後輩に好かれる「お願い上手」な人が磨いている2つのセンス

新人にちょっとした仕事のお願いをしてもイマイチ伝わらない。求めたものと違った提出物が仕上がってくる。後輩の理解が追いついていないのか?それとも自分がきちんとお願いできていないのか?

後輩との仕事上のコミュニケーションに悩んでいる先輩社員の皆さん。今回は、経験の浅い後輩に仕事を依頼するときのコツを紹介しようと思います。

丸山久美子(まるやま・くみこ)
まるっと空気を掴むMC、展示会専門接客アドバイザー、認知行動療法士
1982年、和歌山県生まれ。「人前で話せるようになりたい!」という憧れを叶えるべく、20歳で展示会プレゼンターとしてデビューするも、本番中に手が震えてマイクを落とすなど、さまざまな大失敗を繰り返す。「あがりを克服する方法」や「緊張をなくす方法」を模索するが、改善どころか逆にあがりに拍車がかかり、体調にまで悪影響が。しかし、憧れを捨てきれず、「あがり」や「緊張」と向き合い独自のメソッドを開発。再スタートを図る。以来、展示会やイベントへ3,000回以上出演し、リピート率90%を超える人気MCに成長。2015年から講師活動を開始。「人前で話せるようになりたい!」と願う全国の人々へ、「あり方とやり方」の両面から具体的なノウハウを提供している。
Twitter:Kumiko Maruyama(@maruyamakumiko

こんにちは!
まるっと空気をつかむMCの丸山久美子です。

後輩にわかるように伝えたハズなのに、依頼した内容通りに仕事を進めてもらえないと、予定が遅れてしまうだけでなく、相手の能力を疑ったり、自分のコミュニケーション能力に自信がなくなったりするのではないでしょうか。

円滑に仕事を進めるため、ちゃんとしたお願いの仕方を心がけているはずなのに…と、思い悩んでいる方は少なくありません。

 

では、後輩に伝わる、理解ができるように仕事を依頼するにはどうしたらよいのでしょう。

自分の「伝え方のクセ」を知っておく

仕事依頼の仕方には、その人の伝え方のセンスが現れます。

「依頼内容を伝えるのにかける時間が長い、もしくは短い」「内容がシンプルすぎる、細かすぎて意図が見えにくくなっている」「言葉遣いがポジティブか、ネガティブな言葉遣いか」など、あなたの伝え方のクセが詰まっているはずなのです。

適切にわかりやすく伝えているつもりでも、後輩からは展開が早すぎてついていけない、まどろっこしくわかりにくいという場合もあるのです。

伝え方のセンスを磨くためには、まず、自分の伝え方のクセを知る必要があります。
携帯の録音機能などで内容を録音し、以下の項目を見ながら、伝え方のクセをチェックしてみましょう。

  • 会話のスピード
    早すぎないか、自分の先輩や上司などと比較してどうか?
  • 声のトーン
    ぼそぼそと相手に伝わりにくいトーンになっていないか。声にメリハリがあるか。
  • 依頼内容を伝える順番
    依頼の目的を伝えられているか。依頼内容に伝え漏れはないか。
  • 具体性の程度
    端的になりすぎていないか。細かすぎて、内容がわかりにくくなっていないか。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

後輩に足りないのは“理解力”ではない

仕事の依頼が下手な先輩社員の中には、後輩の理解力が足りないせいで、依頼内容が適切に伝わらないと思っている場合があります。はたして、それだけが本当にそれだけが理由でしょうか。

ここで伝え方とは別に、重要となるのが「後輩が業務をイメージできるか」ということです。

仕事を依頼する側は、その業務の具体的な手順を知っていますよね。業務完了までのシーン、必要な物、人の動きや流れなどの情景(イメージ)を頭に思い浮かべて後輩に依頼をします。しかし、経験が無い後輩は、そもそもイメージができないんです。

経験のないものを思い浮かべるなんて、よほどの想像力の持ち主でなければできません。つまり、未経験者は「イメージできなくて当然」なのです。

仕事を依頼するときは、これを常に念頭に置いておきましょう。「言っても理解できない後輩」は、理解力がないのではなく、単純に仕事のイメージができていないだけ。能力がないわけでもなければ、やる気がないわけでもありません。

改善するためには、表現方法を変え、頭に思い描いているイメージを後輩に伝わるよう工夫していく必要があります。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

依頼した仕事がイメージできる表現方法とは?

依頼内容を伝えるための表現方法はいくつかあります。

特にビジネスシーンでは、依頼にメールなどを利用し、「文字」で伝えようとすることが多いのではないでしょうか。しかし、依頼に限らず、どんなコミュニケーションであっても、メールでイメージを伝えるのは、難易度が高いということを忘れてはいけません。文章が長い、丁寧すぎるなどの言い回しは、時に誤解を招きますし、語尾の言葉や、読み手のメンタル次第で全く違うニュアンスに捉えられてしまうことがあるからです。したがって、後輩への依頼に自信がない場合には、不向きと言えるかもしれません。必要に応じて、電話や対面での打ち合せも行うとよいでしょう。

最も効果的なのは「イメージを目の前で見せること」です。
面倒くさそうに感じますが、依頼内容がうまく伝わらず何度もやりとりする手間を考えれば、この方法があきらかに近道です。時間の初期投資と捉え、試してみてください。

例えば、資料作成をお願いしたい場合「〇〇の件をまとめておいて」と伝えても、最初から理想通りの資料に仕上げてくる若手社員はほぼいません。仮にいたとするならば、もともとの発想力が豊かな珍しいタイプ、または過去に似た作業を経験した後輩でしょう。まだ経験が浅い段階の後輩には、「まとめる」という作業の完成形はイメージできません。

だからこそ、後輩が参考にできるサンプルを渡してあげましょう。過去の資料や、自分が作った別件の資料でもOK。「理想とする資料はこういうイメージ」と目で見せてあげるのです。

用紙のサイズや配色、文字の大きさや配置、グラフの種類や量など、些細と感じられるかもしれませんが、イメージできない後輩にとっては資料を作るに当たり、大きな不安材料になるのです。業務に前向きに取り組んでもらうためにも、不慣れな作業を依頼する際には、目で見れるサンプルを用意し、安心させてあげましょう。

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社内で年次を重ねると、新人の面倒を見ることも業務として割当たられる機会も多くなるでしょう。

経験を浅い後輩社員に仕事を依頼するのは、かえって手間になることもあります。しかし、「伝える方法」や「表現方法」など得られるスキルも多いはずです。後輩が困っている時こそ丁寧に接することで、より良い関係性を築くだけでなく、自己成長にもつなげていきましょう。

【参考図書】f:id:k_kushida:20180131125958j:plain

『上手にあがりを隠して人前で堂々と話す法』

著者:丸山久美子 出版社:同文舘出版

 

 

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