「上司が嫌い」すぎてイライラが止まらない!ストレスの対処法は?|川崎貴子の「働く女性相談室」


「働く女性の成功、成長、幸せのサポート」という理念のもと、キャリア支援やコンサルティング、結婚コンサルタントなど、幅広い領域で活躍されている川崎貴子さん。その経験と女性経営者ならではの視点から、のべ1万人以上の女性にアドバイスをしてきた川崎さんが「“働く女性”に立ちはだかるさまざまなお悩み」に厳しくも温かくお答えするこのコーナー(→)

今回は、「上司が嫌いすぎてストレスがたまる!どうにかしたい!」というお悩みについてです。

腕を組み、悩んでいる女性のイラスト

<相談>
4月から上司が変わりました。これまでの上司とはうまくやっていましたが、新しい上司とは馬が合わず、嫌いで仕方ありません。仕事は好きなのに、上司の顔をみると思うとイライラして、会社に行くのも憂鬱になってしまいます。どうやって気持ちを切り替えればいいでしょうか。
(33歳 事務職)

私は女性のキャリア支援を生業にしてきましたので、「今の職場に我慢ならない」「どうしても転職したい」という女性たちの相談に長い事乗って参りました。で、相談内容の入り口はさまざまでしたが、結局のところ辞めたい理由の殆どは「職場の人間関係」でございました。中でも「嫌な上司がいてつらみ」案件に関しては世間が思われているよりずっと多く、彼女たちの「上司ガチャのハズレを引いた嘆き」を大量に、繰り返し聞いてきたものです。

さて、「嫌な上司」にも種類がありまして。
パワハラやセクハラなどを受けた場合、これは場合によって犯罪になりますから、ほかの上司や人事、対応窓口等に速やかに相談いたしましょう。
また、心身に支障をきたす程の拒否反応が出た場合は、転職や異動願を出すなどして、アレルゲン(上司)からとっとと離れましょう。ご自身の心や体に不調をきたしてまで、行かなきゃいけない会社もやらなきゃいけない仕事も無い、と私は思っております故。

問題は、相談者さんのように「犯罪程でも、アレルゲン程でも無いけれど、今の上司が大嫌い」というケース。現在あるほとんどの会社では「部下は上司を選べない」訳です。毎日大嫌いな人に指示を受けたり、怒られたり、ホウレンソウしたり…。神か社長か誰の采配かはわかりませんが、いったい何の苦行か!と思いますよね。

それでもまた明日も明後日も、大嫌いな上司と仕事をしなければいけない相談者さんや多くの仕事人に、少しでも会社に向かう足が軽くなる「心の持ちよう」や「対処方法」を今回は書かせていただきたいと思います。

 意識ボリュームをミニマムにするべし

件の、私に相談に来ていた女性たちは、嫌いな上司の嫌いな所や言動を事細かく覚えておいででした。
もちろん、直の上司ですから目に入るのは当然の事なのですが、私たちには危険察知能力が備わっているからか否か、「嫌いなものを目で追ってしまう」という習性があります。
そして、あくまでも当社比ですが、男性よりも女性のほうがその傾向が強いように思います。男性に「対象上司が嫌いだった場合」と聞くと、「視界に入らないように工夫」「必要最低限のコミュニケーションのみ」という回答が多かったものです。

職場、またはお客様やパートナー企業には、お手本にしたいような働き方の人、素晴らしいスキルを持つ人、清々しい対応をする人などがいるでしょう。
本来あなたが注目し、目と耳と感情を総動員させて学ぶべき相手はほかにいるはずです。自分が尊敬できない嫌いな上司に全身全霊を傾けて「やっぱり私、あの上司が嫌いだ」と確認作業を繰り返していても何も身につかないどころか、良い学びを得る機会や仕事の達成感や爽快感を感じる機会を損失し続ける事になるのです。

嫌いな上司に対しては自分の「意識のボリューム」をミニマムにして、社会人としてのマナーや部下としての礼儀を守った上で、自分の仕事やスキルアップに集中してゆきましょう。
嫌いな人に「スキルアップの邪魔」をされるのだけは、本当に馬鹿馬鹿しいので明日からきっぱりやめましょう!

8,568通り、あなたはどのタイプ?

ロールプレーイングゲーム気分で攻略するべし

あなたがもし、「嫌いなものを避けて通るのは性に合わねぇ」という江戸っ子気質&チャレンジ精神旺盛なタイプの場合は、「相手を攻略する」というRPG(ロールプレーイングゲーム)のつもりで挑んでみてはいかがでしょうか?

