月200時間残業が生み出した『社内恋愛の悲劇』

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社内のあの子が気になってきた。四六時中頭から離れない……それが社内だろうが社外だろうが好きになってしまったものは仕方がこと。しかし、社内恋愛が発生しやすい環境というのが現実にはあります。その大きな原因の1つが、ズバリ「長時間残業」!

今回は、社内恋愛で図らずもスーパーモテ期の酸いも甘いも何故か一通り経験したわたくし「修羅ガール」が、実体験を交えて長時間残業により起こりやすい社内恋愛の問題と、相手に嫌がられないコツを大解説。ギャグみたいだけれどもノンフィクションでお届けする今回、楽しんで読んでいって欲しいと思います。

社内恋愛が蔓延する環境とは
~200時間残業時間の生み出すもの~

あれは私が新卒で某大手企業に入社をし、研修も終わって2ヶ月目に入ったくらいのこと。今では当たり前となっているIT界隈に関する分野が、当時はまだまだ成熟していないどころか、未知の領域が現在よりはるかに多い時代でした。

私は、配属部署が比較的クリエイティブかつ、厳しく数字も求められる部署だったこともあり、月の残業時間は平均200時間超えに。イメージを持ちやすいように念のため解説しておくと、1日8時間労働をしたとして、残業なしで毎月20日間働いた場合は単純計算で160時間。あくまで残業だけで200時間なので、定時が18時として、終電を気にする0時まで働いたとしても、1日の残業時間は6時間。6時間×20日=120時間だけれども、これだと80時間足りない。でっ、皆様お察しの通り、この80時間は、夜中に働くか土日もある一定時間は仕事をしていることを指します。(ちなみに平均200時間だったので、もう少し多かったことも・・・。何の自慢にもならない悲しい事実。)

当時、社会人になりたての私はまだ実家住まいで、職場までは電車で片道1.5時間はかかる状態でした。必然的に終電は早くなり、通勤にもかなりの体力を要することになるので、「そこに時間と体力を使うなら!!!」・・・と、週に何日かは会社・もしくは周辺施設に寝泊まりし、あっという間にちょっとした「主(ぬし)」状態に突入。しかし、この「プチ主」は私だけでなく、実家暮らしだろうが一人暮らしだろうが所帯持ちだろうが、みんな慢性的にこんな状態だったのです。
現代っぽく例えると、「職場がシェアハウス状態だった」といっても良いような状態といっても過言ではなかったと思います。

さて、ここまでなが~く会社にいて仕事をしていると、何が起こってしまうのか?

8,568通り、あなたはどのタイプ?

恋も生活範囲も何もかも「盲目」になる!

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何をやるにしても何をみるにしても、そこにはいつも同じ職場の人だらけ。共通の話題は、基本仕事の悩みや仕事関連の人の様々な話や、たまにその人の趣味の話など。ただ、ここまで会社にべったりいると、自然と趣味の話や仕事に関連しない話(例えばドラマの話とか……)はしなくなり、仕事関連の話だけで、笑ったり・怒ったりと喜怒哀楽の感情が完結してきます。そうすると、もうその人個人が云々というよりも、「職場環境」というバイヤスがかかった上での「周りよりも良い人」「素敵な人」としか見られなくなってしまうのです。

ここで、どうして環境を変えようとしなかったのか、他を見ようとしなくなるのかという、至極まっとうなご指摘が入ってもおかしくないのですが、恐ろしいことにそれは難しい問題なのです。理由は、新卒で他を知らかないかつ、常に追われていて他のことをする余裕もないので、「ここしか居場所がない」と、変な錯覚に陥ってしまうから。今から思うと、この感覚は新卒でなくとも、転職回数を重ねすぎていて次の行先に自信がない人などにも陥りやすい感覚ではないのかとも思います。そして、その思い込みと共にどんどん視野が狭くなっていき、より追い詰められていくのです。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

シェアハウス的職場環境が生み出した『珍プレー』

このシェアハウス的職場環境での思い込みは簡単にはとれない物で、判断能力が鈍った脳は、様々な錯覚や誤解を招いていきます。

私は、身長が168㎝とそのフロアの女性の中でも1・2を争うくらいの高身長かつ、カラダ全体が細長く(←胃弱だったため)、見た目が比較的に目立つ存在だった。そして、隠れ難聴を抱えているため(詳しくは前回記事をご参照ください)、声を大きく「元気」に振る舞うことを心がけていたので、余計に目立っていたのは、分かってはいました。

部署の垣根を超えて仕事をすることも多かったので、社内で知り合いは多いほうだったものの、ある日、こんな現象が立て続けに起きるように・・・。

  • 「修羅ガールさんが会議に出てくれるなら、〇〇の件、アポとって話を詰めます」
  • 「え、急な変更お願いされても困るんだよね・・・修羅ガールさんからのお願いなら考えてあげるよ」

上記、別人物の発言内容で、何故か「条件に自分を指名される」展開に。信じられないことに、その人数はざっと二桁台へ。「いや、待て待て、私は売れっ子キャバクラ嬢じゃないぞ」と心中つぶやきながら、無反応で黙々とメールの処理をしていると、数十件ごとにこんなメールが混ざってきました。

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=パターン1=

件名:ごはん行きましょう!

本文:修羅ガールさんと2人でごはん行きたいです。
あなたが机に突っ伏しているとき、僕も実は常に近くでダウンしていることに気づいていましたか?

僕の連絡先はXXX-XXXX-XXXX。修羅ガールさんの番号も「至急」教えてください。

=パターン2=

件名:(ブランク)

本文:あなたは、妻よりも僕の話を理解し、聞いてくれる。笑顔も印象的だ。そんな修羅ガールさんに魅力しか感じません。よかったら、今晩どうですか?

