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ドーム天井に全面LED、キャッチャーにCCD、携帯に映像配信etc./エンジニアが勝手に進言! プロ野球ぶっとび改造計画 イラスト
2005年のプロ野球は、50年ぶりに新設球団「東北楽天ゴールデンイーグルス」の参入やセ・パの交流戦など、新しい企画が用意されている。でもそれだけじゃ物足りない! プロ野球好きエンジニアによる、テクノロジーでプロ野球を盛り上げる方法を一挙公開!
(取材・文/井元康一郎 総研スタッフ/関洋子 イラスト/野村タケオ) 作成日:05.04.13
やっぱり日本の国民的スポーツ!? エンジニアも大好きなプロ野球
 楽天やソフトバンクなど、新興勢力の参入をきっかけに、がぜん、注目度が高まっているプロ野球。新球団・楽天ゴールデンイーグルスが、戦力不足を指摘されながらもオープン戦で十分、他チームと渡り合えたことで、ペナントレース前から例年にない盛り上がりを見せた。ここしばらく、Jリーグを中心とするサッカーに人気を奪われていたプロ野球が、かつて国民的スポーツと呼ばれていたころの勢いを少し取り戻した観がある。

 そのプロ野球、実はエンジニア諸兄の関心も高い。各種リサーチの中でも、多くのエンジニアが昨年のトップニュー スに、テクノロジー関連ニュースを差し置いてプロ野球問題を挙げているほどだ。IT企業の参入でプロ野球がどう変わ るのか、気になっているのだろう。しかし、開幕されたというのに画期的なサービスはなかなか出てこない。昔からあ る組織は、なかなか変えられないということか……。
激論!  エンジニアが考えるプロ野球盛り上げ方法
 そこで、Tech総研では、プロ野球を盛り上げてもらう方法はないか探るため、プロ野球フリークと自他共に認めるエンジニア4人による座談会を勝手に開催。テクノロジーによってマンネリ化著しいプロ野球をどう活性化させるか、語り合ってもらった。
4人のプロ野球フリーク!なエンジニアが激論
津田さん(仮名・27歳)
インターネット関連企業勤務。ポータルサイトの企画運営を担当。 父親の影響で広島カープのファンに。年間15試合は球場に行くという“生観戦”派。
三浦さん(仮名・28歳)
ITソリューション企業勤務。ネットワーク系エンジニア。 学生時代、友人の誘いで大洋ホエールズの応援団のトランペッターに。以来、横浜ベイスターズ一筋。
川合さん(仮名・24歳)
大手SIer勤務。SEとして製造業向け基幹系システムを担当。 もともと巨人ファンだったが、原の退任などで応援の動機を失い、野球ファン浪人中。
岡田さん(仮名・32歳)
大手家電・通信機器メーカー勤務。モバイル系システムの開発を担当。 アンチ巨人。阪神ファンだったが、現在は非巨人11球団をくまなく応援中。
情報配信改造編/いろんな角度から好プレーが見たい──従来、スポーツ系のアクティブな情報配信といえば、テレビによる一元放送くらいでしたが、インターネットやデジタル放送の登場で、今後どう変化していくのでしょうか。
三浦: 今の時点でも、もうずいぶん変わっていると思いますよ。例えばスターティングメンバーが発表されたり、点が入ったりといった動きがあるたびに携帯メールがくるとか。
岡田: BSデジタル放送も充実してきていますね。一度に3〜4画面くらい表示できるから、全体を見渡す戦略画面とプレーヤーに寄った画面を両方見ることができる。インターネットだともっとニッチな映像を配信できるだろうし、そろそろビジネスになるのでは?
津田: いや、通常のサイトでビジネス化はまだ難しいというのが実感。ポータルで配信したとしても、1回いくらという形で課金するには仕組みが不十分だし、少額課金システムもまだ不完全だからね〜。
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岡田: 通話代と一緒に請求される携帯電話だと、有料利用もなされるんですよね。着メロのビジネス化など、そのいい例ですよ。携帯端末をデバイスとしてだけでなく、ビジネスモデルとして見ないと
津田: 固定端末向けでも、ビジネス化の議論はしているんですよ。ポータルでは、個別の球団サイトでは難しい、野球情報の一括配信をやりやすいというメリットがある。大量のユーザーが見る場合、ロードバランスの問題が発生する。手持ちの技術でも対応は可能だけど、できれば著作権問題で立ち消えになっているP2Pについて、技術的に再評価を行ってほしいな。かなり有効なテクノロジーですから。端末側については、現時点ではWindowsメディアプレーヤーやリアルプレーヤーのような既存のプラットホームで十分でしょう。
川合: 携帯端末で映像配信ができれば、スポーツ観戦はかなり面白くなる。ただ、現状では3G携帯電話に依存せざるを得ないのがネック。広帯域化とIP化が実現すれば、携帯端末への動画配信がかなり普及すると思うけど……。
三浦: グラフィック機能をはじめ、端末の高スペック化は必至ですよね。
岡田: 配信映像を長時間見たりするのなら、電池も高性能化させなきゃ。今の容量では1時間もしないうちに切れてしまう。二次電池としては燃料電池がすでに実用段階に入っている。配信ビジネスが本格化する兆しが見えれば、すぐに搭載されることになるんじゃないかな〜。
三浦: 固定端末でも魅力は出せると思うんですよね。最近、テレビチューナーをつけたPCが多いけど、仕事で使うPCとテレビはやっぱり別々にしておきたい。テレビ受信に依存せずにオンデマンドで見逃した好プレーのリプレーを自由に見られるようになったら、つい使ってしまうかも。
球場改造編/ドームの天井が全面モニター? 面白いスタジアムづくりを──野球観戦は、オンラインもさることながら、スタジアムに実際に行って応援するのも醍醐味ですよね。このスタジアムも、みなさんのアイデアで進化させるとしたら?
