【頑張っているのに成果が出ない人へ】限られた時間の中で生産性が劇的に上がる「いい努力」のススメ

一般的に、「努力すること」はいいことだと言われています。勉強でも運動でも、そして仕事でも、誰もが「努力」をすることでスキルを身につけてきたはずです。
ただ、一方でこんな悩みを抱えているビジネスパーソンは少なくありません。

「遅くまで一生懸命努力しているのに、成果が出ない」
「周りの倍は頑張っているのに、なかなか報われない」

世界有数のコンサルティング・ファームである「マッキンゼー・アンド・カンパニー」に25年間勤務し、現在はイオン特別顧問、LIXILグループ取締役を務めている山梨広一氏は、さまざまなコンサルティング案件を通して、「努力は量ではなく、質だ」と実感したといいます。コンサルティング先の名だたる有名企業の、優秀なビジネスパーソンが、「時間をかけて努力すればより良い仕事になるはずだ」と生産性の低い仕事を長時間行っている姿を多数見てきたとのこと。そしてこれらの経験をもとに、「いい努力」「悪い努力」を洗い出し、先ごろ一冊にまとめました。

「いい努力」とはどんな努力なのか?そして何をどう改善すれば努力の質が上がるのか?山梨氏の著書『マッキンゼーで25年にわたって膨大な仕事をしてわかった いい努力』から、その理由の一部をご紹介します。

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まず「いい努力」を理解することで、悪い努力を排除する

 著者の山梨氏は、まず冒頭で「いい努力とは何か」を整理し、7つにまとめている。いい努力が何かを知れば、「とにかく時間をかける」「がむしゃらに頑張る」などという「悪い努力」を排除することができるからだ。

①「成果」につながるもの
例えば、3年間手塩にかけてリンゴの木を育てたが、1つも実らなかった。これは「いい努力」とは言えない。いい努力は、努力をした結果成果が出るもの。成果がない努力は労力と時間に見合わない「悪い努力」だ。

②「目的」が明確なもの
成果は、すぐに出るものではない。そして、何をすれば成果につながるのかわからないのも当たり前だ。そんな状況下で努力するには、「最終的な目的」を明確化することが重要。これがないと目先の成果追求に走ってしまい、本来の目的を見誤ってしまうからだ。

③「時間軸」を的確に意識しているもの
目的が明確であっても、「いつまでに」が漠然としていては意味がない。「目的を達成する時間軸」を捉えていない努力は、いい努力にはなりにくい。

④「生産性」が高いもの
成果が出ても、そのために膨大な時間と労力を要する場合は「いい努力」とは言えない。効率至上主義を勧めるものではないが、同じ成果を出せるのであればかかる時間やコストは小さい方が望ましい。

⑤「充実感」を伴うもの
「悪い努力」の場合、やっていてもムダだなと感じたり、本当は避けられたはずの障害を乗り越えるために意味のないエネルギーを費やしたりするので、フラストレーションが溜まり、ネガティブな感情が生じがち。いい努力をしている最中はまだ成果が見えていない段階でも高揚感、充実感が生まれ、より一層「いい努力」ができるようになる。

⑥「成功パターン」が得られるもの
「いい努力」を続けていると、「高い成果を出すにはこのパターンの努力がいい」とつかめるようになる。いい努力をすればするほど、その蓄積によってたくさんの成功パターンを習得でき、さらにいい努力ができるようになる。

⑦「成長」を伴うもの
「いい努力」をする人は思考錯誤しながら成果に結び付くパターンをつかみ、周りの環境をも進化させていく。成長した人が、進化した環境で働けば、次はさらに高い成果を出すことが可能になる。つまり「いい努力」は生産性が高く、高い成果につながるだけでなく、「成長」という副産物も付いてくるのだ。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

思考法、行動法…「いい努力」のためにすべきこと

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 本編では、「いい努力」のためにすべき思考、行動などを、75項目にわけて詳しく紹介している。その中から、特に現代のビジネスパーソンが間違い、誤解しがちな項目をいくつかピックアップしてみたい。

