先輩も同僚OLも味方にする☆すごい！仕事の頼み方

わからないフリをする巧妙作戦、お菓子とおみやげで根回し……先輩も同僚OLも味方にする☆すごい！仕事の頼み方

忙しいエンジニアは仕事がいっぱい。だれかの手伝いが、どうしても必要な場合もある。しかし、その相手は同僚や部下、先輩、外部スタッフ、そして苦手な（？）女性社員とさまざま。そもそも頼み事が苦手なエンジニアは、どうやって彼らにお願いしているの？

（取材・文／総研スタッフ　高橋マサシ　モデル／鬼頭真也、及川水生来）　作成日:06.01.18

	ソフトからハード、材料系までほぼ全職種のエンジニア300人にアンケート調査を実施し、「社内での仕事の頼み方」を尋ねた。ここでの仕事とは、コピーや電話などの単純作業ではなく、本当に忙しいときに頼む、ドキュメント作成や開発サポートといった、時間と手間がかかるもの。相手によって態度を変えるのはエンジニアも同じようだ。まずは同期入社への依頼術から。
	「忙しいところ悪いんだけど……」と切り出し、頼む内容を雑談のようにしゃべり、その仕事の重要性を認識させる。そしてその仕事を頼むわけだが、今の自分の仕事の重要度が頼んだ仕事よりも高いことを話し、「それともこっちの仕事する？」とやや脅しをかけるようにして念を押す。

	息抜きしているときを見計らって、「今、忙しい？」と聞く。当然仕事はしていないので「あ、大丈夫そうだね」と言って強引に話を進める。[オープン系SE（35歳）平社員]

	時間がないのはわかっているので、「部下に指示してくれる？」と本人以外でもできる内容だとほのめかす（結局本人がやることが多いが……）。[プロセス開発（37歳）係長]

	気軽に頼める一方、同じ目線で仕事ができる貴重な存在。関係は大切なので、敬意をはらって「お願いします」と敬語を使う。[汎用機系SE（33歳）平社員]

	相手の得意分野を選んで、「自分よりも専門家だからぜひお願い」と相手のスキルを持ち上げながら頼む。[半導体設計（34歳）平社員]

	そっとデスクの上に置いておく。[品質管理（25歳）平社員]

　客先での作業を頼んだが、お客さんから予定外の質問をされて、しどろもどろの返答をしたらしい。最終的には俺の責任となり（当たり前だが）、問題報告書を提出するはめになった。[制御系SE（31歳）平社員]

	先輩の力を借りざるを得ない状況もある。頼りになる人だからこそ、礼を尽くして、持ち上げて、時には困惑の演技も交えて仕事を手伝ってもらう。真摯な態度は当たり前だが、こっちにも若輩なりの作戦がある。
	わかっているけど知らないフリをして質問しに行く。説明を聞いても理解できず悩んでる様子を見せ、最後には「この仕事お願いしてもいいですか？」と言える状況にもっていく。

	このまま続けると残業時間が規定を超えるが、先輩なら簡単にこなせる難易度だと、効率性を強調して仕事をお願いする。[サポート（31歳）平社員]

	変に媚びず、おだてず、素直に困っている旨を伝える。それを拒む先輩は今までいない。[研究・特許（35歳）係長]

	「ご相談があるのですが……」と持ちかけ、「○○さんだけです。ほかにこんな話はできません」と進める。[通信インフラ（33歳）平社員]

	申し訳なさそうにしつつも、「先輩なんだから絶対サポートしてくれる！」と自分に言い聞かせながら頼む。[光学技術（26歳）平社員]

	書類にまとめて、依頼書の形で提出する。[FAE（34歳）リーダー]

　機械の部品交換を依頼したら、数時間後に担当者から怒りの電話。「あいつは部品を壊して帰っていった」と言われ、飛んで行ったら機械がめちゃくちゃで、貸し出しの機械を設置した。上司からひどくしかられたが、そのときの先輩のひと言は「俺の客じゃないもんね。俺に頼んだお前が悪い」。思わず握ったコブシが震えた。[サービスエンジニア（39歳）係長]

	「こっちは忙しいんだから、残りはお前がやっとけよ」。こんなセリフで仕事を命令できる人は、もはや少数派のようだ。しかし、後輩時代に受けた虐待（？）が原因なのか、仕事を押し付けるエンジニアと、きちんと依頼するエンジニア。回答はくっきりと二分された。
	「忙しいところすまん」と笑いながら頼み、最初は少し手伝いながら仕事を進め、「全部手伝ってしまったらお前のためにならん、何事も経験が大事だ」と言いながら去って行く。

	まず徹底的に褒めまくり、次に専門・得意分野についてあれこれ質問し、最後は「あとで埋め合わせするから」と付け加えて任せる。[Web・オープン系SE（36歳）課長]