川合: いやぁ、ホント、声を大にして言いたい「日本のスタジアムはつまらない」と。メジャーリーグを見習って、スタジアムそのものをもっと面白くしてくれ〜。
津田: それ、同感。せっかく球場に行っても、バカ高いビールで一杯やりながらただ延々と観戦しているだけなんて、野球好きな私でもつまんない! 暇な野球マニアにとってはこれでもいいかもしれないけど、モー娘世代の女の子や韓流ファンのおばさまなど、新しいファン層の獲得はできないよ。
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岡田: そうそう。でも、日本のスタジアムを変えるのはなかなか難しいだろうね。運営側に興業の何たるかということをまじめに考える姿勢が薄いから(怒)。本当だったら、チェンジの間にいろいろなショーを行うなどのサービスがあってしかるべき。そういう意識が運営側にないのに、スタジアムを面白くなんて考えが出てくるはずがない。
三浦: 技術的にはすでにいろいろなものが出てきているのに、もったいないですね。格闘技なんて、レーザービームや白色LEDみたいな光源をどんどん使って演出している。リリーフピッチャーの登場に使うと、打たれたとき、カッコ悪すぎかな?
川合: それはさておき、よくリプレー映像がスコアボードのモニターに映されるよね。ファインプレーとか微妙な判定とか。あれをもっと大きくできないのかな。例えばドームの天井全面に映し出すとか。
岡田: いいね。技術的にも問題なし。天井にモニターを設置しなくても、プロジェクターで映せばいいんですよ。高出力のビーム光源を開発するのが大変なら、リアプロジェクターを配置するというのもありだな。遠くから見るわけだから、画素なんて粗くても全然構わない。
津田: 情報配信のデバイスもほしいよね。飛行機の座席にオーディオ用のジャックがあるように、情報配信用のポートを、光ケーブルを介して各席に標準装備……コストが高くつくかな。
三浦: それいけますよ。例えば料金の高い席だけ装備というのでもいいんじゃないかな。今は座席のグレードは場所だけで決められているじゃないですか。席の場所以外でどう差別化するかというのは、スタジアムの運営では非常に重要だと思いますね。高くても面白いなら、1万円でもぼくは払う!(笑)かも。
川合: でも、エンターテインメント性をもたせるなら、いっそ全席に配信というのでもいいんじゃないかな。ホットスポットで十分、対応できるからね。球場の入り口で端末を貸して、随時、面白情報を配信する、とか。仕様はその球場専用にして、さらにRFIDで管理すれば、持ち帰りも防止できると思う。
岡田: それいいな。うまくいけばうちに開発需要が回ってくるかもしれないし(笑)。端末開発サイドからもそういう営業を展開できるようになりたいものですよ。
ファンサービス改造編/ベンチ内情報など、レアな映像が見たい──プロ野球の注目度が上がっている今こそ、新しいファンサービスを展開することで、コアなファン層を増やすべきと思われます。どういうサービスが考えられますか。
津田: まずは何と言っても、選手や監督とファンのリレーションでしょう。これは別に新技術が必要なものではないんですが、例えば試合中にベンチ内における監督、コーチの判断や選手の心境などを、作戦に支障のない範囲でいいからリアルタイムでアップする。これにはファンは食いつきますよ。
三浦: そういうベンチ情報は、ファンとしてはぜひ欲しい。テレビで時々ベンチの様子を映しますが、試合の裏舞台というのはファンにとっていちばん興味がある。監督や選手の心境もさることながら、その映像を配信し続けるサイトがあってもいいのに。
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岡田: 技術的には全然難しくないですよね。ウェブカムみたいなものをひとつポンと設置すればいいわけだから。死角を作って、サインはそこで出してもらう(笑)。キャッチャーの目線で見るピッチャーの球、なんて映像もあってもいいかも……。
津田: なるほど、そういうレアな映像を流せれば、ITビジネスに結びつきますね。しかし、プロ野球のコミッショナー側は、放映権を盾に絶対認めないでしょうね。
川合: プロ野球を面白くする方法はいくらでもあるのに、そういう利権関係で認められないというのは、エンジニアとしては本当に残念。まずは興業サイドの人材を総入れ替えする仕組みを企画しなくちゃ。
三浦: スタジアムに足を運んでくれたファンに対するサービスも再考してほしいな。例えば現在、抽選によるプレゼントを球場で行っていたりするけれど、来場客の参加意識を高められないから、渡し漏れがずいぶん多いそうだよね。チケットにRFIDを仕込むことくらいやれよ、と。愛知万博だってやっているんだから。
岡田: 球場内ではモバイル放送もやりたいですね。キー局の放送内容と違う、生観戦に有用な内容にすることで、テレビにはない独自の価値が出る。追加投資はアンテナくらい。
津田: Webを使ったコミュニケーションの方法もどんどん高度化している。例えばバッターボックスに立ったバッターの過去のデータを表示させて、何球目にどんな球を打つかをリアルタイムでファンが投票するといったような仕掛けを作ることだって可能。賭けをやりたいってわけじゃないけど、競馬の出走直前に馬券を買うのと同じで、応援の実感は格段に増すと思うんだけどな〜。
三浦: インターネットだとテレビと違って、正確な視聴率というか、アクティブユーザーの数を把握できるので、スポーツビジネスのマーケティングツールとしてもかなり使えそうだよね。
全員: とりあえず、プロ野球ファンとしては、どんどん、面白い仕掛けにチャレンジしてほしい。がんばれ、プロ野球。Jリーグに負けるな!!
テクノロジーでまだまだ、プロ野球は盛り上がる♪
 エンジニアの目から見ると(いや、エンジニアの目から見なくても?)、プロ野球は、現行の技術(技術じゃなくても!)を使いこなせば、まだまだ面白くする要素が残っている。

