残業しないチームは「1時間」の会議をしない

『「残業しないチーム」と「残業だらけチーム」の習慣』(明日香出版社)の著者である石川和男さん。石川さんは、建設会社総務部長・大学講師・専門学校講師・セミナー講師・税理士と、5つの仕事を掛け持ちするスーパービジネスパーソンです。そんな石川さんに「残業しないチームと残業だらけチームの特徴」についてお聞きしました。

「マルチ人間」だけど「マルチタスク」は苦手

私は冒頭でも紹介があった通り、5つの仕事を掛け持ちしています。周りの人からは「マルチな人」「マルチタスクが得意な人」と思われることが多く、「どうやったらマルチタスクができるようになるのか?」という質問を頂くことが多かったりします。

しかし、5つの仕事を掛け持ちしているという意味で私は「マルチ人間」なのかもしれませんが、実は「マルチタスク」はかなり苦手です。マルチタスクを「同時進行で仕事を進めること」「Aという仕事をしながらBという仕事を進める」という意味だと捉えるならば、私にはなかなかそれができません。

どうしても、1つの仕事をする時にはそれに集中しなければ進められないのです。新しい企画を頭で考えながら、手では交通費の精算をする…ということはできないですし、ミスの元にもなりますので私はやるべきではないと考えているのです。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

仕事に集中するために「制限時間」を設ける

もちろん「マルチタスク」が得意な方は、その仕事のやり方で進めていけばいいのですが、私は一つひとつの仕事に集中しながら、その上で5つの仕事を掛け持ちしています。一見すると「そんなことができるのか?」と思われそうですが、簡単なことを常に意識することで、それを実現可能にしています。

簡単なこと…それは仕事一つひとつに制限時間を設けることです。例えば、現金預金の入力なら15分、請求書のチェックは30分、企画書作成は45分というように、15分刻みで各仕事に制限時間を設けています。

実際に携帯のバイブを使って、時間を計りながら仕事に取り組んでいます。いい緊張感の中で仕事を進めることができ、効率が上がっていると実感しています。始業時にToDoリストに今日のやるべきことを書き出したなら、そこに制限時間を書き込む。帰宅目標時間も明確になって、ちょっとしたゲーム感覚で集中して仕事を進めることができます。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

1時間単位で計画を立ててはいけない

「制限時間」を設けるときに、実はちょっとした工夫が必要となります。それは「1時間単位で計画を立てない」ということです。上記の通り、私は15分刻みで制限時間を設けていますが、15分でなくても大丈夫です。ポイントは1時間単位にしないということ。

なぜ1時間単位で仕事を計画してはいけないのか?…それは、1時間はなかなか集中できないから。皆さんの中にはフランチェスコ・シリロ氏が開発した「ポモドーロ・テクニック」という仕事術をご存知な方もいるかもしれません。その方法は、25分集中して5分休憩をワンセットにし、また25分間集中して5分休憩を繰り返すというもの。定期的に休憩を取ることで集中している状態をキープすることができるのです。

「この仕事を1時間で終わらせて」
「次回の会議は2時から3時までを予定しています」
「10時から1時間ほどお時間作って頂けますか?」

あなたは、部下への指示、会議や交渉などの約束を、何となく1時間間隔で決めていませんか?きりがいいし、先方にも伝えやすいので、つい1時間という単位を使ってしまうかもしれません。しかし、1時間単位はあまりオススメできないのです。

1時間の会議や仕事を「15分短縮」してみよう

なんとなく1時間かけていた会議を、45分で済ますと決めれば、1度の会議で15分も時間を節約できます。250日間15分短縮したら、3,750分(62時間)も短縮できます。8時間労働で実に約8日分です。年に1回大型連休が取れる計算になります。

8時間勤務の会社において1時間単位で仕事をすると、8項目の仕事ができます。1時間で行っていた仕事を45分に短縮すれば、1日2時間も余ります。単純計算ですが、今まで毎日2時間残業していたチームなら、この方法で定時に帰れるようになるのです。

「なんとなく1時間」でしていた仕事を「15分間隔」で設定していく。その積み重ねが、時間を管理し生産性を上げていく1つの方法になるのです。

f:id:asukodaiary:20170309141602j:plain【プロフィール】石川和男(いしかわ・かずお)

建設会社総務部長、大学、専門学校講師、セミナー講師、税理士と、5つの仕事を掛け持ちするスーパーサラリーマン。大学卒業後、建設会社に入社。管理職就任時には、部下に仕事を任せられない、優先順位がつけられない、スケジュール管理ができない、ダメ上司。一念発起し、ビジネス書を年100冊読み、月1回セミナーを受講。良いコンテンツを取り入れ実践することで、リーダー論を確立し、同時に残業ゼロも実現。建設会社ではプレイングマネージャー、専門学校では年下の上司の下で働き、税理士業務では多くの経営者と仕事をし、セミナーでは「時間管理」や「リーダーシップ力」の講師をすることで、仕事が速いリーダーの研究を日々続けている。
最新刊の『「残業しないチーム」と「残業だらけチーム」の習慣』(明日香出版社)ほか、『仕事が「速いリーダー」と「遅いリーダー」の習慣』(明日香出版社)など、勉強法、時間術などのビジネス書を6冊出版している。

f:id:fujimine:20171019145748j:plain

石川和男 公式サイト https://ishikawa-kazuo.com

PC_goodpoint_banner2

Pagetop