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技術系ベンチャーからSIerへ

面接失敗で自分の入社意欲のアピール不足を痛感!再び面接に臨んだ
T・Wさん(30歳)


コンサルティング会社から元同僚の会社に移ったが、経営方針に納得できず、転職を決意したT・Wさん。自信をもって活動を始めたものの、予想外に苦戦し……
(取材・文/長谷川恵子 総研スタッフ/山田せいめい)作成日:04.06.30

キッカケ編
今の会社の不安定さをあらためて実感

突然の「給与減額」宣言

 社長から「全員の給与を減らさなければならないかもしれない」と言われた。これには僕もほかのメンバーもショックを受けた。
 小さい会社なので、将来を見据えて育てていく事業の一方で、当面入ってくる仕事もやるべきだと僕は考えている。しかし、社長が「選択と集中が必要」といって譲らないので、これまでは合わせてきた。

 彼がこの会社を起こしたとき、営業が足りないので来てくれといわれた。技術の現場で好きなことをしつつ、新しいことにも挑戦して会社をリードしていけそうだと思い、メンバーに加わったのだ。でも、この不安定な状態では先が思いやられる。業績うんぬんというよりも、もっと安定感のある職場で働きたい。


活動準備編
人材紹介会社に登録。転職に備え年金や保険の勉強

人材紹介会社に登録して一安心

 帰宅して、すぐにネット経由で人材紹介会社に登録した。勉強用にエンジニア向けのメルマガを何種類か取っているのだが、たまたま最近受け取ったもので、その会社を発見したのだ。

 転職に関しては、特に心配していない。
 最初に入ったコンサルティング会社では担当プロジェクトがどんどん変わり、半年後の仕事もわからないくらいだった。メーカーの工場の生産管理システム、文書管理システム、CRMのプロジェクトマネジャーなど、フェイズ、業種、担当業務もさまざまだった。こうした経験があるので、どんな仕事がきてもできると思うし、「いわれれば何でもやるよ」という感じだった。

 不安があるとすれば、入社・退社に伴ってやるべきことや、おおまかなスケジュールがわからないこと。転職雑誌を参考に、年金・雇用保険の手続きや作業手順などについて勉強した。
PROFILE
システムインテグレーション会社
システムエンジニア
T・Wさん(30歳)

1997年理学部卒業後、外資系コンサルティング会社に入社。2000年8月にベンチャーに移り、翌年2月にSI会社に転職。数度の異動を経て現在はSEとして企業の会計システムを担当。
T・Wさんの転職活動DATA
前勤務先 技術系ベンチャー
転職した時期 2001年2月
転職理由 安定した会社で能力と経験を生かしたい
会社選びで優先したこと 自分の経験が生かせること、残業が少ないこと
候補として考えた社数 3社
実際に応募した社数 3社
内定社数 1社
落ちた社数 2社
辞退した社数 0社

応募からの日数
 A社:メーカー系システム開発会社
 B社:コンサルティング系システムインテグレーター
 C社:システムインテグレーター
 
A社
B社
C社
1次面接
1週間
1週間
1週間
2次面接
1次と同日
10日
2週間
最終面接
 
 
3週間
内定
(不合格)
(不合格)
1カ月


ゆとりあるワークスタイルを確保したい

 最初の会社では配属初日から超ハードな勤務が続き、「働く、寝る、ついでに食べる」みたいな生活ですごく消耗した。先輩の中には、週100時間以上働いている人もいた。そういう経験をしているので、時間にはこだわりがある。仕事の内容もはずせないが、その内容を自分の糧にするためにも、次は長く勤められる会社へ行こうと当時からイメージしていた。今回も、仕事とゆとりのバランスがとれた職場であることがはずせない条件だ。

活動編
自分を見せるテクニックがなさすぎて、思わぬ苦戦

「残業したくない」と正直に言って撃沈

 最初に応募したのは、メーカー系のシステム開発会社A社。応募から1週間で1次面接。同じ日に2次面接もあった。
 緊張はしなかった。言いたいことは割と言えるほうだし、正直言って「行けば受かるだろう」というナメた気持ちもあったから、自分をよく見せようとは思わなかった。

