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「文章を書くのが苦手…」から解放される意外な方法とは?

「論理的に伝わる文章の書き方」や「好意と信頼を獲得するメールコミュニケーション」等の文章力・コミュニケーション力向上をテーマに執筆・講演活動を行う山口拓朗さん。そんな山口さんに、今回は「これさえ知っていれば、文章を書くことへの苦手意識から解放される意外な方法」について解説していただきます。

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文章力を伸ばすのに必要なのはスキルではない?

「文章を書くのが苦手です」「文章を書くことが嫌いです」という人の多くが、「自分には書き方のスキルが足りていない」と思い込んでいます。ところが、書けない原因は「書き方のスキルやテクニック」ではなく、「情報の未整理」にあることが少なくありません。

では、「情報を整理させる」には、どうすればいいのでしょうか? 誰でも簡単にできる方法のひとつが「書く前に話す」です。「話す」ことと「書く」ことは連動しています。すらすらと文章を書ける人は、その文章の内容を口に出して話すこともできます。

一方、文章が書けずに悩んでいる人は、そもそも「話せない」というケースが少なくありません。話せることは書けますが、話せないことは書くことができません。「書く」も「話す」も頭になかにある情報や考えの言語化にほかならないからです。

「書く前に話す」で“あいまい情報”が明確になる!

「書く前に話す」ことによって、断然文章が書きやすくなります。たとえば、企画書を書くときは、事前にその企画について誰かに話してみるのです。話す相手は、友達でも、身内でも、会社の同僚でも構いません。「こんな企画を考えているんだけど、どうかな?」と、企画の内容を詳しく伝えていきます。同じく、顧客に営業のレターを書くときであれば、そのレターの内容を口に出して伝えていきます。

話すことによって、情報や考えが整理されていき、また、自分の記憶にも定着しやすくなります。“ぼんやり”としか考えていなかったことも、口に出して伝えるためには“はっきり”させる必要があります。話すことは、頭のなかにある不明瞭な情報や考えを明確化するうえで極めて有効なのです。「それは……あのう……そのう……」となってしまうようでは、残念ながら、まだ文章は書けません。まずは、“ぼんやり情報”を明確化することに注力しましょう。

話を聞いてくれた人からの質問は「金」と思え!

話を聞いてくれている相手が、こちらに何かしらの質問をしてくれたらなおラッキーです。たとえば「ところで、この企画のターゲットは誰なの?」という具合です。相手が発する多種多様な質問に答えていくことで、頭のなかにある情報や考えが、より整理されていくからです。質問に答えながら、思わぬ気づきを得たり、アイデアが生まれたりすることもあります。もちろん、そうした気づきやアイデアも、文章作成の材料として役立てることができます。

相手の質問に即座かつ的確に答えられたものについては、自信をもって書くことができるはずです。一方で、返答に窮してしまった場合は、そのことについて書くことはできません(まだ情報が整理されていないため)。その場合は、深く考えたり、よく調べたり、情報をもっている人から話を聞いたりしながら、何かしらの「答え」を出していかなければいけません。前述の「話す」と同じ理屈です。答えを出せることは書けますが、出せないものは、どうあがいても書けません。

子どもの作文力アップに使える「書く前に話す」

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あなたが小中学生のお父さんやお母さんであれば、子供の作文力を伸ばしたいときに、この「書く前に話す方法」が役立ちます。もしも子供が修学旅行の作文を書けずに悩んでいるようなら、子供の修学旅行の話に耳を傾けてあげましょう。話すうちに修学旅行中の記憶がよみがえるほか、作文のテーマや、文章の材料が掘り起こされていきます。
ひととおり話を聞いたら、子どもに対して「◯◯の話がとてもおもしろいね。そのことをテーマに作文を書いてみたら?」などとアドバイスをしてあげてもいいでしょう。子どもの話が今ひとつ物足りないときや、歯切れ悪いときは、子どもに質問をぶつけてみましょう。「京都のお寺でどこがいちばん気に入った?」「食べ物は何がおいしかった?」「お小遣いは何に使ったの?」「何かおもしろいハプニングはなかった?」など。

子ども自身が頭で行うべき自問自答の「自問」の部分を、親が手伝うことによって(そして、その質問に子どもが答えることによって)、子どもの頭のなかにあった“ぼんやり情報”が“はっきり情報”へと変化します。情報がはっきりしてくると、子ども自身も、「そっか、これを書けばいいのか!」と気づきます。そこまでくればしめたものです。なかには、文章を書きたくてウズウズする子も出てくるはずです。

「話す」と「書く」は強力なパートナーである

子どもが書く作文も、大人が書くビジネス文章も、基本的なプロセスは同じです。「書けない」と思ったら、まずは「人に話す」や「人の質問に答える」という形でアウトプットを心がけましょう。話した内容や質問に答えたことのすべてが、文章を書くときの材料として使えます。

どうしても話す相手がいないときは、スマホの録音機能やICレコーダーに向かって話をしてみましょう。このときも、頭のなかに浮遊する“ぼんやり情報”をアウトプットして“はっきり情報”にすることが重要です。

自分の頭の中身をのぞきたければ、録音した声を聞いてみてもいいでしょう。自分のアウトプット(言語化)に足りている部分と足りない部分の両方が見えるはずです。もちろん、足りない部分については、考えを深めたり、よく調べたり、人から話を聞いたりして、それらの不足情報を補う必要があります。

くり返しになりますが、「話す」ことと「書く」ことは連動しています。書くことが苦手であれば、「書く前に話す」というプロセスを踏んでみましょう。情報と考えの整理が上手になって、書くことへの抵抗感がみるみるうちに消えていくでしょう。

 

著者:山口拓朗

『残念ながら、その文章では伝わりません』著者。

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伝える力【話す・書く】研究所所長。「論理的に伝わる文章の書き方」や「好意と信頼を獲得するメールコミュニケーション」「売れるキャッチコピー作成」等の文章力向上をテーマに執筆・講演活動を行う。最新刊『残念ながら、その文章では伝わりません』(だいわ文庫)のほか、『伝わるメールが「正しく」「速く」書ける92の法則』(明日香出版社)、『問題を解くだけですらすら文章が書けるようになる本』(総合法令出版)、『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(日本実業出版社)、『書かずに文章がうまくなるトレーニング』(サンマーク出版)他がある。

 

山口拓朗公式サイト
http://yamaguchi-takuro.com/