私たちが苦手意識を持ったり、嫌ったりする対象者って、実は「その人の事をよく知らない」ことが多いんです。それは相手も同様です。ネットの世界がわかりやすいですが、匿名同士だとぞんざいな態度を取ってきたりしますよね。お互いに良く知らない上にお互いにとって意味不明な行動を取り合うから、さらにどんどん嫌いになるという負のループは存在します。
逆に、何か話の流れで「同じスポーツをやっていた」「趣味が一緒だった」「猫派だった」など、対象者(嫌いな上司)の意外な一面を知ったことを機に色々話すようになり、関係の質が上がって信頼できるようになった、というケース、実は多いのです。

私もかつてOLだったころがあるのですが、ご多分に漏れず嫌いな上司、苦手なお客様がいたものです。私はある同期の女性に相談しました。彼女は職場の人と関係良好な上に、毎日飛び込み営業を嬉々としてやっている、私からするととても不思議な存在でした。飛び込み営業は相手に嫌がられるし、門前払いはしょっちゅうだからです。
彼女は言いました。

「相手の良い所探しをしてそれを伝えるの。ただそれだけで面白いぐらい対応が変わるよ」
「嫌な態度を取られても、あと3回通えば落とせるとか、最近はパターンがわかってきて面白い」

それを聞いて私は、目から鱗がボロボロと剥がれ落ちたものです。彼女は新規開拓や職場の人間関係にゲーム性を持たせて楽しんでいたのでした。

それからというもの、私は嫌いな人や苦手な人の良い所を必死に探すようになります。そして、自分から働きかけるようになった結果、オフィスに嫌いな人がいなくなりました。興味関心がない人は相変わらず存在していましたが、「積極的に嫌いな人」は忽然と私が通うオフィスから消えたのです。
それから25年経った今もそうですが、私は人に与える第一印象がとても悪く、黙っていると「怒っているのかと思った」とよく言われてきました。今思えば、新人OLだったころなどは上司も対応に困っただろうと心から思います。機嫌が悪いのか、不満があるのか、やる気があるのか、わからないからです。上司だって「わからない者」はこわいのです。
今はそれでも、自分から開示するスキル、何より攻略スキルで新しく出会う人ともストレスなく関係が築けますので気づかせてくれた同期には感謝でいっぱいです。そして、仕事も人間関係も、楽しみながらゲーム感覚で取り組むと、ダメージが少なくパフォーマンスは上がるものです。ぜひお試しあれ。

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嫌いな人は「写し絵」と思うべし

ただ、場所が変わればまた「嫌いな人」は再び現れます。転職した先の職場、結婚した相手の一族、子どものコミュニティ、習い事やスポーツジムの中にも、「新規の嫌いな人」はきっとあなたを待っています。

対処法としては、逃げる、意識ボリュームをミニマムにする、攻略する、とお伝えしてきましたが、もっと根本的な所で、ご自身が誰かを嫌いになる理由を分析しておく必要があります。

例えば「愛する」の対義語は「無関心」だと私は思うのですが、「嫌い」というのはそれに比べて積極的な、ある意味「強い感情」です。
そして、「嫌い」はどういう対象に抱きやすいかと言えば、「自分自身の嫌な所を相手が持っている」という同族嫌悪パターンか「自分が我慢したり、常に律したりしている事を我慢しないでやってしまう」という嫉妬パターンが多い。
要は、自分が抱えている何かが原因なのです。

まるで写し絵のように、自分のコンプレックスや、大切にしてきたルールや囚われてきたもの、世間に対して必死に隠してきた性質などを見せつけられた時、人は人を大いに嫌います。
対象上司の何が嫌いで、どんな所が嫌いなのか?まずは深く分析する事によって自分が長年にわたって囚われてきた呪縛やコンプレックスの正体を知り、次にはそれを解消する手(自分や相手を認めたり許したり…)を打つことによって「嫌い」は減少するのです。
嫌いな上司の事ですから考えるのも嫌かもしれませんが、これは自分自身を知る旅でもあるのです。そして、どんな神の采配があろうとも、「毎日幸せを感じている人」は不思議なもので周囲から「嫌いな人」が減ってゆくと言われています。私自身も人生で3回ほど、「死期が近いのでは?」と恐れるぐらい毎日幸せを感じていた時期があり、その時は嫌いな人が世の中に存在しなかったものです。

長々と書きましたが、自分を幸せにしない思考パターンを捨てて、全力で幸せになる事。それに集中する事が「嫌いな上司対処法」の一番の近道かと私は思います。

回答者:川崎貴子f:id:kashiemi:20171127101518j:plain

リントス(株)代表。「働く女性に成功と幸せを」を理念に、女性のキャリアに特化したコンサルティング事業を展開。
1972年生まれ、埼玉県出身。1997年、人材コンサルティング会社(株)ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活用コンサルティング事業を手掛け、2017年3月に同社代表を退任。女性誌での執筆活動や講演多数。(株)ninoya取締役を兼任し、2016年11月、働く女性の結婚サイト「キャリ婚」を立ち上げる。婚活結社「魔女のサバト」主宰。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は1万人以上。「女性マネージメントのプロ」「黒魔女」の異名を取る。2人の娘を持つワーキングマザーでもある。

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