 1次では部長クラスの人との面接で、このときはいい感じだった。だが2次面接があまりよくなかった。ゆとりを確保したいという思いが強かったので、クギを刺すつもりでリーダークラスの人に「あまり残業したくない」と言ったのが、相手の心証を害したようだ。直接の上司になる人だが、いろいろ話をしてみて、自分とは考え方がまったく違うと感じた。
 数日後、A社から断りの連絡。先方は「パッケージ導入の考え方が違うので……」というのを理由に挙げていたが、やっぱりストレートに「残業したくない」と言ったのが原因だろうなと思った。

「質問なし」がマイナスになり、まさかの不合格

 今度はコンサルティング系システムインテグレーターB社での1次面接。人事の人が相手だ。先方は「コンサルタントがほしい」とのこと。分野は前職と同じで、ビジョンも自分と合っている。
 これまでやってきた仕事についていろいろ話し、A社での失敗を踏まえて、今度は残業のこともやんわりと確認した。「ハードワークですか?」と質問すると「個人の裁量ですよ」と言われたので、一応融通は利きそうだ。面接の感触はとてもよく、これは確実にいけると思えた。

 3日後に2次面接。今度は別の人事の人と、配属先候補のリーダー、そしてその上司が出てきた。
「働くにあたり、何か質問はありますか?」と聞かれたので、「私はどこでもやっていけます」とだけ答えた。仕事の進め方が自分に合っていることを確認すればそれで十分だったし、このときの自分のスタンスは、むしろ「何か私に聞くことはありますか?」というものだったから。
 面接の最後に「緊張していますか?」と聞かれたときはちょっと変だなと思いつつ、「いいえ」と答えた。どこかぎこちない感じで話が終わった。

 結果の連絡が来たのは1週間後。ダメだった……。すぐに返事が来なかったし、最後の雰囲気が変だったのでうすうす覚悟はしていたが……。今思えば、相手はこちらから質問させることで「これから仕事をするにあたって僕が何を気にしているのか、何を思っているのか」を知りたかったのだ。しかし、僕はそれを一切伝えなかった。これが敗因だろう。
 活動を開始して約1カ月、ここで初めて「ああ、就職しないと……」という危機感が初めて芽生えた。

事前準備としっかりした自己PRで内定ゲット!
 気持ちを引き締めて、システムインテグレーターC社の面接に臨む。
 あらかじめHPを見て会社の事業方針や仕事内容を確認し、自分のアピールポイントなども再度確認。さらに人材コンサルタントからC社についてヒアリングして、事前準備はばっちりだ。
 1次面接はつつがなく終わり、1週間後に2次面接。ここではシステムに関するスキルよりも、アントレプレナーシップがあるかどうかを試されている感じがした。2社目のベンチャーで事業立ち上げにかかわっていたので、アピールしやすかったと思う。相手の質問を待たずに、こちらから事業方針などについて尋ね、日ごろから情報収集して技術の最新トレンドに接していることもさりげなく伝えた。

 その1週間後、3次面接。人事の取締役とスタッフの人が出てきて、待遇に関する話に終始する。給与も、前の会社でけっこうもらっていたので「うちはこのくらいで少し下がるけれど、当社のエンジニアの中で5本の指に入るくらいの給与だよ」と言われ、承諾した。仕事内容も自分が対応できるものだし、事業開発に携わって日本ではまだ導入されていない技術が見られるということにも魅力を感じた。1週間後に正式な内定の連絡をもらった。

 振り返ってみるといろいろなプロジェクトに携わって経験の幅があったので、どんな職場でも対応できる自信があった。だから転職に対する不安を感じなかった点はよかったと思う。心残りがあるとすれば、待遇面の確認をもう少しすればよかったと思う。役職が上がらないと昇給しないことや、ボーナスの査定方法などについては入社して初めて知ったからだ。
 この転職活動を通じて、「手を抜いてはいけない。キャリアに慢心すると足元をすくわれる」と実感した。それと、キャリアだけでなくその場での発言も非常に重視されることがわかった。「面接には相手から与えられた時間をどう使うかが重要な場面である」ということだ。「いずれオレの実力がわかる」と自分を出さないのはダメで、「中身も大事だが、中身を相手に伝える努力も大事」なのだ。
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