色彩心理学を活用!資料作成から営業まで、成果を上げる色の使い方

「色彩心理学」をご存じでしょうか?本来心理学は、ヒトの心の動きやメカニズムを解明することを目指してきました。しかし、色彩心理学は従来の心理学のアプローチとは一線を画しています。では、色彩心理学とは何を解き明かす学問なのでしょうか? 今回は色彩心理学の基礎知識から、ビジネスへの応用方法についてご紹介します。

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色彩心理学とは?

色彩心理学とは、2003年にアメリカで誕生した、生まれたばかりの学問です。その系譜は、晩年に色彩についての研究を残したドイツの作家ゲーテ(1749~ 1832年)にまでさかのぼると言われています。

そもそも色彩がヒトの心に影響を及ぼすのは、人間の物事を判断するシステムの多くが視覚情報に頼っているためです。そこで、色の変化によってものの感じ方に違いが生まれることを利用して、そのデータを集積・分析し、今度は特定の色を提示することで、こちらが狙ったものの感じ方を相手から引き出そうとする。これが色彩心理学です。

最近では脳科学の発達によって、感じ方の違いを脳波レベルにまで解析して、より科学的なアプローチを確立しようという動きがあります。脳科学と色彩心理学の組み合わせを「先端色彩」と呼ぶこともあります。

色彩心理学が日常生活で活用されている例をいくつか挙げてみます。一つは心理療法への導入です。患者の心の状態を探るため、もしくはケアのために色彩を伴う創作活動が行われることがあります。これは人間が色彩に身を寄せて表現活動を行う際に、無意識に自分の心のイメージをさまざまな色を用いて表現しようとするメカニズムを応用しています。

もう一つは広告です。有名な色彩効果の中に「グレイッシュ(濁色)効果」があります。これは白や肌色などにわずかにグレーの色を配色することによって、広告全体に安心感を持たせ、見る者にとっての抵抗感をなくす働きのことです。

このように、色彩心理学は受け手側が意識しないところでも、日常生活のさまざまなシーンで活用されているのです。

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プレゼン資料作成に役立つ色の使い方

では、こうした色彩心理学の知見を応用して、プレゼンの資料作成の際に役立つ色の使い方をご紹介します。

効果的な色の使い方のポイントは主に2つあります。1つは、使う色を3つまでに限定することです。この3つのカラーは「ベースカラー」「メインカラー」「アクセントカラー」と呼ばれています。

ベースカラーは背景に使用します。そのため、メインカラーと関連を持たせつつも明度の高い(白みの強い)色を使用すると良いでしょう。

メインカラーはタイトルや見出しなどに使用します。色選択の自由度が高いため、商品などのイメージカラーと合わせることをおすすめします。

アクセントカラーはテキストなどの強調したい箇所に使用します。これは全体から目立たせる必要があるため、メインカラーの補色(正反対の色)を使用します。これらを効果的に使用するには、ベース、メイン、アクセントのそれぞれのカラーを70%、25%、5%の割合で使用するのが目安です。

もう1つのポイントは、資料内での色の役割を統一することです。例えば、最重要テキストには赤色を、ネガティブ例のテキストには青色を使用するというルールを決めておくと、視覚的に読みやすく、読み手の印象に残りやすい資料にすることができます。

ほかにも日常生活ではあまり目にしない原色の使用を避けることや、本文の色を黒ではなく濃いグレーにすると、より読みやすさが増します。

なお、色の使い方で避けたいのは、使用している色の種類が多すぎて、統一感がなくなること。自分なりに強調したい箇所に色をつけるのは良いのですが、色が多すぎると、それぞれの色が持つ意味合いを見る側にうまく伝えることができません。

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ビジネスを加速させる色使いのポイント

色別の具体的な効果をご紹介します。それぞれの色には意味があり、企業の中には、その特徴を生かして「コーポレートカラー」として採用しています。

■赤=生命力、行動力

赤は世界的にエネルギッシュな色として認知されています。消費者に衝動買いを促したり食欲をそそる効果があるとされ、バーゲンセールの広告やWebサイトには欠かせない色です。コカ・コーラがコーポレートカラーにしています。

