ビジネス文章は3秒が勝負!〜最初の「ひと言」で伝える技術〜

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■できるビジネスパーソンほど「ひと言」で伝える

仕事に使う文章では、最初の「ひと言」で、相手に伝えるスキルが必須です。「ひと言」、つまり、読み始めてからわずか3秒で勝負を決める文章です

書き始めからダラダラしていたり、前置きが長かったり、表現があいまいだったりすると、「それで、何が言いたいの?」「結論を早く教えてくれない?」と、読む人を苛立たせてしまいます。一方で、「ひと言」で書いてはあるものの、意味が伝わらない文章もNGです。当然ですが、文章を短くすれば伝わる、というものではありません。

ビジネスシーンに求められるのは、最初の「ひと言」で、核となるメッセージを伝える、あるいは、文章の全体像を浮き上がらせる文章です。「ひと言」で伝える技術が身につくと、仕事の効率や生産性が向上。書き手自身の評価も高まります。

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■メールの件名に表れる「ひと言」で伝える技術の素養とは?

その人に「ひと言」で伝える素養があるかどうかは、メールの件名を見ればだいたい分かります。メールの件名は、メール本文に何がかかれているか、その端的な要約でなければいけません。

件名:ご連絡です

件名:清水です

件名:おはようございます

件名:お疲れ様です

件名:すいません

件名:ご迷惑をおかけしております

どれも短い件名ですが、メール本文に何が書いているのかが分かりません。言葉は書かれているのに、そこに必要な情報が含まれていない状態です。読み手に不親切な件名と言わざるを得ません。

件名:新商品発表会の件で、ご連絡いたしました

件名:小冊子の件でご対応いただければ嬉しいです

件名:(株)SASA-GOについてのご報告です

件名:清水市の企画についてご査収願います

件名:アンケートをご確認いただければ幸いです

件名:秋のキャンペーンの宣材についてです

先ほど挙げた件名と比べると、いくぶん具体的になりました。しかし、的確に内容を伝えているかといえば、答えは「ノー」です。「ご連絡いたしました」や「ご対応いただければ嬉しいです」「ご確認いただければ幸いです」などの言い回しも、要約の役割が求められる件名には必要ありません。

では、メール本文の内容を的確に示す件名にするためには、どのような書き方をすればいいでしょうか。以下は、修正した件名です。

件名:18日(木)開催の新商品「ケアー」発表会の詳細

件名:小冊子『にぃいちぇる』の誤字訂正の件

件名:(株)SASA-GOの工場ラインの電装不具合の件

件名:清水市助成金事業・企画プレゼン概要決定

件名:商品Zのお客様アンケート項目案の是非

件名:「ViBi」秋のキャンペーンのポスターラフ案ご送付(3点)

先ほどよりも、内容が把握しやすい件名になりました。これくらい具体的で情報量の多い件名であれば、読み手が戸惑うこともないはずです。3秒で伝わる親切な件名といえます。固有名詞が盛り込まれているので、読み手が、あとでメールを探すときにも苦労しません

8,568通り、あなたはどのタイプ?

■企画書やプレゼン資料の良し悪しもタイトルで決まる!?

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メールの件名以外にも、企画書や提案書、プレゼン資料などで、「ひと言」で伝えるスキルが重宝します。これらの文章で真っ先に読まれるのがタイトルです。

父の日販促キャンペーン

企画書の表紙に書かれたこのタイトル。意味は通じますが、具体的でないために内容が想像できません。また、言葉がありきたりすぎて、興味もわきません。

父の日の動画販促キャンペーン

【特別ミッション】パパを“ちょい悪オヤジ”に変身させよ!

先ほどよりも、キャンペーンの内容が見通せるタイトルです。具体的に何をするかまでは見えませんが、読む人に興味をもたせることができれば、企画書のタイトルとしては及第点でしょう

①【新商品案】チョコレート「雅流」

②【新商品案】知的チョコレート「雅流」

 〜190円で味わえるエグゼクティブ気分〜

①ホームページ制作のご提案

②集まるホームページ制作のご提案

 <新規客獲増で月に50万円売り上げを増やす!>

いずれも、①よりも②のタイトルに興味をもつはずです。いくら内容が同じでも、タイトルの付け方次第で、読み手が抱く興味・関心の度合いが大きく変わります。

タイトルで読む人の興味・関心を引くことができれば、好意的な目でその先を読み進めてくれるため、望む結果が出やすくなります。一方で、タイトルで読む人の興味・関心を損なえば、期待値が低い状態からの挽回が難しくなります(つまり、結果が出にくくなります)。初めに抱く印象というのは、人間にとって、それくらい大事なものなのです。

■会議の発言やプレゼントークでも武器になる「ひと言」

「ひと言」で伝える技術に磨きをかけるためには、以下のステップを踏む必要があります。

ステップ1:情報全体を把握する

ステップ2:核となる情報を抽出する

ステップ3:抽出した情報を簡潔に伝える+(場合によっては)興味を引く表現を使う

最初の「ひと言」で相手に伝えることができれば(あるいは、相手の興味・関心を引くことができれば)、他人との情報共有がスムーズにいきやすくなるほか、仕事の成果が出やすくなります。

なお、この「ひと言」で伝える技術は、文章のみならず、会議やプレゼンテーション、対面営業・接客など、リアルなビジネスシーンにも応用できます。ビジネスパーソンにとって、「ひと言」で伝える技術を身につけることは、仕事ができる人になるための特急チケットのようなものなのです。

著者:山口拓朗

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『買わせる文章が「誰でも」「思い通り」に書ける101の法則』著者。

伝える力【話す・書く】研究所主宰。「伝わる文章の書き方」や「メールコミュニケーション」「キャッチコピー作成」等の文章スキルをテーマに執筆・講演活動を行う。著書に、キャッチコピーの作り方を解説した『買わせる文章が「誰でも」「思い通り」に書ける101の法則』(明日香出版社)のほか、『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(日本実業出版社)『書かずに文章がうまくなるトレーニング』(サンマーク出版)他がある。モットーは「伝わらない悲劇から抜けだそう!」。

山口拓朗公式サイト
http://yamaguchi-takuro.com/

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