デキるリーダーの「指示」の出し方

『仕事が「速いリーダー」と「遅いリーダー」の習慣』(明日香出版社)の著者である石川和男さん。石川さんは、建設会社総務部長・大学講師・専門学校講師・セミナー講師・税理士と、5つの仕事を掛け持ちするスーパーサラリーマンです。そんな石川さんに「仕事が速いリーダー・仕事が遅いリーダーの特徴」について伺うこのコーナー。第4回目の今回は「リーダーの指示の出し方」についてです。

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リーダーが怒鳴り声をあげて指示を出しているのに空回り、部下が慌ただしく動いているのに成果がでない。こんな経験をしたことはありませんか?

同じ業務でも、指示の出し方によって仕事のスピードが違ってきます。ではどうすれば仕事のスピードを上げることができるのか?これから説明します。

デキないリーダーは、こんな指示を出している

あなたは『24 -TWENTY FOUR-』を見たことはありますか?CIA内部に設立されたテロ対策組織が、暗殺計画阻止、爆発物除去などを、分刻み、秒刻みで行っていく人気ドラマです。ドラマでは、組織のリーダーが部下に次々と指示を出し、部下も期待に応えて任務をやり遂げます。

その姿に影響され、同じ感覚で部下に指示を出してしまったことがあります。以下の「 」書きを早口で読んでみてください。

「Cさん、新製品のアンケートをまとめた報告書。あれ今日中に頼む。そうだ!20日締めの請求書の発行処理、30件ぐらいあったか?あれも早急に。それから来週の会議資料を送っておいて。会議の後の親睦会の店、8名で予約しておいて。飲み放題で料理はセット。税込で5000円以下。時間は19時ぐらいからかな」

こんな指示を出されたら、部下は耐えられないですよね。

次から次へと指示されてそれを確実に遂行できるのはドラマの中だけの話であって、現実の世界では、まとめて指示することは部下の混乱を招きます。

では、このような事態を防ぐにはどうすれば良いのか、具体的な方法をご紹介します。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

指示は1つ、多くても3つまで

一度にたくさん伝えてしまうと、部下は混乱します。
一度に伝える指示は1つ、多くても3つまでにして、部下がすぐ書き留められるようにし、聞きもらしや伝達ミスを防ぎます。あなたも指示は3つまでと決めておくことで、指示を出し過ぎることを防げます。

仕事が速いリーダーは、仕事を1つ1つ指示します。
思いつくままに指示をしていくのではなく、毎朝もしくは昨日のうちから、どの仕事から頼もう、頼んだ仕事はどうなっているかなどを、事前に確認し、計画を立ててから指示を出すのです。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

さらに気を付けるべき3つのポイント

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①優先順位をつけて話す

部下の仕事を見て、「そんなの後でいいのに。それより、今指示した急ぎの業務をなぜ先にやらないのかな」などと、イライラした経験はありませんか?
それは、あなたが思っている以上に部下は優先順位がつけられないということが原因なのです。
優先順位の指示がないと、部下はリーダーに言われた順番に仕事をしようとするか、あるいは勝手な判断をします。指示が複数なら優先順位をつけるべきです。

一度にたくさん指示を出すと優先順位が明確に伝わらず、急ぎの仕事が後回しにされるなどの事態が起きかねません。まとめて伝えることで時間を節約したつもりが、伝達不明瞭でかえって仕事が遅くなるのです。

②業務進行表で仕事内容を共有する

私は、全体的な仕事を把握するために、業務進行表を活用することによって、部下が今どの仕事をしていて、どれだけ仕事を抱えているかを社員間で共有しています。
進行表があればそれを頼りに指示すればいいのではないかと思われるかもしれません。しかし、進行表を見ながら指示をし、さらに確認の質問をする2段階方式がいいのです。

進行表を見ることで部下の状況を確認しながら話せるし、さらには質問・確認することで部下も落ち着いて仕事を進められるからです。そして何よりリーダーが配慮してくれているのだなと、部下からの信頼も得られます。

③こまめに質問し、目線を揃える

さらに、部下が理解できていない、仕事が多くて大変なのに困るといった表情を見せているときは、話を止めて、質問や疑問点はないか確認します。「今どのくらい仕事を抱えているの?余裕はある?」といった聞き方もいいでしょう。

また人は一度に長時間のコミュニケーションをとるより、短時間でも数回に分けてコミュニケーションをとるほうが、信頼関係が構築されやすくなります。心理学でいう「単純接触効果」です。

そういった意味も兼ね合わせると、一度にたくさんのことを伝えるより、1つずつ数回に分けて指示するほうが正確に伝わるし、コミュニケーション的にもいいでしょう。

まとめ:「指示」を変えれば、仕事のスピードが上がる!

以上を踏まえて、冒頭でお話した指示を言い換えると、

「Cさん、昨日頼んでいた仕事の状況は?ふむ、そこまで進んでいるなら後1時間で終わりそうだね。終わったら、新製品のアンケート結果をA4用紙にまとめて、16時までに提出してください」

となります。

状況を確認した上で優先順位の高い仕事を1つずつ指示していくのです。
複数頼む場合でも、上記の指示に、優先順位、内容、期限を盛り込んでいけば効果的な指示になります。
最後に、仕事が速いリーダーの指示の出し方のまとめです。

まとめて指示をするのではなく、小出しに指示をする。

さらに以下3つのポイントを踏まえればベターです。

①複数の指示をする時は、優先順位を明確にする。
②業務進行表を作って、仕事内容を共有する。
③こまめにコミュニケーションをとり、目線を揃える。

「部下が指示通りに仕事をしない」「優先順位が違う」「締切が守れない」こんな不満を抱えているリーダーは、不満の原因が伝達の仕方にある場合が多いのです。

明確な指示は、お互いの誤解を未然に防ぎ、部下に安心感を与えます。進捗状況を共有することで、仕事を成し遂げるという共通の目標が生まれ、充実感を持って仕事に取り組むことができるのです。

【プロフィール】
石川和男(いしかわ・かずお)
建設会社総務部長、大学、専門学校講師、セミナー講師、税理士と、5つの仕事を掛け持ちするスーパーサラリーマン。
大学卒業後、建設会社に入社。管理職就任時には、部下に仕事を任せられない、優先順位がつけられない、スケジュール管理ができない、ダメ上司。一念発起し、ビジネス書を年100冊読み、月1回セミナーを受講。良いコンテンツを取り入れ実践することで、リーダー論を確立し、同時に残業ゼロも実現。建設会社ではプレイングマネージャー、専門学校では年下の上司の下で働き、税理士業務では多くの経営者と仕事をし、セミナーでは「時間管理」や「リーダーシップ力」の講師をすることで、仕事が速いリーダーの研究を日々続けている。
『仕事が「速いリーダー」と「遅いリーダー」の習慣』(明日香出版社)は16刷中ほか、勉強法、時間術など3冊のビジネス書を出版している。
石川和男 公式サイト http://ishikawa-kazuo.com
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