仕事を覚えるのが「早い人」と「遅い人」の違いとは?

新入社員はもちろん、異動や転職など新しい環境に移った際に、経験したことのない仕事を覚える必要が出てきます。あなたは新しい仕事をすぐに覚えられる人ですか?仕事を覚えるのが遅いと周りに迷惑をかけてしまうと焦り、逆にどんどん覚えるのが遅くなってしまう人もいるかもしれません。そこで今回は広告代理店勤務時代に3,000人以上のVIPと交流し、彼らの仕事の覚え方を研究している気配りのプロフェッショナル・後田良輔さんに「仕事を覚えるのが『早い人』と『遅い人』の違い」について話を伺いました。

「早い」「遅い」は相手が決めること

仕事の覚え方という軸で一流の人を観察して発見したことがあります。それは彼らが仕事を始める前に「自分の仕事ぶりを誰が評価するのかを確認している」ということです。つまり仕事に実際に取り組んだり、覚えたりする前に、自分の仕事を誰が評価し、その人がどうすれば、仕事を覚えるのが「早い」と感じるのか「遅い」と感じるのかを意識していたのです。仕事が覚えられないと自己評価し、結果バタバタしている人は、「自分が」仕事を覚えるのが遅いと勝手に思っています。しかし一流の人達は、自分がどう思うかという考え方を捨て「自分の仕事を評価する人」がどう思うかを重要視していたのです。よくよく考えると当たり前なのですが、仕事の成果は他人が評価するものです。その相手が「どうすれば頼んだことをきちんとやってくれたと感じるのか?」を徹底すれば、相手にとっての「仕事を覚えるのが早い人」となれます。つまり自分がどう思うかという視点は無意味だったのです。これからは新しい仕事に取り組む際は、「相手がどう思うか?」という視点で仕事を覚えてみてください。たったそれだけで仕事を覚えるのが早い人という評価をもらえるようになります。そして実際に仕事を覚える際は「見る・聞く・読む・まとめる」の4つのポイントを意識すると、さらに効率的に相手に早いと思われるようになります。次からその実例を具体的に見ていきましょう。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

仕事のポイント「見る」

「仕事は目で盗む」と昔から言われているように、先輩やデキる人の仕事ぶりを見ることは、仕事を早く覚えるためにとても重要なスキルです。ただしぼーっと見ているだけでは意味がありません。きちんと相手に「見られている」と認識させる必要があります。その有効な手段が「メモを取っていいですか?」と相手に聞くことです。大切だと思ったことをメモすることは仕事を覚える基本です。ただし黙ってメモするだけではもったいない。「あなたの仕事は大切だから、きちんとメモしていますよ」ときちんと発言してアピールする必要があるのです。あえてメモすると宣言することで、仕事を前向きに取り組んでいるという姿勢を相手に伝えることができます。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

仕事のポイント「聞く」

誰でも初めての仕事は初心者です。その場合、その仕事に精通している人から教えてもらうことになります。その際、重要と言われているのが「まずは素直に聞く」というスタンスです。ただしうんうんと素直に聞いているだけでは、相手にとって本当に仕事を覚えたということにはなりません。相手が話し終えたときに、「私なりに整理すると、〇〇ということでよいでしょうか?」と、教えてもらったことの要点を自分なりに整理し、「これであっていますか?」と再確認するまでをセットにしてください。これにより、正確な内容を覚えることができ、かつ相手の同意を得た形で、正しく仕事に取り組めるようになります。

仕事のポイント「読む」

見たり、聞いたりする人は多いのですが、なかなかやっている人が少ないポイントが「読む」です。あなたは自分の仕事に役立つ情報を積極的かつ継続的に収集していますか?仕事が早いと言われる人は、常に最新の情報やテクニックを入手し、仕事の効率化に役立てています。そしてこの「読む」も相手目線を意識することが重要です。ぜひ仕事がデキる人に「何を情報源にしているのですか?」と聞いてください。本やSNSはもちろん、毎日見ているメルマガやWEBサイトなど、デキると言われている人はオリジナルの情報ソースを持っています。この情報を聞き、それをマネして読むのです。そして「教えていただいた××、とても役立っています」と相手にフィードバックしてください。これにより仕事に前向きかつ、自分の情報を大切にしてくれる人という評価を得ることができます。この積み重ねが、仕事が早い人間という評価にもつながっていきます。

仕事のポイント「まとめる」

どんなに知識や経験を積んでも、それを忘れてしまっては意味がありません。頭で記憶したつもりでも、人に教えるとあやふやな知識だったなんて経験が誰にでもあると思います。このようなあいまいを防ぎ、継続して期待値以上の成果を出すためにも、仕事のノウハウをきちんと記録しましょう。この際、仕事が早いと言われる人は「中学生が見てもわかるように仕事のやり方をまとめる」ことを意識しています。仕事が遅い人のメモは、あとから読み返すと本人でも何を書いてあるかわからないことが多いですが、仕事が早い人のメモは、第三者が見ても読みやすく、理解することができます(例外はありますが)。しかもそのまとめ方が中学生でも理解できる容易さのレベルとなっています。ビジネス経験のない初心者でも理解できるレベルまでかみ砕くには、自分の中で相当高い理解力が必要です。中学生でもわかるを意識していけば、自分の記憶に残り、再現しやすくなります。

まとめ

仕事の「早い・遅い」、「デキる・デキない」は、あなたではなく他人が決めるものです。当事者よりも第三者の方が冷静で客観的に物事を見ているものです。独りよがりに自分を評価せず、常に相手とのコミュニケーションを意識すれば、困っているあなたに手を差し伸べてくれる人も現れます。あなたの人生は相手目線で変わることもあるのです。

 

後田良輔氏/ビジネス書作家・コラムニスト

後田良輔氏/ビジネス書作家・コラムニスト

1972年生まれ。大手3大広告代理店に勤務し、「誰でも使える気配り術」を駆使する気配りのプロフェッショナル。これまで応対したVIPは、東証一部上場社長、世界企業のCEO、政治家、医者、弁護士、大学教授、大物俳優・女優、ミリオンセラー作家、世界No.1クリエイターなど総勢3000名を超える。この特別丁寧に接しなければならない顧客との交流で磨かれたスキルと「東京・名古屋・大阪」の現場勤務で身につけたリアルな経験を組み合わせた、独自の「誰でも使える気配り術」に定評がある。
著書に、『気配りの正解』(ダイヤモンド社)『<落ちこぼれでも3秒で社内エースに変わる!>ぶっちぎり理論38』(ダイヤモンド社)、『逆境を活かす! 就活面接「エモロジカル理論」2015年度版』(実務教育出版)『1秒内定面接術」』(インプレス)など。これらの実績を買われ全国の大学や企業から講演・研修依頼が殺到。新聞・雑誌などメディア露出は50回以上。「世界からキャリアの悩みをなくすこと」をミッションとする。

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