“仕事の精度”がグッと上がる!文を書くための「9マス文章術」とは?

「新商品の訴求ポイント、まとめておいてくれる?」

「今日の●●さんとの商談、議事録と論点まとめお願いできる?」

「ざっとでいいから来期に向けた企画作ってくれる?」

「まとめる…作る…、こういうの苦手なんだよな」と感じている人も多いのでは?その多くの人は、実は「文を書く」こと自体に苦手意識があるようです。漠然とは書くべき内容はわかるんだけど、どうにも整理がうまくできない…とお悩みの方へ。

「論理的に伝わる文章の書き方」や「好意と信頼を獲得するメールコミュニケーション」というテーマで執筆・講演活動をされている山口拓朗さんが情報整理の強い味方「9マス文章術」についてレクチャーします!

頭の中にあるものは「靄(もや)」にすぎない?

文章を書くことと料理を作ることは似ています。材料(情報)がないと作れないからです。考えてみれば当たり前のことですが、その点に気づいている人は思いのほか少数です。手元に情報をそろえずして文章を作ることはできません。

「いえ、情報は頭のなかにちゃんとあります。でも書けないんです」と言う人もいますが、頭の中にあるものは、まだ情報とはいえません。頭の中にある“それ”は、言うなれば「靄(もや)」のようなもの。頭の中から取り出したとき、初めて明確な情報(=文章の材料)へと変化するのです。

文章作成に必要な情報を9マスで洗い出す

では、どのようにして頭の中から情報を取り出せばいいのでしょうか。筆者がオススメしているのが9マスを使った「情報の洗い出し」です。

たとえば、あなたが新サービスのPR文を書くよう上司から指示されたとします。

【PR文1】

弊社では、働く30代の女性をターゲットに、服のレンタルサービス「レンタクロウズ」をスタートしました。

入会すると、プロが選んだ服を自宅で受け取ることができます。服の悩みをもつ女性たちの一助となるサービスです。

ぜひ一度お試しください。

この説明だけでは、おそらく、ターゲットの女性に興味をもたれることはないでしょう。明らかに情報不足です。書き手の頭の中にそもそもこれ以上の情報がないか、あるいは、情報があっても、それを取り出せていない状態です。くり返しになりますが、頭の中から取り出せない情報は「靄(もや)」なので、文章として書くことができません。

この情報不足を改善するツールが「9マス」です。PR文を書き始める前に9マスを使って、ターゲットとなる「働く30代女性の悩み」と、この「サービスの特徴」を、それぞれ洗い出します。9マスの中央に洗い出すテーマを書き込み、その周囲の8マスに、そのテーマについての情報を書き出していきます。

「働く30代女性の服の悩み」を9マスで洗い出し

新サービス「レンタクロウズ」の特徴を9マスで洗い出し

「書き出す=情報誕生」です。ふたつの9マスに書き出した情報を眺めているだけでも、魅力的なPR文になりそうな予感がします。なぜなら、文章作成に必要な素材が手元にそろっていることを、視覚を通して実感できるからです。

もちろん、洗い出した情報をすべて使わなければいけない、ということではありません。洗い出しの作業は、あくまでも情報を漏れなく手元にそろえるためのものです。そろえ終えたら、その文章の目的や文量などに応じて情報を取捨選択していきます。

洗い出した情報を取捨選択して書く

では、ふたつの9マスに書き出した情報を使って、新サービス「レンタクロウズ」のPR文章を書いてみましょう。

【PR文2】

キャリアウーマンとしてバリバリ働いている30代のあなたに、次のような悩みはありませんか?

・服を買いに行く時間がない
・「いつも同じ服を着ている」と周りの人に言われたくない
・服選びのセンスに自信がない
・流行りの洋服をおしゃれに着こなしたい
・洗濯やクリーニングが面倒だ

弊社の新サービス「レンタクロウズ」は、あなたの自宅に洋服を届けるレンタルサービスです。月々わずか8,800円で、あなたはそのシーズンに流行っている服を受け取ることができます。

服を選ぶのは弊社専任のスタイリスト。あなたの体型やパーソナルカラー、希望のスタイルや用途に合わせて、毎回、最適な服を選びます。気に入った服は買い取ることもでき、逆に、届いた服が気に入らないときは、服を交換することができます(交換回数は無制限)。

専用サイト上に用意したフィードバックシートには、送られてきた服についての意見や感想を記入いただくことができます。それらのデータも踏まえながら、スタイリストが次回以降のコーディネートを行います。

着た服を洗濯したり、クリーニングに出したりする必要ありません。送られてきたときと同じ箱に詰めて宅急便で返すだけです(送料は弊社負担)。

自分ではなかなか選ばない服が届くことも、このサービスの魅力のひとつです。時間やお金、ストレス、おしゃれの悩みを一気に解消したうえで、新しい自分との出会いを楽しんでみませんか?

PR文1との違いは一目瞭然。PR文2は1と比べて圧倒的に情報量が増えました。読む人が知りたい情報(サービスの詳細)を網羅しています。また、PR文の冒頭にターゲットの悩みを列挙することで、読む人の興味を引くことにも成功しています。9マスで洗い出した情報が役立っています。

文章表現力は捨ててもいい

「文章力=表現力」という考え方は大きな勘違いです。文章を構成する要素は情報以外の何ものでもありません。つまり「文章力=情報編集力」が正解です。あなたが、プロの小説家やコラムニストを目指しているのでなければ、表現力は捨ててもいいくらいです。

その代わり、情報を過不足なくしっかりと盛り込む。この一点に注力しましょう。それさえできれば、誰でも、読む人にわかりやすく伝わる文章を作ることができます。これを可能にするツールが、今回お伝えした9マスなのです。

あなたの頭の中にある靄(もや)を書き出して情報にしてみましょう。書き出した瞬間に、あなたは書くべき材料を手にすることができます。この9マスが使えるようになれば、あなたは「書けない人」から「書ける人」へと変身するはずです。

プロフィール

著者:山口拓朗

『「9マス」で悩まず書ける文章術』著者。
伝える力【話す・書く】研究所所長。「論理的に伝わる文章の書き方」や「好意と信頼を獲得するメールコミュニケーション」「売れるキャッチコピー作成」等の文章力向上をテーマに執筆・講演活動を行う。『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)のほか、『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(日本実業出版社)他がある。最新刊は『「9マス」で悩まず書ける文章術』(総合法令出版)。
山口拓朗公式サイト
http://yamaguchi-takuro.com/

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