社内評価が低くても同期や後輩が評価されても焦らなくていい理由――大事なのは社内より“市場”から見た「自分の価値」

企業で働くビジネスマンが、自分の働きぶりや成果に対してその良し悪しを判断する機会の1つに、社内評価という会社独自の判断基準があります。社内評価がなかなか上がらず、「どうやったら(評価を)上げられるのか」「自分はこの仕事に向いていないのでは」「もしかしたらどこにいっても、評価されないのでは」と不安に思うことがあるかもしれません。そんな不安な気持ちに、どう対処すればいいのでしょう。著書『転職と副業のかけ算』が好評のmotoさんからのメッセージが届きました。

社内評価が上がらず悩む社会人

プロフィール

motoさん

新卒で地方中小企業(ホームセンター)へ入社し、人材広告会社からリクルートへ転職、上場ベンチャー、スタートアップなど、計6社を経験。現在は都内のベンチャー企業で営業部長を勤めながら、moto株式会社とHIRED株式会社を経営する。これまで培ってきた転職や副業の経験を活かし、Twitterや、voicy、noteなどSNSを中心に、働き方やキャリアに関するメッセージを発信し続けている。著書『転職と副業のかけ算』はAmazon総合ランキング1位を獲得し、ベストセラーとなっている。

MotoさんのTwitter@moto_recruit
ブログ:転職アンテナ

そもそも“社内評価”とはなにか

若手ビジネスパーソンから「社内評価を上げるにはどうしたらいいですか?」という相談をもらうことが増えてきました。僕を含め、多くのサラリーマンが、上司や同僚、メンバーからの評価を少なからず気にかけながら日々仕事をしているのではないかと思います。

僕はこれまで6社経験してきましたが、転職を重ねる中で、“社内評価だけでなく、市場評価も大切にすべきだ”と考えるようになりました。

もちろん、社内評価もとても大切にしています。社内評価は、評価面談など通じて身近な人から自分の働き方や成果についてフィードバックをもらうことのできる機会であり、自分の現年収を決める大切な評価の一つです。

評価の分母は自社の社員となるわけですが、自分の取り組みや成果が評価されることで、新しい仕事の機会やポストを得ることができるので、社内の評価を軽視することはできません。

より成長できる環境に身を置き、会社の機会を通じて自分の経験値を増やすことは、自分のキャリアを築いていく上では、とても重要な要素になります。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

社内評価が上がらない理由を考える

評価面談をしていると「自分はこれだけ努力した、だから評価してほしい」という人がいますが、自分がどれだけ努力しようと、評価基準に沿っていなければ評価されることはありません。ましてや、どれだけ努力したかというのは、評価する側の人には関係のないことです。

社内評価が上がらないことに不安になる人もいると思いますが、「どうすれば自分の評価は上がるのか?」を考えることが大切です。なぜ自分は評価されないのか?を考えるより、今の自分が評価されているポイントはどこか?を把握して伸ばすほうが、今後の評価につながる行動を発見しやすくなるはずです。

評価を気にしながら闇雲に努力するよりも「自社の評価基準」を正しく把握して、その基準に沿った努力をすることが、社内評価を高める大切なポイントなのです。
苦手なことをして仕事をするより、自分が評価されている部分を活かして成果に拘ってみてください。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

まずは目の前の仕事における“成果”にこだわってみる

大きな組織には異動がつきものです。「人事や営業などを短い期間で異動をさせられて、中途半端にしかスキルがつかない」「この仕事をしたところで、どうせまた異動になる」という声をよく耳にしますが、たとえどんな環境であっても、成果にこだわって自分の経験値を増やすことが大切です。

僕は新卒でホームセンターに入社してレジ打ちからキャリアをスタートしましたが、当時から今日まで、目の前の仕事で成果を出すことに集中してきました。

「どうしたらお店の売り上げは上がるのか?」「何をしたらお客さんは喜んでくれるのか?」を常に考え、目の前で発生する仕事に自分の思考と行動を費やして取り組んだ結果、高い評価につながり、新しい仕事の機会として人事や販促、店舗レイアウトなどの経験を積むことができました。この経験があったからこそ、後のキャリアにつながったと思っています。

