「1スライド3分で話す」が、スライド作りのコツ──澤円のプレゼン塾(その17)

せっかく苦労してスライドを作ったのに、つめこみ過ぎて全部話し終わらないうちに時間が過ぎてしまったり、伝えたいことがまったく伝わらなかったり…プレゼン用のスライド作りに悩む方も多いのでは?
澤円のプレゼン塾・第17回は、澤さん流プレゼンテーションのスライド作りのコツについてご紹介します。

澤流スライド作りのコツ

前回まではライトニングトークを通じて、テーマ設定やスライド作成、話し方などの具体的なテクニックについてお伝えしました。

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今回は、Power Pointによるスライド作りにフォーカスを当ててみたいと思います。もちろん、使うツールがApple KeynoteやGoogleスライドでも構いません。基本的なコンセプトは全く同じです。

いくつかの普遍的なテクニックに加えて、澤流のオリジナルの技もお伝えしたいと思います。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

全体の枚数を決める

まず、スライド作成ツールを起動する前に、やることがあります。それは、スライド全体の枚数を決めること。これは作業ボリュームを把握したり、章立ての骨子を決めたりする上で不可欠なアクションです。

そのためには、自分の話すスピードを認識することが不可欠です。

1スライドを何分くらいで話すのかを自分で認識しておかないと、全体の枚数が設定できません。そして、本番の時に時間が足りなくなったり、逆に余りまくって呆然としたりする羽目になります。

私は「1スライド3分」と計算しています。実際には、1枚で5分以上話したり、一瞬で次に移ったりするスライドもあるのですが、「平均3分程度」と設定することで、全体の枚数をざっくりと決めることができます。

プレゼン時間が60分なら表紙などを除いて20枚前後作ればOK、ということになります。この設定ができていない状態でスライドを作り始めてしまうと、ゴールの見えない作業になるリスクがあります。それって辛いですよね。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

プレゼンの練習をビデオに撮ってみる

「自分がどれくらい話しているのかさっぱり分からない」という場合には、過去にプレゼンをしたことのあるスライドや、見慣れた資料などを使って、ちょこっとプレゼンしてみてください。

その様子をビデオに撮ることで、自分の話すペースが把握できます。スライドごとにばらつきがあると思うので、数枚話してみて、大体の平均時間をみてください。

「えーっと、どのスライドも1分以内で話しちゃうんですけど…」という人は、「フラッシュ・プレゼンテーション」と呼ばれるスタイルに近いですね。そうなると、1スライドの情報を少なくして、枚数をどんどん回していく形になります。

ただ要注意なのは、このスタイルはエンターテイメント的な要素が強くなるので、硬いビジネスの場面にはそぐわないことがあります。ご自身がどのような場面で話すのかを見極めて、スタイルは選びましょう。

逆に、1スライド5分以上必ずかかっている場合には、使っているスライド内の情報がかなり多いか、話し方が冗長な可能性があります。どのあたりで時間がかかっているのかを認識してみてください。

スライドは話し手の引き立て役にすぎない

スライド内にあまりにも情報が多すぎる場合には、勇気をもって削りましょう。具体的な削り方については、次回以降に後述します。

大事なことは「映っているスライドを読んでいるだけ」にならないことです。スライドの内容に加えて、皆さんの話によって相乗効果が得られることこそ、プレゼンテーションの醍醐味です。

せっかくプレゼンテーションをするのであれば、スライドは話し手の引き立て役でなくてはならない、というのが私の持論です。

ただ、これには異論があるかもしれませんね。「渡せば分かるくらい詳細な資料であるべきだ!」という考えの人もいるでしょう。それはそれで一つのスタイルでよいと思います。

ただ、この連載では「魅力的なプレゼンテーションをする」ということに重きを置いているので、資料としての完成度を追求はしないことにします。ちなみに、より詳細な情報は「補足資料(Appendix)」として後から追加すればいいのでは、と思っています。

さあ、まず皆さんはご自身のプレゼン姿を録画してみましょう!他にもいろんな気づきがあると思いますが(場合によっては正視に耐えないような気づきも…)、それはまた別の機会に「魅力的な話し方」として皆さんにお伝えしたいと思います。

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著者プロフィール

澤 円(さわ まどか)氏

大手外資系IT企業 テクノロジーセンター センター長。立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年より、現職。情報共有系コンサルタントを経てプリセールスSEへ。競合対策専門営業チームマネージャ、ポータル&コラボレーショングループマネージャ、クラウドプラットフォーム営業本部本部長などを歴任。著書に「外資系エリートのシンプルな伝え方」「マイクロソフト伝説マネジャーの世界No.1プレゼン術
Twitter:@madoka510

※本記事は「CodeIQ MAGAZINE」掲載の記事を転載しております。

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