映画「ダンボ」英語のセリフに学ぶ、他者を信じる言葉とは?

耳の大きな小象ダンボが、その耳で空を飛ぶ……というアニメ映画『ダンボ』(原題はDumbo)。1941年に公開されたウォルト・ディズニーの名作が、実写版となって公開されました。メガホンを取ったのは、『バットマン』や『チャーリーとチョコレート工場』などでも有名な鬼才ティム・バートン監督です。

この映画では、他者の可能性を信じる言葉がいくつかセリフとして登場しています。それらを中心に、英語のセリフをご紹介したいと思います。なお、一部ネタバレを含みますのでご了承ください。

お金がないサーカス団が象を購入

最初にご紹介したいセリフは、サーカスの団長が象のジャンボ(Jumbo)に関して言ったこちらの言葉です。

I saw something special in her eyes.

文字通りには「象の目(の中)に、何か特別なものを見た」と言っています。意訳するならば「目に惹かれたんだ」という感じでしょうか。

このサーカス団ではお金に困っており、ショーに出していた馬を売り払ったりしてしまっていました。しかし、団長が何かピンときて購入したのが、母象のジャンボだったのです。そして、団長の目に狂いはなく、ダンボが生まれます。

ダンボ(Dumbo)の意味を知っていますか?

ちなみに、生まれた時から「ダンボ(Dumbo)」という名前ではありませんでした。元々は「Baby Jumbo(ジャンボの赤ちゃん)」と呼ばれていたのです。

ただし、大きすぎる耳が、見た目として明らかに変。しかし、誕生した小象のうわさを聞きつけて、観客がサーカスを見にきていますから、耳を隠し、

Dear Baby
Jumbo
(こんにちは、象の赤ちゃん)

というプラカードを掲げて、小象は見世ものにされます。

その時にハプニングがあり、耳が露わになってしまいます。同時にプラカードの「J」の文字が取れてしまい、また「D」の文字は、上側がはがれ、下側にぶら下がることで

ear Baby
Dumbo
(耳が特徴の赤ちゃん、ダンボ)

に変わってしまうのです。

Dumboは、「dumb(バカな)」と同じ響きであり、「バカなやつ」という意味を持つため、小象は観客から嘲笑されてしまいます。

なお、Dumboがそのような良くない意味なのであれば、なぜそのまま名前になってしまったのかを疑問に思う人もいるかもしれません。ダンボのことを守ろうとした母象のジャンボ(Jumbo)は危険だとして、ダンボから引き離されてしまったのです。そしてもし「Baby Jumbo」と呼んでしまうと、母象のことを思い出させてしまって可哀想だから――というのが理由です。Dumboという名前は、「かわいいおバカさん」のようなニュアンスで捉えていただくと良いでしょう。

「不可能を可能にする」を英語で言えますか?

空を飛ぶ象のうわさを聞きつけたヴァンデヴァー氏の経営するドリームランド(Dreamland)に、ダンボたちのサーカス団は移籍します。

そのドリームランドのキャッチフレーズが以下です。

We make the impossible possible.
(我々は、不可能を可能にする)

このmakeは「~にする」と訳されますが、「the impossible(不可能なこと)」を「possible(可能な状態)」にすることから「不可能を可能にする」という意味合いになります。

例えば主語を変えて「She makes the impossible possible.(彼女は不可能を可能にする)」などのように言うと、他者に対する最大級の賛辞になることでしょう。

命令形は別に乱暴な表現ではない

サーカスの大事な場面で、ダンボにしっかりと飛んでほしい。そうやって信じて発せられたセリフが以下です。

Fly, dumbo!
(飛ぶんだ、ダンボ!)

なお、文法的には「命令形」が使われています。その名前から誤解されやすいのですが、必ずしも命令を表すわけではありません。例えば「Come on!(さあ)」などの表現も有名ですが、これも命令形になっています。ただシンプルに、文を動詞で始めて言うことで、指示をしたり、してもらいたいことを表現したりしているのです。

親が子どもにできること

さて、ドリームランドで偶然、母親のジャンボと再会できたダンボですが、再び引き離されようとしてしまいます。反対するも力が及ばなかった、ダンボの世話役であるファリア(Farrier)一家。父親であるホルト(Holt Farrier)は二人の子どもに対して、かける言葉が見つかりません。

その時に、ホルトが言われる言葉が以下です。

Your children don’t need you to be perfect.
(子どもたちは、あなたに完璧を求めてはいない)
They just need you to believe in them.
(必要としているのは、あなたに信じてもらうことだけ)

親というものはつい、子どもの前で完璧な存在を演じてしまいがちです。そうではなく、等身大の自分でいること、そして、自分自身も、子どものことも信じることが大切なのでしょうね。

気づかないうちにしていた依存から脱却しよう

ダンボが空を飛ぶときに、キッカケとなのるは鳥の羽。これを鼻から吸い込んでしまったことで、ビックリして耳をバタつかせたことで空に浮いたのが始まりです。その後、ダンボが空を飛ぶときには、羽を自分から吸い込んでいたのでした。

しかし、それを続けることで、逆に「羽がないと空を飛べない」と思い込んでしまいがちですよね。そんなダンボに対して、ホルトがかける言葉が以下です。

You don’t need a feather to fly.
(お前が飛ぶのに、羽を吸い込む必要はないんだ)

つまり、ダンボはいつの間にか、羽に依存してしまっていたのです。このような無意識な依存は、実は多くの人が陥ってしまっているものです。

しかし、ダンボが空を飛べるのは羽の力ではありません。羽はほんのキッカケに過ぎず、飛べるのは自分自身の力――。つまり、自分のことを信じて挑戦する勇気こそが大切なのです。

私が実写版『ダンボ』を見て、一番得たメッセージが「自分自身、そして他者の可能性を信じることの大切さ」です。ダンボが空を飛ぶシーンに、涙をする人も多いことでしょう。ディズニーの映画ですので、ぜひピュアな気持ちになって、ご覧になってみてはいかがでしょうか。

また、解説は特にしませんが、映画の根底に流れるキーワードは「family(家族)」です。ぜひそれも味わっていただきたいポイントですね。

なお英語に関して言いますと、セリフはそこまで多くはない、という印象でした。ただリスニングに関しては、実写版ということもあり、アフレコが行なれるアニメのものよりも、難易度は結構高いと言えます。ですがぜひ、英語学習をしている方は字幕版に挑戦し、お楽しみください。

<映画情報>

映画『ダンボ』(→)
かわいい子象が大きな耳で空を飛ぶ、ディズニー・アニメーションの傑作『ダンボ』。この不朽の名作を鬼才ティム・バートン監督が実写映画化!製作: ティム・バートン・プロダクションズ、 ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン。
(C)2019 Disney Enterprises Inc.

著者プロフィール

西澤ロイ(にしざわ・ろい) イングリッシュ・ドクター

英語の“お医者さん”として、英語に対する誤った思い込みや英語嫌いを治療し、心理面のケアや、学習体質の改善指導を行なっている。英語が上達しない原因である「英語病」を治療する専門家。ベストセラーとなっている『頑張らない英語』シリーズ(あさ出版)や『TOEIC最強の根本対策』シリーズ(実務教育出版)他、著書多数()。さらに、ラジオで4本のレギュラーがオンエア中。特に、木8の英語バラエティ番組「スキ度UPイングリッシュ」が好評を博している。★「イングリッシュ・ドクター」公式HP(

Pagetop