	「これは今後のためになるんだ。やっておくべきだと思う」とエラそうにお願いする。[Web・オープン系SE（29歳）平社員]

	業務の本質とお客への貢献度をきちんと説明し、同時に本人のスキルアップにもなると言えば、たいてい理解してくれる。[ネットワーク構築（32歳）リーダー]

	依頼口調で頼み、断られたら「どうしてできないの？」と質問攻めにして、最終的には仕事を押しつける。[運用・監視（30歳）平社員]

	年功序列の大切さを語ります。[生産技術（36歳）リーダー]

　去年入社の若手社員にある部品の設計を任せた。役員からは「彼は優秀だからどんどんやらせろ」とのことだったが、半年たった今でもまともなものができない。「学校の勉強と仕事ができるのは違うんじゃ！　ボケッ」とエライ方々に言いたい。[機械・機構設計（39歳）係長]

	日ごろはスイーツ、出張帰りはお土産、たまにはランチや飲み会へ……もちろん称賛も忘れません。「男女で区別はしない」とあえて答えるエンジニアも少なくないが、多忙なはずのエンジニアの努力が笑えます。当然ですが、「命令口調での依頼」はゼロ回答。
	普段はお菓子、出張に行ったときにお土産を買ってきて、常に親しくしておく。そのうえで彼女の上司に相談すると、いちばん手の空いていそうな女性社員を見つけてくれる。自分のチーム以外の上司とも仲良くしておくことが前提。

	とにかくおだてる。女性社員に気を悪くされたら洒落にならない。今の世の中、男女平等ではなく、ビジネスでは女性上位である。[運用・監視（35歳）経営層]

	命令の形を取らず、ほかの社員との会話が聞こえるようにするなど、間接・直接的に褒めまくる。そして適度な段階で、信任の厚さを建前としてお願いに上がります。[Web・オープン系SE（36歳）課長]

	メールでお願いする。メールにはかわいいマンガ絵を入れて、笑顔で対応してくれるように心がけている。[研究・特許（37歳）係長]

	普段からのコミュニケーションが肝心！　特定の人ではなく、順番に頼んでいく。月１回くらいで、皆をランチか飲みに連れて行く。[社内SE（32歳）課長]

	まずは世間話をして、機嫌がよいか頼める雰囲気かを確認する。頼めそうだったら世間話の後に仕事をお願いし、だめそうな場合は一度立ち去る。[Web・オープン系SE（35歳）平社員]

　意識して負荷の多い仕事を頼んで、責任者に育てようとしたら、その意図が伝わらずに会社を辞められてしまった。丁寧に教えたつもりだったが……。[製品評価（31歳）経営層]

	「あなたにしか頼めない」「こんな仕事ができるのは○○さんだけ」とプロの誇りをくすぐる一方、手は抜かないように目を光らせる。守るべきは、自社の社員との区別はしないこと。優秀な人材だからこそ、その扱いに気を使う人が多いようです。
	われわれからではなく、若手の女性社員を使って頼ませる。そうするとおじ様たちは断ることができない。

	プライドが高すぎて、中途入社の私の言葉ではダメ。上司を介するか、上司の指示（実際にはなくても）として伝える。[コンサルタント（35歳）平社員]

	「お忙しいところ申し訳ないのですが」とへりくだった感じで頼むが、絶対にやってもらわないと困るというニュアンスをにじませる。[Web系SE（38歳）係長]

	急ぎのデータを作ってもらうとき、わざと「急ぎませんので暇なときにお願いします」と頼むと、なぜか普段より早くデータがくる。[機械設計（32歳）平社員]

	相手の時間の空いているときに相手のところまで行き、仕事の内容をきちんと説明して納得してもらう。押し付けを感じさせないように、社員以上に言葉を選ぶ。[汎用機系SE（39歳）係長]

	「さすがはプロ!」と周りに聞こえるように言う。本人も悪い気はしないようだ。[通信インフラ（33歳）平社員]

　自社の中で暗黙のルールのようなやり方が多少あるが、それを完全に伝えることができず、何だかんだで仕事自体がボツになってしまった。結局は一からやり直すはめになった。[半導体設計（29歳）平社員]

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高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ

リクルートという会社にはさまざまな雇用形態があり、働く人も若手から中堅まで幅広く、女性比率もかなり高いと思います。その全員がそれぞれに仕事を頼み、頼まれています。つまり、「依頼術」が日常のように使われているのです。その渦中にいる私のお願いの仕方を採点すれば、100点満点で5点程度でしょうか。この記事づくりをきっかけに、日ごろの態度を改めようと思いました。皆さんはどう感じましたか？