でいたい」人ではなく、マネジメント志向の人。これは自分の持っている技術そのものを決して出し惜しみせず伝えてゆくスタイルを持つことが、本当の意味で自分自身や会社そのものを向上させてゆくと考えるからだ。だからといって、「技術に追いつけなくなりそうだから、マネジメントに逃げよう」という人では困る。若手に負けないという技術的な向上心と、人を育てようというマネジメント志向をバランスよく持ち合わせながら、成長曲線を描ける人が望ましい。これまでに培った経験や技術を生かしながらも、何歳になっても、常に自分の中を新陳代謝でき、新しいこと、高いところを目指している姿勢が表現されていると興味を抱く。
自分を客観的に評価かつ正確に捉えられているかがポイント
 今回の取材でも明らかなように、レジュメの中で職務経験はかなり重視される。ここがいかにきちんと書けているかで、興味が左右されることがわかった。

 また、自己PRやキャリアプランは、登録者が自由に書き込める数少ない項目である。だからといって、「〜に貢献できると思います」「頑張ります」という風に、転職後のイメージを熱く記述してしまうのはマイナスに捉えられることもある。論拠となる過去の成果を具体的に記述した上で、「その知識を生かして、●●にチャレンジしたい」というように、近い将来の目標に置き換えてみるのもよいだろう。

 エンタープライズ系システムでの利用シーンが多いJavaはビジネス的な観点、制御系で使われることが多いCは技術的な深さが求められるという違いはあっても、重要なのは自身を客観的かつ正確に捉えられるかどうか。つまり、エンタープライズ系、制御系を問わず、マクロな視点でモノを考えられる人材が求められているのである。
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宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ
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2回に渡って、カリスマ経営者が欲しがるC技術者とJava技術者の「究極のレジュメ」をお届けしました。得意の言語の経験スキルをどう表現すれば、採用側に伝わるのか?採用側はどういう視点でレジュメを見ているのか、少しでも皆さんのレジュメ作成の参考になるとうれしいです。ぜひ、まだすでにご登録されている方も、この機会に見直ししてみてはいかがでしょう。もしかしたら、意外な企業からのオファーが届くかも!?
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