オンライン会議をスムーズに進める事前準備のポイントと、ファシリテーションのコツとは?

リモートワークが定着し、オンライン会議が増えたという人は多いのではないでしょうか。対面と違って、オンライン上のミーティングは相手の表情が読みにくく、議事進行しにくい、活発な意見が出にくいという声も聞こえます。
そこで今回は、ITサービス開発会社で、働き方改革・人材育成のプロフェッショナルとして活躍する小田木朝子さんにオンライン会議を成功させる「オンラインファシリテーション」のコツを伺いました。

オンラインファシリテーションのイメージ画像

株式会社NOKIOO 取締役 経営学修士 小田木 朝子さんプロフィール画像株式会社NOKIOO 取締役 経営学修士 小田木 朝子さん

通販企業やIT企業での法人営業を経て、2011年にITサービス開発を行う株式会社NOKIOOの創業に参画。教育事業担当役員として、企業や行政に女性活躍・働き方改革・人材育成事業を提案している。女性のためのオンライン・スクール事業「育休スクラ」()の運営や、仕事がもっと楽しくなる“知恵とヒント”をVoicyで平日毎朝10分配信中(

オンライン会議がうまくいかない要因は?

対面と違ってオンライン会議は、相手の表情や反応がわかりにくくなりがちです。通信環境の不安定さもミーティングの質に影響しやすく、音声が聞こえにくい人がいると議事進行が止まってしまいます。

また、参加者同士が話し始めるタイミングがかぶり、譲り合いから進行が進まないという声や、限られた時間の中で会議の結論を出せないという悩みを抱く声も聞こえてきます。

オンライン会議がうまくいかない要因として、対面以上に気をつけなくてはならないポイントが多いにも関わらず、ちゃんと準備していないことが挙げられます。加えて、スムーズな議事進行には、適切なファシリテーションが欠かせません。

では、企画する側にとっても、参加する側にも有益かつヘルシーな会議にするために、どのように進行すればよいのでしょうか。オンライン会議をスムーズにするためのポイントと、ファシリテーションのコツをご紹介したいと思います。

オンライン会議の事前準備に必要な4つのポイント

オンライン会議を成功させるコツは、事前準備が7割です。会議当日までに必要な情報をそろえ、参加者に周知しておく必要があります。

まずは、オンライン会議を成功させるために必要な4つの準備をしましょう。

1.目的を決める

会議前に、ディスカッションするテーマや論点を決めておきましょう。参加者がせっかく時間をとってアクセスしてくれたのに、目的のない会議では時間を無駄にしてしまうことになります。

もちろん、これはオンライン会議にとどまらず、対面の会議でも重要なこと。ポイントは、できる限り具体的に明確な目的を設定することです。

【目的の伝え方例】
「今日の会議は、来期予算について話し合います」

「今日の会議の目的は、来期予算のテーマと重点課題を洗い出し、優先順位を決定することです」

2.必要最小限の参加者を選ぶ

オンライン会議のファシリテーションは、人数が多いほど難易度が上がります。また、参加者一人あたりの発言機会も減りがちです。

本当にその人に時間を割いてもらう必要があるのか見極め、会議の目的を達成する上で必要最小限のメンバーをアサインするようにしましょう。

3.会議パターンの設定

会議には実は4つのタイプがあります。この会議タイプを意識しておくだけで、議論を一直線に進めることができるようになります。

●意思決定パターン

「何かを決める」ことが目的の会議です。例えば、「広告キャンペーンのターゲット設定を決める」「マーケティング施策の開始時期を決める」「クライアントへの提案内容を決める」など。意思決定するための参加者選定とゴールを事前に明確にしておくことが重要です。

●情報共有パターン

チームメンバーが情報を報告するための会議です。リモートワークでは他の同僚が日々、どのような仕事をしているか見えなくなりがちなので、チーム全体の方向性を知る上でも重要な会議です。

例えば、売上数値や商談件数といった数字はひとつであっても、その数字をどのように解釈するかは人によって違います。こうした認識や意味合いを共有して揃えていくのも、会議の重要な役割です。

