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「なぜ今の会社にいるのか」、ふと疑問がわいたら、どう動く?
ハードウェアメーカーに入社したK・Yさん(28歳)
忙しい毎日を過ごすうち、「なぜこの会社で働いているんだろう?」と疑問を持ったK・Yさん。そんな中、上司から切り出されたリーダーへの昇進話。ふとわき起こった「心のモヤモヤ」は抜き差しならない感情へと変わっていき……。
(取材・文/長谷川恵子 総研スタッフ/木下ミカエル) 作成日:03.04.02
THANKS! 夜自宅でホッとひと息……忙しく働く中での「隙間時間」に、ふと心に浮かんだ疑問が、転職のトリガーになることがあります。今回は、皆さんの関心が高い「転職のきっかけ」をテーマにお送りします。
PROFILE
ハードウェアメーカー e-ラーニング事業部コンサルタント
K・Yさん(28歳)
1997年、私立大学工学部システム工学科卒業後、外資系ソフトウェアメーカーに入社。営業部門に配属され、パートナー企業と組んでコンサルティングセールスに携わる。さまざまな部署を経験した後、みずからの希望でサポートセールス部に異動。
2002年2月、リーダーへの昇進を強いられそうになったのがきっかけで転職活動を開始。現在はハードウェアメーカーのe-ラーニング事業部でコンサルタントとして活躍中。
SCHEDULE 転職決意から入社まで40日
2002.2 転職決意
昇進の提案に合点がいかず
活動開始
転職サイトに登録
2002.3 A社1次面接
事業統括本部長と英語で面接
B社1次面接
人事担当、現場マネジャーと面接
A社からは不採用通知
C社一次面接
人事担当、現場マネジャーと面接
C社ほぼ内定
C社内定
入社日が確定。B社に辞退の電話
2002.4 C社入社
内定から2週間ほどで入社
||  キッカケ編  ||  昇進を告げられたが喜べず、転職を決意
||  活動編  ||  リスク分散と条件の明確化で準備OK
||  決定編  ||  当初は関心がなかったが、面接に行って気が変わる
キッカケ編 昇進を告げられたが喜べず、転職を決意
2002年2月4日 ある疑問
 今日も忙しかった。仕事を終えて家に帰り、心理学の本を読む。
 ふと、「僕はなぜこの会社で働いているんだろう?」という疑問がわく。今の会社はいい会社だと思うし、気に入っているが、なぜそこにいるのかという僕の存在意義がわからなくなってきたのだ。
 
 頭の中が混乱してきたので、PCを開き、ディレクトリの奥深くにこの問い掛けを書いてみた。
 
 でも、たぶん気の迷いだろう。実は、3年前から転職を考えることもあったが、今の待遇はいいと思うし、今のところそれを捨てようとは思わない。

2002年2月13日 眠れない
 心の中に引っ掛かるものがあるせいか、最近、不眠症気味で困っている。まあ、それでも仕事は普通にこなしているのだが……。

2002年2月15日 情報収集開始
 この間のメモをもう一度眺めたあと、いろいろな会社の情報を集めてみることにした。いきなり転職するというわけではないが、今の会社しか知らない僕には、ほかの会社の実情を知ることが必要だろうと思ったのだ。
 友人、知人に尋ねるほかに、ネットの掲示板ものぞいてみる。

2002年2月18日 僕がリーダー?
 午後、会社の喫煙スペースでたばこを吸っていたら部長がやってきた。たばこに火をつけながら「新しいチームをつくるけど、リーダーは誰がいいと思う?」と聞いてくる。
 
「○○さんがいいんじゃないですか」と答えると「君がやってよ」と冗談めかして言われた。
 笑いながらも「嫌ですよ」と即答する。僕はまだ27歳だし、部下を持つような立場にはなりたくない。まあしかし、まさか部長も本気で言ったわけではないだろう。

2002年2月20日 本気だったのか!
 部長と飲みに行く。そこで、僕をリーダーに新組織をつくるという話が本当だったことがわかった。当然僕はその話を受けるだろうと、すでに組織図まで作ってあるらしい。
 
 こういう話をもらうのは、世間一般から見れば幸せなことだし、申し訳ないくらいだが、気が進まない。
 今の僕では仮に昇進しても、技術的、人間的な成長が追いつかず、相手に経験の浅さを見抜かれてしまう気がする。そんな話も部長にしたが、あまり真剣に取り合ってはもらえなかった。
 
 まあ、部長の考えもわかる。社内で中堅層の人材は不足しており、数カ所の部署を経験し、社内折衝のできる僕に話がくることは合点がいくからだ。
 だが、それでは僕が困る。このままではヤバイと思い、とうとう転職を決意する。
活動編 リスク分散と条件の明確化で準備OK
2002年2月21日 転職サイトに登録
「リクナビNEXT(当時のリクルートナビキャリア ※以下同)」に登録する。企業からオファーがもらえるオプション機能もあるというので、そこに自己PRを登録した。さて、どの程度の反応があるだろうか?