……「至急」の使い方間違ってる!!!「今晩どうですか?」って何が!?・・・と思ったのはさておき。既読スルーで、しれっと日々をすごしていると、ついに彼らはしびれを切らし「度を越した構って欲しい」が、業務妨害へと発展していったのです。

「度を越した構って欲しい」が、業務妨害へ発展

度を越した構って欲しいとは……例えば、取引先と電話をしながら用件をメモしている私からペンを取り上げ、書いていたメモ用紙に「番号教えて、番号教えて、番号教えて、番号教えて、番号教えて、番号教えて、番号教えて・・・もしくは俺に電話して!!!」と書き殴り続ける。私は落ち着いて用件を聞き取れず、先方に謝って電話を中断する羽目に。他にも、「取引先とのエア飲み会」をセッティングされたりと(取引先との飲み会があるから空けておいてと嘘をつかれ、現地に行ったら2人きりだった……)、様々な手段で行き過ぎた自己アピールが続いていきました。

そして、何故か「修羅ガールさんが言わないとやってくれない・アポが進まない」といった理由を、何かというとつけられたため、なんでも自分のところに来るようになってしまい、業務量はパンク寸前に。しかし、懸命に業務をさばいても、強引なアプローチはやまないどころか、アプローチをしてこない周りの社員からの、冷ややかな視線や罵声まで浴びることになりました……。

仕事が多すぎるのに業績があがらない!
私のあだ名は「アバズレちゃん」

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そう、冷ややかな視線とは。それは「嫉妬」や「間違った思い込み」によって協調性を壊すこと。例えば、私は実際にこんなことを言われっぱなしでした。

  • 「私たちがお願いしてもどうせやってくれないでしょ。」
  • 「修羅ガールさんに言えば?」
  • 「なんで修羅ガールさんばかりなわけ!?」

仕舞にはこんなケースまで……

「私、実は〇〇さんのこと(恋愛感情的に)好きだったのに!!!修羅ガールさんがたぶらかしたんでしょ!!」

そこから、私の影のあだ名が「アバズレちゃん」になるのは驚くほど早いものでした。もう、部署でもフロア内でも「誤解」が蔓延し、みんな疲れすぎていてなかなか「正常な判断が出来る人がいない」事態だったのです。

結果、仕事の分担は滅茶苦茶になり、実際の業務もおかしくなったのは言うまでもありません。売り上げも上がらず、周りもそういった露骨な「贔屓ともとれる対応」を目の当たりし、疲れている上に仕事をするモチベーションも極端に下がっていきました。それらの負のスパイラルによって、洒落にならないようなミスが勃発し続けるなど、私個人としても、ゆがんだ愛情を持ってしまった当人達も、もちろん部署としても、大きな痛手を被ることになっていきました。

自分の評価を下げずに、うまく相手に好かれる方法

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今回の問題点としては、大きく2つあると分析できます。

  • 長く働きすぎると、正常な判断ができなくなること
  • 強引すぎるアプローチは、意中の相手に嫌われるどころか自分の社内の評価までも下げてしまう

そして、もし、あなたが本当に社内に意中の相手ができてしまったら、以下のような行動が吉と出やすいです。

1、意中の相手のフォローをする

人間は万能ではありません。誰しもが、苦手領域や困ったことに直面する場面があるもの。少し悪い言い方になりますが、「相手の粗」を探してみましょう。実は、そこが自分をさりげなくアピールできて、相手に強烈な良い印象を与えられる最大のチャンスでもあります。これは自分都合ではいかないので、なお綺麗に切り込めるのです。ここで注意しなければならないのは、フォローはするが、決して相手を卑下したり、余計な火をつけない事。

2、社内に協力者を作る。誘うならランチに

相手と接点が薄い場合やもっと交流したい場合には、まずは一緒に行くランチの回数を増やすことがおススメ。いきなり2人だとハードルが高いので、4人以内(それ以上の人数だと、話が割れたり、席が割れたりする)で何度か行くようにして「相手の警戒」を徐々に解いていく。そこで仕事に関わらず、色々な会話をしてみること。相手をよく知れるよい機会にもなります。仕事後の何らかのお誘いもしやすくなる入口にもなるので、ぜひ積極的にランチタイムの活用を。

3、最強テクニックは「さりげなさ」

残業している相手に、おやつを渡すのは良くある話。ここでは、ただ渡すだけではなく敢えておやつに付箋などでメモ書きを添える(「残業もほどほどに!」など、の一言)と、Good。ちなみに、これは「相手は残業だけど自分は早く帰れる」というシチュエーションで自分の帰り際にやると、変に周りにも勘繰らず自然にできます。応用編として、何らかの確認の電話をするときに、意中の相手が出たのならば、たった一言(それ以上はおススメしない)労いの言葉や感謝の言葉をかけてあげると更に良いです!

まとめ

余談にはなりますが、私が何故こんな環境でもやっていけたのかというと、他の人にはない「障害を隠して働いているから」に違いありません。要するに、健常者と同じように・もしくはそれ以上に働けている自分が嬉しかったからです。

ただし、このような環境はどう考えてもマトモではありません。もしあなたが、上記のような長すぎる労働時間と、追い詰められている感覚に陥っているなと感じたら、「周りを冷静に見れなくなっている盲目のサイン」。一旦立ち止まって、冷静さを取り戻すためにも、有給でもなんでもよいので休息することをおススメします。

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【修羅ガール】
難聴と、何故か遭遇しがちな修羅場と闘うことがよくある波瀾万丈系オンナ。事業会社でのマーケティング・PRや広告業界を経て、現在はフリーライターとして活動中。こんなんで元モデルでもある。

修羅ガール (@shula_girl) | Twitter

編集:鈴木健介

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