「共働きだし、まぁいっか」では済まない“夫婦のお金管理”どうしてる?~川崎貴子の「チーム家族」痛快コラム

仕事が終わってからも、家事に育児にと時間に追われ、気づくと寝落ちの日々…。家事も育児も積極的に行う男性も増えてきたとはいえ、「家庭のことは女性」という認識はまだ根深く、共働き妻の悩みは尽きません。そんな女性たちを応援するこの連載(→)。女性のキャリア支援や結婚コンサルタントまで幅広く活躍中の川崎貴子さんから、家族を「チーム」としてとらえ、より効率的に日々を運営していくアドバイスをいただきます。
今回は「共働きの家計管理、どうしている?」というテーマ。「そういえば最近、夫婦でお金のことをちゃんと話していない」という方や、「お金の管理方法はこのままでいいのかしら…」と思っている方にも、改めて家族のお金について考えるきっかけになればと思います。

恋人同士のころは男女ともに、互いにお金の話はあまりしないものです。結婚を意識するようになってやっと、「ちょっと浪費家?」「貯金とかあるの?」と、気になりだして相手にちゃんと確認したりしますが、聞くほうも聞かれるほうも面白い気はしません。だって、ラブラブイチャイチャした空気を一瞬で凍らせますからね。「リアルな金の話」っていうものは。

ただ、その時の嫌な気持ちを経験してしまったが故、お金の話はあまりしないほうがベターと学習し、さらには「共働きだから何とかなるか」と見切り発車婚してしまう共働き夫婦のなんと多い事か。

私の所に相談に来る共働き妻の「離婚したい理由」ベスト5は

1. 夫の女性問題
2. 夫と性格が合わない
3. 夫が浪費家
4. 私も同額レベルで稼いでいるのに夫が家事育児をしない
5. 信用できなくなった

です。
5つのうち2つも(3番と4番)お金が絡む問題なのですが、実は、2番の理由にも「お金の使い方」は間接的に絡んでいるし、5番に至っても「お金の問題」から波及した諸々により、信用を失くしていった話が多かったものです。

また、私の周囲でも「夫が働かなくなった」「夫が勝手にキャリア(収入)ダウン」「突然高級車を買ってきた」「夫婦二人の貯金を、妻に相談なく義実家に援助していた」などの理由で最近バタバタと離婚が成立しております。

私はつくづく思ったのでした。
「金の切れ目は縁の切れ目」なのだと。

そして、ビジネス上でのお金問題はその個人や組織の「信用」を剥奪するものですが、家庭内においてもお金の事を軽く扱っていると「信用」は簡単に失われるのだ、ということを。

「夫婦だから、家族だから、わかってくれるはず★」という思い込みのデンジャラス効果を目の当たりにした今となっては、多くの共働き夫婦に私は言いたいのであります。

「金の話は、夫婦で定期的にするべし!」

と。

「お金の話」は「夫婦のビジョンの話」である

共働き夫婦の家計管理では以下の3つの方法を採用している家庭が多いです。

1.  夫婦が同額(もしくは決めた割合)で生活費を入れる
2.  費用別にそれぞれが担当(家賃は夫、食費は妻、など)
3.  どちらかの給与で生活して、他方の給与は貯蓄や旅行代

ただ、単にこれだけでは十分な家計管理体制だとは言えません。ご存知の通り、家庭生活には、例えダブルインカムであろうと日常的にも将来的にもお金はかかります。子どもの養育や教育、親の介護、家や車、二人の老後資金、余暇や趣味など、そのご家庭によってさまざまですが、上げたらきりがありません。

子どもを一人は持ちたいと思っていた、車とマンションは購入したいと思っていた、趣味のお金は結婚しても月に○○円は使いたいと思っていたなどと、お互いがそれぞれに持っていた結婚への希望。その「すり合わせ」ができていないまま恋愛の延長で生活をスタートしてしまうと、結婚における価値観の相違が浮き彫りになるだけじゃなく、何年後までに幾ら必要で、月に幾らで生活しなければならず、未来にどれだけの貯蓄がないとならないかがわかりません。
つまり、夫婦のビジョンを明らかにした上で、貯蓄とランニングコストの計画を立ててキャッシュフローを管理できる体制が必要になります。

