プレゼンテーション後、それがどのように伝わっていくのかは大変重要なことです。澤円のプレゼン塾・第12回は、プレゼン後の伝言ゲームを想像したプレゼン術についてお伝えします。
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「伝言ゲーム」の進み方を想像する
プレゼンテーションは、その場で終わりではありません。伝言ゲームがいかに大事かはすでにお伝えしたとおりです。(第5回記事参照)
プレゼンテーションが終わった後は、もうあなたの手から離れて、伝播していくフェーズへと移ります。どのように伝わっていくのか、想像しましょう。
「今日聞いた話は、社長が絶対喜ぶな!ぜひ伝えよう!」とか「うーん、もう別の製品導入しちゃう予定だけど、プラン見直そうかな……部長に掛け合ってみよう」とか「あんないい機能があるなんて全然知らなかった!これはメンバーにきちんと周知徹底しなくては!」とか。
伝言ゲームが始まった後は、たいていの場合、プレゼンテーションをした人がコントロールすることはできません。いかにスタートポイントでミスらないかが大事になります。なので、想像するのです。どんな場面で、どんな人たちが、どんな言葉を使って伝言していくのか、ぜひ想像してみてください。
例えば、ある製品の新機能について、あなたがプレゼンテーションしたとしましょう。プレゼンテーションを聞いた人は、そこで紹介された機能を、毎週行われている定例ミーティングで、その人の上長に説明してくれるかもしれません。その場で説明するのは、せいぜい10分、もしかしたら5分かもしれません。
であれば、「5分で説明できる内容」にまで、圧縮可能な言葉で、プレゼンテーションを進める必要があります。なるべくキャッチーで、シンプルで、価値が分かりやすい言葉を使って、プレゼンテーションをしましょう。そうすれば、その言葉は鮮度が高いままに伝言されていきます。
部下の話を聞いたその上長は、「うーん、この製品の機能は、我が社の経営課題解決に直接寄与してくれるかもしれないな」と思ってくれるか知れません。そのためには、数字データがなにより大事です。
経営は数字で判断されることがほとんどなので、効果を経営課題に照らし合わせられるような数値データがあると、伝言は確実性を増してくることでしょう。伝言ゲームのスタートにいる人には、なるべく分かりやすい数字データを渡しておくことがポイントになります。
エヴァンジェリストたちに「伝言」を伝える
オーディエンスは、プレゼンテーションを聞いた後で、あなたの代わりに別の場所でプレゼンテーションしてくれます。これぞ、プレゼンテーションの醍醐味です。自分の分身があらゆるところに出現するのです。想像するのが楽しくありませんか?
このような人たちを「伝道者」と呼びましょう。英語では、エヴァンジェリスト。IT企業ではおなじみの肩書きですね。エヴァンジェリストは、人々に価値ある言葉を伝える役割を担います。皆さんは、エヴァンジェリストたちに言葉をできる限り伝えやすい状態で渡さなくてはなりません。責任重大です。
だからこそ、発した言葉がどのように伝わっていくのかを、想像力を総動員して考えなければならないのです。
備えあれば憂いなし。
自分のプレゼンテーションについて想像を巡らせることは、「備える」という行為そのものです。失敗のリスクを大きく減らし、より高い評価が得られる可能性が跳ね上がります。
プレゼンにむけて準備をしている時は、ついつい作業をしている自分の手元だけに目がいきがちです。作っている資料や調べているデータに集中しすぎて、オーディエンス不在で時間を使ってしまうことが往々にしてあります。これは備えとしては不十分と言わざるを得ません。
プレゼンテーションは、オーディエンスがあってこそ成り立ちます。オーディエンスがどのようにプレゼンを受け止め、その内容を生かしていくのかが鍵です。
想像力は、人間をどこまでも連れて行ってくれる魔法の翼です。プレゼンテーションのために使わない手はありません。どんどん想像して、どんどん明るい未来へと羽ばたいていってしまいましょう。
あなたのプレゼンテーションは、さらに大きな成功に近づいていきますよ。
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著者プロフィール
澤 円(さわ まどか)氏
大手外資系IT企業 テクノロジーセンター センター長。立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年より、現職。情報共有系コンサルタントを経てプリセールスSEへ。競合対策専門営業チームマネージャ、ポータル&コラボレーショングループマネージャ、クラウドプラットフォーム営業本部本部長などを歴任。著書に「外資系エリートのシンプルな伝え方」「マイクロソフト伝説マネジャーの世界No.1プレゼン術」
Twitter:@madoka510
※本記事は「CodeIQ MAGAZINE」掲載の記事を転載しております。