●ブレストパターン

新しい商品企画の内容や販売戦略などについて、ざっくばらんにアイデアを出し合う会議です。ブレストテーマを事前に告知しておくことで、メンバーがリサーチしたり、必要なインプットをしておくことができます。

●問題解決パターン

何か問題が起こったとき、その内容を共有して改善策や解決方法を話し合うための会議です。事前に会議のゴールが見えていなくても、どのような問題が起こっているかを事前に伝えておけば、当日のディスカッションですばやく解決策を練ることができるでしょう。

オンラインファシリテーションは、上記のような会議パターンに合わせ、進行方法を臨機応変に対応することが大切です。例えば、「意思決定タイプ」のときは参加者にどんどん話を振っていき、議論を牽引しましょう。

また、「ブレストタイプ」のときは、参加者の意見を遮ったり否定したりせず聞き役に徹してアイデアの出やすい環境を作ることが有効です。

4.アジェンダの周知

上記のような準備ができたら、会議の目的やアジェンダ、参加者に求めること、会議に参加するために必要な機器や会議用URLなどを事前に周知しておきましょう。会議の時間になってから、参加者が戸惑わないように気をつける必要があります。

これらを準備しておくだけで、オンライン会議をスムーズにファシリテーションすることが可能になります。

活発な議論を生むファシリテーションのコツは?

オンラインでは参加者同士の自由なやり取りが生まれにくく、ファシリテーターが話を振る一問一答型の会議になりがちです。オンライン会議で活発な議論を生むためのコツをご紹介します。

1.オンライン環境の確認と発言しやすい場作り

会議当日は、まず参加者のオンライン環境を確認してください。音や映像が伝わっているか、画面共有やチャット機能は使えるかをチェックしましょう。

それからアイスブレイクとして雑談や軽い近況報告をして「場作り」を行います。ファシリテーターが穏やかな表情で、話しやすい雰囲気を作り、安心して発言できる心理的安全性の高い環境作りを心がけましょう。

2.会議概要は簡潔に伝える

いざ本題に入るときは、ファシリテーターが最初に会議の目的・ゴール・所要時間を簡潔に伝えます。

例えば「来月、広告予算200万円のKPIを達成するための手段について1時間議論します」というように、会議の概要をひと言で伝えられるようにしておきましょう。

3.発言のタイミングとロールを割り振っておく

会議の前に「誰に・何を・どんなタイミングで話してほしいのか」というロール(役割)を割り振っておくとスムーズな発言が生まれやすくなります。「会議のために根回し?」と思うかもしれませんが、実はオンライン・対面にかかわらず、会議の目的達成に有効な根回しは、期待役割を伝えることがポイントです。

【発言の根回し例】
「Aさん、次の会議で発言お願いします」

「下期の営業計画を立案するにあたり、Aさんには、開発現場の現状の課題感を発言いただきたく、準備と当日の発言お願いできますか」

ファシリテーターは会議をコントロールする、いわば映画監督のようなものです。参加者に適切なロールを担ってもらい、会議の目的を達成するというゴールへ向けて場を取り仕切らなければなりません。

そのため、事前に「このテーマのときに話を振るから、話すことを考えておいてほしい」と促すことも有効な手段の一つ。「アイデア出しのときに最初に発言してくれない?」と依頼しておくのもよいでしょう。

<Q&A>オンラインファシリテーションでよくある疑問

次に、オンライン会議でのファリシテーションについて、よくある質問にお答えします。

Q1.参加しても発言しない人がいる場合の対応は?

