あなたは毎日、楽しく働けていますか?充実した日々を過ごしている人がいる一方、日々の雑務に追われ、思うように働けていない人もいるのが現実と思います。その明暗はバイタリティの有無に原因があるのかもしれません。そこで、広告代理店勤務時代に3000人以上のVIPと交流し、彼らの「バイタリティを維持する秘訣」を観察している気配りのプロフェッショナル・後田良輔さんに、バイタリティの意味やバイタリティがある人の特徴、バイタリティがある人の4つの習慣」などについて話を伺いました。
バイタリティとはどういう意味?
そもそも「バイタリティ」とはどういう意味なのか、改めて確認しておきましょう。
バイタリティの意味は「活力や元気があること」
「バイタリティ」とは、ラテン語の「命」を表す言葉が語源と言われており、「生命力」「活気」「エネルギー」など、まさに生命力の旺盛な様子を表す言葉です。そこから、活力に満ちあふれ、元気いっぱいである様子を、「あの人はバイタリティがある」「バイタリティにあふれている」などと言います。
バイタリティがある人は仕事でも一目置かれる
バイタリティがある人は、全身から力強さがにじみ出ていて、周囲に「仕事ができそうだ」という印象を与えます。
具体的には「バリバリと効率よく仕事を進めてくれそうだ」「スピーディーな判断をしてくれそうだ」「自分の意見を持っていそうだ」とのイメージを持たれやすく、重要な仕事を任されやすい傾向にあります。
また、周りを巻き込む力も強いことから、「仲間に恵まれている」「人脈を活かして成果を上げてくれそうだ」などの印象も持たれやすいでしょう。「あの人のような働き方がしたい」と慕う後輩や部下も多く、リーダーとしても活躍しやすいと考えられます。
バイタリティがある人の特徴
バイタリティがある人は、次のような特徴を持っているケースが多いようです。いずれの特徴にも共通しているのは、「相手の想像を上回る行動や思考」をしていること。あなたの周りにも、このような人がいるのではないでしょうか?
何事も「早い」
バイタリティがある人は、すべての行動がとにかく早いのが特徴です。例えば、誰よりも早く出社してバリバリ働いている、メールの返信が早い、議事録の作成など頼んだものがすぐ上がってくる、などが挙げられます。
ポジティブシンキングである
バイタリティがある人は、ネガティブなことでもポジティブに捉えた上で、それを前向きな言葉に変換する傾向にあります。例えば、プロジェクトで大きなミスが発覚し、周りが皆ネガティブな気持ちになっているようなときにも、「今の段階で気づけて良かったね!」と前向きに捉え、周囲を元気づけることができます。
フットワークが軽い
何かあったときにすぐに行動に移せるのも、バイタリティがある人ならでは。やるべきことがあれば、たとえ難易度が高かったり気が乗らない業務であったりしても、躊躇せずすぐに一歩を踏み出せます。約束事を取り決めるときにも、「また今度」と先延ばしにせずその場でアポを確定させます。
有言実行
「○○社から必ず受注する」「営業でトップになる」「TOEICで800点以上を取る」など、達成したい目標を言葉にして周囲に伝え、後に引けない状況を作るのもバイタリティがある人の特徴の一つです。そして目標に向けて努力し続けことで、周囲からの信頼を得ることもできます。
失敗からの立ち直りが早い
有言実行の結果、ときとして目標を達成できなかったり、失敗してしまったりすることもありますが、すぐに立ち直れるのもバイタリティがある人の特徴です。失敗を引っ張り過ぎず、なぜ達成できなかったのか、失敗してしまったのかすぐに原因を突き詰め、前向きに次に活かすことができます。
バイタリティは誰でも簡単に身につけられる
バイタリティは、誰でも身につけることができます。事実、私が交流してきた3000人を超えるVIPのほとんどは、努力によってバイタリティを身につけた人ばかりでした。
たしかに生まれつき何についてもポジティブシンキング、どんな状況でもめげないタフな精神力の人もいますが、そんな人はむしろ稀。どちらかといえばネガティブシンキングで、失敗するとめげ、怒られると委縮する経験をもつ人も数多くいました。ただ、彼らは今の自分とバイタリティあふれる人の違いを冷静に分析し、マネできる部分を研究し身につける努力をしていました。その結果、「あの人はバイタリティがある」と周囲に言われるまでに成長できたのです。
つまり、バイタリティは才能ではありません。ほんの少しの工夫で誰でも身につけられるスキルなのです。
次から、誰でもすぐ簡単に取り組める「バイタリティを身につける習慣」をご紹介します。ぜひ皆さんの日常に取り入れてみてください。
バイタリティを身につける4つの習慣とは?