2002年2月27日 ヘッドハンターに電話
 ひどい風邪をひいてしまい、会社を休んだ。
いい機会だからと、入社1年目からときどき声を掛けてくる外国人のヘッドハンターに電話をする。
 
 転職を考えていることを伝え、「今の僕のキャリアで行けそうなところをすべてリストアップして接触してほしい」と頼んだ。彼とは「英会話のレッスンにもなる」と思い、年に数回、連絡があれば会うようにしていたのだ。
 
 彼の紹介で転職するのもひとつだが、リスクを分散するため、ほかの転職ルートも考えておく必要がある。
 ひとつは、すでに先週登録したリクナビNEXT。もうひとつは、会社も経営する地元の友人、知人ルートだ。彼らとはずっとつながりを保つようにしている。

2002年2月28日 3つの条件
 リクナビNEXT経由で、続々とオファーのメールが入ってくる。もう10通以上たまっているが、僕が転職先に望むことは、次の3つだ。
 
 まず、服装が自由であること。2番目に、フレックスタイム勤務。3番目に、部署の単位が小さいこと。これらの条件を満たす数社の面接を受けることにした。

2002年3月1日 まずは小手調べ
 ある拠点でのミーティングを終え、会社には直帰ということにして通信系ソフトウェア会社A社の面接に出掛ける。
 
 アジア統括本部長が出てきて、英語での面接。「この業界を知っているか」と聞かれたが、全然知らないので正直に答える。
 
 自分のビジョンや入社してできそうなことは話したが、たぶんダメだろう。もともとこの業界ではやっていけないと思っていたし、今回は面接の練習がてらのぞいてやれ、くらいの気持ちだったのだ。
 会社の雰囲気はよかったが、この業界は僕に合わない気がする。

2002年3月4日 なぜ急ぐ?
 今度は有休をとり、ハードウェアメーカー系列のコンサルティング会社B社の面接へ。人事の人と現場のマネジャーを相手に話をする。
 
 話が盛り上がり、ぜひ来てほしいと言われたが、すぐに決断を迫るのもナンだなあと思う。
だいたい、たった1時間話しただけで、事業部門の一存で内定が決まってしまうというのはおかしい。個々の事業部門の力が強すぎて、会社全体の経営バランスが悪いということではないだろうか。人が足りなくて、だれでもいいから欲しいという可能性もあり、要注意だ。

2002年3月5日AM B社は保留
 B社から連絡。「条件の話をしたいので来社してほしい」と言われるが、はっきりとは断らず「まだ時間が取れないので待ってください」と答えておいた。

2002年3月5日PM やっぱり落ちた
 A社の人事から連絡が入る。案の定、今回は縁がなかったということで話がつく。
決定編 当初は関心がなかったが、面接に行って気が変わる
2002年3月6日 好感触
 今日は例のヘッドハンターから紹介されたハードウェアメーカーC社の面接だ。
 実は、この会社からはリクナビNEXTでもオファーのメールが届いていて、重なった格好になる。
 
 18時ごろ、早めに仕事を切り上げ、家に帰ってスーツに着替え、タクシーでC社に向かう。会社の前で待ち合わせたヘッドハンターも同席して、人事担当者とe-ラーニング事業部の現場マネジャーによる面接が始まる。
 いろいろと話をするうちに、ここは組織が固まっていないので、僕の好きなように仕事ができそうだと感じた。僕は新しい企画を考えることも好きなので、企画系の仕事があるのも気に入った。
 
 話が弾み、事業部の今後の展開について、マネジャーと話し合った。相手も好印象を持ったらしく、「次はディレクター面接ですが、いつなら来られますか?」と尋ねられる。

2002年3月12日 ほぼ内定
 C社の技術部長による面接。前回の感触もよかったが、「今日は面接なので仕方なくスーツを着ている」という彼の言葉を聞き、ますますこの会社が気に入る。
 
 前回と同様、これまでやってきたことや、今後の事業展開の提案をすると、「いいねえ」と言われる。
 帰るころには「形だけだが、社長面接があるので受けてほしい」と言われた。

2002年3月14日 名ばかりの面接
 C社の社長面接。今回は100%顔見せだった。仕事の話はほとんどゼロで、雑談ばかり。趣味の釣りや時代劇の話で盛り上がる。

2002年3月15日 入社日決定!
 C社との間に入ったヘッドハンターから連絡があり、会社から条件の提示があったので来てほしいと言われる。条件面での不満はなかったので、特に交渉はせず、4月1日からお世話になることにする。
 
 一次面接を受けて保留にしてあったB社には、断りの電話を入れた。

2002年3月18日 去り際は明るく
 「こんにちはー! 元気ですか?」と明るくあいさつしながら部長の席へ行き、退職願を提出した。
 
 当然ながら、いろいろ言われて引き留められる。「好きな部に異動させるから」とも言われたが、全面的には信じられない。それに、もうC社に入社する決心は固まっている。
今だから言える・・・反省の小部屋
忙しさは「ココロの叫び」を見えなくさせる
活動を通して、僕が求めていたものには「精神的な自由」もあったのだとわかった。「もうちょっと肩の力を抜いて、自由に働きたい」という心の叫びに気づかず、仕事づけの毎日を続けていたら病気になっていたかもしれない。ちなみに、転職後の今は、夜中まで仕事をすることはなくなり、規則正しい生活になった。
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