人見知り、口ベタでもOK!仕事で即使える「雑談スキル」の身につけ方

初めて関わる社内の人、隣の部署の部長、取引先の偉い人など、深く知らない相手と雑談を交わさなければならないシーンは意外にあるものです。コミュニケーションの一環として必要なのはわかっているけれど、このような「ちょっとした雑談」がどうも苦手…という人は多いのでは?
そこで、雑談をスムーズに進めるポイントやコツなどを、心理カウンセラーで『超雑談力』『超話し方図鑑』著者の五百田達成さんに教えていただきました。

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雑談は、仕事になぜ必要?苦手に感じるのはなぜ?

雑談は、人と人との「心理的距離」を縮めるのに有効です。例えば初対面の人や、顔見知り程度で深く関わったことのない人でも、雑談を通して人となりが何となくでもつかめるようになると、相手に対して徐々に心を許すようになります。そして「この人は話が通じそうだ」「この人に仕事を任せてみてもいいかも」など、仕事においてもプラスの心理的バイアスがかかりやすくなります。

しかし、気心の知れた先輩や同僚ならまだしも、初対面や顔見知り程度などの「微妙な関係」の人と雑談するのは気が重い…という人は多いと思います。初対面の人との挨拶トーク、クライアントとの顔合わせや商談前のアイスブレイクなど、「気が重い雑談」シーンは意外に多く、ストレスを感じている人もいるかもしれません。

ただ、苦手に感じるのは当たり前です。なぜなら、雑談は普通の会話とは全く異なる「第3の会話」だからです。

多くの人は、「友達や仲のいい人との、気を使わない楽しいおしゃべり」と、「仕事の場面できちんと話す大人の会話」の2種類しか、話し方のバリエーションを持っていません。しかし、雑談はそのどちらでもない「第3の会話」です。ノウハウを持ってないがゆえに「友達のようにフランクに」もしくは「仕事のようにカチカチに」のどちらかで適当にやろうとして、失敗してしまうのです。

仕事での雑談力を上げるは、この「第3の会話」がどんなものか理解し、身につければいいだけ。ちょっとしたコツで、気づまりな相手とも臆せず話せるようになり、仕事にもプラスに働きます。もちろん、仕事以外の場面でも活かせるので、あらゆる人間関係をスムーズにするためにも雑談力を磨いておくのはお勧めです。

雑談がぐんと楽になる!7つのポイント

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仕事における雑談は、「会話を通じてお互いの警戒心を解き、心理的距離を縮め、スムーズで円滑な関係にシフトする」のが目的。ですから、面白い話や盛り上がる話をする必要はありません。

ここでは、これさえやれば雑談がうまくいく「7つの基本ルール」をご説明します。

1:とにかく会話のラリーを続ける
人と人は、雑談すれば仲良くなります。その際の内容は、正直なんでもOK。ラリーが続けば、「一緒に会話をしている」という実感が生まれ、「関係が深まった」という安心感につながります。

オチのない話をただただ続ける、結論の出ない話を堂々巡りで繰り返すだけでも、心理的距離は確実に縮まります。話の面白さや有益さはいったん置いといて、とにかく会話を続けることを意識しましょう。

2:気持ちをやり取りする
雑談が苦手な人がやってしまいがちなのが「情報交換」です。雑談には、仲良くなりやすい雑談とそうでない雑談がありますが、情報交換がまさにそれ。一見、盛り上がっているように見えますが、単なる情報からは「人となり」が伝わりません。
こんなことがあって嬉しかった、驚いた、困った…など、喜怒哀楽の感情を伝えることが、関係性作りには効果的です。

3:経験談を話す
天気や時事ネタ、ニュースを話のきっかけにすると、生の感情を伝えにくくなります。誰でも話せる時事ネタよりも、「自分が実際に体験したこと+感じた気持ち」を伝えることをお勧めします。
例えば「今回の台風ではかなりの被害が出たようですね」よりも、「今回の台風は風が強くて、夜寝られなかったですよ。窓が割れないかひやひやしました」という経験談のほうが、その人がより強く伝わります。結果、「大丈夫でしたか!?うちのほうはそれほどでもなかったのですが…」などと会話が続きやすくなります。

