1,000円の手土産を、10倍の価値に感じてもらえる方法

「これ、良かったら食べてください」

クライアントへの挨拶の品や出張先で買う職場へのお土産。はたまたバレンタインやホームパーティの手土産など、公私に渡り、お土産を持参する場面は多々あるものです。

そんな身近なお土産でも、あっさりと「ありがとう」で終わってしまう場合と、「えっ、こんな良い物もらっていいの!」と感謝される場合に分かれることがあります。
さて、この違いはどこにあるのでしょうか?

プレゼントの「評価の分かれ目」について、広告代理店の営業マンとして飛び込み営業成功率72.6%、累計30億円以上の案件を獲得、また3000人以上のVIPと交流した経験を持つ「気配り」のプロフェッショナル・後田良輔さんにお話を伺いました。

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お土産は金額ではなく「相手が感じる驚き」で価値が変わる

「あの人のお土産は間違いがない」「何てセンスの良いお土産なんだろう」

どんな職場にも「この人のお土産はいつも楽しみだ」と言われる“お土産上手”が存在しています。

彼らのお土産は、値段が高い物と思いきや、決してそうではありません。そのほとんどが1000円前後の普通の値段。ではテレビや雑誌で話題の人気商品かというと、決して話題の品という訳でもありません。なぜならお土産上手は、値段や話題性に価値を置いていないからです。もちろんお土産の品が良い物であることは大前提です。でもお土産上手はそこに「相手が感じる驚き」をプラスしています。

誕生日プレゼントで例えてみましょう。事前に欲しいものを聞かれていて、実際にそのプレゼントをもらうのと、何も聞かれていないのに欲しいものをプレゼントされるのでは、どちらが嬉しいでしょうか?もちろん後者の方が前者より何倍も嬉しいですよね。
このようにプレゼントは、「驚き」を加えることで、相手にとって何倍も価値が高まるという性質を持っています。

その「驚き」は、「権威」「時間差」「裏切り」の3つの方法で簡単に実現できます。この3つのうちどれか1つを真似するだけで、同じ1000円の品なのに、勝手に相手が10倍の1万円の価値に感じてくれることもあるのです。これは、やらない手はありませんよね!

8,568通り、あなたはどのタイプ?

相手が10倍の価値を感じる方法-1 「権威」

大切な人へのお土産というと「値段が高い物」や「美味しい物」を差し上げたくなりますが、その「高い」や「美味しい」は自己満足でしかありません。なぜなら値段は購入した人しかわかりませんし、味は相手が感じるものだからです。そこでおススメなのが「権威」を活用することです。中でも国内最強の権威は「宮内庁御用達」なのではないでしょうか。

キオスクで買える1000円のお煎餅だったとしても、「このお煎餅は、宮内庁御用達なんです。ぜひみなさんで召し上がってください」と言われたら、何だかとてもありがたいものをもらったと感じてしまうものです。

人は「歴史」や「重み」、「ストーリー性」に値段以上の価値を勝手に感じる生き物です。それらをいちいち説明せずに相手に感じてもらえるのが「権威」であり、その最高峰は宮内庁御用達の品となるのではないでしょうか。探し方は簡単です。検索エンジンで「宮内庁御用達 お土産」と検索するだけです。他にも相手が好きな有名人や文化人など、価値を高めてくれる「権威」は数多く存在しますので、ぜひ活用してください。

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相手が10倍の価値を感じる方法-2 「時間差」

世界一美味しいと言われている焼肉でも、満腹の時に食べてはその味も半減するように、お土産にも一番魅力を高めてくれるタイミングが存在しています。

例えばバレンタインのお返し。一般的に2月14日に女性がチョコレートを男性にプレゼントし、3月14日に男性が女性にお返しをすることになっていますが、「最適」の概念で考えると、この渡し方は大間違いです。

バレンタインの最適なお返しは、女性からチョコレートをもらったその場が正解です。社内の女性から義理チョコをもらったら、その場で「いつもありがとう」と言って逆にチョコレートを差し上げてください。バレンタインは、「女性から男性にチョコレートを渡す日」ではありません。「男性が女性に日ごろの感謝を伝える日」なのです。

「時間差」という概念で考えると、ホワイトデーまで感謝を伝えないのはナンセンスですし、もったいない。お土産やプレゼントは渡す時期で価値が何倍も変わりますので、「いつ渡すのが最適なのか」というタイミングの常識を疑って「時間差」を仕掛けてみましょう。

相手が10倍の価値を感じる方法-3 「裏切り」

「自分はお土産をもらう立場ではない」と思っている人にお土産を渡すと、その効果は絶大となります。例えば接待でのお土産。

大切なお客様を接待するための仕上げとして、「ご家族で楽しめるお土産」を用意するのが一般的です。でもそれが最上なのかを疑ってみましょう。接待のゴールは、相手に楽しんでもらうことですよね。その観点でいくと、家族へのお土産だけでは足りません。ぜひ「お店へのお土産」も用意してください。

接待とは、お店の料理と部屋の雰囲気、店員のサービスを借りて行うものです。その視点で考えると、お店は自分の接待チームの一員と言えます。最上のおもてなしをするためには、チームの士気を上げ、本気を引き出す必要があります。

お店のスタッフも人間です。「金を払っているのは自分だ」という客と「本日はよろしくお願いします」と逆に頭を下げる客がいたら、当然後者のサービスが手厚くなるのが人情というものです。

お店へのお土産を渡すタイミングですが、お客様との会食時間の15分前までにお店に行き、「本日はお世話になります」と、店長に渡すといいでしょう。

お土産は嬉しい裏切りの際にこそ輝きます。ぜひお客様と自分という目線だけでなく、もっと大きな目線で渡す相手を考えて、本来、お土産を渡した方が効果的な人が他にいないかを考えてみてください。

――お土産とは「感謝の気持ちを伝えるためにあるもの」です。その気持ちとは決して金額や味だけで構成されるものではありません。もともとの原点に戻り、どのようにしたら、感謝の気持ちが一番伝わるだろうか、喜んでもらえるだろうかと考えてみてください。たったそれだけで、いろいろなことが好転しはじめ、人生が劇的に変化していきます。

後田良輔氏/ビジネス書作家・コラムニスト

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1972年生まれ。大手3大広告代理店に勤務し、「誰でも使える気配り術」を駆使する気配りのプロフェッショナル。これまで応対したVIPは、東証一部上場社長、世界企業のCEO、政治家、医者、弁護士、大学教授、大物俳優・女優、ミリオンセラー作家、世界No.1クリエイターなど総勢3000名を超える。この特別丁寧に接しなければならない顧客との交流で磨かれたスキルと「東京・名古屋・大阪」の現場勤務で身につけたリアルな経験を組み合わせた、独自の「誰でも使える気配り術」に定評がある。
著書に、『気配りの正解』(ダイヤモンド社)『<落ちこぼれでも3秒で社内エースに変わる!>ぶっちぎり理論38』(ダイヤモンド社)、『逆境を活かす! 就活面接「エモロジカル理論」2015年度版』(実務教育出版)『1秒内定面接術」』(インプレス)など。これらの実績を買われ全国の大学や企業から講演・研修依頼が殺到。新聞・雑誌などメディア露出は50回以上。「世界からキャリアの悩みをなくすこと」をミッションとする。

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