さらに、「相手の給与や貯蓄額を知らない(3番は貯蓄しているほうの)」というケースが「共働きあるある」で結構見受けられます。互いが積極的に、給与や貯蓄額、夫婦や個人でお金を使いたい事柄などを開示しあって、「知らない、わからない」を取り除いていかないと、前述した通り「夫婦の信用」はじわじわ下がります。

話し合いが難航しそうな場合は二人でプロに聞く

かくいう私も、プライベートでお金の話をするのが苦手なタイプでした。おまけに、私が大黒柱で夫が専業主夫というスタートで始まった結婚生活でしたし、家にいるのが大好きな夫に再び働いてもらう事とセットでお金の話をするのにはかなり苦労致しました。しかし、わが家は2人の娘がおり、夫は一人っ子(両親の介護義務)。妻は大黒柱とは言え保証もない経営者で、リーマンショックも乳癌も経験しているハイリスク家族…。
「苦手とか言っている場合じゃない!!」
と一念発起。

が、夫は基本的に「うちの妻は口が上手いから丸め込まれる」という危惧を抱いている(合っています)のと、専業主夫の立場を死守せんとする熱い決意、さらにはミニマムで生活できる自信と実績があり、なかなか私の真意は伝わりません。
そこで登場いただいたのが、その道のプロ。ファイナンシャルプランナーの友人に夫婦で相談したのです。
その友人に私たち家族の未来について細かく質問されることで、ビジョンの細かい所もすり合わせができましたし、月に幾ら貯蓄して、月の生活費は幾らに抑えれば良いかがリアルにわかりました。何より夫は、自分自身が普通だと思って享受してきた教育費(小学校時代は塾通い、中学から大学まで私立)の金額を知り、子どもたちを育て上げた後も夫婦二人で老後幾らぐらい必要なのかを知り、青ざめながら重い腰をすっくと上げたのでした。めでたし、めでたし。

ライフプランを立てて、共通口座を3つ作る

事業計画書を練りに練って作っても、なかなか予定通りいかないのが経営であり、家庭も同じです。ただ、それがないと二人の人生がどこに向かっていくのか?何にお金の使い、何に使わないのか?方向性が定まりません。
私の友人は夫婦二人のライフプランを作った上で金額を算出し、夫婦の口座を3つ作りました。一つ目の口座は生活費用、二つ目の口座は外食やデートや旅行費用、三つ目は貯蓄用に。家計簿をつけるのは面倒だけど、3口座に振込するだけなら手間ではないそう。
何より、夫婦二人に「予算の概念」が生まれ、「今月は生活費口座のお金を使い過ぎたから、酒代節約」とか、「今年の夏休みは二人で海外旅行に行きたいから、デート代節約」と、夫婦で調整ができ、貯蓄もできる上に透明度も高い。なかなかお勧めの方法だと私も思います。

避けずに、面倒くさがらずに、定期的に

「共働き夫婦」の最大のメリットは、家庭に収入のある人が二人いる、という事です。今後、リストラや倒産、病気や事故に遭わない保証は誰にもなく、夫婦二人のどちらかがセーフティネットになれるというのが大きな強みになります。

どちらかがリストラされた時「しばらくは私(僕)の収入があるから納得できる転職活動してね!」と支え合える夫婦になるか、「金の切れ目が縁の切れ目」になるか?その肝は、夫婦にとって大切な「お金の話」を避けずに、面倒くさがらずに、定期的に話せる関係を築くことではないか、と今回書きながら思った次第です。

そして、つい見逃しがちですが、伴侶という一番近くにいる人の信用をなくすのは思うよりずっと簡です。
私自身も透明性の高い「わが家経営」を目指して精進してゆきたいと思いました。
押忍!

川崎 貴子

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リントス(株)代表。「働く女性に成功と幸せを」を理念に、女性のキャリアに特化したコンサルティング事業を展開。
1972年生まれ、埼玉県出身。1997年、人材コンサルティング会社(株)ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活用コンサルティング事業を手掛け、2017年3月に同社代表を退任。女性誌での執筆活動や講演多数。(株)ninoya取締役を兼任し、2016年11月、働く女性の結婚サイト「キャリ婚」を立ち上げる。婚活結社「魔女のサバト」主宰。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は1万人以上。「女性マネージメントのプロ」「黒魔女」の異名を取る。2人の娘を持つワーキングマザーでもある。

イラスト:かしえみ

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