4:とことん肯定して共感する
雑談は相手との相互的な作業。こちらから伝えるだけでなく相手の雑談もきちんと聞く必要があります。
聞き方の基本スタンスは、前述のルール通り。すなわち、オチを求めず、ひたすら会話のラリーを続け、相手が自身の気持ちを話すように持っていくのがポイントです。
効果的なのは、相手の話をとことん肯定し、とにかく共感すること。肯定&共感されれば、相手は自分の気持ちを吐露しやすくなり、徐々に心を開いてくれるようになります。

5:大きくリアクションする
会話のラリーを続けようとして、無理に質問を挟み込んだり、相づちを入れたりしなくても大丈夫。話を聞く側になったら、とにかくリアクションしましょう。身振り手振りで、今の気持ちを伝えるのです。そうすることで、相手に「ちゃんと話を聞いていますよ」と伝え、寄り添うことができます。

リアクションは、オンラインでのコミュニケーションが増えた今、特に重視したいポイント。オンラインは対面に比べ、語幹から得られる情報がどうしても減るので、例えば手をたたく、大げさに表情を変える、笑う…など、ややオーバー気味にリアクションしましょう。

6:会話が途切れたら「身近な話」に戻す
雑談が苦手な人がストレスに感じるのが、「会話が途切れる」問題。沈黙を長引かせたくなくて、慌てて別の話題を探そうとする人が多いですが、思い付きで天気や政治経済、時事ネタなどを振ったところで、空振りに終わる恐れがあります。

雑談は心理的距離を縮めるためのものですから、困ったときには時事ネタのような遠い話ではなく「身近なエピソード」を選ぶのが正解。自身の家族の話やペットの話でもいいし、目の前にあるもの…もし客先の応接室にいるのであれば出されたお茶でも、飾ってある花でも、2人の間にあるアクリル板でも何でも構いません。内容はユルくても自分たちにとって近い話題のほうが、会話は簡単に復活します。

7:ほどよいところで切り上げる
逆に、ちょっとした雑談だったはずが、思いのほか続いてしまった…というケースもあり得ます。「上司との雑談の切り上げどきがわからず困った」「ズケズケとプライベートに踏み込んだ質問をされた」という話もよく聞きます。雑談は、距離を縮めるための入り口ですが、あくまで入口にすぎません。ほどよいところで切り上げるのも、ビジネスにおいては重要です。

雑談が必要以上に長引いているな…と思ったら、ここまでの1~6を逆にやることです。つまり、「気持ちを伝える」のを止め、リアクションを抑え、話をまとめるのが有効。そして最後に「お時間ありがとうございました!」とお礼を言って去れば、失礼な印象は与えません。

雑談に即活かせる!「話し方」のコツ4

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前述の「7つのルール」を実行するうえで役立つ、話し方のメソッドを4つご紹介します。いずれも、コミュニケーションのプロとして活動してきた20年超の知見の中で、特に効果が高いと実感している方法ですので、ぜひ活用してみてください。

話に困ったら「ビデオトーク」

見たものをそのまま話題にするのが「ビデオトーク」です。

繰り返しになりますが、心理的距離を縮めるには「一緒に話した」という事実が大事なのであって、内容は何でもいいのです。従って、机でも時計でも、服装でも部屋の内装でも、目に入ったものをそのままビデオで映し出すように話題にするのがお勧め。タクシーの車内ならば、車窓から見えるものを次々話題にしていけば、会話のラリーが続きやすくなります。

視界に入っているモノを話題にするので、お互いに話を続けやすいですし、たとえ話に詰まっても、ほかの話題に展開しやすいのが特徴。結果、「気まずさを感じることなく、数分間会話をした」という事実が残り、着実に距離が縮まります。

距離をさらに詰めたいときは「エピソードトーク」

基本ルールの2や3で説明したとおり、雑談では情報ではなく「感情」をやり取りするのが効果的です。情報交換は表面的には盛り上がるのですが、実は心理的距離はあまり近づきません。互いに「有意義だった」とは思っても、「仲良く」はなっていないことが多いのです。

距離を縮めるには、自分の気持ちやパーソナルな部分を伝え合うのがポイント。そのためにも、自分から「最近経験したこと+思ったこと」のエピソードトークを振りましょう。

例えば「最近は、こんな動画が流行っているらしいですよ」というよりも、「この前こんな動画を見つけたのですが、本当に面白くて…!」のほうが断然感情が伝わります。「どんな動画なんですか?」などと会話のラリーが続きやすくなると同時に、「感情を伝えてくれた=自分に心を開いてくれた」という印象を持ってもらうこともできます。