社内評価と市場価値がズレていることもある

しかし一方で、「社内評価」だけに重きをおいて働いてしまうと、市場から評価される「本質的な成果」を見失ってしまうこともあります

社内の評価も大切ですが、「仕事の機会を通じて、自分が得られる経験値」は自分のキャリアにおいて糧になるものなので、常に「仕事の成果」と「社内の評価」をセットで考えて行動することが大切です。

例えば、なかには昔ながらの社風で、残業する人が評価されたり、上司をヨイショすることで評価される風土の企業も少なからずあります。

その場合は、社内評価に重きを置かず、社外の人からどう評価されているかを重視するようにしてください。社内政治に強くなったり、ゴマすりを覚えたところで、本質的な市場価値は上がりません。

他にも、社内評価の一つに「社内表彰」があります。営業成績が優秀な人や、大きなプロジェクトを成し遂げた人に送られたりするものですが、表彰される=転職市場で評価される、とはならないのが現実です。

社内の物差しにおいて大きな功績であるのは間違いないですが、それが世の中の評価と必ずしもリンクするとは限りません。今の会社でもらった賞は、転職市場においてどういう価値があるのか、その価値は、自分のどの部分が評価されたものなのか、を考えるのが大事です。

社内において賞を取っていなくても、転職市場で評価されている人はたくさんいます。決して賞自体に価値はあるのではなく「どのような経験をしてきたのか」「どんな成果を、どのようにして上げてきたのか」という点に価値があるのです。

社内の表彰では「なぜこの人が?」と思うケースもあると思いますが、「その人を鼓舞させるために表彰する」というパターンもあったりします。そうした現状を踏まえても、自分の戦うフィールドは“そこ”ではないと気づくはずです。

同期や後輩が表彰されていて焦る、という気持ちもよくわかります。ですが、目の前の優劣よりも、「どうしたら今の会社がより大きくなるのか」「どうしたら成果につながるか」という視点を持って、自分なりに行動し続けるのが大切です。そして、社内だけでなく社外で評価される経験をつくることが大切なのです

第三者的に自分の“市場価値”も意識する

また、ホームセンターで働いていた当時から、どんな仕事においても「この経験には、どのような価値があるのか?」という第三者視点である「市場価値」も持つようにしてきました。

“市場評価”というのは、労働市場における自分の相場のようなものです。自分と同じポジションの人は「どれくらの年収をもらっていて、どのようなポストについているのか」「どんな能力を有しているのか」という情報を持っているだけでも、自分の社内評価との“差分”を見つけることができるようになります。

この差分を把握しておくことで、自分が理想とするキャリアに向けて、どのような経験をすれば良いかがわかります。社内評価だけでなく、市場評価に必要な経験を取りにいく姿勢を持つことができるようになるのです。

これからは、終身雇用や新卒一括採用が当たり前の時代ではなくなりました。自分のキャリアは自分で作っていくしかありません。以前はキャリアを会社が用意してくれましたが、今は転職や副業という手段も含め、あらゆる方法で、自分自身の価値を高め、自分のキャリアを作り上げていく必要があります。

そのためにも、転職エージェントを通じて自分の市場価値や立ち位置を把握しておくのがおすすめです。
まだ転職をする予定がない人は、転職エージェントや面接に行くことに抵抗があると思います。

そう感じる人は、転職サイトに記載されている「求める人物像」をチェックしてみてください。「求める人物像」には、必要な経験やスキル、属性などが詳細に書かれているはずです。

自分自身が今持っているスキルや経験が、他社で必要とされているか?を把握するだけでも日頃の仕事の取り組み方は変わると思います。今の自分に足りないスキルは何か、どうすればそれが身につくのか、身についた先にはどんなキャリアがあるかを想像することが、市場価値を高める第一歩になります

社内評価と市場価値の両軸を意識しよう

「仕事の機会を通じて、自分が得られる経験値」はキャリアにおいて大切な要素になります。常に「仕事の成果」と「社内評価」「市場価値」をセットで考えて行動することが大切です。この視点を持ち合わせながら、日々の仕事の取り組み方を考えると、おのずと自分の評価は上がっていくと思います。

WRITING:moto
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