 例えばドーム球場。天井に映像を表示させるというのもいいが、こんな意見も。「野外にもいるような気分で観戦するためにもぜひ、開閉式にプラスして天井は高強度アクリル板にしてほしい」(岡田さん)。また、「選手控え室がそのまま外にスライドするような仕組みを作ってみるのもいいかも。特に札幌ドーム。負けを実感するため、夜風が吹きすさぶ中、ファンの目前で着替えるという罰ゲームとか」(川合さん)。

 そのほか、対戦相手のベンチがよく見える位置に偵察を置き、PDAで情報を自チームのベンチに送る。さらにキャッチャーにインカムを着けさせ、ベンチの指示を送る──という情報合戦をやっても盛り上がるかもという意見も出た。もうこうなると、スポーツではない? いや、本場のアメリカンフットボールではOKなのだから、面白くなるなら、プロ野球でもきっと受け入れられるはず。でも、監督やコーチが機器を使いこなせるかどうかは不安が残る。いや、それよりも試合時間がさらに長くなってしまう恐れも……。そうすると、やっぱりミスターのように“カンピュータ”がいちばん!ってことで、テクノロジーは必要ない?

 日本のプロ野球は、メジャーリーグやNBAなど米国の興業に比べて、技術的にも思想的にもかなり後れを取っている。でもテクノロジーそのものは、決して、米国に遅れてはいない。プロ野球界のみなさん、エンジニアとともに、テクノロジーでプロ野球を盛り上げることを考えていきましょうよ。
COLUMN/IT企業によるプロ野球を盛り上げる新サービス登場ーベースボール・レイティング
 自分の好きな選手は、一体どれくらいの評価がなされているのか──プロ野球ファンにとって最大の関心事の ひとつである選手の活躍度を定量評価、その情報を提供するサービスが登場した。
スポーツ選手のパフォーマンス評価を主事業とするスポーツレイティングスが同社のサイトで公開しているもの。 打率、打点、防御率といった基礎データにポジション、役割(投手の場合先発、セットアッパー、クローザーな ど)、さらにはどういう状況でのプレーがどういう結果を招いたか、観客にどのくらいインパクトを与えたかと いった要素まで加味し、100点満点で表示する。評価の項目は何と数百に及ぶというから驚きだ。
ファンに対する情報提供はもちろん、球団サイドに対しても年俸査定などの材料としてビジネスを展開していく という。
http://www.sports-ratings.co.jp/
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  関洋子(総研スタッフ)からのメッセージ  
関洋子(総研スタッフ)からのメッセージ
みなさん、プロ野球には関心ありますか? 私は父が典型的な虎ファンの家に育ちました。子供のころ、甲子園にも連れて行かれたことも。試合中はほとんど試合は見ず、周りの人からもらったジェット風船を飛ばし、六甲おろしの大合唱の中帰路につく……そんな記憶。やっぱり、プロスポーツはエンターテインメント。だからプロ野球にも、もっともっと魅力的になってほしい。みなさんもアイデアがあれば、ぜひ、教えてくださいね。

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