共通の話題に困ったら「教えてもらうスタンス」

かなり年上の役員や、隣の部の事業部長、初めてお会いした取引先の社長など、何とも微妙な距離の人と雑談をする際に、共通の話題が見つからず困った…という経験をした人は多いことでしょう。

あまりに距離が遠くて、ビデオトークもエピソードトークも振りにくい…という場合は、「教えてもらう」スタンスが効果的。例えば、「そのネクタイ、素敵ですね!どこで買っているのですか?」と聞いたり、「ゴルフの腕前がすごいとお伺いしました。私はなかなか上達しなくて…何かコツってありますか?」などと教えを請うたりする方法です。
ひとしきり教わったら、「ありがとうございます!」「勉強になりました!」などと締めくくればOK。無理に話題を探さなくていいのでラクですし、相手は承認欲求が満たされるので嬉しい気持ちになります。

そもそもこういうシーンでは、相手もあなたに対して「何を話せばいいんだろう…」と不安に思っているはず。積極的に「先生と生徒」のような関係性を作ってしまえば、お互い気持ちが楽になり、関係性も深まります。

相手の話をはぐらかしたいときは「一般論でとぼける」

雑談で距離が縮まった結果、思いがけず相手がプライベートまでズケズケ踏み込んでくることがあります。例えば「そろそろ結婚しないの?」「A社だったら給料いいよね?年収いくらぐらい?」などなど。

そんなときは、「一般論」で答えるようにすれば、プライベートな部分を守ることができます。例えば「結婚」ならば「そもそも結婚って、何なんでしょうね…」、「年収」だったら「最近お金に対する価値観も変わってきているような気がするんですよね」など。なるべく自分以外を主語にして話せば、自然にごまかせます。相手がしつこく繰り返してきても、一般論ではぐらかし続ければ、そのうち話を変えてくれます。

逆に、こちらが何か質問しても、相手からのらりくらりとかわされたら「踏み込み過ぎている」というサイン。せっかく縮まりかけた距離がまた開いてしまいますので、早めに別の無難な話に切り替えましょう。

普段の会話の中で「気持ちを添える」を意識してみよう

ここまでにご説明した7つの基本ルール、4つのメソッドを意識していただければ、仕事関係のちょっとした雑談が苦にならなくなり、かつ適度に心理的距離を縮めることができると思います。

一番のポイントは、雑談のネタは何でもいいので「気持ちを伝える」こと。仕事においては、報告や連絡など「仕事の場面できちんと話す大人の会話」がメインで、なかなか自分の気持ちを添える機会がありませんが、普段の会話の中で「話に思いを添える」ことを意識してみるといいでしょう。仕事で上司に報告する際に、事実を伝えるとともに「自分はこう考えました」「こう思いました」と感情も一言添えてみる、友人同士の他愛ない会話の中でも、自分はどう捉え、どう感じたのかを伝えてみる…など。

雑談は、テクニックです。普段から意識し、繰り返すことで雑談に慣れ、スキルとして自身に装着されます。雑談に適した話し方を理解し、ビジネスに活かしてほしいですね。

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「超話し方図鑑」書影五百田達成(いおた・たつなり)さん

作家、心理カウンセラー。米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。東京大学教養学部卒業後、角川書店、博報堂、博報堂生活総合研究所を経て、五百田達成事務所を設立。個人カウンセリング、セミナー、講演、執筆など、多岐にわたって活躍中。 専門分野は「コミュニケーション心理」「社会変化と男女関係」「SNSと人づきあい」「ことばと伝え方」。「スッキリ!!」(日本テレビ)、「この差って何ですか?」(TBS)ほか、テレビ・雑誌などのメディア出演も多数。コミュニケーションを円滑にする「話し方」の処方箋をまとめた新刊 『超話し方図鑑()』(飛鳥新社)が話題に。『超雑談力()』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)はシリーズ累計80万部超えのベストセラーに。 オンラインサロン「おとなの寺子屋~文章教室~()」も好評。
五百田達成さん公式サイト(

EDIT&WRITING:伊藤理子
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