会議を主催する上で、「なかなか発言が出ない」ことは共通の大きな課題です。「発言しない」という事象には、複数の要因が存在しますので、要因別の対応方法をお伝えします。

“要因1” そもそも意見がない、思いつかない

事前準備の工夫で乗り越えましょう。例えば、以下の対策が考えられます。

・会議目的を具体的、かつ明確に言葉にして、事前に提示する。
・当日参加者に意見を求める質問・テーマを事前に共有しておく。
・参加者の期待役割を伝えておく。
(例:現場で感じるモヤモヤを共有するために参加してほしい)

“要因2” 意見をまとめるのに時間がかかる

発言できない理由に、「すぐに考えがまとまらない」という意見は実際にとても多くあります。そのために、上記の事前準備に加え、下記の工夫が有効です。

【例1】シンキングタイムを設ける
「2分間各自考えてください。そのあとお一人ずつお聞きします」
【例2】答えやすい問いかけを工夫する
「意見を言ってください」

「**業務で感じているモヤモヤを、各自の立場から自由に言ってみてください」

“要因3” 意見を言いにくい雰囲気がある

雰囲気や空気感によって、意見の言いやすさが変わることって、私たち自身も経験がありますよね。ファシリテーターの笑顔、うなづきなどのリアクションで工夫できる点もありますし、開始時のアイスブレイクで発言しやすい雰囲気を作っていくことも有効です。

“要因4” 意見を言うスキがない

「どのタイミングで発言すればいいか分からない」「今言っていいかどうか分からない」などの声は、オンラインの場合はリアル以上に多く出ます。対応策としては、下記の2点が有効です。

“対応策1” 会議の開始時に、発言方法を共有する
「議事**で、全員に発言を振ります」「質問は、その都度画面に手を挙げて教えてください」などの方法を、会議の冒頭で参加者と共有しましょう。

“対応策2” チャットなどのツールを活用する

オンライン会議のチャットは活用できると非常に便利です。もちろんチャットを活用することを、冒頭で参加者とも共有しましょう。書き込みで進行を妨げることもないことで、参加者も安心して書き込みできます。

進行しながら、発言に対応するのが難しい場合は、メンバーの一人をチャット拾い係としてアサインしてはどうでしょう。

Q2.発言は指名がいい?それとも挙手がいい?

議事テーマ、参加者の性質やタイプ、所要時間などを加味して選択することをお勧めします。

【指名がいいケース】
・全員に発言を求める場合は、一人当たりの目安時間も踏まえて指名していく
【挙手がいいケース】
・自由に気づきやアイデアを発言してほしい場合は、準備ができた人から挙手してもらう

Q3.会議中の画面オフはOK?

参加者の環境(通信環境、在宅の場合の環境)が許すならば、画面オンを推奨したいというのがファシリテーターとしての本音になります。やはり表情などから得られる情報もあるためです。強制にならないように、画面オンでの参加を促す声がけができると良いですね。

【声がけ例】
「一体感を持って進行していきたいので、ご事情がある方以外は画面オンにご協力をよろしくお願いします」

Q4.ファシリテーターは出しゃばらない方がいい?

ファシリテーターの進行スタイルも、会議の目的に合わせて適切な振る舞いが必要です。意思決定のための会議で、関係者を巻き込んで必要なゴールに向かう場合は、進行を牽引する姿勢が求められます。

一方、自身が上司であり、自分に遠慮せずに自由な意見が活発に出ることを期待するブレストのような会議の場合は、経過ごとの論点整理や目的確認を除いては、控えめに振る舞う方が望ましいでしょう。

成功の鍵は事前準備とファシリテーション

オンライン会議は、事前にしっかり準備を行い、短時間で効率的に行うことで、対面よりも劇的に生産性を上げることが可能となります。さらに本質にフォーカスしたファシリテーションができれば、議論が深まり、良い結論も出やすくなります。

ファシリテーションには、会議のイシュー(議題)を設定する論理的思考力、逆算して事前準備をする段取り力、そしてそもそものファシリテーション力を高めることが必要です。ファシリテーション力とは、参加者の意見を言い換えたり、言葉になりにくい思い代弁したりする言語化力、情報を整理しながら会議を目的へ向かって進める構造化力、実行力などが挙げられます。

こうしたスキルは、ファシリテーターの経験を重ねることで磨かれるものでもあります。機会があれば、率先してオンラインファシリテーターを担ってみるといいのではないでしょうか。

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企画監修:沢渡あまね WRITING:石川香苗子 EDIT:馬場美由紀

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