■橙(だいだい)=活気、健康

オレンジ色とほぼ同じです。橙は赤ほどは強くありませんが、日々の活力をイメージさせることから食欲増進を図る効果が期待されています。そのため、飲食店や料理レシピのサイトでよく使用されます。牛丼チェーンの『吉野家』の看板には、ベースカラーでオレンジ色が使われています。

■黄=にぎやか、幸福

黄は一番明るい色で、人の心を弾ませて円滑なコミュニケーションを促す効果があると言われています。子供に関する施設でもよく使用される色です。ドラッグストアチェーンの『マツモトキヨシ』のロゴは黄色で、薬を服用して元気になることをイメージしています。

■緑=平和、安全

緑には興奮した気持ちを静め、落ち着きや安心感を与える効果があります。コーヒーチェーン「スターバックス」のコーポレートカラーになっているのは、コーヒーを飲んでリラックスしてほしいという意味が込められています。また、環境に関するテーマにも使われる色です。

■青=さわやか、誠実、知性

青は緑よりも鎮静作用が強く、また知性を強く感じさせる色です。そのためコーポレートカラーを青にしている『みずほ銀行』など、金融関係によく使われます。

■紫=高級、美意識

紫は他の色の中に混ざりにくく際立つことも多いため、高級感のある商品ページに利用されます。また創作意欲を掻き立てるなど芸術面での効果も期待されています。楽器製造メーカー『YAMAHA』のコーポレートカラーはバイオレット(紫)です。

■黒=高級、都会的

PCやiPhoneでおなじみの『Apple』のリンゴのマークは黒です。黒には高級感や格調高さ、都会的なイメージを打ち出す効果があります。そのため、ファッションブランドでもよく使われます。

■グレー=落ち着き、上品

グレーは他の色となじみやすく、自己主張しない、控えめな落ち着きや上品さがあります。コーポレートカラーに採用されている例は少ないですが、文具やオフィス家具メーカーの『コクヨ』のロゴマークにはグレーが使われています。

●パーソナルカラー

■赤

やる気とリーダーシップを示す色として用いられます。選挙活動中の政治家が好んで赤いネクタイをつけるのはそのためです。米国のオバマ大統領がここ一番でつける赤のネクタイは「パワー・タイ」と呼ばれています。

■青

安心感や信頼感、知性を感じさせる効果があります。弁護士に人気のネクタイはネイビーなどの青系だそうです。安倍総理は国会で青系のネクタイを身に着けることが多いのですが、色彩の持つ効果を狙ったものではないでしょうか。

■黄

明るさや柔和な印象を与えます。保育士など子供と接する機会の多い人のエプロンには黄系が多く使われています。これは子供が懐きやすい色と考えられているからです。安倍総理は選挙期間中は黄系のネクタイを着用することが多いようですが、これは親しみやすさや「日本を元気にする」というイメージをアピールしているのかもしれません。

こうした色は、ネクタイやハンカチ、シャツ、小物類などでさりげなく取り入れることがポイントです。全面的に色を強調し過ぎると、逆効果になるので注意しましょう。

色彩を使いこなして、仕事でリード!

色使いの重要性が世界的に認知されたのは、1960年の米国大統領選挙からと言われています。この選挙ではカラーテレビの普及に合わせ、ケネディ陣営のカラーリストが活躍。テレビ討論会でケネディ候補は、濃紺のスーツに白のワイシャツ、赤のネクタイを着用し、有権者に若さとエネルギー、誠実さをアピールすることに成功。テレビ討論会の前まで優勢だったニクソン候補を破り、結果的にケネディ候補が大統領に就任しました。

色にはパワーがあります。色彩心理学をうまく使いこなすことができれば、ビジネスにおいて強力な武器となるでしょう。

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