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「お詫びメール」でしくじらないための6つの鉄則

「論理的に伝わる文章の書き方」や「好意と信頼を獲得するメールコミュニケーション」等の文章力・コミュニケーション力向上をテーマに執筆・講演活動を行う山口拓朗さん。そんな山口さんに、今回は「ピンチをチャンスに変える『お詫びメール』の書き方」について解説していただきます。

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お詫びメールを甘く見ると痛い目にあう!

お叱りやクレームに対する「お詫びメール」。相手はただでさえ「怒っている可能性」が大です。そんな相手に快く許してもうために文章を紡ぐ……。クレーム対応の部署で慣らしたスペシャリストでもない限り、“難しい”と感じる人がほとんどでしょう。

難しいからといって、お詫びメールで手を抜いてはいけません。相手の怒りを増幅しかねないからです。話が変な方向にこじれた場合、取引停止や契約の解除、損害賠償問題などに発展する可能性もあります。

「お詫びメール」に求められるのは、何はさておき「誠意」です。深いお詫びはもちろんのこと、相手の気持ち(怒っている/失望している/落ち込んでいる等)に寄り添いながら、ミスが起きた原因や今後の対応策についても、具体的に伝える必要があります。

「おたくでは不良品を売りつけているのですか?」のメールにどう返す?

昨日買ったばかりのショルダーバッグのひもの金具が取れてしまいました。「おたくの商品はどうなってるのでしょうか?」「おたくでは不良品を売りつけているのですか?」。このような内容のメールが届いた場合、どのようなお詫びメールを書けばいいでしょうか?

【ダメ文】
山田花子様

 

ご連絡いただき、ありがとうございます。

このたびは、欠陥品をお送りしてしまい、誠に申し訳ございませんでした。

お品物をお送りいただければ、新しい商品と交換いたします。

ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

不誠実なお詫びメールです。ミスが起きた原因にも触れられていなければ、今後の対応策もあいまいです。そもそも「悪いことをした」「迷惑をかけた」という謝罪の気持ちが伝わってきません。これではお詫びメールとして失格です。お客様の神経を逆なでしかねません。

深く頭を下げている映像が浮かぶ「お詫びメール」を書こう!

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では、どのような文面にすれば、相手に快く許してもらえるでしょうか。先ほどの文章を修正してみます。

【修正文】
山田花子様

 

ご連絡いただき、ありがとうございます。
◯◯◯株式会社 お客様相談室の木村弘和と申します。

このたびは、弊社の商品をお買い上げいただき、
誠にありがとうございます。【(1)】

 

購入したばかりのショルダーバッグのひもの金具が取れてしまったとのこと。
ご不快・ご不便な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございませんでした。
深くお詫び申しあげます。【(2)(3)】

お客様の期待を裏切り、たいへん心苦しく感じております。【(3)】

原因としましては、金具の取り付け不良が考えられます。【(4)】
検品が行き届かなかった点についても、重ねてお詫び申しあげます。【(2)(4)】

つきましては、至急、品質に万全を期した商品をお送りいたします。
大変申し訳ございませんが、
ご到着まで2、3日、お待ちいただけますでしょうか。【(5)】

 

なお、不良品のバッグにつきましては、
交換商品に「返品用の袋」を同封させていただきますので、
お手数ですが、そちらに入れていただき、
弊社までお送りいただけますでしょうか。
(送料は弊社が負担いたします)【(5)】
お手を煩わせて、たいへん申し訳ございません。【(2)】

 

以後、同じような不手際がないよう、
製造精度と検品の質を高めていく所存です。【(6)】
誠に勝手なお願いではございますが、
引き続き、ご愛顧いただければ幸いです。

 

このたびは、本当に申し訳ございませんでした。【(2)】
メールにてたいへん恐縮ではございますが、
取り急ぎ、ご報告とお詫びを申しあげます。

「ダメ文」との差は一目瞭然です。「修正文」のほうが明らかにお詫びの気持ちと誠意が伝わってきます。「心のこもったお詫びメール」といえるでしょう。

「お詫びメール」の質を高める6つのポイント

先ほどの「修正文」に盛り込んだポイントは以下の(1)〜(6)です(修正文内にふった番号と対応しています)。

(1)商品をご購入いただいたお礼 
(2)誠心誠意の謝罪 
(3)相手の気持ちに寄り添う
(4)ミスの原因を書く
(5)適切な対応策を講じる
(6)改善に取り組む姿勢を見せる

それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。

(1)商品をご購入いただいたお礼 
冒頭では、あいさつとあわせて商品を購入いただいたお礼を述べます。相手が会員やリピーターなどの「常連」であることがわかっている場合は「いつも弊社商品をご愛顧いただき、誠にありがとうございます」などの一文を添えてもいいでしょう。

(2)誠心誠意の謝罪
お詫び文には、それなりに長さが必要です。「長さより心が大事」などと思ってはいけません(大きな間違いです!)。目の前に相手がいないメールでは、言葉を変えながら何度もお詫びして、初めて誠意が伝わります。修正文では「申し訳ございません」や「お詫び申しあげます」というニュアンスのフレーズを7回ほど使っています。お詫びの量を増やすことによって、“深々と頭を下げている姿”を相手に伝えることができるのです。

(3)相手の気持ちに寄り添う
お詫び文では、相手の気持ち(怒りや失望や落胆)に寄り添うことも大切です。相手は、単に謝罪の言葉がほしいのではなく、自分の気持ちをわかってもらいたいのです。修正文では「ご不快・ご不便な思いをさせてしまい〜」という言葉で寄り添っています。

(4)ミスの原因を書く
人によっては、どうしてそういうミス(トラブル)が発生したのか原因を知りたがる人もいます。原因が特定できていない場合は、調査する旨を伝えたうえで、現時点で考えうる推測を伝えましょう。修正文では「原因としましては、金具の取り付け不良が考えられます」と推測を伝えています。

(5)適切な対応策を講じる
お詫びは書かれているけど、対応策が書かれていない。そんなお詫びメールをたまに目にします。「お詫び」と「対応策」はセットです。修正文では「至急、品質に万全を期した商品をお送りいたします」と、具体的な対応策を提示しています。具体的な対応策を示すことによって、相手が納得することも少なくありません。

(6)改善に取り組む姿勢を見せる
同じミスやトラブルが二度と起きないよう、今後の改善策を示すことも肝心です。修正文では「以後、同じような不手際がないよう、製造精度と検品の質を高めていく所存です」とあります。建前上の改善策では、相手に見透かされます。できる限り具体的に書きましょう。改善策を具体的に示すこともまた反省の気持ちを伝えるひとつの方法なのです。

 お詫びメールでは「責任転嫁」と「言い訳」はご法度!

もちろん、「お詫び=メールでするもの」とは限りません。ミスの度合いや相手の怒りの度合いによっては、真っ先に電話でお詫びを伝えたり、相手先を訪問したりする必要もあります。

メールをする場合でも「のちほど改めてお電話させていただきます」のように一文を添えたほうがいいケースもあります。見極めを誤って「こんなに重大なミスの謝罪をメールでするのか!」と相手を怒らせないようにしましょう。

なお、お詫びメールの文面を作るときに絶対してはいけないのは「責任転嫁」と「言い訳」です。仮に、自分(自社)に非がなかったとしても、言い訳をせずに、全責任を負う姿勢を見せることによって、相手の溜飲が下がりやすくなります。

さらに、お詫びメールの完成度が高ければ、その誠実さや、対応の速さ・的確さに相手が感動し、逆に、信頼や好意を勝ち取ることもできます。「ピンチはチャンス」です。お詫びメールは、相手とより強固な信頼関係を築くチャンスととらえましょう。

著者:山口拓朗

『伝わるメールが「正しく」「速く」書ける92の法則』著者。

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伝える力【話す・書く】研究所所長。「論理的に伝わる文章の書き方」や「好意と信頼を獲得するメールコミュニケーション」「売れるキャッチコピー作成」等の文章力向上をテーマに執筆・講演活動を行う。『伝わるメールが「正しく」「速く」書ける92の法則』(明日香出版社)のほか、『残念ながら、その文章では伝わりません』(だいわ文庫)、『問題を解くだけですらすら文章が書けるようになる本』(総合法令出版)、『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(日本実業出版社)、『書かずに文章がうまくなるトレーニング』(サンマーク出版)他がある。

 

山口拓朗公式サイト
http://yamaguchi-takuro.com/