いい努力①仕事がはみ出しても時間を切る(悪い努力=とにかく終わるまで働く)

 悪い努力を捨てる手っ取り早い方法が「時間を切る」こと。

「どんなに仕事が残っていても、20時になったら帰る」など、先にお尻を決めておき、それに合わせて動く。最初のうちは仕事が終わらないまま中途半端に残ってしまい、不安にかられるだろうが、「限られた時間で、どうやったら仕事を終えられるようになるだろう?」と真剣に考えるようになる。

「工夫して早く帰ろう」は美しいスローガンだが、それだけ言われても実現は難しい。働き方をガラリと変えるよりも、残業するほうがラクだからだ。しかし、「何時に帰宅」など制約を作ってしまえば、帰るための方法を考え出さざるを得なくなる。制約があってはじめて、「いい努力をする姿勢」が生まれる。

いい努力②面倒でも「チームプレー」を心掛ける(悪い努力=一人の仕事に没頭する)

「努力は一人でコツコツやるもの」というイメージがあるかもしれないが、人を巻き込むことも「いい努力」の重要な要素。チームプレーができなければ、成果は大きくならないからだ。

 昔堅気の職人のように、一つの技能の上達に集中することが重要な仕事であるならばいいが、世の中にある仕事の大半は一人ではできないものばかり。実際、優れた経営者の多くは、人とコミュニケーションを取り、影響を与え合い、巻き込みながら新しいアイディアを生み出している。優れたサッカー選手同様、ビジネスでも人を自在に使うことでより効果的にゴールに近づくことができる。

 もしも「チームプレーが苦手」という自覚があるならば、チームでやるプロジェクトに意識的に参加したほうがいい。たとえ「これは自分一人でさっとできる」という案件であっても、敢えて誰かを巻き込むことで新しい風を取り入れる。それを繰り返すことで、苦手意識が克服され、仕事の幅も広がっていくだろう。

いい努力③「情報」は7割集める(悪い努力=できる限り情報を集める)

 今の世の中では、情報は無限にあふれており、「より良い判断のために情報を集めよう」となると、それらしい情報はいくらでも集めることができる。

 しかし、情報が多ければ多いほどアウトプットの質が上がるわけではない。情報が多すぎると、相互の矛盾する意味合いを示す情報も出てくるだろうし、分析にも時間がかかる。そして、情報収集ばかり積み重ねて「仕事をしている気」になってしまいがちなのもデメリットだ。

「6~7割の情報で判断する」というイメージを持ったほうがいい。例えば、3C(カスタマー、コンペティター、カンパニー)分析は一通りさらっと行い、全体像をざっくり捉えたうえで、「競合についての情報のみ深掘りしよう」などとメリハリを付け、情報を絞り込んでいく。情報を集めて仮説を立て、仮説に沿ってまた情報を収集し、その結果で仮説を検証・修正し、進化させ…というように、情報収集とアイディア出しを交互に行う“反復型”の進め方が「いい努力」につながる。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

「いい努力」は限られた時間を有効活用し、成果につなげるスキル

――いかがでしたか?「悪い努力」が自分自身に当てはまり、ドキッとさせられた人も多かったのではないでしょうか。

 仕事に追われ、毎日時間が足りない…という人こそ、限られた時間を有効に活用し、より高い成果につなげるための「いい努力」の方法を知っておくことは重要。これからのビジネスパーソンに必要不可欠なスキルとも言えそうです。

 本書では、上記のほかにも行動法から思考法、会議術、情報収集、スケジューリングの方法など、「いい努力」について実際のエピソードを交えつつ豊富に紹介しています。最近、努力が空回りしていると感じている人は、手に取ってみてはいかがでしょうか。思考、行動を切り替え、戦略的に動くきっかけが得られるかもしれませんよ。

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参考書籍:『マッキンゼーで25年にわたって膨大な仕事をしてわかった いい努力』/山梨広一/ダイヤモンド社

EDIT&WRITING:伊藤理子

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