1:なりたい自分を決める
あなたは「なりたい自分」を思い描いていますか?目隠しして車に乗せられるとどこに着くかわからないのと同じように、「どんな自分になりたいか」が見えていないと、どこをどのように努力すべきかを決めることができません。
バイタリティのある人は理想の自分を明確に設定しています。そして、その理想像から逆算して「なりたい自分ならこの場面でどう話すべきなのか?」「どのように行動すべきなのか?」と考え、日々の仕事の仕方を改善しています。
正しいゴールが見えていれば、努力の方向性も明確になります。理想の自分が見つかれば、それに向けてバイタリティが湧いてくるでしょう。
2:姿勢を正しくする
バイタリティは本人が感じ意識する部分もありますが、その多くは周囲が感じ取るものです。そして見た目からも、バイタリティの有無を無意識のうちに判断しています。
典型的な例が「姿勢が正しいかどうか」。バイタリティがある人はどんな場面でも正しい姿勢を保っています。たかが姿勢と思う人もいるかもしれませんが、背筋がピンと伸びた正しい姿勢は、周囲に力強さと誠実さを感じさせます。
ほかにもバイタリティを感じさせる所作として、「歩くスピードが早い」「元気良く返事をする」「いつも笑顔」などがあげられます。能の大家の世阿弥も極意を身につけるには「守破離」が大切と言っているように、まずは「姿勢」や「笑顔」などの「形」から入り、それを守ることから始めてみましょう。
3:逆境は主人公の特権と考える
理想の自分を決め、形から取り組み始めると、自分でもバイタリティが高まったと感じられるようになります。しかしそんなあなたからバイタリティを奪う敵も現れます。それは「失敗」です。仕事のミスはもちろん、取引先の倒産や仲間のミスに起因するプロジェクトの不発など、自分に原因があるなしに関わらず、働いていれば誰でも失敗に遭遇するものです。
そんな場面に出くわしたら、ぜひ「逆境は主人公の特権」と考えてみてください。
例えばヒット映画の主人公は、冒頭にとんでもない試練や逆境に陥るのが一般的です。でもそこから這い上がり、その逆境を跳ね返すから映画は面白いのです。あなたは人生の主人公。失敗や逆境は、その主人公の前にしか現れない特権です。「いかにしてこの事態を挽回できるか」と気持ちを切り替えて前向きになれれば、バイタリティはさらに湧いてくるでしょう。
4:バイタリティあふれる人と一緒にいる
もっと簡単にバイタリティを生み出す方法があります。それは「バイタリティあふれる人と一緒にいる」ということです。バイタリティあふれる人が放つポジティブな雰囲気は、周囲に伝染する力を持っています。やる気がある人や元気な人と一緒にいると、こちらも自然と力が湧いてくるのはその典型例です。いますぐバイタリティを身につけたい人は、周囲で一番バイタリティがある人とランチに行くことから始めるのがお勧めです。
バイタリティがあれば人生そのものが充実する
生まれ育った環境や、持って生まれた才能は人それぞれですが、時間だけは平等に24時間365日と決まっています。その時間の濃淡を決めるのは自分次第です。例えば、仕事にネガティブな気持ちを抱えながら働けば、労働時間が苦痛なものになりますが、気持ちを切り替えポジティブに働くと、その時間は充実したものに変わります。
はじめは、環境や才能に恵まれた人が先行し、活躍するかもしれませんが、バイタリティを身につけ前向きに行動すれば、童話「うさぎとかめ」のようにいつか必ずライバルを追い越せるときが来るでしょう。
バイタリティは「エンジン」であり、あらゆる目標に向かってイキイキと努力し続けるための原動力にもなります。したがって、仕事だけでなく人生もより充実したものにできるでしょう。
なお、どんなに仕事ができるVIPであっても、心身的な疲れやストレスなどで、バイタリティが足りなくなってしまう場面があるものです。そんなときは、「今は休んだほうがいい時期だ」と前向きに捉えてスパッと休み、心身の休息に充てる人が多いようです。
また、「何となく気が乗らない」と感じるときは、あえて付き合う仲間を変えるという人もいます。新しい人脈と交流を持つことで視野が広がり、刺激を受けて、バイタリティを高めることができる、とのこと。もし「バイタリティが足りなくなってきたな」と思ったら、これらの方法を試してみることをお勧めします。
プロフィール
後田良輔氏/ビジネス書作家・コラムニスト
1972年生まれ。大手3大広告代理店に勤務し、「誰でも使える気配り術」を駆使する気配りのプロフェッショナル。これまで応対したVIPは、東証一部上場社長、世界企業のCEO、政治家、医者、弁護士、大学教授、大物俳優・女優、ミリオンセラー作家、世界No.1クリエイターなど総勢3000名を超える。この特別丁寧に接しなければならない顧客との交流で磨かれたスキルと「東京・名古屋・大阪」の現場勤務で身につけたリアルな経験を組み合わせた、独自の「誰でも使える気配り術」に定評がある。
著書に、『気配りの正解』(ダイヤモンド社)『<落ちこぼれでも3秒で社内エースに変わる!>ぶっちぎり理論38』(ダイヤモンド社)、『逆境を活かす! 就活面接「エモロジカル理論」2015年度版』(実務教育出版)『1秒内定面接術」』(インプレス)など。これらの実績を買われ全国の大学や企業から講演・研修依頼が殺到。新聞・雑誌などメディア露出は50回以上。「世界からキャリアの悩みをなくすこと」をミッションとする。